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「お礼が欲しくてした事じゃないですし、お礼なんていらないですよ」
依里がこれ以上のごまかしは出来ないな、と判断して、苦笑いとともに言った言葉に、柳川は少し身を乗り出した。
「という事は、あなたなんですね?」
「該当者になるんでしょうかね……確かに数日前に、お婆さんに声をかけられて、高級マンションから女の子を逃がしましたけど」
「間違いない、あなただ」
「……でもどうして、柳川さんがお婆さんの考えを伝えようと?」
「祖母が話してくれた際に、ちょうどあなたの事が頭に浮かんだんですよ。環という苗字は珍しいものですし、フルネームで一致していたら、もしかして、と思うでしょう?」
さわやかな微笑みだ。その微笑みが一転して真面目になり、依里に深く頭を下げる。
「妹を助けていただき本当に感謝しています。……妹は心に大きな傷を負っていました。あのままでは妹は壊れていただろう、とお医者様に言われたほどです。さすがに今回の事は、祖母が強く父を叱り飛ばしたため、父も渋々婚約を解消したわけですが」
「というと、妹さんの婚約は、お父様のご意向だったんですか」
「父が気に入った男だったんですが……恥ずかしい事に父には人を見抜く目が足りなかったようで」
苦笑いをし、柳川が言う。そこで彼はすっとスマートフォンを取り出した。
「失礼、祖母からでした」
スマホを使いこなす祖母なのだな、と変な方向で依里は感心した。うちのじいちゃん以上に使いこなせていそうだな、あのお婆さんは……
「早く聞いてくれ、とせっつかれていまして。それで、今後の予定なのですが……」
「ここで話すのはやめていただけませんか、さっきからいろんな人が聞き耳を立てているんで」
「おや、失礼しました。何も疚しいものがないので、気がせいてしまいましたね」
食事も終わり、そろそろまた仕事を再開する時間だ。依里は手を出した。
「弁当箱を回収します」
「いえ、これは洗ってお返ししますよ」
「それ私の弁当箱じゃないですから。同居人のお気に入りのタッパーの一つなんですよ」
「そうなんですか?」
「ええ。だから返してもらえるとありがたいのですが」
「そう言われましても……そうだ、ちょっと待ってください」
柳川はそう言って立ち上がり、どこかにいなくなった。そのとたんだ。
わっと依里に女性社員が群がってきた。
「ちょっとどういう事! なんであなたが柳川さんと」
「柳川さんのお婆さんが探していた人が、私と同じ名前だったんで、本人確認みたいなものですよ」
疚しくない依里は堂々と答えた。その潔さに、周りは一瞬黙る。これになんだかんだと文句をつけられない、と思うほどあっさりとした、すっぱりとした返答だったのだ。
「お婆さんは何で探してたのよ!」
「休みの日に、ちょっとおせっかいをしたんですよ。それをとても感謝されたらしくて」
柳川の妹の事に関しては黙っておこう、と依里は判断し、嘘ではないが深い事情ではない事をさらりと言う。事実おせっかいをしただけのような物なのだ。
依里にとっては。
しかしそれを、とても感謝するかどうかは、相手次第なのである。
さらに人目の多い社食という事もあり、あまり罵詈雑言は言えない女性社員の皆様である。そのため、彼女たちはきっと依里を睨み付け、耳元で言った。
「柳川さんは皆のものなんだからね? 抜け駆けなんて許さないわよ」
その声の冷たさに、依里はぞっとしたものの、もともと抜け駆けもへったくれもない。ただお婆さん関係で話しているだけだ、こちらにそう言った気持ちはミリ単位も存在しない。
そのため黙ってこくこくと、依里は頷いて、とりあえず相手の主張を聞く構えをとったのである。
これが拳に物を言わせる世界だったらなあ、楽なんだが。
依里の思考は少しだけずれ、いや、拳の世界は卒業したのだ、と慌てて頭を振った。
それにもう一つある。
「そこそこイケメンだけどな……」
晴美にはかなうまい。あの男は見た目だけなら洒落にならないのだ。それがガキ丸出しの笑顔で笑うものだから、イケメンの雰囲気が台無しになったりするわけだが。
依里は晴美の頭の中身をわかっているが、見た目と料理の才能はもっとよく分かっていた。あれは洒落にならないものなんだ。
あれがにぱーっと笑うと、小さな子供さえはしゃいで笑い、女子高生は物を落っことし、雷親父は言葉を引っ込めかけ、大人の女性は顔を赤らめる。
晴美の笑顔はそう言うものだったから、その笑顔を四六時中向けられている依里は、柳川程度のイケメンに、どきどきしたりしなかった。残念な事にだが。
「あ、すみませんおくれて、これどうぞ」
ほどなくして戻ってきた柳川は、水洗いされたタッパーを差し出してきた。
「食べ終わったままの物を、お返しするのは気が咎めて……少し水で綺麗にしてきました。同居人さんに、かつ丼は大変美味しかったです、と伝えてもらえませんか」
柳川はそう言って、依里の周囲にいた女性たちを見た。
「どうかしましたか?」
「えっと……環さんの手作りお弁当じゃないんですか?」
女性社員の一人が問いかけて来る。依里が同居人の弁当を渡したところを聞いていなかった女性らしい。それに柳川がさわやかな笑顔で言う。
「はい、料理上手な同居人さんが、作ってくれたそうですよ、もう、あまりにも美味しいもので。全部頂いてしまいました。はは、意地汚いですよね」
「いえ! かつ丼がお好きなんですか?」
「よく見た目に合わない、と言われるんですが、脂っこいものが、結構好きで……揚げ物などは大歓迎なんですよ。おかげで体脂肪とにらみ合いをしたり」
「やだ! 柳川さんはスリムですよ!」
女性社員が色めき立つ。イケメンの好物を聞かされたのだから、盛り上がるのも納得だ。
依里はその隙にタッパーを回収し、そそくさとその場を後にした。後は柳川がうまく丸め込むだろう。逃げたと言われてもいいし、依里は彼を全く狙っていないので、興味がないのだというスタンスを見せておいた方が有利だ。
そして仕事に戻り、依里はデータをまとめ上げ、それから営業のプレゼン用の資料の最終チェックに入った。これをするとしないとでは出来上がりに大きく差が出る。
そのため依里が、ひと手間か二手間している事でもあった。
それにこう言ったもののあらさがしをしておいた方が、営業に有利だし、お互い給料が上がるわけである。能力給がある会社なので、能力を発揮できるときはした方がいい、と依里の仕事を見ていた同僚に言われたのだった。
「なんで総務課で環さんの能力が評価されなかったか不思議」
「だな、こんなに仕事が速くて正確で、出来上がりも綺麗なのにな」
かたかたかたかた、とキーボードを打ち込み、手書きの資料まで確認し、依里は仕事の海の中に沈んでいく。
そしてそれが一段落するともう、だいたい定時なのだ。
営業のメンツは直帰だったりするため、その補佐の面々は仕事の量に合わせて定時だったり少し残業したりして帰るわけだ。
その時、依里は最後のメールの中に、柳川のアドレスを見つけた。社内用のメルアドを使うなんて何してんだ、と思った物の、向こうもこちらのアドレスは社内用のものしか知らないだろうから、仕方がないのかもしれない。
そこにはラインの番号が書かれており、
「お礼のためのやり取りをしたいので、ラインを交換させてください」
と丁寧な文面が書かれていた。依里はそのため、誰も見ていない隙を見計らい、自分のスマホのラインに、柳川を登録した。そしてそつなく文面を入れておく。
「連絡届きました、これからよろしくお願いします」
「ありがとうございます。祖母にも喜んでもらえます」
その後スマホを鞄の中にしまい、彼女は周りに挨拶をして立ち上がった。
営業から回ってきた物はあらかた片付けたし、心残りは何もない。
しいて言うならば、井上に何かされるのではないかと思った物の、彼女は残業地獄らしいので、ここで遭遇する事もきっとないだろう。
そんな事を思った時だ。
ぶるぶる、とスマホが震え、誰だと画面を見ると、それは晴美からの電話だった。
「もしもし」
「ヨリちゃん、ヨリちゃん、お持ち帰りのケーキは幾つにする?」
「……」
お前何電話してんの。他の人に示しがつかないんじゃないのか。いいたい事は色々あった物の、家に帰ってから言おう、と決めて、口を開く。
「一つでいい」
「わかった四つ持ってくね!」
人の話を聞け! とは思った物の、きっと今日の試作の味が四つあるんだろうな、奴は一種類ずつ持って来るんだろうな、だから一つで間違いはないんだよな、あいつ的には……と依里は怒るのを止めた。
「私今上がったところだから」
「ええ! はやい! ねえねえ思い出したんだけど、ヨリちゃん聞いた?」
「誰に」
「ヨリちゃん助けてくれた人が甘いもの好きかどうかだよ!」
「あー。忘れた、今度聞く」
「ちゃんと聞いてね、聞いてね! おれ張り切っちゃうんだから!」
弾むような声の背後で、
「大鷺シェフ! こっちの手が回りません! 来てください!」
「最後の味付けの確認お願いします!」
「シェフ助けてくださいよオー!」
などという忙しない声とともに
「三番の仕上げは!」
「今上がったものを回してこい!」
「何でそれが先にできるんだ考えろコース料理だぞ!」
という怒号が響き渡っている。夜だもんな、ディナーだもんな、晴美は今一番せわしいの電話かけやがった、と察し、きつい声で依里は言った。
「晴美、仕事に頭切り替えろ、私は家にいるんだから」
「そっか、そうだよねえ、じゃあ仕事に戻るね!」
ね、の所で、晴美の声が一段下がり、料理人として戦うモードに切り替わったのが、依里にも伝わってきた。
そのため速やかに電話を切り、依里は先に風呂でも洗っておくか、と帰路についた。
依里がこれ以上のごまかしは出来ないな、と判断して、苦笑いとともに言った言葉に、柳川は少し身を乗り出した。
「という事は、あなたなんですね?」
「該当者になるんでしょうかね……確かに数日前に、お婆さんに声をかけられて、高級マンションから女の子を逃がしましたけど」
「間違いない、あなただ」
「……でもどうして、柳川さんがお婆さんの考えを伝えようと?」
「祖母が話してくれた際に、ちょうどあなたの事が頭に浮かんだんですよ。環という苗字は珍しいものですし、フルネームで一致していたら、もしかして、と思うでしょう?」
さわやかな微笑みだ。その微笑みが一転して真面目になり、依里に深く頭を下げる。
「妹を助けていただき本当に感謝しています。……妹は心に大きな傷を負っていました。あのままでは妹は壊れていただろう、とお医者様に言われたほどです。さすがに今回の事は、祖母が強く父を叱り飛ばしたため、父も渋々婚約を解消したわけですが」
「というと、妹さんの婚約は、お父様のご意向だったんですか」
「父が気に入った男だったんですが……恥ずかしい事に父には人を見抜く目が足りなかったようで」
苦笑いをし、柳川が言う。そこで彼はすっとスマートフォンを取り出した。
「失礼、祖母からでした」
スマホを使いこなす祖母なのだな、と変な方向で依里は感心した。うちのじいちゃん以上に使いこなせていそうだな、あのお婆さんは……
「早く聞いてくれ、とせっつかれていまして。それで、今後の予定なのですが……」
「ここで話すのはやめていただけませんか、さっきからいろんな人が聞き耳を立てているんで」
「おや、失礼しました。何も疚しいものがないので、気がせいてしまいましたね」
食事も終わり、そろそろまた仕事を再開する時間だ。依里は手を出した。
「弁当箱を回収します」
「いえ、これは洗ってお返ししますよ」
「それ私の弁当箱じゃないですから。同居人のお気に入りのタッパーの一つなんですよ」
「そうなんですか?」
「ええ。だから返してもらえるとありがたいのですが」
「そう言われましても……そうだ、ちょっと待ってください」
柳川はそう言って立ち上がり、どこかにいなくなった。そのとたんだ。
わっと依里に女性社員が群がってきた。
「ちょっとどういう事! なんであなたが柳川さんと」
「柳川さんのお婆さんが探していた人が、私と同じ名前だったんで、本人確認みたいなものですよ」
疚しくない依里は堂々と答えた。その潔さに、周りは一瞬黙る。これになんだかんだと文句をつけられない、と思うほどあっさりとした、すっぱりとした返答だったのだ。
「お婆さんは何で探してたのよ!」
「休みの日に、ちょっとおせっかいをしたんですよ。それをとても感謝されたらしくて」
柳川の妹の事に関しては黙っておこう、と依里は判断し、嘘ではないが深い事情ではない事をさらりと言う。事実おせっかいをしただけのような物なのだ。
依里にとっては。
しかしそれを、とても感謝するかどうかは、相手次第なのである。
さらに人目の多い社食という事もあり、あまり罵詈雑言は言えない女性社員の皆様である。そのため、彼女たちはきっと依里を睨み付け、耳元で言った。
「柳川さんは皆のものなんだからね? 抜け駆けなんて許さないわよ」
その声の冷たさに、依里はぞっとしたものの、もともと抜け駆けもへったくれもない。ただお婆さん関係で話しているだけだ、こちらにそう言った気持ちはミリ単位も存在しない。
そのため黙ってこくこくと、依里は頷いて、とりあえず相手の主張を聞く構えをとったのである。
これが拳に物を言わせる世界だったらなあ、楽なんだが。
依里の思考は少しだけずれ、いや、拳の世界は卒業したのだ、と慌てて頭を振った。
それにもう一つある。
「そこそこイケメンだけどな……」
晴美にはかなうまい。あの男は見た目だけなら洒落にならないのだ。それがガキ丸出しの笑顔で笑うものだから、イケメンの雰囲気が台無しになったりするわけだが。
依里は晴美の頭の中身をわかっているが、見た目と料理の才能はもっとよく分かっていた。あれは洒落にならないものなんだ。
あれがにぱーっと笑うと、小さな子供さえはしゃいで笑い、女子高生は物を落っことし、雷親父は言葉を引っ込めかけ、大人の女性は顔を赤らめる。
晴美の笑顔はそう言うものだったから、その笑顔を四六時中向けられている依里は、柳川程度のイケメンに、どきどきしたりしなかった。残念な事にだが。
「あ、すみませんおくれて、これどうぞ」
ほどなくして戻ってきた柳川は、水洗いされたタッパーを差し出してきた。
「食べ終わったままの物を、お返しするのは気が咎めて……少し水で綺麗にしてきました。同居人さんに、かつ丼は大変美味しかったです、と伝えてもらえませんか」
柳川はそう言って、依里の周囲にいた女性たちを見た。
「どうかしましたか?」
「えっと……環さんの手作りお弁当じゃないんですか?」
女性社員の一人が問いかけて来る。依里が同居人の弁当を渡したところを聞いていなかった女性らしい。それに柳川がさわやかな笑顔で言う。
「はい、料理上手な同居人さんが、作ってくれたそうですよ、もう、あまりにも美味しいもので。全部頂いてしまいました。はは、意地汚いですよね」
「いえ! かつ丼がお好きなんですか?」
「よく見た目に合わない、と言われるんですが、脂っこいものが、結構好きで……揚げ物などは大歓迎なんですよ。おかげで体脂肪とにらみ合いをしたり」
「やだ! 柳川さんはスリムですよ!」
女性社員が色めき立つ。イケメンの好物を聞かされたのだから、盛り上がるのも納得だ。
依里はその隙にタッパーを回収し、そそくさとその場を後にした。後は柳川がうまく丸め込むだろう。逃げたと言われてもいいし、依里は彼を全く狙っていないので、興味がないのだというスタンスを見せておいた方が有利だ。
そして仕事に戻り、依里はデータをまとめ上げ、それから営業のプレゼン用の資料の最終チェックに入った。これをするとしないとでは出来上がりに大きく差が出る。
そのため依里が、ひと手間か二手間している事でもあった。
それにこう言ったもののあらさがしをしておいた方が、営業に有利だし、お互い給料が上がるわけである。能力給がある会社なので、能力を発揮できるときはした方がいい、と依里の仕事を見ていた同僚に言われたのだった。
「なんで総務課で環さんの能力が評価されなかったか不思議」
「だな、こんなに仕事が速くて正確で、出来上がりも綺麗なのにな」
かたかたかたかた、とキーボードを打ち込み、手書きの資料まで確認し、依里は仕事の海の中に沈んでいく。
そしてそれが一段落するともう、だいたい定時なのだ。
営業のメンツは直帰だったりするため、その補佐の面々は仕事の量に合わせて定時だったり少し残業したりして帰るわけだ。
その時、依里は最後のメールの中に、柳川のアドレスを見つけた。社内用のメルアドを使うなんて何してんだ、と思った物の、向こうもこちらのアドレスは社内用のものしか知らないだろうから、仕方がないのかもしれない。
そこにはラインの番号が書かれており、
「お礼のためのやり取りをしたいので、ラインを交換させてください」
と丁寧な文面が書かれていた。依里はそのため、誰も見ていない隙を見計らい、自分のスマホのラインに、柳川を登録した。そしてそつなく文面を入れておく。
「連絡届きました、これからよろしくお願いします」
「ありがとうございます。祖母にも喜んでもらえます」
その後スマホを鞄の中にしまい、彼女は周りに挨拶をして立ち上がった。
営業から回ってきた物はあらかた片付けたし、心残りは何もない。
しいて言うならば、井上に何かされるのではないかと思った物の、彼女は残業地獄らしいので、ここで遭遇する事もきっとないだろう。
そんな事を思った時だ。
ぶるぶる、とスマホが震え、誰だと画面を見ると、それは晴美からの電話だった。
「もしもし」
「ヨリちゃん、ヨリちゃん、お持ち帰りのケーキは幾つにする?」
「……」
お前何電話してんの。他の人に示しがつかないんじゃないのか。いいたい事は色々あった物の、家に帰ってから言おう、と決めて、口を開く。
「一つでいい」
「わかった四つ持ってくね!」
人の話を聞け! とは思った物の、きっと今日の試作の味が四つあるんだろうな、奴は一種類ずつ持って来るんだろうな、だから一つで間違いはないんだよな、あいつ的には……と依里は怒るのを止めた。
「私今上がったところだから」
「ええ! はやい! ねえねえ思い出したんだけど、ヨリちゃん聞いた?」
「誰に」
「ヨリちゃん助けてくれた人が甘いもの好きかどうかだよ!」
「あー。忘れた、今度聞く」
「ちゃんと聞いてね、聞いてね! おれ張り切っちゃうんだから!」
弾むような声の背後で、
「大鷺シェフ! こっちの手が回りません! 来てください!」
「最後の味付けの確認お願いします!」
「シェフ助けてくださいよオー!」
などという忙しない声とともに
「三番の仕上げは!」
「今上がったものを回してこい!」
「何でそれが先にできるんだ考えろコース料理だぞ!」
という怒号が響き渡っている。夜だもんな、ディナーだもんな、晴美は今一番せわしいの電話かけやがった、と察し、きつい声で依里は言った。
「晴美、仕事に頭切り替えろ、私は家にいるんだから」
「そっか、そうだよねえ、じゃあ仕事に戻るね!」
ね、の所で、晴美の声が一段下がり、料理人として戦うモードに切り替わったのが、依里にも伝わってきた。
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