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第三章 東の国の大きなお風呂編
やりすぎの腕輪
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『あ、そうだ! お前たちアズマヒの国に降りる前に腕輪をボクに見せるんだぞ!』
リヴィウスの手から無事逃げることの出来たてぷはベッドの真ん中に陣取ってから思い出したようにそう言った。
腕輪とはペタルの街で出会った露天商から貰ったアクセサリーのことである。ステラはあの時目を閉じさせられていたから何を貰ったか知らなかったけれど、どうやら違うデザインの腕輪を三つほど選んだらしかった。
けれど腕輪に嵌め込まれている石はどれも同じアメジストだ。深くも鮮やかな紫はどれだけ見ても飽きない程綺麗で、たまにステラはそれに見惚れている。
ちなみにこの腕輪にはてぷの、つまり闇の精霊の加護がこれでもかと言わんばかりに付与されている。
「……いつ見てもやり過ぎだな、これは」
右腕につけられた幅の広い腕輪を見ながらリヴィウスが呟き、ステラは苦笑しながらそれに頷いた。
「…この腕輪一つあったら魔王だった頃のあなたの攻撃全て跳ね返せちゃいますもんね」
「ああ、やり過ぎだ」
一見ただ綺麗なアメジストだが、そこから滲み出る精霊の力はリヴィウスですら少し引いてしまうものだ。
各属性の精霊の加護を受けるとありとあらゆる恩恵を受けることが出来るのだが、闇の加護の代表とも言えるものは“精神干渉系の魔法が無効になる”というものだ。混乱、酩酊、気絶など、他にあるがとりあえず精神に以上は来さなくなる。
だがこの腕輪の力はそんなものではないのだ。加護は同属性の攻撃を軽減したり相殺したり出来るけれど、この腕輪は吸収した上で何倍もの威力にして跳ね返す力を持っている。
しかも他属性でもいけるらしい、威力は落ちるが。
「…これは兵器と変わらない」
「そうですね…」
ステラは深く頷きながら同意するけれど、当の加護を付与した張本人は大きなベッドの真ん中で子猫のように丸まっている。どうやらお昼寝の時間になるらしい。
「……リヴィ、てぷ様お昼寝です」
「…よく寝るなあいつは」
ふう、と息を吐いて呆れた様子で呟くがそのリヴィウスものそのそと動いたかと思えば徐にステラの太ももに頭を置いた。
「……リヴィ」
「寝る」
「リヴィだっててぷ様のこと言えないじゃないですか」
「俺は良いんだ」
そのまま身体を反転させたかと思えばリヴィウスはステラの腰に腕を回して抱き寄せてきて、腹に顔を埋める。
「リヴィ、これ恥ずかしいって前にも」
「知らん」
言うが早いか、リヴィウスはそのまま深く呼吸をして眠り始めてしまった。布越しに触れる息のあたたかさにステラは止めていた息を吐き出した。
……リヴィウスは、最近というか、あの日からステラによく触れてくるようになった。
元々スキンシップはあった方だと思うけれど、それは手を繋いだり一緒に寝たりする限られた時間の中だけのものだった。だけど今は違うのだ。
何もないのに頬に触れてくるし、頭だって撫でてくる。こうやって膝枕を要求されることも珍しくないし、普通に抱きしめられることも多くなった。それにたまに、本当にたまに、とても近い距離で顔、というか目を見られる。
息が掛かる程の距離で、ただじっと見つめられる。
ステラはそれらの触れ合いが、最近、というかやはりステラもあの日から妙に恥ずかしくてしょうがないのだ。けれどリヴィウスにはステラの事情なんて関係無いのである。
どれだけステラがやんわりと「やめて」と訴えてもリヴィウスは意味がわからないと言った顔でステラとの距離を縮めて来る。はじめはなんとも思っていなかったリヴィウスの顔の造形が、最近やけにキラキラとして見えるのもステラを困らせる要因となっていた。
「……はあ、人の気も知らないで…」
そんなステラの呟きはすやすやと心地良さそうにリヴィウスにもてぷにも届かないのであった。
リヴィウスの手から無事逃げることの出来たてぷはベッドの真ん中に陣取ってから思い出したようにそう言った。
腕輪とはペタルの街で出会った露天商から貰ったアクセサリーのことである。ステラはあの時目を閉じさせられていたから何を貰ったか知らなかったけれど、どうやら違うデザインの腕輪を三つほど選んだらしかった。
けれど腕輪に嵌め込まれている石はどれも同じアメジストだ。深くも鮮やかな紫はどれだけ見ても飽きない程綺麗で、たまにステラはそれに見惚れている。
ちなみにこの腕輪にはてぷの、つまり闇の精霊の加護がこれでもかと言わんばかりに付与されている。
「……いつ見てもやり過ぎだな、これは」
右腕につけられた幅の広い腕輪を見ながらリヴィウスが呟き、ステラは苦笑しながらそれに頷いた。
「…この腕輪一つあったら魔王だった頃のあなたの攻撃全て跳ね返せちゃいますもんね」
「ああ、やり過ぎだ」
一見ただ綺麗なアメジストだが、そこから滲み出る精霊の力はリヴィウスですら少し引いてしまうものだ。
各属性の精霊の加護を受けるとありとあらゆる恩恵を受けることが出来るのだが、闇の加護の代表とも言えるものは“精神干渉系の魔法が無効になる”というものだ。混乱、酩酊、気絶など、他にあるがとりあえず精神に以上は来さなくなる。
だがこの腕輪の力はそんなものではないのだ。加護は同属性の攻撃を軽減したり相殺したり出来るけれど、この腕輪は吸収した上で何倍もの威力にして跳ね返す力を持っている。
しかも他属性でもいけるらしい、威力は落ちるが。
「…これは兵器と変わらない」
「そうですね…」
ステラは深く頷きながら同意するけれど、当の加護を付与した張本人は大きなベッドの真ん中で子猫のように丸まっている。どうやらお昼寝の時間になるらしい。
「……リヴィ、てぷ様お昼寝です」
「…よく寝るなあいつは」
ふう、と息を吐いて呆れた様子で呟くがそのリヴィウスものそのそと動いたかと思えば徐にステラの太ももに頭を置いた。
「……リヴィ」
「寝る」
「リヴィだっててぷ様のこと言えないじゃないですか」
「俺は良いんだ」
そのまま身体を反転させたかと思えばリヴィウスはステラの腰に腕を回して抱き寄せてきて、腹に顔を埋める。
「リヴィ、これ恥ずかしいって前にも」
「知らん」
言うが早いか、リヴィウスはそのまま深く呼吸をして眠り始めてしまった。布越しに触れる息のあたたかさにステラは止めていた息を吐き出した。
……リヴィウスは、最近というか、あの日からステラによく触れてくるようになった。
元々スキンシップはあった方だと思うけれど、それは手を繋いだり一緒に寝たりする限られた時間の中だけのものだった。だけど今は違うのだ。
何もないのに頬に触れてくるし、頭だって撫でてくる。こうやって膝枕を要求されることも珍しくないし、普通に抱きしめられることも多くなった。それにたまに、本当にたまに、とても近い距離で顔、というか目を見られる。
息が掛かる程の距離で、ただじっと見つめられる。
ステラはそれらの触れ合いが、最近、というかやはりステラもあの日から妙に恥ずかしくてしょうがないのだ。けれどリヴィウスにはステラの事情なんて関係無いのである。
どれだけステラがやんわりと「やめて」と訴えてもリヴィウスは意味がわからないと言った顔でステラとの距離を縮めて来る。はじめはなんとも思っていなかったリヴィウスの顔の造形が、最近やけにキラキラとして見えるのもステラを困らせる要因となっていた。
「……はあ、人の気も知らないで…」
そんなステラの呟きはすやすやと心地良さそうにリヴィウスにもてぷにも届かないのであった。
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