【完結】知られてはいけない

ひなこ

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七・始まっていたゲーム

始まっていたゲーム(1)

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 わたしたちは、ばらばらに食堂へと帰った。
 もちろん、図書館で集まっているメンバーだとばれないようにだ。

 そろそろ昼食の時間だ。でも、食堂の列に並んでいるうちに、何だかみんな落ち着かないでいることに気づいた。
 目の前の二人は、どっちも男子。中一?二人は学年ちがいなのかな?わかんない。
「ついにやったらしいですよ」
「聞いた。あいつだろ?やっぱそうだな、と思ったんだ」
「でも、それでどうなったんですかね?」
「中一の女子を、消しちまったってさ。自慢じまんげに言ってた」

 えっ。
「ねえ、それどういうこと……です、か?」わたしはつかみかかるいきおいで、問いただした。
 片方は学年が上っぽい。敬語をとってつけた。

「中二の三村ってやつが、バトルに成功せいこうしたんだってさ」
「だれにですか?」
「よく知らない。おとなしそうな女の子だって聞いた、けど」
 中一の女子はわたし含めて全部で六人。列を見ると、名札なふだなしでも顔で覚えてる子は何人かいる……。そうなると、わたしがまだよく知らない子?
 三村一紀は最初から、印象いんしょうが悪かったから覚えている。
 本当にバトルして、相手を消してしまったんだろうか?
 そんな戦いなんてやらない、とっとと脱落だつらくする……なんて言ってたくせに。
 円のさそいにまんまと乗るなんて……本当にこわい人だな。
 と、わたしたちの前にだれかが立ち止まった。

「何?おれのこと噂してんの?」
 三村一紀だった。
 うわあ。
「いえ、何でもないっす。な?」
「え、うん。そうです。何でもないです」
 二人はぺこぺこしている。でも、わたしは同じにはできなかった。
 なぜって、三村一紀の目はぎらついて……普通じゃなかったから。
「バトルで勝っちゃったよ。案外あんがい簡単かんたんだった」
 悪びれず堂々どうどうと言った。にやついた口元。
 こわい。
「だれ、を消したんですか?」わたしは、ふるえる声で聞いた。
「だれだっけ。名札も見ないうちだったしな。メガネをかけた、小柄こがらな子だったよ」
 何で、名前もわからないのに……バトルできるの?
「あのお。どうやって、当てたんですか?」
 どっちの男子も、いつの間にか真顔まがおになっていた。
「ふふん。知りたい?」一紀は、ますますいやらしい顔で笑いかける。
「ええ、ぜひとも!」
 そろっておがむようにうなずく。
 何これ?みんなおかしくなってる。
「……って、教えるわけねえだろ?自分でやれよ!」
 三村一紀は、ふいっと立ち去ってしまった。

「むかつくなあいつ!さすが卑怯ひきょうなやつ!」
「そういうやつだとは思ってましたよ。まじむかつく」
 うーん。この二人も、裏表うらおもてが激しいな。
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