44 / 62
十五・みんないなくなった
みんないなくなった(1)
しおりを挟む
繭の中で、恩田桜(おんだ・さくら)はわたしの答えを当てる気はなく……ただ、わたしに答えさせた。わたしはそれでも、わざとちがう答えを言って外すべきか最後まで迷った。
こんなやり方で、自分の勝ちにするなんてできない。どうするのが先輩のためなのか、わからないでいた。
なのに……迷いながら、結局わたしは先輩の答えをバトルで得た。
わたしは、もう十分人の道を外れている。
だって、島田圭吾(しまだ・けいご)の分を含めこんなに点数を集めてしまったんだから。
恩田桜の消えた後、地面の血も消えた。
図書館で集まった仲間をすべてなくし、その原因になった島田圭吾をも食って。
わたしは、それでもこのゲームを続けなければならないのか。
ぱたぱたと、だれかが駆けてきた。
でも、わたしは座りこんだまま動けない。
「あれ?遠野(とおの)さん。探してたんだよー?」
わたしの前にしゃがんで、のぞきこんできたのは宮内紗英(みやうち・さえ)だった。
「遠野さん?ねえ、大丈夫?何かあったの?」
「……宮、内さん」
人なつこい目を見て、知らずのうちに涙がぼろぼろ出た。
「えっ?大丈夫?ねえ、遠野さん?ねえ!」
背中をさすられて、桜のことを思い出す。
あの温かな手も、励ましてくれた声ももうない。
わたしがバトルで、消してしまったから。いくら頼まれたとは言っても、実行したのはわたし。もしケガで消えたとしても、手当をしたかった。本当は、一緒にいてほしかった。わたしを置いていなくならないでほしかった、のに。
涙がほおに流れていることに気づく。
何やってるの。わたしは泣く権利なんて、ない。先輩の答えを結局は奪った。
準(じゅん)は?準はどうしているだろう。
もし今、準の顔を見たら泣き崩れてしまう。
”あいつがあんなに勝てているのも、リストをあげたからだよ”
円の意地悪な声がよみがえる。そんなのきっとでたらめだ。
円がわたしたちをはめるための、ウソ。
準は、もっといろんなことを考えて動いているはずだ。
黒情報でみんなをかき回す、円のことばを信じてはいけないんだ。そう思うのに。
「ねえ遠野さん?しっかりして。何か辛いことがあったの?良かったら話して?」
答える気力はなかった。でも背中をなでられていると、妙に安心した。
教室に戻ると、中はがらんとしていた。わたしはぼうぜんと部屋を見回す。
「他の人はどこに?」
「みんな、いなくなった。残っているのは、ここにいる三人だけ」
そう言って、わたしに近づいてきた加川準(かがわ・じゅん)。
「そ、そんな」
「昼食の後に、また表が更新された。見てないか?」
「……はい」
こんなやり方で、自分の勝ちにするなんてできない。どうするのが先輩のためなのか、わからないでいた。
なのに……迷いながら、結局わたしは先輩の答えをバトルで得た。
わたしは、もう十分人の道を外れている。
だって、島田圭吾(しまだ・けいご)の分を含めこんなに点数を集めてしまったんだから。
恩田桜の消えた後、地面の血も消えた。
図書館で集まった仲間をすべてなくし、その原因になった島田圭吾をも食って。
わたしは、それでもこのゲームを続けなければならないのか。
ぱたぱたと、だれかが駆けてきた。
でも、わたしは座りこんだまま動けない。
「あれ?遠野(とおの)さん。探してたんだよー?」
わたしの前にしゃがんで、のぞきこんできたのは宮内紗英(みやうち・さえ)だった。
「遠野さん?ねえ、大丈夫?何かあったの?」
「……宮、内さん」
人なつこい目を見て、知らずのうちに涙がぼろぼろ出た。
「えっ?大丈夫?ねえ、遠野さん?ねえ!」
背中をさすられて、桜のことを思い出す。
あの温かな手も、励ましてくれた声ももうない。
わたしがバトルで、消してしまったから。いくら頼まれたとは言っても、実行したのはわたし。もしケガで消えたとしても、手当をしたかった。本当は、一緒にいてほしかった。わたしを置いていなくならないでほしかった、のに。
涙がほおに流れていることに気づく。
何やってるの。わたしは泣く権利なんて、ない。先輩の答えを結局は奪った。
準(じゅん)は?準はどうしているだろう。
もし今、準の顔を見たら泣き崩れてしまう。
”あいつがあんなに勝てているのも、リストをあげたからだよ”
円の意地悪な声がよみがえる。そんなのきっとでたらめだ。
円がわたしたちをはめるための、ウソ。
準は、もっといろんなことを考えて動いているはずだ。
黒情報でみんなをかき回す、円のことばを信じてはいけないんだ。そう思うのに。
「ねえ遠野さん?しっかりして。何か辛いことがあったの?良かったら話して?」
答える気力はなかった。でも背中をなでられていると、妙に安心した。
教室に戻ると、中はがらんとしていた。わたしはぼうぜんと部屋を見回す。
「他の人はどこに?」
「みんな、いなくなった。残っているのは、ここにいる三人だけ」
そう言って、わたしに近づいてきた加川準(かがわ・じゅん)。
「そ、そんな」
「昼食の後に、また表が更新された。見てないか?」
「……はい」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】共生
ひなこ
ミステリー
高校生の少女・三崎有紗(みさき・ありさ)はアナウンサーである母・優子(ゆうこ)が若い頃に歌手だったことを封印し、また歌うことも嫌うのを不審に思っていた。
ある日有紗の歌声のせいで、優子に異変が起こる。
隠された母の過去が、二十年の時を経て明らかになる?
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる