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第42話 最大限の感謝
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アルバン・ロディアス一行は急ぎ一番近い港町ゲイブルの町に向かっていた。三台ある馬車の最後尾に護衛依頼を受け盗賊により怪我を負った冒険者パーティー四人が応急手当てをされ横たわっていた。
「・・くそ・・・わ、割に合わねぇぜ・・あいつ等二十人はいたぜ・・・」
「で、でもよ・・あのおっさん二人・・・凄かったよな・・・特にあのごついおっさん、一振りで四、五人吹き飛ばしてたな・・・」
「・・・えぇ・・それにあの紳士なおじ様・・私を抱えながら・・・あの華麗な剣技・・・素敵だったわ・・うふっ・・・」
「・・・そうね。一体何者なんだろう。多分相当名高い冒険者に違いないわ。」
すると不意にリーダーの赤毛の男が馬車の天井を遠い目で見上げる。
「・・・はぁ・・だけどよ・・俺たち依頼失敗だよな・・依頼主が死んじまったんだらよ。」
「・・・そうだよな・・・でも、俺達生きているだけでも良いだろう。死んだら元も子もないしな。」
冒険者達が現実に戻され肩を落とす。すると治療をしていたメイドが笑顔で顔を上げる。
「あっ!安心してください!旦那様はご無事ですよ!」
「「「「えっ?!」」」」
四人はアルバン・ロディアスの凄惨な死に際を思い出しメイドの言葉に耳を疑った。
「う、嘘だろ?!俺は見たぜ!!盗賊に何度も刺されているのを!!痛っ・・」
「そ、そうだ・・俺も見た・・・あれで生きていたら・・・痛っ・・痛った・・お、おかしいだろ・・・」
「・・う、うん・・私も見た・・・」
「・・・何故?・・痛っ・・こ、ここにそんな・・ゆ、優秀な回復士がいるの?」
四人の脳裏にはよもや生きている筈がないアルバン・ロディアスの姿が焼き付いていたのだ。
メイドは小さな少年が放った奇跡の魔法を思い出し笑みをこぼす。
「ふふ。ここにはそんな優秀な回復士は乗っておりません。そんな回復士が乗っているのならあなた方をすぐにでも治しています。何故なら旦那様は・・・っ・・」
メイドは”あっ”と口を塞ぎアルバンから口止めされていたのを思い出す。
「あ、あの申し訳ありません。これ以上は言えないのです。とにかく旦那様はご無事です。あなた方の依頼も身体を挺してくれた事を考慮して失敗にする気はないそうです。」
メイドの態度に四人は痛みに耐えながら顔を見合わせ怪訝な表情で首を傾げる。
「・・・な、何で言えないん・・・」
ガタンッ!!
「痛っ!!」
「あっ!つ、着いたようですね!し、少々お待ちください!」
赤毛の男が口を開いた瞬間、馬車が止まり逃げるようにメイドが荷馬車から降りて行くのだった。
ゲイブルの町の冒険者ギルドの扉が勢いよく開けられ四人の冒険者が担ぎ込まれる。
「何事だい?!」
騒ぎを聞きつけ奥からツカツカとシルバーの髪を束ねた年配の女性が出て来た。
「盗賊にやられた!見てやってくれ!!」
キメルが状況を知らせると女性は運び込まれる冒険者四人を見てギルド職員に指示を出す。
「ふん!意識はあるようだね。奥に運んで診てやりな!」
「はい!!」
四人はギルド職員に案内されて奥の部屋に消えて行った。
「さて・・・私はミランダ。ここのギルドマスターをやってる。詳しい事を聞こうか・・・んっ?」
ミランダがふと入口を見るとギルドに入って来る身なりの良い男の姿が目に入った。
「・・・あ、あんたは確かロディアス商会の跡取り息子・・・アルバン・ロディアスだね?」
アルバン・ロディアスは正解とばかりにふっと笑うと軽く一礼するのであった。
ミランダは部屋でメギルから詳細を聞いていると段々とミランダの目が細くなっていく。
「・・・へ、へー・・初老の剣士二人と五、六歳の子供ねぇ・・・で、その三人に命を救われたと・・・」
「そ、その通りです・・・」
ミランダは心当たりがあり過ぎてため息を吐く。
「はぁ・・・念の為に・・名前は聞いたのかい?」
キメルは怪訝な表情をしながら口を開く。
「あ、あぁ・・ひ、一人はガベルと言っていました。もう一人はゴルじいと孫らしき子供に言われて・・・」
ミランダは予想通り過ぎて頭を掻き出す。
「あーー!もう分かった!子供はゼノアって言うんだろう?」
「なっ?!ミ、ミランダ殿!!し、知っているのか?!」
アルバンは思わず机に手を付いて立ち上がった。
「ふん!知っているも何もこの町の領主はあんたの言うガベル・セルバン子爵様だよ。だけどね私の口からは詳しい事は言えない。だから直接聞けばいいさ。」
アルバンとキメルは訳が分からず顔を見合わせ頷くのであった。
セルジュがノックをしガベル達が部屋に入るとアルバンとキメル、娘のイリアが立ち上がる。そしてガベルとゴルドを確認するとメギルがアルバンに耳打ちする。
(ま、間違いありません。盗賊を蹴散らしたのはこの方々です。)
(わ、分かった・・・)
ガベル達はテーブルを挟み緊張しているアルバン達も対面する。
「これはアルバン殿。お身体は大丈夫ですか?」
不意にガベルが口を開くとアルバンとキメルが背筋を伸ばし腰から深々と頭を下げる。それに遅れて娘のイリアも頭を下げる。
「この度の事!このアルバン・ロディアス!最大限の感謝を!!目立ちたく無いのは心得ておりますが大恩人に礼が言えぬのは心苦しく失礼とは思いましたが参上致しました!今後私共に出来る事があるならば遠慮なくお申し付けください!!最大限の成果をお約束致しましょう!!」
ガベル達は余りの迫力に面食らっていたが気持ちの良い男だと感じる。
「アルバン殿。感謝は受け取りました。取り敢えず座って話をしよう。」
ガベル達がソファに座るとアルバン達も緊張の面持ちで腰を下ろした。それと同時にメイドが新しい紅茶を淹れてくれる。
「さあ。紅茶でも飲んで少し肩の力を抜いて話をしよう。」
ガベルが物腰柔らかく口を開くと皆がカップを持ち紅茶を啜る。するとイリアが辺りを見回しアルバンの服の裾を引っ張る。
「ねえ、お父さん・・・あの人がゼノア様のおじい様?」
イリアがゴルドを指差す。
「あぁ・・そ、そう・・みたいだな。」
イリアはニッコリ笑いソファから立ち上がりゴルドを真っ直ぐ見る。
「ん?・・・どうした?」
「叔父様!私!ゼノア様と結婚します!!」
「ぶふぅぅぅぅぅぅ!!」
「げふん!げふん!げふんっ!!」
「ごふんっ!ごふんっ!!ごふんっ!!」
「ははっ・・申し訳ない・・あれからずっとこの調子なのです・・・」
アルバンが困った顔で自分の頭を掻く。しかしイリアのお陰でその場の空気が柔らかくなるのであった。
「・・くそ・・・わ、割に合わねぇぜ・・あいつ等二十人はいたぜ・・・」
「で、でもよ・・あのおっさん二人・・・凄かったよな・・・特にあのごついおっさん、一振りで四、五人吹き飛ばしてたな・・・」
「・・・えぇ・・それにあの紳士なおじ様・・私を抱えながら・・・あの華麗な剣技・・・素敵だったわ・・うふっ・・・」
「・・・そうね。一体何者なんだろう。多分相当名高い冒険者に違いないわ。」
すると不意にリーダーの赤毛の男が馬車の天井を遠い目で見上げる。
「・・・はぁ・・だけどよ・・俺たち依頼失敗だよな・・依頼主が死んじまったんだらよ。」
「・・・そうだよな・・・でも、俺達生きているだけでも良いだろう。死んだら元も子もないしな。」
冒険者達が現実に戻され肩を落とす。すると治療をしていたメイドが笑顔で顔を上げる。
「あっ!安心してください!旦那様はご無事ですよ!」
「「「「えっ?!」」」」
四人はアルバン・ロディアスの凄惨な死に際を思い出しメイドの言葉に耳を疑った。
「う、嘘だろ?!俺は見たぜ!!盗賊に何度も刺されているのを!!痛っ・・」
「そ、そうだ・・俺も見た・・・あれで生きていたら・・・痛っ・・痛った・・お、おかしいだろ・・・」
「・・う、うん・・私も見た・・・」
「・・・何故?・・痛っ・・こ、ここにそんな・・ゆ、優秀な回復士がいるの?」
四人の脳裏にはよもや生きている筈がないアルバン・ロディアスの姿が焼き付いていたのだ。
メイドは小さな少年が放った奇跡の魔法を思い出し笑みをこぼす。
「ふふ。ここにはそんな優秀な回復士は乗っておりません。そんな回復士が乗っているのならあなた方をすぐにでも治しています。何故なら旦那様は・・・っ・・」
メイドは”あっ”と口を塞ぎアルバンから口止めされていたのを思い出す。
「あ、あの申し訳ありません。これ以上は言えないのです。とにかく旦那様はご無事です。あなた方の依頼も身体を挺してくれた事を考慮して失敗にする気はないそうです。」
メイドの態度に四人は痛みに耐えながら顔を見合わせ怪訝な表情で首を傾げる。
「・・・な、何で言えないん・・・」
ガタンッ!!
「痛っ!!」
「あっ!つ、着いたようですね!し、少々お待ちください!」
赤毛の男が口を開いた瞬間、馬車が止まり逃げるようにメイドが荷馬車から降りて行くのだった。
ゲイブルの町の冒険者ギルドの扉が勢いよく開けられ四人の冒険者が担ぎ込まれる。
「何事だい?!」
騒ぎを聞きつけ奥からツカツカとシルバーの髪を束ねた年配の女性が出て来た。
「盗賊にやられた!見てやってくれ!!」
キメルが状況を知らせると女性は運び込まれる冒険者四人を見てギルド職員に指示を出す。
「ふん!意識はあるようだね。奥に運んで診てやりな!」
「はい!!」
四人はギルド職員に案内されて奥の部屋に消えて行った。
「さて・・・私はミランダ。ここのギルドマスターをやってる。詳しい事を聞こうか・・・んっ?」
ミランダがふと入口を見るとギルドに入って来る身なりの良い男の姿が目に入った。
「・・・あ、あんたは確かロディアス商会の跡取り息子・・・アルバン・ロディアスだね?」
アルバン・ロディアスは正解とばかりにふっと笑うと軽く一礼するのであった。
ミランダは部屋でメギルから詳細を聞いていると段々とミランダの目が細くなっていく。
「・・・へ、へー・・初老の剣士二人と五、六歳の子供ねぇ・・・で、その三人に命を救われたと・・・」
「そ、その通りです・・・」
ミランダは心当たりがあり過ぎてため息を吐く。
「はぁ・・・念の為に・・名前は聞いたのかい?」
キメルは怪訝な表情をしながら口を開く。
「あ、あぁ・・ひ、一人はガベルと言っていました。もう一人はゴルじいと孫らしき子供に言われて・・・」
ミランダは予想通り過ぎて頭を掻き出す。
「あーー!もう分かった!子供はゼノアって言うんだろう?」
「なっ?!ミ、ミランダ殿!!し、知っているのか?!」
アルバンは思わず机に手を付いて立ち上がった。
「ふん!知っているも何もこの町の領主はあんたの言うガベル・セルバン子爵様だよ。だけどね私の口からは詳しい事は言えない。だから直接聞けばいいさ。」
アルバンとキメルは訳が分からず顔を見合わせ頷くのであった。
セルジュがノックをしガベル達が部屋に入るとアルバンとキメル、娘のイリアが立ち上がる。そしてガベルとゴルドを確認するとメギルがアルバンに耳打ちする。
(ま、間違いありません。盗賊を蹴散らしたのはこの方々です。)
(わ、分かった・・・)
ガベル達はテーブルを挟み緊張しているアルバン達も対面する。
「これはアルバン殿。お身体は大丈夫ですか?」
不意にガベルが口を開くとアルバンとキメルが背筋を伸ばし腰から深々と頭を下げる。それに遅れて娘のイリアも頭を下げる。
「この度の事!このアルバン・ロディアス!最大限の感謝を!!目立ちたく無いのは心得ておりますが大恩人に礼が言えぬのは心苦しく失礼とは思いましたが参上致しました!今後私共に出来る事があるならば遠慮なくお申し付けください!!最大限の成果をお約束致しましょう!!」
ガベル達は余りの迫力に面食らっていたが気持ちの良い男だと感じる。
「アルバン殿。感謝は受け取りました。取り敢えず座って話をしよう。」
ガベル達がソファに座るとアルバン達も緊張の面持ちで腰を下ろした。それと同時にメイドが新しい紅茶を淹れてくれる。
「さあ。紅茶でも飲んで少し肩の力を抜いて話をしよう。」
ガベルが物腰柔らかく口を開くと皆がカップを持ち紅茶を啜る。するとイリアが辺りを見回しアルバンの服の裾を引っ張る。
「ねえ、お父さん・・・あの人がゼノア様のおじい様?」
イリアがゴルドを指差す。
「あぁ・・そ、そう・・みたいだな。」
イリアはニッコリ笑いソファから立ち上がりゴルドを真っ直ぐ見る。
「ん?・・・どうした?」
「叔父様!私!ゼノア様と結婚します!!」
「ぶふぅぅぅぅぅぅ!!」
「げふん!げふん!げふんっ!!」
「ごふんっ!ごふんっ!!ごふんっ!!」
「ははっ・・申し訳ない・・あれからずっとこの調子なのです・・・」
アルバンが困った顔で自分の頭を掻く。しかしイリアのお陰でその場の空気が柔らかくなるのであった。
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