ネクスト・ステージ~チートなニートが迷宮探索。スキル【ドロップ★5】は、武器防具が装備不可!?

武蔵野純平

文字の大きさ
33 / 42
第三章 嵐の冒険者

第33話 監視カメラの映像

しおりを挟む
 祖母の家の前、鉱山ダンジョン前の道路は、パトカーが何台も停車して赤色灯を回していた。
 午後五時を過ぎていたので辺りは暗く、パトカーの赤色灯の光が、不気味に祖母の家を照らしていた。

 祖母の家には、規制線――黄色いテープ――が張られていて、沢山の警察官が出入りしている。
 俺は家の前にいる警察官につかみかかる勢いで話しかけた。

「この家の者です! 何かあったんですか!?」

 青い顔をした沢本さんが俺に続く。

「オイ! 入れてくれ! 娘がいるんだよ!」

 警察官は、俺たち三人の身分証を確認して中に入れてくれた。

 急いで玄関から、祖母の家に上がる。
 キッチンにある食卓の椅子に祖母と優里亜ちゃんが座っていた。
 警察官とダンジョン省の片山さんも同席していて、事情聴取を受けているようだ。

「ばあちゃん!」
「優里亜!」

 俺と沢本さんが近づくと、祖母はホッとした顔を、優里亜ちゃんは笑顔を見せた。

「ばあちゃん! 大丈夫? 怪我をしていない?」

「ああ、カケルちゃん! 帰ってきて良かった! 怪我はないよ。優里亜ちゃんが助けてくれたからね」

「優里亜ちゃんが?」

 俺が優里亜ちゃんを見ると、優里亜ちゃんは最高のドヤ顔をした。

「そうだよ! 私がね! カケルのおばあちゃんを守ったんだよ!」

 俺はわけがわからず、片山さんの顔を見た。
 片山さんが、真剣な表情で事情を話し出した。

「二時間ほど前、若い男が訪ねてきたそうです。おばあ様がインターフォン越しに対応したのですが――」

 若い男は『シズカを出せ!』とインターフォン越しに散々怒鳴ったそうだ。
 祖母もヤバイと思って、『この家に、そんな人はいません』とインターフォン越しに返事をしたが、若い男は『ここにいることはわかっているんだ!』と怒鳴り続けたらしい。

 やがて若い男はしびれを切らし、家の敷地に入って玄関のドアを乱暴に叩いた。
 祖母はドアを開けずに『帰れ! 警察を呼ぶぞ!』と警告した。

 若い男はブチ切れ、玄関の隣にある部屋の窓ガラスを蹴破って、土足で祖母の家に入ってきた。
 祖母によると、若い男は二十代半ばで真面目そうな外見だったが、怒った顔は恐ろしかったらしい。

『シズカを出せ! かくまってるだろう!』

 若い男は祖母を殴ろうとした。
 そこへ、優里亜ちゃんが駆け込んできて、『シズカお姉ちゃんの部屋は二階だよ!』と若い男に教えた。

『シズカー! 見つけたぞー!』

 若い男が二階へ上がった隙に、優里亜ちゃんは祖母の手を引いて、非常用の避難部屋に逃げ込んだ。
 優里亜ちゃんは、避難部屋を内側からロックすると、非常事態を報せる緊急通報ボタンを押した。

 それから警察が駆けつけ、祖母と優里亜ちゃんは保護されたが、若い男は立ち去った後だった。
 話を聞き終えると、俺たちはしばらく無言だった。

「優里亜ね! ちゃんと覚えてたんだよ! 工事のおじちゃんが来て、説明したでしょ!」

 優里亜ちゃんが、エヘンと胸を張った。

 本当に、よく覚えていたな。
 避難部屋の工事が終った時に、工事業者さんが説明しただけなのに。
 それに、若い男が暴れている時に、機転を利かせて避難部屋に逃げ込むなんて、なかなか出来ないぞ。

 俺は優里亜ちゃんの頭を撫でながらお礼を伝えた。

「優里亜ちゃん、ありがとう! 優里亜ちゃんが、ばあちゃんを守ってくれたね! すごいね!」

「優里亜! 偉いぞ! さすが、私の娘!」

「そうでしょ! エヘン! エヘン!」

 優里亜ちゃんは、沢本さんに抱っこされ、俺に頭を撫でられてご機嫌だ。
 だが、問題は……若い男だ。

「それで、若い男ですが……」

 若い男について聞こうとしたが、優里亜ちゃんのいるところでする話ではなさそうだ。
 祖母に頼んで、優里亜ちゃんを居間に連れて行ってもらった。

 キッチンには、俺、沢本さん、御手洗さん、ダンジョン省の片山さん、事情聴取の警察官の五人になった。
 最初に口を開いたのは片山さんだ。

「私はダンジョン省で仕事をしていたのですが、緊急事態の通報を受けて急いで来たのです」

 土曜日も仕事だったのか!
 片山さんは、忙しいところを駆けつけてくれたみたいだ。

「片山さん。ありがとうございます! 祖母も心強かったと思います」

「あの……、それで……、警察の方と監視カメラの記録映像を確認しました。これです」

 片山さんが、ノートパソコンの画面をこちらに向けた。
 ノートパソコンの画面には、監視カメラの映像、祖母の家の前が映っている。

 道路に黒い車が止まった。
 車高の低いミニバンで、窓にはスモークがかかっている。
 夜番のガードマンさんから報告があった黒い車か?

 黒いミニバンから、若い男が降りてきた。
 映像を見る限り、若い男は小柄で髪の毛は黒、乱暴をしそうなタイプには見えない。
 声は録音されていないが、若い男の体が大きく揺れていて、インターフォンを手で乱暴に叩いている。
 道路沿いに取り付けてあるインターフォンに激しく怒鳴っている様子がうかがえる。

 鉱山ダンジョンの前で立っている年輩のガードマンさんが、若い男に何か声をかけたが、若い男はガードマンさんを突き飛ばして、祖母の家の敷地に入ってきた。

「監視カメラの映像は、ここまでです。それで、この男の身元ですが……」

 片山さんは非常に言いづらそうにしていて、チラリと警察官を見た。
 片山さんの視線を受け取った警察官は、表情を変えずに淡々と手にした手帳を読み上げた。

「この若い男ですが、若山拓也、二十六才と思われます。若山は、昨年、そちらにお座りの御手洗さんにストーカー行為を行い、警察から警告を受けています」

「なっ!?」

 俺は思わず声を上げてしまった。
 そんな話は聞いてないぞ!

 警察官は、冷静な声で話を続ける。

「御手洗さん。この監視カメラの映像をご覧になって、どうでしょう? この男は、若山で間違いないでしょうか?」

 全員の視線が御手洗さんに注がれた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす
SF
ハーレム主人公は元囚人?!ハーレム風SFアクション開幕! 突如として男性の殆どが消滅する事件が発生。 そんな人口ピラミッド崩壊な世界で女子生徒が待ち望んでいる中、現れる男子生徒、ハーレムの予感(?) 異色すぎる主人公が周りを巻き込みこの世界を駆ける!

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

転移術士の成り上がり

名無し
ファンタジー
 ベテランの転移術士であるシギルは、自分のパーティーをダンジョンから地上に無事帰還させる日々に至上の喜びを得ていた。ところが、あることがきっかけでメンバーから無能の烙印を押され、脱退を迫られる形になる。それがのちに陰謀だと知ったシギルは激怒し、パーティーに対する復讐計画を練って実行に移すことになるのだった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

処理中です...