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十六・準の目的
準の目的(4)
しおりを挟む校舎に入った廊下で、宮内紗英(みやうち・さえ)に会った。
「どこに行ってたの?探してたんだよ?」紗英はハアハアしながら、わたしに駆けよった。
「ごめん」準(じゅん)とだけ、先に話していたから申し訳なさがつのる。
「莉々亜(りりあ)。このまま、三人はバトルしないまま行くの?互いが攻撃しあう心配はしなくてもいいの?」
「それは……」
紗英は今も点数がゼロだ。バトルをしたことがないからだ。
気づけばわたしは、身を守るためとは言え六点も集めてしまっている。
紗英が急に、わたしを後ろから抱きしめた。
「何?どうしたの?」
「わたしこわい。たった三人になって、それでもゲームは続いてる」紗英は震えていた。
「心配ないよ。わたしも準も、あなたのことは攻撃しない。それよりも、もっとすべきことがあるんだ」わたしは円こそを壊したいんだ。
「すべきこと?」
「うん。だから大丈夫」
ちらっと、図書館組で結んだ協定を思い出す。
お互いには答えを探り合わない、そしてバトルを仕掛けない。全員が守る。今、むしろそれが必要なんだろうか?たった三人の間でも?
「何でそう言いきれるの?莉々亜、何であの人を信じられる?」
紗英はわたしをにらんだ。
「準は三村(みむら)から、あなたを助けてくれた人なんじゃないの?それでも信じられない?」
この子はこわがりだ。だからよけいに、悪い方へと考えてしまうのか。
「そう、だけど。でも……人って、いつも同じようには行動するとは限らないでしょ」
紗英は、半べそをかいてあっちを向いた。
「落ち着いて?もう、この三人でどうにかするしかないんだよ。わたしたちで、何とかしよう。このままゲームを続けても、勝てる道はないんだから」
「えっ?どういうこと?」紗英は、甲高い声をあげた。
「だまっててごめん。図書館のパソコンに、過去の参加者の人たちが残した記録があって。そこに書いてた。ゲームに勝てても家には帰れない。円(えん)は前の優勝者だよ。今ああして、わたしたちを苦しめる、マスターとして操られてる」
紗英は急にどん、とわたしを突き飛ばした。
「ひどい!何で教えてくれなかったの?もしかして、加川(かがわ)さんも知ってたの?」
「……ごめん。でも、準だって知ったのはさっきだよ。紗英にも早く教えようって」
順番の問題だけど、紗英よりも準を先にしたのはわたしだ。
「うそつき!二人だけで、わたしの知らないことを始めようとしてたんでしょ?」
「ちがう。ねえ聞いて?紗英、落ち着いてよ?」
「莉々亜なんてもう信じない!勝手にすれば!」
だめだ、三人そろったところで同時に言うべきだったんだ。
紗英は、ばたばたと走り去ってしまった。
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