【完結】知られてはいけない

ひなこ

文字の大きさ
50 / 62
十六・準の目的

準の目的(4)

しおりを挟む

 校舎こうしゃに入った廊下ろうかで、宮内紗英(みやうち・さえ)に会った。
「どこに行ってたの?さがしてたんだよ?」紗英はハアハアしながら、わたしにけよった。
「ごめん」準(じゅん)とだけ、先に話していたからもうわけなさがつのる。

「莉々亜(りりあ)。このまま、三人はバトルしないまま行くの?互いが攻撃こうげきしあう心配はしなくてもいいの?」
「それは……」
 紗英は今も点数てんすうがゼロだ。バトルをしたことがないからだ。
 気づけばわたしは、を守るためとは言え六点も集めてしまっている。
 紗英が急に、わたしを後ろからきしめた。

「何?どうしたの?」
「わたしこわい。たった三人になって、それでもゲームは続いてる」紗英はふるえていた。
「心配ないよ。わたしも準も、あなたのことは攻撃こうげきしない。それよりも、もっとすべきことがあるんだ」わたしは円こそをこわしたいんだ。 
「すべきこと?」
「うん。だから大丈夫」
 ちらっと、図書館組でむすんだ協定きょうていを思い出す。
 お互いには答えをさぐり合わない、そしてバトルを仕掛しかけない。全員ぜんいんが守る。今、むしろそれが必要ひつようなんだろうか?たった三人の間でも?

「何でそう言いきれるの?莉々亜、何であの人を信じられる?」
 紗英はわたしをにらんだ。
「準は三村(みむら)から、あなたを助けてくれた人なんじゃないの?それでも信じられない?」
 この子はこわがりだ。だからよけいに、悪い方へと考えてしまうのか。
「そう、だけど。でも……人って、いつも同じようには行動こうどうするとはかぎらないでしょ」
 紗英は、半べそをかいてあっちを向いた。
「落ち着いて?もう、この三人でどうにかするしかないんだよ。わたしたちで、何とかしよう。このままゲームを続けても、勝てる道はないんだから」
「えっ?どういうこと?」紗英は、甲高かんだかい声をあげた。
「だまっててごめん。図書館としょかんのパソコンに、過去かこ参加者さんかしゃの人たちが残した記録きろくがあって。そこに書いてた。ゲームに勝てても家には帰れない。円(えん)は前の優勝者ゆうしょうしゃだよ。今ああして、わたしたちをくるしめる、マスターとしてあやられてる」
 紗英は急にどん、とわたしを突き飛ばした。

「ひどい!何で教えてくれなかったの?もしかして、加川(かがわ)さんも知ってたの?」
「……ごめん。でも、準だって知ったのはさっきだよ。紗英にも早くおしえようって」
 順番じゅんばん問題もんだいだけど、紗英よりも準を先にしたのはわたしだ。
「うそつき!二人だけで、わたしの知らないことを始めようとしてたんでしょ?」
「ちがう。ねえ聞いて?紗英、落ち着いてよ?」
「莉々亜なんてもう信じない!勝手かってにすれば!」

 だめだ、三人そろったところで同時どうじに言うべきだったんだ。
 紗英は、ばたばたと走りってしまった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】共生

ひなこ
ミステリー
高校生の少女・三崎有紗(みさき・ありさ)はアナウンサーである母・優子(ゆうこ)が若い頃に歌手だったことを封印し、また歌うことも嫌うのを不審に思っていた。 ある日有紗の歌声のせいで、優子に異変が起こる。 隠された母の過去が、二十年の時を経て明らかになる?

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

女子切腹同好会

しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。 はたして、彼女の行き着く先は・・・。 この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。 また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。 マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。 世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。

意味が分かると怖い話【短編集】

本田 壱好
ホラー
意味が分かると怖い話。 つまり、意味がわからなければ怖くない。 解釈は読者に委ねられる。 あなたはこの短編集をどのように読みますか?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

処理中です...