【完結】知られてはいけない

ひなこ

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十四・結界からの脱出

結界からの脱出(1)

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 なぜそんなことを聞くの?図書館組の人たちを、なんなく消したくせに。
「それを答えて、どうなるって言うの?」
「知りたいだけだ。答えろ」
 もし、相手がしくじれば今度はこちらが答えを当てに行ける。
 だったら。
 わたしは息を吸って答えた。今まで出したこともない、ふてぶてしい声で。
「ふ、けてたんじゃないわ。面倒めんどうだったの。だって、他の人たちがわたしより先にってくれた方が、最後さいごに楽をして勝てるでしょう?」
 つとめて、けだるそうに答えた。げき悪役あくやくえんじるときみたいに。

 く、くくく。ひたいさえて圭吾は笑った。
「何だ。お前、ワルだったのか。てっきり他の仲間みたいに、本を愛する理想主義者りそうしゅぎしゃかと思ったがな。ならわかったよ」そう言ってわたしに向き直る。
「では、お前の答えを当てよう。お前の大切なものは”効率こうりつ”だ。コスパと言ってもいい。とことんエネルギーを使わずに、最後さいごの勝ちを狙っている」
 自信たっぷりにわたしを指した。
 
 でも、何も起こらなかった。
 えりのときのような糸も、全く動き出さなかった。
 結界けっかいの中で、耳障みみざわりなアラートがる。機械きかいの作る、ずれた発音はつおん音声おんせいが告げた。

 ”失敗しっぱいです。失敗。あなたは遠野莉々亜(とおの・りりあ)の答えを当てていません” 

「何?はずれだって?」

 ”遠野莉々亜、あなたはバトルしますか?”

 わたしは、覚悟かくごを決めてイエスを押した。だってもう、そうするしかないから。
 桜が言ったように、今がそのとき。戦うべきときだと。
 優しかった恩田桜(おんだ・さくら)の、たおれた姿すがたを思い出した。

「ちがうっていうのか?おい!」
 当てられなくて良かった。そのとき、アラートは意外いがいなことを告げた。

 ”同時どうじバトルの場合、特別事項とくべつじこうとして、もう一回ずつ答える権利けんりが発生します”

 声の方を見上げる。
 そんな話、知らない! 
 うろたえるわたしの目の前に、画面がめんが浮かぶ。
 
 ”では、遠野莉々亜。あなたの攻撃こうげきをどうぞ”

 島田圭吾。最初の日に円に質問しつもんしていたときは、かなり慎重しんちょうに見えた。
 なのに、リストを手にした途端とたんにこんなに敵意てきいむき出しになった。まるで人がちがったみたいに。
 えりの答えは、あっさり当てたのに一方いっぽうでわたしには、時間稼じかんかせぎのような会話をして。
 何となくわかった。この人のリストに、わたしの答えはってないんだ。
 何でなのかはわからないけれど。
 だから、急に会話かいわがおかしくなった。わざとわたしと話して、答えのヒントをさぐろうとした。それに気づいてわたしはさっき、ああ言った。心にもないことを。一言二言、話したくらいで相手のことがわかるはずがない。
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