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第36話 トラウマ
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ゴルド達はセルバイヤ王が特別に手配したメイド付きの豪華な馬車に揺られ帰路に着いていた。
「凄えな・・・陛下の下心が透けて見せるぜ・・」
「うん・・・凄いね。この馬車あまり揺れない・・・」
ゴルドとゼノアはいつもとは違う乗り心地の良過ぎる馬車に落ち着かずにいた。
「ふっ・・陛下も相当ゼノア君を気にしているようだ。ここは素直に喜んでおこう。」
ガベルがメイドの入れた紅茶を優雅に啜り足を組み替える。
「さて。町に着くまでさっきの話の続きをしようか・・・」
(あっ。〈エクストラヒール〉の話だ!)
「は、はい!お願いします。」
ガベルがもう一口紅茶を啜るとカップをテーブルの上に置き手を組んでテーブルの上に置いた。
「ふう・・・ゼノア君いいかい?はっきり言うと人間が単身で〈エクストラヒール〉を使う事は不可能と言われているんだ。」
「えっ?!ど、どうして・・・」
「ふむ。〈エクストラヒール〉は聖魔法の中でも最上級と言われる魔法だ。身体の欠損をも復元する強力な魔法なんだ。この最上級魔法と言われるものは膨大な魔力が必要な為に最低でも10人以上の魔法使いが集まって儀式魔法として発動するんだ。それでも失敗する事もある難しい魔法なんだ。」
(えっ・・そ、そんな・・・)
「そうだぞ!それをお前は一人で使っちまったんだ!それに本来なら詠唱だけでも十数分掛かかる魔法を無詠唱で使ったんだぞ?!これがどう言う事か分かるか?」
「う、うん・・・」
(あちゃぁ・・・そうだったんだ・・・でも・・〈エクストラヒール〉が最上級?・・うーん・・更に上位の魔法もあるんだけどな・・・)
ゼノアは二人に見つめられ目が泳ぐ。するとゴルドがゼノアの態度に違和感を感じ取りゼノアの顔を覗き込んで目を細める。
「・・・なあ、ゼノア・・まさかお前・・何か隠してないか?・・ん?ゼノア・・怒らないからおじいちゃんに言ってみな?んんーー?」
(うわー・・面倒臭い先輩が出たぁ・・・あぅぅ・・どうしよう・・)
ゴルドは顔を背けるゼノアの顔に息が掛かるほど顔を近付ける。すると今まで進んでいた馬車が急に止まった。
ガタン・・・
「ん?どうした?」
ゴルドが馬車の外に目をやるとゼノアとの話の為に操馬席に人払いしたメイドが慌てて降りて来て馬車の扉を開ける。
ガチャ!!
「ガベル子爵様!た、大変です!!この先で盗賊らしき者達に馬車が襲われています!こちらにも気付かれ数人向かって来てます!!」
「えっ!盗賊?!」
ゼノアの脳裏に嫌な記憶が蘇り胸が苦しくなる。
「なんだと?!・・・よし!お前も中に入れ!!」
ガベルはメイドの手を取り馬車の中に招き入れるとゼノアの横に座らせた。そしてゼノアの頭に手を乗せる。
「ゼノア君。メイドを守ってやってくれ。」
「う、うん。」
ガベルの言葉にまだ動揺が残るゼノアは歯切れの悪い返事しか出来なかった。
「よし!ゴルドは私と向かって来る盗賊を迎撃すぞ!」
「おう!!」
ガベルとゴルドが扉を開けようと手を伸ばすといきなり扉が開き小汚い顔をした男に剣先を突きつけられる!その後ろには既に5~6人の盗賊と分かる身なりの男達が剣を構えて馬車の入口を取り囲んでいた。
「なっ!!」
「おぉっと!変な動きはするなよ?手ぇ挙げてゆっくり馬車から降りな!!」
「くっ・・・」
「ちっ・・・」
ガベルとゴルドは目で会話するように頷くとゴルドはチラリとゼノアを見て軽く頷く。
(ゴ、ゴルじい・・・)
馬車の中に残されたメイドはゼノアを必死に守ろうと盗賊の目に触れないように震えながらゼノアを抱きしめた。ゼノアはメイドの胸弾力を感じながら呼吸を整える。
(お、落ち着け・・・と、盗賊なんて・・あの時の魔族と比べたら・・・ふぅぅ・・・すぅぅ・・・はぁぁぁ・・・うん・・もう大丈夫・・・盗賊め・・・覚悟しろよ・・・)
「おい!!お前らぁぁ!!聞こえねぇのかぁ!!さっさと降りやがれ!!死にてぇのかぁぁ!!」
ガベルとゴルドが馬車から降りた後、再び盗賊の男が怒鳴り声を上げて馬車の中へ大股で入って来た。そしてメイドを捕まえようと手を伸ばす。メイドは恐怖のあまりゼノアを抱きしめながら男に背を向ける。
「い、いや!!やめてぇぇ!!」
(お姉さん・・・大丈夫だよ。)
「え?」
ゼノアは怯えるメイドの頬に手を添えてにっこり笑う。そしてメイドの腕からするりと抜けて男が伸ばした手をメイドに届く前に掴んだ。
パシッ・・・
「な、なんだぁ?!このガキはぁぁぁ・・・って・・んっ?!んん?!う、動かねぇ・・・ど、どうなってる?!は、放しやがれ!!」
みしっ・・みしっ・・
「うがぁぁ!!う、腕が!!お、折れ・・は、放しやがれぇぇ!!!」
男はゼノアに掴まれた腕を振り解こうとするがびくともしなかた。そして握っている小さな手が万力のようにじわじわと男の腕を締め上げる。盗賊の男は激痛の中堪らず持っていた剣を振り上げる!しかし男はゼノアから立ち昇る赤い闘気に絶句する。
「・・な、何だ・・・こ、このガキは・・」
この時ゼノアの中で盗賊に対する怒りが沸々と湧いていた。何の罪もない両親を私利私欲の為に無惨に殺した盗賊・・・自分達の身勝手で人の命を簡単に奪う盗賊・・・ゼノアの中のトラウマという名のスイッチが入った瞬間であった。
ゼノアは男の腕を掴んだまま伏せていた顔をゆっくり上げる。そして口元を歪ませ黒目が大きくなった目で男を見据えた。
「ひ、ひぃ・・・」
男はゼノアの殺気に全身を震わせ後退る。そしてゼノアは目を少し細めて口角を上げるとゆっくりと口を開く。
「・・・僕ね・・・盗賊・・大嫌いなんだよね・・・」
そう言うとゼノアは男の腕を握った手に全力で力を入れるのであった・・・
「凄えな・・・陛下の下心が透けて見せるぜ・・」
「うん・・・凄いね。この馬車あまり揺れない・・・」
ゴルドとゼノアはいつもとは違う乗り心地の良過ぎる馬車に落ち着かずにいた。
「ふっ・・陛下も相当ゼノア君を気にしているようだ。ここは素直に喜んでおこう。」
ガベルがメイドの入れた紅茶を優雅に啜り足を組み替える。
「さて。町に着くまでさっきの話の続きをしようか・・・」
(あっ。〈エクストラヒール〉の話だ!)
「は、はい!お願いします。」
ガベルがもう一口紅茶を啜るとカップをテーブルの上に置き手を組んでテーブルの上に置いた。
「ふう・・・ゼノア君いいかい?はっきり言うと人間が単身で〈エクストラヒール〉を使う事は不可能と言われているんだ。」
「えっ?!ど、どうして・・・」
「ふむ。〈エクストラヒール〉は聖魔法の中でも最上級と言われる魔法だ。身体の欠損をも復元する強力な魔法なんだ。この最上級魔法と言われるものは膨大な魔力が必要な為に最低でも10人以上の魔法使いが集まって儀式魔法として発動するんだ。それでも失敗する事もある難しい魔法なんだ。」
(えっ・・そ、そんな・・・)
「そうだぞ!それをお前は一人で使っちまったんだ!それに本来なら詠唱だけでも十数分掛かかる魔法を無詠唱で使ったんだぞ?!これがどう言う事か分かるか?」
「う、うん・・・」
(あちゃぁ・・・そうだったんだ・・・でも・・〈エクストラヒール〉が最上級?・・うーん・・更に上位の魔法もあるんだけどな・・・)
ゼノアは二人に見つめられ目が泳ぐ。するとゴルドがゼノアの態度に違和感を感じ取りゼノアの顔を覗き込んで目を細める。
「・・・なあ、ゼノア・・まさかお前・・何か隠してないか?・・ん?ゼノア・・怒らないからおじいちゃんに言ってみな?んんーー?」
(うわー・・面倒臭い先輩が出たぁ・・・あぅぅ・・どうしよう・・)
ゴルドは顔を背けるゼノアの顔に息が掛かるほど顔を近付ける。すると今まで進んでいた馬車が急に止まった。
ガタン・・・
「ん?どうした?」
ゴルドが馬車の外に目をやるとゼノアとの話の為に操馬席に人払いしたメイドが慌てて降りて来て馬車の扉を開ける。
ガチャ!!
「ガベル子爵様!た、大変です!!この先で盗賊らしき者達に馬車が襲われています!こちらにも気付かれ数人向かって来てます!!」
「えっ!盗賊?!」
ゼノアの脳裏に嫌な記憶が蘇り胸が苦しくなる。
「なんだと?!・・・よし!お前も中に入れ!!」
ガベルはメイドの手を取り馬車の中に招き入れるとゼノアの横に座らせた。そしてゼノアの頭に手を乗せる。
「ゼノア君。メイドを守ってやってくれ。」
「う、うん。」
ガベルの言葉にまだ動揺が残るゼノアは歯切れの悪い返事しか出来なかった。
「よし!ゴルドは私と向かって来る盗賊を迎撃すぞ!」
「おう!!」
ガベルとゴルドが扉を開けようと手を伸ばすといきなり扉が開き小汚い顔をした男に剣先を突きつけられる!その後ろには既に5~6人の盗賊と分かる身なりの男達が剣を構えて馬車の入口を取り囲んでいた。
「なっ!!」
「おぉっと!変な動きはするなよ?手ぇ挙げてゆっくり馬車から降りな!!」
「くっ・・・」
「ちっ・・・」
ガベルとゴルドは目で会話するように頷くとゴルドはチラリとゼノアを見て軽く頷く。
(ゴ、ゴルじい・・・)
馬車の中に残されたメイドはゼノアを必死に守ろうと盗賊の目に触れないように震えながらゼノアを抱きしめた。ゼノアはメイドの胸弾力を感じながら呼吸を整える。
(お、落ち着け・・・と、盗賊なんて・・あの時の魔族と比べたら・・・ふぅぅ・・・すぅぅ・・・はぁぁぁ・・・うん・・もう大丈夫・・・盗賊め・・・覚悟しろよ・・・)
「おい!!お前らぁぁ!!聞こえねぇのかぁ!!さっさと降りやがれ!!死にてぇのかぁぁ!!」
ガベルとゴルドが馬車から降りた後、再び盗賊の男が怒鳴り声を上げて馬車の中へ大股で入って来た。そしてメイドを捕まえようと手を伸ばす。メイドは恐怖のあまりゼノアを抱きしめながら男に背を向ける。
「い、いや!!やめてぇぇ!!」
(お姉さん・・・大丈夫だよ。)
「え?」
ゼノアは怯えるメイドの頬に手を添えてにっこり笑う。そしてメイドの腕からするりと抜けて男が伸ばした手をメイドに届く前に掴んだ。
パシッ・・・
「な、なんだぁ?!このガキはぁぁぁ・・・って・・んっ?!んん?!う、動かねぇ・・・ど、どうなってる?!は、放しやがれ!!」
みしっ・・みしっ・・
「うがぁぁ!!う、腕が!!お、折れ・・は、放しやがれぇぇ!!!」
男はゼノアに掴まれた腕を振り解こうとするがびくともしなかた。そして握っている小さな手が万力のようにじわじわと男の腕を締め上げる。盗賊の男は激痛の中堪らず持っていた剣を振り上げる!しかし男はゼノアから立ち昇る赤い闘気に絶句する。
「・・な、何だ・・・こ、このガキは・・」
この時ゼノアの中で盗賊に対する怒りが沸々と湧いていた。何の罪もない両親を私利私欲の為に無惨に殺した盗賊・・・自分達の身勝手で人の命を簡単に奪う盗賊・・・ゼノアの中のトラウマという名のスイッチが入った瞬間であった。
ゼノアは男の腕を掴んだまま伏せていた顔をゆっくり上げる。そして口元を歪ませ黒目が大きくなった目で男を見据えた。
「ひ、ひぃ・・・」
男はゼノアの殺気に全身を震わせ後退る。そしてゼノアは目を少し細めて口角を上げるとゆっくりと口を開く。
「・・・僕ね・・・盗賊・・大嫌いなんだよね・・・」
そう言うとゼノアは男の腕を握った手に全力で力を入れるのであった・・・
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