29 / 62
十・勝つのはどっちか?
勝つのはどっちか?(1)
しおりを挟む
ピンポンパンポーン。
構内放送がかかる。あと十分で九時だから、集まれという合図だ。
でも、準(じゅん)たちをこのままにしておけない。
わたしと紗英(さえ)が原因で、二人がバトルを始めてしまったんだから。
「あの。加川(かがわ)さんを信じたいのはわかるんですけど」と、紗英。
「あなたも一年でしょう?タメでいいよ」
「じゃあそうする。万一あいつが勝った場合を考えたら、わたしたちここにいない方がいいと思う。だって遠野(とおの)さんはともかく、わたしは間違いなくまた狙われる」
「そう、か」後のことも考えないといけないのか。
わたしは、準が勝つと信じたかった。そうじゃないとわたしはいやだから。
「あなたが加川さんを信じたいのならごめん。でもわたしは、あの人のことをよく知らないから」
紗英も紗英なりに不安なんだ。さっき、一紀(かずき)に襲われたから。
「……わかった。じゃあ、少し離れたところにいよう。だったらいい?」
「うん。わたしも、加川さんに会えるなら助けてもらったお礼を言いたい」
わたしたちは、別の階に移動してそこで待った。
階段を降りた踊り場に鏡があって、通る人の姿が映る。下からのぞいてもし残ったのが一紀(かずき)だったら、走って逃げればいい。
正直、そんな結果は考えたくないんだけど。
大丈夫、準はきっと勝つはず。わたしたちを助けに、今戦ってるはずなんだから。
妙な安心感がわたしの心に沸いた。本当におかしい。こんなバトルにさらされていれば、おかしくもなる。うん!
もう少しで九時だ。でもミーティングには行けない。
準を見守らなくては。
階段の上で、ぱあっとまばゆい光が現れた。
戦いが終わったのだ。十秒くらい沈黙があって、足音がし始めた。
「どっちだろう?加川さん?それとも……」
紗英と二人で、こわごわと階段の鏡をのぞく。降りてきたのは……!
「加川さんだ!」
準の姿をみたとたん、涙があふれた。
「良かった!良かったね!」二人でがしっと抱き合った。
準は手すりを伝って、少しふらつきながら降りてきた。
「加川さん。あの……」
わたしが呼びかけると、わずかにほほえんだ。
「勝ったんですよね?あの、三村一紀(みむら・かずき)に!」
「……ああ。そうらしい」
目を伏せて大きなため息をついた。
「バトルというのは、ひどいもんだな。あまりにも簡単に人が消える。最初からいなかったみたいに」
「ごめんなさい!わたしが、わたしのせいで」
思わずわたしはそう言った。
構内放送がかかる。あと十分で九時だから、集まれという合図だ。
でも、準(じゅん)たちをこのままにしておけない。
わたしと紗英(さえ)が原因で、二人がバトルを始めてしまったんだから。
「あの。加川(かがわ)さんを信じたいのはわかるんですけど」と、紗英。
「あなたも一年でしょう?タメでいいよ」
「じゃあそうする。万一あいつが勝った場合を考えたら、わたしたちここにいない方がいいと思う。だって遠野(とおの)さんはともかく、わたしは間違いなくまた狙われる」
「そう、か」後のことも考えないといけないのか。
わたしは、準が勝つと信じたかった。そうじゃないとわたしはいやだから。
「あなたが加川さんを信じたいのならごめん。でもわたしは、あの人のことをよく知らないから」
紗英も紗英なりに不安なんだ。さっき、一紀(かずき)に襲われたから。
「……わかった。じゃあ、少し離れたところにいよう。だったらいい?」
「うん。わたしも、加川さんに会えるなら助けてもらったお礼を言いたい」
わたしたちは、別の階に移動してそこで待った。
階段を降りた踊り場に鏡があって、通る人の姿が映る。下からのぞいてもし残ったのが一紀(かずき)だったら、走って逃げればいい。
正直、そんな結果は考えたくないんだけど。
大丈夫、準はきっと勝つはず。わたしたちを助けに、今戦ってるはずなんだから。
妙な安心感がわたしの心に沸いた。本当におかしい。こんなバトルにさらされていれば、おかしくもなる。うん!
もう少しで九時だ。でもミーティングには行けない。
準を見守らなくては。
階段の上で、ぱあっとまばゆい光が現れた。
戦いが終わったのだ。十秒くらい沈黙があって、足音がし始めた。
「どっちだろう?加川さん?それとも……」
紗英と二人で、こわごわと階段の鏡をのぞく。降りてきたのは……!
「加川さんだ!」
準の姿をみたとたん、涙があふれた。
「良かった!良かったね!」二人でがしっと抱き合った。
準は手すりを伝って、少しふらつきながら降りてきた。
「加川さん。あの……」
わたしが呼びかけると、わずかにほほえんだ。
「勝ったんですよね?あの、三村一紀(みむら・かずき)に!」
「……ああ。そうらしい」
目を伏せて大きなため息をついた。
「バトルというのは、ひどいもんだな。あまりにも簡単に人が消える。最初からいなかったみたいに」
「ごめんなさい!わたしが、わたしのせいで」
思わずわたしはそう言った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】共生
ひなこ
ミステリー
高校生の少女・三崎有紗(みさき・ありさ)はアナウンサーである母・優子(ゆうこ)が若い頃に歌手だったことを封印し、また歌うことも嫌うのを不審に思っていた。
ある日有紗の歌声のせいで、優子に異変が起こる。
隠された母の過去が、二十年の時を経て明らかになる?
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる