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第80話 フェルネスの初陣
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(・・・な、何だ・・あのガキは何なんだ?!聖魔法を使い対極の暗黒魔法までも使う・・・更にあのブラッドガルムが懐き人化した?!・・・も、もうあのガキは異端児・・・魔族・・いや、魔人・・・い、今のうちに滅せなければならない存在・・・この人間世界の理から外れた存在・・・それに取り入るリズナー・・・奴は魔人と手を組み世界を混乱に陥れる人類の敵・・・だが・・何より・・・ブラッドガルムが人化したとはいえ・・・美しい・・・)
「・・・バルガー様・・・」
「バルガー様!!」
「んっ?!あっ、あぁ・・・」
考え事をしていたバルガーが部下の呼び掛けに気付かず我に返る。
「どうかされましたか?」
「うむ。いや・・な、何でもない。と、兎に角あのガキは危険だ。恐らく人間ではないだろう。そのガキに取り入り世界を混乱に陥れようとしているリズナーも同罪だ!よし!対魔アーティファクトの用意だ!ここで奴等二人を殲滅する!」
バルガーの言葉に部下達が顔を見合わせると部隊長が進み出る。
「・・バルガー様。お、お言葉ですが・・リズナー枢機卿は決して魔族ではありません・・・聡明であり聖教会にも貢献して来た方です。何かお考えがあるのかも知れません!事の次第を話し合う事が最善と思います・・・」
リズナーの存在は聖教会の中でも絶大であった。実力もさる事ながら人柄であり気遣いでありリズナーから不快になる対応を受けた事がある者など聖教会の中には居ないと断言出来る程である。バルガーの部下までもその人柄に惚れ込んでいる者も少なくないのだった。
「馬鹿者が!!これはシュルメール教皇もお認めになった決定事項なのだ!!リズナーは聖教会を裏切り今まさに魔人と手を組もうとしている!!目の前の事実をどう説明出来る?!あの異端児と平然と肩を並べるリズナーをどう見る?!あれはどう見ても人外の力に魅入られた者の目だ・・・今の内に芽を摘んでおかねば大変な事になる!リズナーは聖教会の裏切り者だ!目を覚ませ!!俺達は世界の混乱を事前に防ぐ異端審問官だ!!馴れ合いは無しだ!さあ!準備をしろ!!この世界の平和の為に!!」
「は、はっ!!し、失礼致しました!準備に取り掛かります!!」
バルガーに詰め寄られた部隊長が一歩下がり慌てて深々と頭を下げて準備に取り掛かるのであった。
「・・・一体こいつらは何を言っているの・・・ゼノア様が魔族?魔人?・・・でも・・あの偉大な力の前にはそう勘違いするのも無理はないわ。それはそうと・・・あのブラッドガルムのメイド・・・ゼノア様にあんな事を・・・ふ、ふん・・・こいつらは今ここで私が葬っても良いけど・・・ここはお手並み拝見と行くわ・・・」
メーリアはフェルネスの胸に収まるゼノアを目尻を震わせ自分の胸と見比べながら目を細めるのであった。
リズナーが気絶し倒れているキベリアード伯爵を厳しい目で見下ろしていた。
(・・・ゼノア君が居なければどうなっていたか・・・そしてゼノア君が居なければこの私も居なかった・・・そうなれば・・・この場にいる教師や子供達は・・・どうなっていた?・・くっ・・・考えただけでも寒気がする・・)
リズナーは唇を真一文字に噛み締めると周りを囲むキベリアード伯爵の私兵を見回す。
「お前らの雇い主はこの通りだ!!これ以子供達の命を脅かすのなら伯爵の命令でなくお前らの意思で罪を重ねる事になるぞ!!その時はこちらも容赦なく抵抗する事になる!!さあ!どうする!!」
「ぐるるぅぅぅぅ・・・」
「がるるぅぅぅぅ・・・」
リズナーはチラリとフェルネスに目をやると無言で阿吽の呼吸のようにブラッドウルフ達に目で合図を送った。するとブラッドウルフ達の身体が二回り大きくなり身を低くしていつでも飛び掛かれる態勢で威嚇を始めた。
群のリーダーであるブラッドガルムがゼノアの従魔になりダークネスフェンリルに進化した事によりブラッドウルフ達も眷属となりブラッドガルム級の力を得たのであった。
「・・・うぐっ・・わ、分かった・・こ、降参だ・・・お、俺達は自分の意思ではなく、伯爵の命令で仕方なく動いていただけだ・・・そ、それだけは分かってくれ・・・」
私兵隊長サリバル・ギリアードが剣を捨て両手を上げると周りの部下達も同じように真似をする。
あくまで伯爵の命令で動いたと印象付ける為である。キベリアード伯爵の下で好き勝手に振る舞っていたサリバルは簡単に掌を返した。
だがしかしその場でその姿を見ていた者はそう感じる事は無かった・・・
「嘘だ!!お前は嬉々として僕達を殺そうとした!!お前等は貴族の下で好き勝手して来た只の殺人集団だ!!僕は忘れない!お前のニヤついた顔、女子供を手に掛ける事を楽しむ顔!!僕は陛下に進言する!!貴様等は殺人集団だと!!」
エルスはサリバスから受けた殺気を忘れる事が出来なかった・・・あの時リズナーが助けに入らなかったら自分はサリバルの凶刃に打たれていたと・・・エルスもまたゼノアやリズナーが居なかったら自分達はどうなっていたかと憤っていた・・・
「おい・・・聞けよ・・俺達はどこまで行っても雇われなんだ・・・貴族様の言う通りなんだ・・それに調子に乗った所もあるかも知れねぇ・・だがよ・・・そうでなければ俺達は食って行けねぇんだよ!!」
しかしその瞬間・・・ゼノアのレッドオーラが立ち登った・・・
「・・・そうなんだ・・・貴族の命令なら罪の無い人も利益の為に簡単に殺すんだ・・・そして・・・その子供達も・・・」
ゼノアの口元が微かに上がる。するとそんなゼノアをフェルネスが静かに抱きしめる・・・
「んあっ・・・」
「主様・・・この様なゴミ共に主様のお手を汚される事はありません。ここはこの私にお任せください。」
「フェルネス・・・」
ゼノアの真に迫る憤りを感じたフェルネスは心優しいゼノアの感情を揺さぶる輩に怒りを覚えていた・・・我が初陣とばかりにフェルネスがサリバスを威嚇の眼差しで見据える・・・
「・・・同族の命を奪う事を何とも思わぬゴミ共よ・・・主様のお心を乱した罪・・・万死に値する!!お前達!!このゴミ共を主様の視界から排除せよ!!」
フェルネスの声に反応し周りを囲むブラッドウルフ達の目に光が灯り全身の毛が逆立つ!!そして殺気を剥き出しにしてサリバル達に襲い掛かった!!
「ぐろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「がるぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ぎやぁぁぁぁ!!や、やめろぉぉぉ!!」
「うがぁぁぁぁ!!う、腕がぁぁぁ!!や、やめてくれぇぇぇ!!助けてくれぇぇぇぇ!!!」
「や、やめろぉぉぉぉ!!こ、こいつら・・・ほ、本当にブラッドウルフなのかぁぁぁぁ?!つ、強過ぎるぞ!!や、やめろぉぉぉぉ!!やめてくれぇぇぇ・・・」
ブラッドウルフ達は鋭い牙と強靭な顎で私兵隊の腕や脚や胴に骨を砕く程喰らい付く!そして次々ともがく私兵隊を森の中へと引き摺って行った。サリバスは必死に抵抗するが進化したブラッドウルフ達の力になす術も無く森へと引き摺られて行くのだった・・・
その一瞬の光景に皆が凍りつく様に立ち尽くす・・・
遠くから見ていたナルメーラと子供達も目の前の私兵達がブラッドウルフになす術もなく森へ引き摺られて行く光景を震えながら見ていた・・・
「・・・一体・・な、何が起きているの・・・」
「・・・せ、先生・・・ご、ごめんなさい・・・」
シーリアが俯きへたり込む・・・それを合図に他の子供達も力抜けた様に地面に座り込んでしまう。
「ん?シーリアさん・・皆んなどうしたの?」
ナルメーラは首を傾げながらしゃがみ込むとシーリアの顔を覗き込むとシーリアが俯いたまま制服のスカートの裾を両手で握り締めて上目遣いでナルメーラを見る。その目には薄らと涙を浮かべていた。そしてナルメーラは気付く・・・シーリアの膝の間が湿っている事に・・・
(・・・あぁ・・無理もないわ・・こんな怖い体験をしたんだもの・・・それに・・・私も少し危なかったもの・・・)
ナルメーラは複雑な顔でシーリア頭に手を乗せ苦笑いを浮かべるのであった。
「・・・バルガー様・・・」
「バルガー様!!」
「んっ?!あっ、あぁ・・・」
考え事をしていたバルガーが部下の呼び掛けに気付かず我に返る。
「どうかされましたか?」
「うむ。いや・・な、何でもない。と、兎に角あのガキは危険だ。恐らく人間ではないだろう。そのガキに取り入り世界を混乱に陥れようとしているリズナーも同罪だ!よし!対魔アーティファクトの用意だ!ここで奴等二人を殲滅する!」
バルガーの言葉に部下達が顔を見合わせると部隊長が進み出る。
「・・バルガー様。お、お言葉ですが・・リズナー枢機卿は決して魔族ではありません・・・聡明であり聖教会にも貢献して来た方です。何かお考えがあるのかも知れません!事の次第を話し合う事が最善と思います・・・」
リズナーの存在は聖教会の中でも絶大であった。実力もさる事ながら人柄であり気遣いでありリズナーから不快になる対応を受けた事がある者など聖教会の中には居ないと断言出来る程である。バルガーの部下までもその人柄に惚れ込んでいる者も少なくないのだった。
「馬鹿者が!!これはシュルメール教皇もお認めになった決定事項なのだ!!リズナーは聖教会を裏切り今まさに魔人と手を組もうとしている!!目の前の事実をどう説明出来る?!あの異端児と平然と肩を並べるリズナーをどう見る?!あれはどう見ても人外の力に魅入られた者の目だ・・・今の内に芽を摘んでおかねば大変な事になる!リズナーは聖教会の裏切り者だ!目を覚ませ!!俺達は世界の混乱を事前に防ぐ異端審問官だ!!馴れ合いは無しだ!さあ!準備をしろ!!この世界の平和の為に!!」
「は、はっ!!し、失礼致しました!準備に取り掛かります!!」
バルガーに詰め寄られた部隊長が一歩下がり慌てて深々と頭を下げて準備に取り掛かるのであった。
「・・・一体こいつらは何を言っているの・・・ゼノア様が魔族?魔人?・・・でも・・あの偉大な力の前にはそう勘違いするのも無理はないわ。それはそうと・・・あのブラッドガルムのメイド・・・ゼノア様にあんな事を・・・ふ、ふん・・・こいつらは今ここで私が葬っても良いけど・・・ここはお手並み拝見と行くわ・・・」
メーリアはフェルネスの胸に収まるゼノアを目尻を震わせ自分の胸と見比べながら目を細めるのであった。
リズナーが気絶し倒れているキベリアード伯爵を厳しい目で見下ろしていた。
(・・・ゼノア君が居なければどうなっていたか・・・そしてゼノア君が居なければこの私も居なかった・・・そうなれば・・・この場にいる教師や子供達は・・・どうなっていた?・・くっ・・・考えただけでも寒気がする・・)
リズナーは唇を真一文字に噛み締めると周りを囲むキベリアード伯爵の私兵を見回す。
「お前らの雇い主はこの通りだ!!これ以子供達の命を脅かすのなら伯爵の命令でなくお前らの意思で罪を重ねる事になるぞ!!その時はこちらも容赦なく抵抗する事になる!!さあ!どうする!!」
「ぐるるぅぅぅぅ・・・」
「がるるぅぅぅぅ・・・」
リズナーはチラリとフェルネスに目をやると無言で阿吽の呼吸のようにブラッドウルフ達に目で合図を送った。するとブラッドウルフ達の身体が二回り大きくなり身を低くしていつでも飛び掛かれる態勢で威嚇を始めた。
群のリーダーであるブラッドガルムがゼノアの従魔になりダークネスフェンリルに進化した事によりブラッドウルフ達も眷属となりブラッドガルム級の力を得たのであった。
「・・・うぐっ・・わ、分かった・・こ、降参だ・・・お、俺達は自分の意思ではなく、伯爵の命令で仕方なく動いていただけだ・・・そ、それだけは分かってくれ・・・」
私兵隊長サリバル・ギリアードが剣を捨て両手を上げると周りの部下達も同じように真似をする。
あくまで伯爵の命令で動いたと印象付ける為である。キベリアード伯爵の下で好き勝手に振る舞っていたサリバルは簡単に掌を返した。
だがしかしその場でその姿を見ていた者はそう感じる事は無かった・・・
「嘘だ!!お前は嬉々として僕達を殺そうとした!!お前等は貴族の下で好き勝手して来た只の殺人集団だ!!僕は忘れない!お前のニヤついた顔、女子供を手に掛ける事を楽しむ顔!!僕は陛下に進言する!!貴様等は殺人集団だと!!」
エルスはサリバスから受けた殺気を忘れる事が出来なかった・・・あの時リズナーが助けに入らなかったら自分はサリバルの凶刃に打たれていたと・・・エルスもまたゼノアやリズナーが居なかったら自分達はどうなっていたかと憤っていた・・・
「おい・・・聞けよ・・俺達はどこまで行っても雇われなんだ・・・貴族様の言う通りなんだ・・それに調子に乗った所もあるかも知れねぇ・・だがよ・・・そうでなければ俺達は食って行けねぇんだよ!!」
しかしその瞬間・・・ゼノアのレッドオーラが立ち登った・・・
「・・・そうなんだ・・・貴族の命令なら罪の無い人も利益の為に簡単に殺すんだ・・・そして・・・その子供達も・・・」
ゼノアの口元が微かに上がる。するとそんなゼノアをフェルネスが静かに抱きしめる・・・
「んあっ・・・」
「主様・・・この様なゴミ共に主様のお手を汚される事はありません。ここはこの私にお任せください。」
「フェルネス・・・」
ゼノアの真に迫る憤りを感じたフェルネスは心優しいゼノアの感情を揺さぶる輩に怒りを覚えていた・・・我が初陣とばかりにフェルネスがサリバスを威嚇の眼差しで見据える・・・
「・・・同族の命を奪う事を何とも思わぬゴミ共よ・・・主様のお心を乱した罪・・・万死に値する!!お前達!!このゴミ共を主様の視界から排除せよ!!」
フェルネスの声に反応し周りを囲むブラッドウルフ達の目に光が灯り全身の毛が逆立つ!!そして殺気を剥き出しにしてサリバル達に襲い掛かった!!
「ぐろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「がるぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ぎやぁぁぁぁ!!や、やめろぉぉぉ!!」
「うがぁぁぁぁ!!う、腕がぁぁぁ!!や、やめてくれぇぇぇ!!助けてくれぇぇぇぇ!!!」
「や、やめろぉぉぉぉ!!こ、こいつら・・・ほ、本当にブラッドウルフなのかぁぁぁぁ?!つ、強過ぎるぞ!!や、やめろぉぉぉぉ!!やめてくれぇぇぇ・・・」
ブラッドウルフ達は鋭い牙と強靭な顎で私兵隊の腕や脚や胴に骨を砕く程喰らい付く!そして次々ともがく私兵隊を森の中へと引き摺って行った。サリバスは必死に抵抗するが進化したブラッドウルフ達の力になす術も無く森へと引き摺られて行くのだった・・・
その一瞬の光景に皆が凍りつく様に立ち尽くす・・・
遠くから見ていたナルメーラと子供達も目の前の私兵達がブラッドウルフになす術もなく森へ引き摺られて行く光景を震えながら見ていた・・・
「・・・一体・・な、何が起きているの・・・」
「・・・せ、先生・・・ご、ごめんなさい・・・」
シーリアが俯きへたり込む・・・それを合図に他の子供達も力抜けた様に地面に座り込んでしまう。
「ん?シーリアさん・・皆んなどうしたの?」
ナルメーラは首を傾げながらしゃがみ込むとシーリアの顔を覗き込むとシーリアが俯いたまま制服のスカートの裾を両手で握り締めて上目遣いでナルメーラを見る。その目には薄らと涙を浮かべていた。そしてナルメーラは気付く・・・シーリアの膝の間が湿っている事に・・・
(・・・あぁ・・無理もないわ・・こんな怖い体験をしたんだもの・・・それに・・・私も少し危なかったもの・・・)
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