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第三章 行方不明
第49話 外れスキル 氷の守護者4
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「やった!」
ショートソードを持ったゴブリンを倒した!
これで俺たちが俄然有利だ!
俺は松明をミレットの足下にかざして、ミレットの足を覆う氷を溶かす。
「ユウト! ありがとう!」
「一人にして、ごめん。怖かっただろう? でも、これで俺たちが有利になった! さあ、魔法を詠唱して!」
「そ、それなんだけど……」
何だろう?
ミレットが引きつった笑顔をした。
「あと……一発しか……」
「え?」
「あとファイヤーボール一発分しか魔力が残ってないの!」
「なっ――!」
俺は思わず作業の手を止める。
しまった!
氷の守護者の体力を削りきるより先に、ミレットの魔力が尽きてしまう……かもしれない……。
「とにかく撃ってみて……、ひょっとしたらあと一発で倒せるかもしれないし……」
「そ、そうですよね!」
ミレットが杖を構えて集中を始めた。
俺はミレットの集中を乱さないように、下を向いて黙々とミレットの足を覆う氷を溶かす作業をする。
ミレットの足の氷を松明の炎で炙って、溶けてきたらショートソードの柄で叩いて砕く。
ミレットの足は、一分ほどで自由になった。
「ファイヤーボール!」
ミレットが魔法を撃った!
俺とミレットはファイヤーボールを見ながら祈る。
(これで倒れてくれ!)
「キアアァ!」
氷の守護者が空中で回転しながら苦しみ悶える。
だが、一向に姿は消えない。
「ダメか……」
「ああ……」
俺とミレットが悔しがる。
そして、氷の守護者の反撃だ。
俺はミレットをかばって盾を構える。
今回の攻撃は氷のつぶてだ。
盾にガツガツと氷のつぶてがぶつかる音を聞きながら、俺は考える。
――どうする?
氷の守護者は物理攻撃が通用しない。
聖属性魔法か火属性魔法しか効かないのだ。
そして、火属性魔法を持つミレットは魔力切れ。
もう、氷の守護者への攻撃手段がない。
――撤退か?
いやいや!
今、撤退しては、アンのお父さんを探しに中級ダンジョンへ行けない。
がんばって、ここまで来たのだ。
何とか氷の守護者を倒して、初心者ダンジョンをクリアしたい。
――では、さらに長期戦?
アンが戦っている棍棒ゴブリンを倒し、ミレットの魔力回復を待つ。
ミレットの魔力が回復したら、氷の守護者を攻撃する……。
ダメではない……。
ダメではないが……。
あと、何発で氷の守護者を倒せるかわからない。
下手をすると一晩中、ミレットの魔力回復と魔法攻撃を繰り返すことになる。
時間が掛かりすぎて、俺たちの体力が持つかどうか……。
クソッ!
他に手はないのか!
いや……ある!
俺がスキル【レベル1】を使って火属性魔法を獲得し、俺が氷の守護者をファイヤーボールで攻撃するのだ!
俺はチラリとミレットを見た。
このアイデアを実行すると、ミレットに俺のスキル【レベル1】がバレてしまう。
俺は悩んだ。
だが、ここまで来て手ぶらで帰ることは出来ない。
氷の守護者の攻撃が止むと、俺はミレットに頼んだ。
「ミレット。後ろを向いてくれないかな?」
「え? 後ろ?」
「そう」
「……どうしてですか?」
ミレットは困惑している。
そりゃそうだ。
戦闘中に後ろを向けだなんて、無茶な話だ。
俺は真剣な目でミレットを見た。
「氷の守護者を倒すためだ。俺を信じて欲しい」
ミレットは、ジッと俺の目を見た。
そしてニッコリと笑った。
「わかりました。どうするのかわかりませんが、何か作戦があるのでしょう? ユウトを信じます」
ミレットはくるっと、俺に背を向けた。
「ありがとう」
俺はミレットの背中に礼を述べると、すぐにステータスを表示させ操作をする。
先ほどスラッシュを使ったので、残っている討伐ポイントは2だ。
俺は1ポイントを使ってスキル【火属性魔法】を取得した。
(あっ……こういう感じなんだ……)
魔法を取得すると、『どうやって魔法を撃つのか?』、『どうやって魔力を使うのか?』が、頭に流れ込んできて、すぐに理解出来た。
俺は氷の守護者をグッとにらむ。
右手を前に突き出し、体内の魔力を練り上げるように意識して、右手の先に集める。
(あっ……意外にキツイ……精神力を使うんだな……)
俺は額に汗をかきながら、魔力を練り上げた。
魔力が右手に貯まっていく。
ここで撃てると本能的にわかった。
詠唱!
「炎よ……、我が手に宿り、我が敵を討て! ファイヤーボール!」
詠唱が終ると同時に、俺の右手から火球が放たれた。
火球はうねりをあげて、真っ直ぐに氷の守護者に襲いかかる。
氷の守護者の胴体に着弾した。
「キアアアアアアアアァァァァァァ! キアアアアアアアアァァァァァァ!」
氷の守護者は、長い叫びを発し、空中でピクピクと痙攣し動きを止めた。
空中の氷の守護者が、ゆっくりとダンジョンの床に落ち姿を消した。
氷の守護者を倒したのだ!
ショートソードを持ったゴブリンを倒した!
これで俺たちが俄然有利だ!
俺は松明をミレットの足下にかざして、ミレットの足を覆う氷を溶かす。
「ユウト! ありがとう!」
「一人にして、ごめん。怖かっただろう? でも、これで俺たちが有利になった! さあ、魔法を詠唱して!」
「そ、それなんだけど……」
何だろう?
ミレットが引きつった笑顔をした。
「あと……一発しか……」
「え?」
「あとファイヤーボール一発分しか魔力が残ってないの!」
「なっ――!」
俺は思わず作業の手を止める。
しまった!
氷の守護者の体力を削りきるより先に、ミレットの魔力が尽きてしまう……かもしれない……。
「とにかく撃ってみて……、ひょっとしたらあと一発で倒せるかもしれないし……」
「そ、そうですよね!」
ミレットが杖を構えて集中を始めた。
俺はミレットの集中を乱さないように、下を向いて黙々とミレットの足を覆う氷を溶かす作業をする。
ミレットの足の氷を松明の炎で炙って、溶けてきたらショートソードの柄で叩いて砕く。
ミレットの足は、一分ほどで自由になった。
「ファイヤーボール!」
ミレットが魔法を撃った!
俺とミレットはファイヤーボールを見ながら祈る。
(これで倒れてくれ!)
「キアアァ!」
氷の守護者が空中で回転しながら苦しみ悶える。
だが、一向に姿は消えない。
「ダメか……」
「ああ……」
俺とミレットが悔しがる。
そして、氷の守護者の反撃だ。
俺はミレットをかばって盾を構える。
今回の攻撃は氷のつぶてだ。
盾にガツガツと氷のつぶてがぶつかる音を聞きながら、俺は考える。
――どうする?
氷の守護者は物理攻撃が通用しない。
聖属性魔法か火属性魔法しか効かないのだ。
そして、火属性魔法を持つミレットは魔力切れ。
もう、氷の守護者への攻撃手段がない。
――撤退か?
いやいや!
今、撤退しては、アンのお父さんを探しに中級ダンジョンへ行けない。
がんばって、ここまで来たのだ。
何とか氷の守護者を倒して、初心者ダンジョンをクリアしたい。
――では、さらに長期戦?
アンが戦っている棍棒ゴブリンを倒し、ミレットの魔力回復を待つ。
ミレットの魔力が回復したら、氷の守護者を攻撃する……。
ダメではない……。
ダメではないが……。
あと、何発で氷の守護者を倒せるかわからない。
下手をすると一晩中、ミレットの魔力回復と魔法攻撃を繰り返すことになる。
時間が掛かりすぎて、俺たちの体力が持つかどうか……。
クソッ!
他に手はないのか!
いや……ある!
俺がスキル【レベル1】を使って火属性魔法を獲得し、俺が氷の守護者をファイヤーボールで攻撃するのだ!
俺はチラリとミレットを見た。
このアイデアを実行すると、ミレットに俺のスキル【レベル1】がバレてしまう。
俺は悩んだ。
だが、ここまで来て手ぶらで帰ることは出来ない。
氷の守護者の攻撃が止むと、俺はミレットに頼んだ。
「ミレット。後ろを向いてくれないかな?」
「え? 後ろ?」
「そう」
「……どうしてですか?」
ミレットは困惑している。
そりゃそうだ。
戦闘中に後ろを向けだなんて、無茶な話だ。
俺は真剣な目でミレットを見た。
「氷の守護者を倒すためだ。俺を信じて欲しい」
ミレットは、ジッと俺の目を見た。
そしてニッコリと笑った。
「わかりました。どうするのかわかりませんが、何か作戦があるのでしょう? ユウトを信じます」
ミレットはくるっと、俺に背を向けた。
「ありがとう」
俺はミレットの背中に礼を述べると、すぐにステータスを表示させ操作をする。
先ほどスラッシュを使ったので、残っている討伐ポイントは2だ。
俺は1ポイントを使ってスキル【火属性魔法】を取得した。
(あっ……こういう感じなんだ……)
魔法を取得すると、『どうやって魔法を撃つのか?』、『どうやって魔力を使うのか?』が、頭に流れ込んできて、すぐに理解出来た。
俺は氷の守護者をグッとにらむ。
右手を前に突き出し、体内の魔力を練り上げるように意識して、右手の先に集める。
(あっ……意外にキツイ……精神力を使うんだな……)
俺は額に汗をかきながら、魔力を練り上げた。
魔力が右手に貯まっていく。
ここで撃てると本能的にわかった。
詠唱!
「炎よ……、我が手に宿り、我が敵を討て! ファイヤーボール!」
詠唱が終ると同時に、俺の右手から火球が放たれた。
火球はうねりをあげて、真っ直ぐに氷の守護者に襲いかかる。
氷の守護者の胴体に着弾した。
「キアアアアアアアアァァァァァァ! キアアアアアアアアァァァァァァ!」
氷の守護者は、長い叫びを発し、空中でピクピクと痙攣し動きを止めた。
空中の氷の守護者が、ゆっくりとダンジョンの床に落ち姿を消した。
氷の守護者を倒したのだ!
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