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§ それは、ホントに不可抗力で。
05
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三年ぶりの再会に、歓喜している場合ではないと、両手で力いっぱい尊の胸を押し、その唇から逃れようと試みた。
「おい? どうしたんだよ?」
意味がわからないと不満そうにぐいっと腰を引き寄せられ、うぐっと呻き声がでる。
「どうした? じゃないですよ! 私とあなたは、いきなりこんなことをする関係じゃ……」
「いきなりこんなことをする関係じゃなかったら、どんな関係だよ? うん?」
腰を抱く手にさらに力がこもり、絶対に離すつもりはないと、その腕が意思表示している。
「いや、ですから、私たちの関係は」
「夫婦だろうが?」
「だ、か、らー、ちょっと待ってくださいよ」
「待てってなにを待つんだ?」
「あの、少し落ち着きましょうよ?」
「俺は落ち着いているが?」
「はぁ……まあいいや。いや、確かにですね、私たちはラスベガスで結婚式を挙げましたが、だからって、本当に結婚したわけじゃないですよね?」
「どうして?」
「ど、どうしてって………」
どうしてと訊かれ狼狽え、わかんない人だな……と、口の中で呟いた声にならない声は、どうやら聞こえてしまったらしい。尊の語気が心持ち強くなった。
「なにが?」
「で・す・か・らあ! あれは、あのときの勢いっていうか、記念っていうか、旅の恥はかき捨てっていうか……。だから、あのときだけのことだったんじゃないですか? って言ってるんですよ!」
なんなのこいつ。バカなのか。
「おまえはそんないい加減な気持ちで、俺と結婚したのか?」
「いや、そういうわけじゃないんですけど……でもね? もう三年も音信不通だったんですよ? 三年も経ったらそれなりに色々あるのが普通でしょう? それをいきなり抱きしめられてキスされて、夫婦だからって言われて、はいそうですかって、納得できると思いますか?」
「だったら、どうすればいいんだ?」
「せめてほら、まずは、久しぶりだねとか、元気だった? とか、そんな言葉があったっていいんじゃないですかね?」
「ひさしぶりだなげんきだったか」
ぼーよみかよ。
「……あのねぇ」
「なんだ? 不服そうだな? そもそも三年も音信不通になったのは、おまえが突然俺の前から消えたからだろうが? 電話しても通じないしどこにいるのかもわからなくて探すこともできなかったんだぞ? それともナニか? おまえは、故意に逃げたのか? 最初から俺を弄ぶつもりだったのか?」
「そ、そんなわけないでしょう? 連絡できなくなったのは携帯水没による不可抗力だって言ったの忘れた? 私が悪かったって思ってるし、そもそも私だってそんないい加減な気持ちじゃなかの、あんたもわかってるでしょう? でもだからってこんなの普通じゃないって言ってるだけ! 私の言ってること、わかんないの?」
「いい加減な気持ちじゃなかったんだったら、やっぱり夫婦だろうが? 俺のどこが間違ってるんだ? 夫が妻を抱きしめてなにが悪い? まったく、人の言ってることがわからないのは、おまえのほうだろうが!」
うわぁ。なんなんだこいつ。人の話、聞けよ。
「おい? どうしたんだよ?」
意味がわからないと不満そうにぐいっと腰を引き寄せられ、うぐっと呻き声がでる。
「どうした? じゃないですよ! 私とあなたは、いきなりこんなことをする関係じゃ……」
「いきなりこんなことをする関係じゃなかったら、どんな関係だよ? うん?」
腰を抱く手にさらに力がこもり、絶対に離すつもりはないと、その腕が意思表示している。
「いや、ですから、私たちの関係は」
「夫婦だろうが?」
「だ、か、らー、ちょっと待ってくださいよ」
「待てってなにを待つんだ?」
「あの、少し落ち着きましょうよ?」
「俺は落ち着いているが?」
「はぁ……まあいいや。いや、確かにですね、私たちはラスベガスで結婚式を挙げましたが、だからって、本当に結婚したわけじゃないですよね?」
「どうして?」
「ど、どうしてって………」
どうしてと訊かれ狼狽え、わかんない人だな……と、口の中で呟いた声にならない声は、どうやら聞こえてしまったらしい。尊の語気が心持ち強くなった。
「なにが?」
「で・す・か・らあ! あれは、あのときの勢いっていうか、記念っていうか、旅の恥はかき捨てっていうか……。だから、あのときだけのことだったんじゃないですか? って言ってるんですよ!」
なんなのこいつ。バカなのか。
「おまえはそんないい加減な気持ちで、俺と結婚したのか?」
「いや、そういうわけじゃないんですけど……でもね? もう三年も音信不通だったんですよ? 三年も経ったらそれなりに色々あるのが普通でしょう? それをいきなり抱きしめられてキスされて、夫婦だからって言われて、はいそうですかって、納得できると思いますか?」
「だったら、どうすればいいんだ?」
「せめてほら、まずは、久しぶりだねとか、元気だった? とか、そんな言葉があったっていいんじゃないですかね?」
「ひさしぶりだなげんきだったか」
ぼーよみかよ。
「……あのねぇ」
「なんだ? 不服そうだな? そもそも三年も音信不通になったのは、おまえが突然俺の前から消えたからだろうが? 電話しても通じないしどこにいるのかもわからなくて探すこともできなかったんだぞ? それともナニか? おまえは、故意に逃げたのか? 最初から俺を弄ぶつもりだったのか?」
「そ、そんなわけないでしょう? 連絡できなくなったのは携帯水没による不可抗力だって言ったの忘れた? 私が悪かったって思ってるし、そもそも私だってそんないい加減な気持ちじゃなかの、あんたもわかってるでしょう? でもだからってこんなの普通じゃないって言ってるだけ! 私の言ってること、わかんないの?」
「いい加減な気持ちじゃなかったんだったら、やっぱり夫婦だろうが? 俺のどこが間違ってるんだ? 夫が妻を抱きしめてなにが悪い? まったく、人の言ってることがわからないのは、おまえのほうだろうが!」
うわぁ。なんなんだこいつ。人の話、聞けよ。
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