【完結】知られてはいけない

ひなこ

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十九・円との戦い

円との戦い(1)

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 夕食後、準(じゅん)と最後の打ち合わせをした。残り時間は五時間ほど。本当にこれで最後さいごだ。
 二十六日になる午前零時れいじに、ゲームは終了する。
 わたしたちが生き残るのか、それとも円に負けて消え去るのかが決まる。

「ねえ準。さっきまた、こんなものを図書館としょかんの本の間から見つけたの」
 ねんのために、図書館に行って探したら見つけた。
 前の参加者さんかしゃである生徒が、残しただろうノートの切れはし

 ”お兄ちゃん、助けて!ここは天国てんごくなんかじゃなかった。帰りたい。ここから出して”

「円(まどか)の筆跡ひっせきだ。やっぱりあのマスター円(えん)は……」
 つらそうに下を向いて、話しだす。
「妹は少し前から学校に行かなくなった。元々人付ひとづき合いが苦手で、その時ちょうど流行りゅうこうのゲームにはまった。ゲームをしている間は楽しくて天国だ、とも言っていた」
 だけど円(えん)は、ううん、加川円(かがわ・まどか)は。
 勝ち残ったにも関わらず、この仮想空間かそうくうかんで心を支配しはいされてマスターをやらされている。
「図書館には、今までたたかった生徒たちがあちこちにメモをかくしていた。きっと円(まどか)さんも、その一人だったんだと思う」
 一日一回だけ新しくなる、ファイルの中身なかみももしかしたら……。
 ときどき正気しょうきに戻った円が、必死ひっしでヒントを出していたのかもしれない。わたしたちの味方みかたをしようとして。

 七時ちょうど。わたしたちは、最初目覚めざめた教室へと向かう。
「行こうか」
「うん」
 
 教卓きょうたくのところには、円がかんでいた。
「どうしたの?ぼくをび出して。別にもう、好きにやってくれていいんだけど?」
「でももう、二人しかいないでしょう?だから円に判定はんていしてもらいたくて。わたしたちのバトルに、立ち会ってほしい」
 ふうん、と言ってから円はわたしたちの目の前へとんできた。
「ま、どっちが勝っても不思議ない点数だもんね。……わかった、ぼくが引き受けるよ」
 準とわたしの目が、一瞬交差こうさした。

「今からやるけど、いいか?」
「加川準(かがわ・じゅん)も積極的せっきょくてきだね。ついに覚悟かくごを決めたかい?」
「……ああ」その声には、別のひびきがあった。
 わたしと準は、同じ方向へ手をげる。二人声をそろえて、手のひらを円に向けて。

        「「バトル!」」
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