612 / 882
アン=マリー女学院からの依頼編
episode549
しおりを挟む
「わーい、あとは下山したらヴェルゼットに到着です」
小さな手をあげてシビルが喜ぶと、イリニア王女も微笑んだ。
「一気におりて、なにか食べてから汽車に乗ろうよ」
ルーファスがそう提案すると、イリニア王女はちょっと困ったような表情を浮かべた。それに目ざとく気がついて、シビルがタルコットの足を叩く。
「そこの滝で身体を洗っていってもいい? いくらなんでも汚れたまま街へ降りるのは気が引けるし」
「ふむ…」
タルコットもイリニア王女の表情で気づいて頷いた。
「休憩していこうか」
「シビル様、ありがとうございました」
「女の子だもんね。いくら身分を隠してお忍び旅でも、4日も身体を洗ってないのは抵抗あるし」
「贅沢を言える状況ではないのは判っているのですが、水浴びできることは嬉しいです」
申し訳なさそうにしながらも、イリニア王女は嬉しそうに口元をほころばせた。
最初の頃こそ奇っ怪なものでも見るようにシビルを見ていたイリニア王女も、今ではすっかり打ち解けている。男ばかりの中、シビルが何かと細かい気遣いをしてくれるので、イリニア王女は何とか頑張って旅をしてこれた。外見は違えど同じ女である、心強かった。
滝の裏側へ行くと、シビルは魔法で地面に大人2人入れるくらいの穴をあけた。そして滝の水を器用に穴の中へ入れると、その中に火の玉を一発ぶちこむ。一瞬で湯に変わり、辺りに温かな湯気が漂った。
「即席風呂のいっちょあがり~」
えっへんと得意げなシビルに、イリニア王女は尊敬の眼差しを注いた。
「素晴らしいですわ!」
「ふふふん。魔法はこういう使い方も出来るのです。さあ、入りましょう」
「はい!」
2人は衣服を脱いでたたむと、湯に入ってゆったりとした気分に包まれた。
「気持ちがいいですわね」
「ホントだね~。滝が天然のカーテンの役割をしてくれてるから、あいつら気にせず身体も洗えるからね。石鹸とシャンプーもあるから」
「ありがとうございます。生き返りました」
「それはなにより」
滝の爆音の向こうから聞こえる女子たちの笑う声に、ルーファスは「いいなあシビル」とぼやいた。
「なんだお前、巨乳が好きなんじゃないのか?」
滝から流れてきた水で身体を拭きながら、タルコットが不思議そうに言う。それに「ちちちっ」と指で否定してルーファスは声を潜めた。
「着やせしてたから気づいてないだろうけど、王女様の胸はかなりデカイ。オレの目に狂いはないぜ」
「お前、そんなところばかり見ているのか……」
あからさまに軽蔑のこもった目を向けられ、ルーファスは肩をすくめる。
「いいじゃーん、オレ男だし」
身体を拭きながら2人の会話を聞いていたメルヴィンは、苦笑しながらキュッリッキのことを思い出していた。
ヴェルゼットで汽車に乗れば、明後日には首都ヴァルテルに到着予定だ。そうすればもうじきキュッリッキのもとへ帰れる。喜ぶ彼女の顔を思い浮かべると、自然と笑みがこぼれた。
「幸せそうにニヤニヤして、メルヴィンはいいよね。キューリちゃんに王女サマに、美少女選り取りみどりで」
「えっ」
ルーファスに顔を覗きこまれ、メルヴィンは慌てた。
「もうすぐヴァルテルへ到着しますし、リッキーのもとへ帰れますから」
「今頃首を長くして待ってるだろうな、キューリ」
鎧の汚れを落としながら言うタルコットに、メルヴィンは嬉しそうな笑みを向けた。
「ええ。なにかお土産でも買っていってあげようかな」
小さな手をあげてシビルが喜ぶと、イリニア王女も微笑んだ。
「一気におりて、なにか食べてから汽車に乗ろうよ」
ルーファスがそう提案すると、イリニア王女はちょっと困ったような表情を浮かべた。それに目ざとく気がついて、シビルがタルコットの足を叩く。
「そこの滝で身体を洗っていってもいい? いくらなんでも汚れたまま街へ降りるのは気が引けるし」
「ふむ…」
タルコットもイリニア王女の表情で気づいて頷いた。
「休憩していこうか」
「シビル様、ありがとうございました」
「女の子だもんね。いくら身分を隠してお忍び旅でも、4日も身体を洗ってないのは抵抗あるし」
「贅沢を言える状況ではないのは判っているのですが、水浴びできることは嬉しいです」
申し訳なさそうにしながらも、イリニア王女は嬉しそうに口元をほころばせた。
最初の頃こそ奇っ怪なものでも見るようにシビルを見ていたイリニア王女も、今ではすっかり打ち解けている。男ばかりの中、シビルが何かと細かい気遣いをしてくれるので、イリニア王女は何とか頑張って旅をしてこれた。外見は違えど同じ女である、心強かった。
滝の裏側へ行くと、シビルは魔法で地面に大人2人入れるくらいの穴をあけた。そして滝の水を器用に穴の中へ入れると、その中に火の玉を一発ぶちこむ。一瞬で湯に変わり、辺りに温かな湯気が漂った。
「即席風呂のいっちょあがり~」
えっへんと得意げなシビルに、イリニア王女は尊敬の眼差しを注いた。
「素晴らしいですわ!」
「ふふふん。魔法はこういう使い方も出来るのです。さあ、入りましょう」
「はい!」
2人は衣服を脱いでたたむと、湯に入ってゆったりとした気分に包まれた。
「気持ちがいいですわね」
「ホントだね~。滝が天然のカーテンの役割をしてくれてるから、あいつら気にせず身体も洗えるからね。石鹸とシャンプーもあるから」
「ありがとうございます。生き返りました」
「それはなにより」
滝の爆音の向こうから聞こえる女子たちの笑う声に、ルーファスは「いいなあシビル」とぼやいた。
「なんだお前、巨乳が好きなんじゃないのか?」
滝から流れてきた水で身体を拭きながら、タルコットが不思議そうに言う。それに「ちちちっ」と指で否定してルーファスは声を潜めた。
「着やせしてたから気づいてないだろうけど、王女様の胸はかなりデカイ。オレの目に狂いはないぜ」
「お前、そんなところばかり見ているのか……」
あからさまに軽蔑のこもった目を向けられ、ルーファスは肩をすくめる。
「いいじゃーん、オレ男だし」
身体を拭きながら2人の会話を聞いていたメルヴィンは、苦笑しながらキュッリッキのことを思い出していた。
ヴェルゼットで汽車に乗れば、明後日には首都ヴァルテルに到着予定だ。そうすればもうじきキュッリッキのもとへ帰れる。喜ぶ彼女の顔を思い浮かべると、自然と笑みがこぼれた。
「幸せそうにニヤニヤして、メルヴィンはいいよね。キューリちゃんに王女サマに、美少女選り取りみどりで」
「えっ」
ルーファスに顔を覗きこまれ、メルヴィンは慌てた。
「もうすぐヴァルテルへ到着しますし、リッキーのもとへ帰れますから」
「今頃首を長くして待ってるだろうな、キューリ」
鎧の汚れを落としながら言うタルコットに、メルヴィンは嬉しそうな笑みを向けた。
「ええ。なにかお土産でも買っていってあげようかな」
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる