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第28話 模擬戦 1
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「ちっ!暇人共が・・・これじゃあいい見せ物じゃないか!!おい!レイドル!さっさと片付けろ!!」
アルセルと呼ばれていた男がベンチに腰掛け踏ん反っていた。
「は、はっ!!」
ゼノアの身長の3倍近くある騎士が額に汗を滲ませながら木剣を構えゼノアと対峙している。側から見れば我が子に剣を教えている父親のようにも見える。しかしその実、騎士レイドルの目にはゼノアの姿が自分より遥かに大きく見えていた・・・
(・・・〈上剣技〉か・・〈堅固〉もいいよね・・ふふふ・・・)
ゼノアはレイドルのスキルを見ながら知らぬ間に軽く闘気を立ち昇らせていた・・・
(な、なんだ・・・この圧力・・・普通じゃないぞ・・・ガ、ガキが放っていい圧力じゃ無い・・・こ、ここは先手必勝・・・一気に決める・・・闘気解放!!)
レイドルが木剣の柄を両手で絞り込むとレイドルの身体から白いオーラが立ち昇る!!
「ふーん・・ホワイトオーラか。それにあの体制・・一気に決めるつもりだな。あいつゼノアの力を感じ取ったか・・・だがそんな闘気でゼノアに勝てるかな?」
「あーあ・・ゼノア君のあの顔・・・完全に狙ってるわね・・・」
ゴルドが腕を組み余裕の笑みを浮かべるとユフィリアも肩をすくめて脚を組み直す。そしてクロードが2人の前に進み出ると右手を空に掲げる。
「両者準備は良いか?」
二人がこくりと首を縦に振る。
「それでは!・・・始め!!」
クロードの腕が振り下ろされると同時にレイドルが上段で木剣を振り上げ大地を蹴りゼノアに襲い掛かる!その所作は隙もなく流れるような剣裁きであった。普通の人間が相手ならその一撃で勝負が決まっていただろう。しかしゼノアはその一撃を首を傾げながら眺めていた・・・
(遅っ!!この人・・相手が子供だからって手加減しているね・・・)
ゼノアの目にはレイドルの剣筋がコマ送りのように見えていた。いつでも躱せるし反撃も出来た。しかしゼノアはレイドルの木剣が自分の右肩に振り下ろされるのを黙って見ていた・・
(むっ?!何故動かない?!避ける素振りも・・焦りもない・・・?!・・・えぇい!!構うな!振り切れぇぇ!!)
どかぁぁぁ・・・
レイドルが振り下ろした木剣がゼノアの右肩を捉えた・・・
「ふん・・やはりその程度か・・・」
アルセルが鼻で笑うが打ち込んだはずのレイドルが苦悶の表情を浮かべ後ずさる。
(うぐっ・・・う、腕が痺れる・・・な、何だこの大きな岩を打ったような衝撃は・・)
「・・・な、何?!あのガキ・・レイドルの一撃を受けて涼しい顔をしてやがる・・・」
(な、なんと・・・あれを微動だにせずに耐えるのか?!し、しかもあの少年・・・今、わざと受けたように見えたが・・)
レイドルの一撃を跳ね返した5歳の少年にアルセルとクロードの脳裏に嫌な予感が過ぎる・・・
「くっくっく・・・やっぱりやりやがった・・さて・・ゼノアの次の一撃・・耐えられるな?」
「・・あの3人の顔・・・くくっ・・笑えるな・・・あのレイドルとか言う騎士・・・死ぬかもな・・・」
「ふん!いい気味だわ!ついでにあの第四王子か知らないけど、あの生意気なガキも引き摺り出すのよ!!」
ゴルド達はクロード達の態度に少なからず腹を立てていた。ガベルの話にクロードも対応は柔らかいものの時折り嘲笑うかのような表情をし、騎士のレイドルも何度も聞こえないように鼻で笑っていた。セルバイヤ王国第四王子アルセルに至っては話の腰を折るように絶えず暴言を吐く始末であった。
そこでガベルとユフィリアは身を持って知らしめてやろうとクロード達をゼノアの元へと誘導しゴルドがガベルとユフィリアの意図を察してこの模擬戦に至ったのであった。
〈剣術〉→〈上剣技〉
(・・おっ!!〈剣術〉が〈上剣技〉にレベルが上がった!・・・ふふ。それじゃあ次は・・おっと・・ここは手加減しないとね・・・)
ゼノアは口角を上げ木剣が折れないように最低限の闘気を纏わす・・・そして周りの人達に聞こえるように声を上げた。
「・・・ねぇ!おじさん!手加減しなくていいから本気でいいよ!・・・でもまさか・・アレが本気なんて言わないよね?」
「ぬぐっ・・・ガキの分際で・・調子に乗りやがって・・・」
レイドルのこめかみに青筋が走る。そして5歳の子供に煽られた怒りで木剣を折れんばかりに握り込むとチラリとクロードに視線を送った。
「くくっ・・ゼノアめ・・いい煽り方するじゃねぇーか!」
「・・ふっ・・ますますあんたに似て来たわね。効果的な煽り方も教えてるの?」
「・・・ん?奴等・・・様子が変だぞ。」
「えっ?」
クロードの動きに違和感を感じたガベルの声にユフィリアが観察していると口元が細かく動いていた。
「魔力の収束を感じる・・・何か仕掛けて来るわよ!」
ユフィリアが気付いた瞬間!レイドルの身体が淡い光に包まれた。
「っ?!〈身体強化〉だわ!・・・大人気ない事やってくれるわね・・・」
「えぇ?!模擬戦で外からの介入はルール違反よ!!私、抗議して来るわ!!」
アメリが肩を怒らせ立ち上がるとそれを制すようにゴルドが立ち塞がる。
「ゴルドさん!退いて!」
「アメリ。落ち着けって!いいじゃねーか!これで面白くなったんだ!くくっ・・それに奴等は自分で自分の首を締めてる事に気付いてねぇーんだからよ!」
「えっ?!どう言う事?!」
困惑するアメリを他所にガベルとユフィリアが慌てる事無く用意された紅茶を啜る。
「あぁ・・・あのままゼノア君を攻撃すれば・・・ふふ・・」
「・・・本当に馬鹿な奴等ね・・・さあアメリ。さっきも言ったけど見ていれば分かるわ。
早く座りなさい。見逃すわよ?」
「・・・もう・・分かったわよ・・」
アメリは諦めてユフィリアの隣に腰を下ろすのだった。
ゼノアはクロードのスキル〈身体強化〉を受け淡く光るレイドルを鑑定する。
(ふぅん・・ステータスが1.5倍か・・・そんな事するんだ・・大人ってやっぱりずるいよね・・・でも・・ふふ。」
「・・・ねぇ!おじさん!準備は終わった?今度こそ本気でね?」
ゼノアが悪い顔で口元を歪める。
「くっ・・・口の減らないガキだ。いいだろう・・・その言葉・・後悔させてやる!!喰らえぇぇ!!!」
レイドルが大地を蹴り下段に木剣を構えゼノアに迫る!
(うん。下段からの切り上げ・・・さっきよりは速くなったかな・・・じゃあ・・これならどうかな?)
ゼノアは迫るレイドルの木剣に対し見えないように闘気を身体に纏うとレイドルの木剣を身体で迎え撃つ!
どきゃっ!!!
「ぐがぁぁぁ!!」
打点をずらされたレイドルの木剣はゼノアの左脇腹を捉えた瞬間、固い岩を撃ったような衝撃に木剣を握る両手首から鈍い音が響き有らぬ方向に曲がり木剣が宙に舞った・・・
(な、なにぃぃ!!あの少年躊躇う事無く自ら当たりに行った・・・剣撃にカウンター?!そ、そう言えば・・初撃も避けなかった・・何故だ・・?)
「おじさん!次は僕の番だよ!」
「な、何ぃ?!」
(〈魔力創造〉!!)
ゼノアは魔力創造で木剣に魔力を纏わせると木剣が銀色に変色し本物の剣の輝きを放つ!そして激痛でたたらを踏むレイドルの左脇腹目掛けて踏み込み片手で持った木剣を叩き込んだ!
ごぎゃゃゃっん・・・
ゼノアの振るった木剣がレイドルの鎧を捉えると木剣ではあり得ない金属音を鳴らしながら鎧を陥没させレイドルの左脇腹に深々とめり込んだ!
びきっ!めきめきめきめきぃぃぃっ・・・
「ぐぼべぇぇぇぇ!!!・・・あ・・あ・・あぐ・・が、がふっ・・・」
ずずぅぅん・・・
レイドルは激痛で声も出せず膝を付きそのまま顔面から地面に倒れ込んだ・・・
「な、なんだとぉぉぉ!!」
思わずアルセルが勢いよく立ち上がる!!
「い・・・一撃?!あのレイドルを一撃だと?!そ、それも木剣で鋼鉄の鎧ごと・・・それに奴の木剣が一瞬光ったように見えたぞ!!」
「・・えぇ。私にもそう見えました。何をしたかは分かりませんが、あのレイドルの剣撃をものともしない頑丈さ・・それも私の身体強化を受けた一撃にも微動だにしませんでした・・それに・・片手であの威力・・まだまだあの少年の力はこんなものではないはずです。これは・・セルバン子爵の話・・・でまかせではないのかも知れません・・・」
クロードも眉間に皺を寄せ倒れているレイドルを見下ろすゼノアを見据えていた。
「おいおい・・ありゃあ肋骨半分逝ってるな。あれじゃあ暫く動けねぇな。」
「ふむ。無造作に振り切っただけに見えたが・・あの威力か・・・もう剣の練習相手はゴルドに任せる事にしよう・・・」
「ふん。魔力創造も呼吸をするように普通にやって退けたわね・・・さて・・今の模擬戦を見て黙って引き下がる訳はないわよね。」
ユフィリアの目線の先には目尻を震わせながらゼノアを睨みつけるアルセルの姿があった。
セルバイヤ王国第四王子アルセルが自分より10歳も歳下のゼノアの戦闘力を目の当たりにして歯が折れんばかりに歯軋りする。
(お、おのれぇ・・・木剣で鋼鉄の鎧を破壊・・・?!一体どんなスキルを持っていやがる・・・ふん・・だが・・剣の勝負なら俺に負けは無いぞ・・・)
「・・・次は俺が行く。ふん!頑丈が売りなだけのガキめ!まぐれ当たりで調子に乗るなよ!」
当然のようにゼノアの元に歩き出すアルセルの前にクロードが飛び出す!
「アルセル王子!おやめください!最初の約束ではレイドル殿との模擬戦で判断すると言う取り決めです。こちらが取り決めを反故にすれば示しが付きません!!」
「退け!クロード!このままコケにされたまま引き下がれるか!!」
「い、いえ!アルセル王子!目的が変わっているではありませんか!!あの少年の力を測る事が目的です!!もうあの少年の力は分かりました!もう模擬戦の必要はありません!」
「黙れ!クロード!この俺がまだ納得出来ん!!この俺が直々に確認してやる!!」
「で、ですが・・・」
クロードの言葉の裏にはアルセル王子の身を案じていた。レイドルの実力もアルセル王子の実力もクロードは知っていた。しかしそれでも目の前の少年には勝てないとクロードは感じてしまったのだ。
クロードがアルセル王子を説得しているとゴルドの野太い声で横槍が入る。
「おい!!こっちは別にか構わねぇーぞ!!これだけ観客がいるんだ!これで終わったらお互い納得出来ねぇだろ?気が済むまでやったらいいぞ!!」
「そうだ!そうだ!もう終わりかーー?」
「早くやれぇーー!退屈だぞーー!」
(なっ?!余計な事を・・・)
クロードの思惑を打ち破りゴルドの横槍を支持するように野次馬からも声が上がる!!アルセルは野次馬の声を受けニヤリと笑うと戸惑うクロードの横をすり抜ける。
「ふん!クロード・・・・だそうだ。これで問題はないな?早く俺に〈身体強化〉を掛けろ!」
「・・・は、はい。」
仕方なく引き下がったクロードがアルセルに手をかざすとアルセルの身体が淡い光に包まれる。しかしクロードはゼノアの能力を測りかねていた・・・
「アルセル王子。無理はなさらずに・・」
「ふん・・・」
クロードはアルセル王子がゼノアの元に行く足取りを只々見送るのであった。
(・・あの少年の力・・・不可解過ぎる・・・ですが・・そうですね・・確かにこれで何か分かるかも知れません・・・)
アルセルと呼ばれていた男がベンチに腰掛け踏ん反っていた。
「は、はっ!!」
ゼノアの身長の3倍近くある騎士が額に汗を滲ませながら木剣を構えゼノアと対峙している。側から見れば我が子に剣を教えている父親のようにも見える。しかしその実、騎士レイドルの目にはゼノアの姿が自分より遥かに大きく見えていた・・・
(・・・〈上剣技〉か・・〈堅固〉もいいよね・・ふふふ・・・)
ゼノアはレイドルのスキルを見ながら知らぬ間に軽く闘気を立ち昇らせていた・・・
(な、なんだ・・・この圧力・・・普通じゃないぞ・・・ガ、ガキが放っていい圧力じゃ無い・・・こ、ここは先手必勝・・・一気に決める・・・闘気解放!!)
レイドルが木剣の柄を両手で絞り込むとレイドルの身体から白いオーラが立ち昇る!!
「ふーん・・ホワイトオーラか。それにあの体制・・一気に決めるつもりだな。あいつゼノアの力を感じ取ったか・・・だがそんな闘気でゼノアに勝てるかな?」
「あーあ・・ゼノア君のあの顔・・・完全に狙ってるわね・・・」
ゴルドが腕を組み余裕の笑みを浮かべるとユフィリアも肩をすくめて脚を組み直す。そしてクロードが2人の前に進み出ると右手を空に掲げる。
「両者準備は良いか?」
二人がこくりと首を縦に振る。
「それでは!・・・始め!!」
クロードの腕が振り下ろされると同時にレイドルが上段で木剣を振り上げ大地を蹴りゼノアに襲い掛かる!その所作は隙もなく流れるような剣裁きであった。普通の人間が相手ならその一撃で勝負が決まっていただろう。しかしゼノアはその一撃を首を傾げながら眺めていた・・・
(遅っ!!この人・・相手が子供だからって手加減しているね・・・)
ゼノアの目にはレイドルの剣筋がコマ送りのように見えていた。いつでも躱せるし反撃も出来た。しかしゼノアはレイドルの木剣が自分の右肩に振り下ろされるのを黙って見ていた・・
(むっ?!何故動かない?!避ける素振りも・・焦りもない・・・?!・・・えぇい!!構うな!振り切れぇぇ!!)
どかぁぁぁ・・・
レイドルが振り下ろした木剣がゼノアの右肩を捉えた・・・
「ふん・・やはりその程度か・・・」
アルセルが鼻で笑うが打ち込んだはずのレイドルが苦悶の表情を浮かべ後ずさる。
(うぐっ・・・う、腕が痺れる・・・な、何だこの大きな岩を打ったような衝撃は・・)
「・・・な、何?!あのガキ・・レイドルの一撃を受けて涼しい顔をしてやがる・・・」
(な、なんと・・・あれを微動だにせずに耐えるのか?!し、しかもあの少年・・・今、わざと受けたように見えたが・・)
レイドルの一撃を跳ね返した5歳の少年にアルセルとクロードの脳裏に嫌な予感が過ぎる・・・
「くっくっく・・・やっぱりやりやがった・・さて・・ゼノアの次の一撃・・耐えられるな?」
「・・あの3人の顔・・・くくっ・・笑えるな・・・あのレイドルとか言う騎士・・・死ぬかもな・・・」
「ふん!いい気味だわ!ついでにあの第四王子か知らないけど、あの生意気なガキも引き摺り出すのよ!!」
ゴルド達はクロード達の態度に少なからず腹を立てていた。ガベルの話にクロードも対応は柔らかいものの時折り嘲笑うかのような表情をし、騎士のレイドルも何度も聞こえないように鼻で笑っていた。セルバイヤ王国第四王子アルセルに至っては話の腰を折るように絶えず暴言を吐く始末であった。
そこでガベルとユフィリアは身を持って知らしめてやろうとクロード達をゼノアの元へと誘導しゴルドがガベルとユフィリアの意図を察してこの模擬戦に至ったのであった。
〈剣術〉→〈上剣技〉
(・・おっ!!〈剣術〉が〈上剣技〉にレベルが上がった!・・・ふふ。それじゃあ次は・・おっと・・ここは手加減しないとね・・・)
ゼノアは口角を上げ木剣が折れないように最低限の闘気を纏わす・・・そして周りの人達に聞こえるように声を上げた。
「・・・ねぇ!おじさん!手加減しなくていいから本気でいいよ!・・・でもまさか・・アレが本気なんて言わないよね?」
「ぬぐっ・・・ガキの分際で・・調子に乗りやがって・・・」
レイドルのこめかみに青筋が走る。そして5歳の子供に煽られた怒りで木剣を折れんばかりに握り込むとチラリとクロードに視線を送った。
「くくっ・・ゼノアめ・・いい煽り方するじゃねぇーか!」
「・・ふっ・・ますますあんたに似て来たわね。効果的な煽り方も教えてるの?」
「・・・ん?奴等・・・様子が変だぞ。」
「えっ?」
クロードの動きに違和感を感じたガベルの声にユフィリアが観察していると口元が細かく動いていた。
「魔力の収束を感じる・・・何か仕掛けて来るわよ!」
ユフィリアが気付いた瞬間!レイドルの身体が淡い光に包まれた。
「っ?!〈身体強化〉だわ!・・・大人気ない事やってくれるわね・・・」
「えぇ?!模擬戦で外からの介入はルール違反よ!!私、抗議して来るわ!!」
アメリが肩を怒らせ立ち上がるとそれを制すようにゴルドが立ち塞がる。
「ゴルドさん!退いて!」
「アメリ。落ち着けって!いいじゃねーか!これで面白くなったんだ!くくっ・・それに奴等は自分で自分の首を締めてる事に気付いてねぇーんだからよ!」
「えっ?!どう言う事?!」
困惑するアメリを他所にガベルとユフィリアが慌てる事無く用意された紅茶を啜る。
「あぁ・・・あのままゼノア君を攻撃すれば・・・ふふ・・」
「・・・本当に馬鹿な奴等ね・・・さあアメリ。さっきも言ったけど見ていれば分かるわ。
早く座りなさい。見逃すわよ?」
「・・・もう・・分かったわよ・・」
アメリは諦めてユフィリアの隣に腰を下ろすのだった。
ゼノアはクロードのスキル〈身体強化〉を受け淡く光るレイドルを鑑定する。
(ふぅん・・ステータスが1.5倍か・・・そんな事するんだ・・大人ってやっぱりずるいよね・・・でも・・ふふ。」
「・・・ねぇ!おじさん!準備は終わった?今度こそ本気でね?」
ゼノアが悪い顔で口元を歪める。
「くっ・・・口の減らないガキだ。いいだろう・・・その言葉・・後悔させてやる!!喰らえぇぇ!!!」
レイドルが大地を蹴り下段に木剣を構えゼノアに迫る!
(うん。下段からの切り上げ・・・さっきよりは速くなったかな・・・じゃあ・・これならどうかな?)
ゼノアは迫るレイドルの木剣に対し見えないように闘気を身体に纏うとレイドルの木剣を身体で迎え撃つ!
どきゃっ!!!
「ぐがぁぁぁ!!」
打点をずらされたレイドルの木剣はゼノアの左脇腹を捉えた瞬間、固い岩を撃ったような衝撃に木剣を握る両手首から鈍い音が響き有らぬ方向に曲がり木剣が宙に舞った・・・
(な、なにぃぃ!!あの少年躊躇う事無く自ら当たりに行った・・・剣撃にカウンター?!そ、そう言えば・・初撃も避けなかった・・何故だ・・?)
「おじさん!次は僕の番だよ!」
「な、何ぃ?!」
(〈魔力創造〉!!)
ゼノアは魔力創造で木剣に魔力を纏わせると木剣が銀色に変色し本物の剣の輝きを放つ!そして激痛でたたらを踏むレイドルの左脇腹目掛けて踏み込み片手で持った木剣を叩き込んだ!
ごぎゃゃゃっん・・・
ゼノアの振るった木剣がレイドルの鎧を捉えると木剣ではあり得ない金属音を鳴らしながら鎧を陥没させレイドルの左脇腹に深々とめり込んだ!
びきっ!めきめきめきめきぃぃぃっ・・・
「ぐぼべぇぇぇぇ!!!・・・あ・・あ・・あぐ・・が、がふっ・・・」
ずずぅぅん・・・
レイドルは激痛で声も出せず膝を付きそのまま顔面から地面に倒れ込んだ・・・
「な、なんだとぉぉぉ!!」
思わずアルセルが勢いよく立ち上がる!!
「い・・・一撃?!あのレイドルを一撃だと?!そ、それも木剣で鋼鉄の鎧ごと・・・それに奴の木剣が一瞬光ったように見えたぞ!!」
「・・えぇ。私にもそう見えました。何をしたかは分かりませんが、あのレイドルの剣撃をものともしない頑丈さ・・それも私の身体強化を受けた一撃にも微動だにしませんでした・・それに・・片手であの威力・・まだまだあの少年の力はこんなものではないはずです。これは・・セルバン子爵の話・・・でまかせではないのかも知れません・・・」
クロードも眉間に皺を寄せ倒れているレイドルを見下ろすゼノアを見据えていた。
「おいおい・・ありゃあ肋骨半分逝ってるな。あれじゃあ暫く動けねぇな。」
「ふむ。無造作に振り切っただけに見えたが・・あの威力か・・・もう剣の練習相手はゴルドに任せる事にしよう・・・」
「ふん。魔力創造も呼吸をするように普通にやって退けたわね・・・さて・・今の模擬戦を見て黙って引き下がる訳はないわよね。」
ユフィリアの目線の先には目尻を震わせながらゼノアを睨みつけるアルセルの姿があった。
セルバイヤ王国第四王子アルセルが自分より10歳も歳下のゼノアの戦闘力を目の当たりにして歯が折れんばかりに歯軋りする。
(お、おのれぇ・・・木剣で鋼鉄の鎧を破壊・・・?!一体どんなスキルを持っていやがる・・・ふん・・だが・・剣の勝負なら俺に負けは無いぞ・・・)
「・・・次は俺が行く。ふん!頑丈が売りなだけのガキめ!まぐれ当たりで調子に乗るなよ!」
当然のようにゼノアの元に歩き出すアルセルの前にクロードが飛び出す!
「アルセル王子!おやめください!最初の約束ではレイドル殿との模擬戦で判断すると言う取り決めです。こちらが取り決めを反故にすれば示しが付きません!!」
「退け!クロード!このままコケにされたまま引き下がれるか!!」
「い、いえ!アルセル王子!目的が変わっているではありませんか!!あの少年の力を測る事が目的です!!もうあの少年の力は分かりました!もう模擬戦の必要はありません!」
「黙れ!クロード!この俺がまだ納得出来ん!!この俺が直々に確認してやる!!」
「で、ですが・・・」
クロードの言葉の裏にはアルセル王子の身を案じていた。レイドルの実力もアルセル王子の実力もクロードは知っていた。しかしそれでも目の前の少年には勝てないとクロードは感じてしまったのだ。
クロードがアルセル王子を説得しているとゴルドの野太い声で横槍が入る。
「おい!!こっちは別にか構わねぇーぞ!!これだけ観客がいるんだ!これで終わったらお互い納得出来ねぇだろ?気が済むまでやったらいいぞ!!」
「そうだ!そうだ!もう終わりかーー?」
「早くやれぇーー!退屈だぞーー!」
(なっ?!余計な事を・・・)
クロードの思惑を打ち破りゴルドの横槍を支持するように野次馬からも声が上がる!!アルセルは野次馬の声を受けニヤリと笑うと戸惑うクロードの横をすり抜ける。
「ふん!クロード・・・・だそうだ。これで問題はないな?早く俺に〈身体強化〉を掛けろ!」
「・・・は、はい。」
仕方なく引き下がったクロードがアルセルに手をかざすとアルセルの身体が淡い光に包まれる。しかしクロードはゼノアの能力を測りかねていた・・・
「アルセル王子。無理はなさらずに・・」
「ふん・・・」
クロードはアルセル王子がゼノアの元に行く足取りを只々見送るのであった。
(・・あの少年の力・・・不可解過ぎる・・・ですが・・そうですね・・確かにこれで何か分かるかも知れません・・・)
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