41 / 62
十四・結界からの脱出
結界からの脱出(1)
しおりを挟むなぜそんなことを聞くの?図書館組の人たちを、難なく消したくせに。
「それを答えて、どうなるって言うの?」
「知りたいだけだ。答えろ」
もし、相手がしくじれば今度はこちらが答えを当てに行ける。
だったら。
わたしは息を吸って答えた。今まで出したこともない、ふてぶてしい声で。
「ふ、避けてたんじゃないわ。面倒だったの。だって、他の人たちがわたしより先に減ってくれた方が、最後に楽をして勝てるでしょう?」
努めて、けだるそうに答えた。劇で悪役を演じるときみたいに。
く、くくく。額を押さえて圭吾は笑った。
「何だ。お前、ワルだったのか。てっきり他の仲間みたいに、本を愛する理想主義者かと思ったがな。ならわかったよ」そう言ってわたしに向き直る。
「では、お前の答えを当てよう。お前の大切なものは”効率”だ。コスパと言ってもいい。とことんエネルギーを使わずに、最後の勝ちを狙っている」
自信たっぷりにわたしを指した。
でも、何も起こらなかった。
えりのときのような糸も、全く動き出さなかった。
結界の中で、耳障りなアラートが鳴る。機械の作る、ずれた発音の音声が告げた。
”失敗です。失敗。あなたは遠野莉々亜(とおの・りりあ)の答えを当てていません”
「何?外れだって?」
”遠野莉々亜、あなたはバトルしますか?”
わたしは、覚悟を決めてイエスを押した。だってもう、そうするしかないから。
桜が言ったように、今がそのとき。戦うべきときだと。
優しかった恩田桜(おんだ・さくら)の、倒れた姿を思い出した。
「ちがうっていうのか?おい!」
当てられなくて良かった。そのとき、アラートは意外なことを告げた。
”同時バトルの場合、特別事項として、もう一回ずつ答える権利が発生します”
声の方を見上げる。
そんな話、知らない!
うろたえるわたしの目の前に、画面が浮かぶ。
”では、遠野莉々亜。あなたの攻撃をどうぞ”
島田圭吾。最初の日に円に質問していたときは、かなり慎重に見えた。
なのに、リストを手にした途端にこんなに敵意むき出しになった。まるで人がちがったみたいに。
えりの答えは、あっさり当てたのに一方でわたしには、時間稼ぎのような会話をして。
何となくわかった。この人のリストに、わたしの答えは載ってないんだ。
何でなのかはわからないけれど。
だから、急に会話がおかしくなった。わざとわたしと話して、答えのヒントを探ろうとした。それに気づいてわたしはさっき、ああ言った。心にもないことを。一言二言、話したくらいで相手のことがわかるはずがない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】共生
ひなこ
ミステリー
高校生の少女・三崎有紗(みさき・ありさ)はアナウンサーである母・優子(ゆうこ)が若い頃に歌手だったことを封印し、また歌うことも嫌うのを不審に思っていた。
ある日有紗の歌声のせいで、優子に異変が起こる。
隠された母の過去が、二十年の時を経て明らかになる?
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる