塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落

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第3話

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 プライベートで教え子に会うこと。
 一般的に、塾講師は固く禁止される行為である。
 ハルトも今の個別指導塾に採用される際、塾長にそう言われていた。

 ところが――。



「先生、この答えがこれじゃないのは何で?」
「あー、それはね」

 円卓の前で雑なあぐら座りをしているトウヤが、すぐ右横に座っているハルトに腕を絡めながら、質問を飛ばし続けていた。
 卓上には、学校で実施された校内実力模試の問題用紙と、つい先ほどハルトの母親が持ってきた二人分のお茶が置いてある。

 二人から見て左側には、パソコンラック。そして右側には……ハルトのベッド。
 そう。ここはハルトの家の、ハルトの部屋である。

(この状況、まずいよなあ)

 ハルトは頭を掻く。

 今日は日曜日だった。
 日曜日は全力で休むため、昨日は夜遅くまで大学のレポートをやっていたが、目覚ましのセットを切るのを忘れており、いつも通りに起床してしまった。

 二度寝する気にもならなかったため、着替えて朝ごはんを食べ。
 そして家族に言われて郵便受けの新聞を取りに行ったところ……
 ……家の前に、Tシャツと半ズボン姿の彼が立っていて。

「校内実力模試って答え合わせを授業でやってくれないからさ。もし今暇なら教えて」

 と、頼まれたのである。
 明らかなルール違反をハルトは犯したわけであるが、あの時点で防衛策はなかったようにも感じていた。

 わざわざ「教えてくれ」と家まで来てくれた生徒を拒絶するというのは、ハードルが高すぎる。
 しかも彼は親にもきちんと話してから来たようで、おみやげの焼き菓子まで持参していた。

 あの状況で追い返せる人などいるのか?
 いや、いないだろう。
 家バレした時点で負けだったのだと、ハルトは思った。

 ちなみに家バレの理由は、彼いわく「なんか電話帳見たら先生の家っぽいのが載ってた」ということらしい。
 苗字がわりと珍しいので特定されたようである。今度両親に非掲載を勧めておいたほうがよいかもしれない。

「ん、先生。オレの顔に何かついてる?」
「いや、ついてないけど」
「ははーん。かっこよくて見とれたとか?」

 トウヤが顔を近づけのぞき込んでくる。

「……」

 他のブースもある塾の中と違い、他人の目を気にする必要はない。
 変なプレッシャーがないため、ハルトは彼の顔をじっくりと見てしまった。
 中学生なのにニキビもなく、きれいな肌。そして意外とまつ毛が長いことにも気づいた。

「あれ、オレ当てちゃった?」

 また生意気に笑ってそんなことを言うので、頭を一回叩いた。

「クラスで女子にモテてそうだなとは思ってるけど。別に見とれてはないよ」

 考えごとをしていただけ、と塾のときと同じように頭をつかみ、顔を少し遠ざけた。

「えっと、これで聞きたかったのは全部聞いた?」
「うん。先生ありがと」

 これで勉強タイムは終わりのようだ。
 ハルトはいったん席を外すと、リビングで母親がタイミングよく準備してくれていたお茶と焼き菓子を受け取り、部屋に戻った。
 焼き菓子はもちろんトウヤが持ってきたものである。

 コレ、ありがとう。いただきます――と礼を言い、個包装の焼き菓子を一つ開け、食べる。

「うーん。おいしいね」
「だろ? お盆に親戚のおっちゃんが持ってきたやつ」

 あぐら座りして焼き菓子を食べるハルトに対し、トウヤはまたくっついてきた。
 しかも後ろから。

 わきはくすぐってこなかったが、前に腕を回され。手は胸を包むような位置に置かれる。
 抱き付かれたようだ。

(……!)

 彼の腕が、ギュッと締められた。
 逃げさせない――と咎めるような意思はまったく感じなかったが、なぜかハルトは動けなくなった。言葉も発せなくなった。

 手の温かさを、Tシャツ越しで胸に感じてしまう。
 わき腹にも腕の温かさが伝わってくる。

 そして背中は、全体的な温かさ……だけでなく。
 彼は顔もつけているので、呼気が布越しに通ってくる。

 その一か所が熱くなったところで、金縛りが解けた。
 というよりも、ハッと我に返った。

「ちょっとトウヤくん。抱き付かない……」

 言い終わる前に、胸を包んでいた手が下にスッと降りた。

「ぁっ!」
「へへっ」

 股間を触られてしまった。しかも、陰茎の敏感なカリ付近を一発で指が捉えてきた。
 はいていたハーフパンツが柔らかいスウェット生地だったせいもあり、スーツ越しで触られたときよりもさらに高く変な声が出てしまった。

 そしてそのまま、揉まれる。

「っ……やめてって……!」
「いいじゃん、ここ塾じゃないし。誰も見てないよ」
「そ、そういう問題じゃなくて」



(続く)
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