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記憶の残滓編
episode192
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幼い頃、密かに淡い初恋のようなものをいだいたことがある。それは実ることなく終わったが、ベルトルドは41歳になって改めて恋をした。
今度はきっちりと、恋をしたと自覚できる。
これまで星の数ほど色んな女たちを相手にしてきたが、本気になったことも、本気になりかかったこともない。適当に遊んで捨てていった。
ベルトルドにとって女とは、性欲のはけ口にしかすぎず、恋をしたいと思ったこともない。それなのに、キュッリッキには本気で恋をしてしまったのだ。
23歳も年下の少女を、どう扱えばいいのかベルトルドには自信がなかった。子供を持った経験もないし、セフレにここまで若い娘はいなかった。
今は身体も傷つき、ずっと心に深い傷を負っている。
自分の愛で、癒すことができるだろうか?
「いや、癒してみせるさ」
腹の奥底から、ジワジワと熱いものがこみ上げてくる。
「この俺の海よりも深い愛で、リッキーの心の傷も全て癒す! そして俺の愛でいっぱいにし、俺以外の男に見向きもしないほどガッチリ心をつかみ、毎晩俺だけを求めて甘えるように教育する!」
握り拳をガッシリ握り締め、ベルトルドは明後日の方向へ強く頷く。
「胸がペッタンコだろうと愛の前にはなんの障害でもない! 揉んで揉んで膨らむくらいに揉んで揉み尽くせば、ちっぱいなど気にもならん」
眠るキュッリッキの胸元に視線を貼り付け、ベルトルドは勝手に納得する。キュッリッキにとって『ちっぱい』が禁句だということは知らない。
「それにしても、本当に可愛らしい。全てが愛おしい」
艶やかな金の髪も、白桃のように白い肌も、小柄で華奢な身体も。そして、あれだけ深い心の傷を抱えながら、それでも愛らしい笑顔を浮かべることができる純粋さ。
性欲を満たして満足したあと、捨てた女たちのように、今度は捨てる気はない。傷ついたこの小鳥を、嫌がっても抵抗してきても、籠に閉じ込め手元に置いておく。
「俺の愛に抱かれれば、もう二度と辛い思いをすることもない。悪い夢だったと思わせてみせるぞ、リッキー」
キュッリッキの寝顔は悲しみに満ちているように見えた。流れ込んできた幼い頃のキュッリッキの姿が重なり、抱きしめてやりたかった。そして静かな寝息をたてるその柔らかな唇を見つめていると、吸いつきたい衝動に襲われ、顔を近づけては背け、再び向けては背けを繰り返す。
(アルカネットに先を越された、アルカネットに先を越されたっ!!)
そのことが、一番悔しい。
(あんにゃろおおおおお)
「何をしてるのです」
「いででででっ」
いきなり耳を思いっきり引っ張り上げられ、ベルトルドは強烈な痛みに軽い悲鳴を上げる。
「アルカネットかっ! 痛いからヤメロ」
自分の屋敷でこんな無礼を平気で働くのは、アルカネットしかいない。しかしさらに耳は引っ張られ、大の男の身体が易易と持ち上げられた。
アルカネットは無表情のままベルトルドの耳を掴んでいたが、やがてパッとはなす。その拍子に、ベルトルドは顔面からベッドに倒れ込んだ。
「ふがっ」
「全く、目を離しているとすぐコレですから、困ったものです」
「……」
ベルトルドはのろのろと身体を起こし、ベッドの上にぺたりと座った。そして傍らで腕を組んで見下ろしてくるアルカネットを見る。
「早かったじゃないか」
「嫌な予感しかしませんでしたから、文字通り飛んで帰ってきました」
今度はきっちりと、恋をしたと自覚できる。
これまで星の数ほど色んな女たちを相手にしてきたが、本気になったことも、本気になりかかったこともない。適当に遊んで捨てていった。
ベルトルドにとって女とは、性欲のはけ口にしかすぎず、恋をしたいと思ったこともない。それなのに、キュッリッキには本気で恋をしてしまったのだ。
23歳も年下の少女を、どう扱えばいいのかベルトルドには自信がなかった。子供を持った経験もないし、セフレにここまで若い娘はいなかった。
今は身体も傷つき、ずっと心に深い傷を負っている。
自分の愛で、癒すことができるだろうか?
「いや、癒してみせるさ」
腹の奥底から、ジワジワと熱いものがこみ上げてくる。
「この俺の海よりも深い愛で、リッキーの心の傷も全て癒す! そして俺の愛でいっぱいにし、俺以外の男に見向きもしないほどガッチリ心をつかみ、毎晩俺だけを求めて甘えるように教育する!」
握り拳をガッシリ握り締め、ベルトルドは明後日の方向へ強く頷く。
「胸がペッタンコだろうと愛の前にはなんの障害でもない! 揉んで揉んで膨らむくらいに揉んで揉み尽くせば、ちっぱいなど気にもならん」
眠るキュッリッキの胸元に視線を貼り付け、ベルトルドは勝手に納得する。キュッリッキにとって『ちっぱい』が禁句だということは知らない。
「それにしても、本当に可愛らしい。全てが愛おしい」
艶やかな金の髪も、白桃のように白い肌も、小柄で華奢な身体も。そして、あれだけ深い心の傷を抱えながら、それでも愛らしい笑顔を浮かべることができる純粋さ。
性欲を満たして満足したあと、捨てた女たちのように、今度は捨てる気はない。傷ついたこの小鳥を、嫌がっても抵抗してきても、籠に閉じ込め手元に置いておく。
「俺の愛に抱かれれば、もう二度と辛い思いをすることもない。悪い夢だったと思わせてみせるぞ、リッキー」
キュッリッキの寝顔は悲しみに満ちているように見えた。流れ込んできた幼い頃のキュッリッキの姿が重なり、抱きしめてやりたかった。そして静かな寝息をたてるその柔らかな唇を見つめていると、吸いつきたい衝動に襲われ、顔を近づけては背け、再び向けては背けを繰り返す。
(アルカネットに先を越された、アルカネットに先を越されたっ!!)
そのことが、一番悔しい。
(あんにゃろおおおおお)
「何をしてるのです」
「いででででっ」
いきなり耳を思いっきり引っ張り上げられ、ベルトルドは強烈な痛みに軽い悲鳴を上げる。
「アルカネットかっ! 痛いからヤメロ」
自分の屋敷でこんな無礼を平気で働くのは、アルカネットしかいない。しかしさらに耳は引っ張られ、大の男の身体が易易と持ち上げられた。
アルカネットは無表情のままベルトルドの耳を掴んでいたが、やがてパッとはなす。その拍子に、ベルトルドは顔面からベッドに倒れ込んだ。
「ふがっ」
「全く、目を離しているとすぐコレですから、困ったものです」
「……」
ベルトルドはのろのろと身体を起こし、ベッドの上にぺたりと座った。そして傍らで腕を組んで見下ろしてくるアルカネットを見る。
「早かったじゃないか」
「嫌な予感しかしませんでしたから、文字通り飛んで帰ってきました」
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