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第40話 ファランさまのお約束
しおりを挟む「公務が一段落した。久しぶりに王宮を案内したいと思うが、どうだ?」
その連絡が来たのは3日前。
わぁぁい! ってことで、「おねがいします!」のお返事をして。
それからちょっと、ソワソワのソワ。
「きょお! ファランさまとぉ、どこいこっかなぁぁ?」
最後に連れて行ってもらったのが、あのたかーい塔。
そして、最後に会ったのが……
「あのときは、ちょっとだけぇ、たいへんだった」
探索ならまかせて~!いますぐいくよ~!なハロルドさまに引っ張られてあっちへ、こっちへ。
使われてないくら~い通路に、難しい本がたっぷりあるだけの書庫、王宮の果て、という名のただのひろーーい空き地。
そして、ファランさまのお忍び執務室。
「めっっちゃめちゃに歩いたしぃ、ちょっと足、ぼうになった……」
けど、まぁ――
「まぁまぁまぁ、まったくたのしくなかったわけでもぉないし、ファランさまに久しぶりにあえたので、よし」
それからまたちょっと日が空いたしぃ、案内してもらうのは久ぁーしぶり。
「うぅうぅぅ、たのしみぃ」
ファランさま、もうちょっとしたら、来るかなぁ?
「アン! ドゥ! ロワ! ぼく、どこもへんじゃない? お洋服これでだいじょぉぶ?」
らしくなく、服装など気にしたくなる。
「あら、ふふふ。もちろんですわ」
「とってもステキですわ、サファさま」
「ええ、ほんとうに」
「えへー」
侍女さんのお世辞に、素直に浮かれていたとき、
――トントントン。
あ! きたぁ!
「少々お待ちくださいね、サファさま」
「うん!」
侍女さんの背中を、ソワソワで見送る。
ファランさま、きょうすこーしだけ、はやい?
もしかしてぇ、ファランさまもちょっとだけ楽しみだったりしてぇ?
ま、それはないかぁ……えへ、思い上がり厳禁。
……
…………
………………
「あれぇ?」
侍女さん、ちょっと遅いなぁ? なにかお話してる?
「……?」
ちらーと、扉の方を見てみると――
『……? ――』
侍女さんが扉の向こうでお話しているみたい。でも、なにお話してるんだろぉ?
「あ!」
そう思っているうちに、お話が終わって侍女さんが扉を閉めた。
え、あれ? 閉めちゃった!?
「…………」
侍女さんは、こっちを見て、なんかちょっと複雑な顔をしてる。
あれ? あれれ? ファランさまはぁ? どおしたんだろぉ?
「サファさま」
「な、なぁにぃ? なにかあったのぉ?」
あんまり見たことない、あんまり楽しそうじゃない侍女さん。ちょっと……、だいぶ気になる。
「王太子殿下の使いの方よりご連絡がありました」
「え……?」
ファランさまじゃなくて、お使いの人が来た……?
「殿下より、ご伝言です」
……でんごん? え?
「実は――」
侍女さん……? なんで、そんな顔になったの? え?
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