【完結】知られてはいけない

ひなこ

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十一・紙切れの主はだれ?

紙切れの主はだれ?(3)

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 みんなが少しだまって、があって……高山郁生が口を開いた。
「じゃあ、おれは半分はんぶんだけ信じる。カメラからは口元くちもとが見えないように小声こごえで話す」
 ちょいちょい、と指で顔を寄せるように合図あいずする。みんなまねする。
 まるで野球チームが気合きあい入れのために、作った円陣えんじんのよう。

「これなら、顔なんて見えないね」
「いい手だ!」
「じゃあおれの考え。紙切かみきれの言い分はほぼ信じていいと思う。ここには、前からの参加者さんかしゃが来ていて、後の人に知恵ちえとして手がかりを残して行っている。それが図書館という場所の意味だ」
 知恵の宝庫ほうこ、図書館。わたしもそう思っていた。
「でも、円がここを開けるって言ったのはなぜ?あいつにとっては、過去の参加者の話が知れることは不利ふりなんじゃないの?」
 円の思うようには、バトルは順調じゅんちょうには進んでない。
 六人もいるわたしたちが、協定きょうていを組んでいるせいも多少はあるだろう。
「図書館は開放する、と決まってるんじゃないか?で、実際何が残されてるかは見ていない。だから予言よげん紙切かみきれにも気づいてない。もし、音をひろってないのと同じにわざと自由じゆうにしているなら、そういうことも」
 図書館に来ていない人たちは、当然紙切れもパソコンの文も知らない。
 これらを信じていいなら、今後こんご大きな助けになる。

 ところで、と長谷川祐紀(はせがわ・ゆうき)が口をはさむ。
「紙切れやパソコンファイルを残した、過去の参加者さんかしゃはどうしたんだろうか?勝って、元の世界に帰れたんだろうか?」
「でもさっき、”ルール通りに勝ち残ってはいけない”。って」
「勝たなきゃ帰れない。でも勝ったらだめだって、どっちなの?」
 中村えりが頭をって声を上げた。
「第三の手を使えとか?今ある以外の、別な勝ち方がどこかにあるのかも」
「そんなの探せない!あと二日しかないのに」近藤七瀬(こんどう・ななせ)がキレ気味ぎみさけぶ。
「落ち着け。このパソコンの中身が、今のおれたちに役立ちそうなのはたしかだ。実際じっさい、円はルールを変えているし。だから今日表示ひょうじされたアドバイスは今日、取り入れるべきだ」

 ”新参者しんざんものには気をつけること”

「わたしたち、手がかりを残してくれた過去の人たちのためにも、がんばらないとね」
「まずは、ここから出て元の世界に帰ることだよ」
「だって!一人しか帰れないんでしょ」
「いや、ルール通りにつな、と言うなら”一人しか帰れない”の部分ぶぶんもちがうかも。みんなで帰るんだ」
「みんなで?いいね!」
 その言葉は、わたしの胸にとても心地ここちよく染みた。

 そうだ。最初からそう願っていた。
 だれかをり落としたり、だましたりじゃなくて。みんなで。
「みんなで帰る!」わたしたちは、声をそろえた。

 パソコンを消して、図書館を出る。今まで見つけた紙切れも、さりげなく隠した。
 まだ昼食にも少し時間がある。この後はみな別行動べつこうどうだ。
 円は知っているかもしれないが、他の生徒にはわたしたちがグループを作っているようには見えないようにだ。
「じゃあまた、食堂しょくどうでな」
「うん。あまり仲良くないそぶりも忘れずに」
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