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初恋の予感編
episode261
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アルカネットはうっとりと呟くと、ふいに、抑え込めないほどの激しい衝動が、腹の底からこみ上げてきた。
「あなたは、私だけを見ていればいいのです。心も、身体も、何もかも全て、私のものなのですから」
それなのに、無理をしてベルトルドの見舞いに行った。許しがたい裏切りだ。
「お仕置きせねば、なりませんね…」
アルカネットは自身の上着のボタンを、もどかしげに荒々しく外す。そしてキュッリッキの寝間着の裾を、乱暴にたくしあげた。
ほっそりとした足があらわになり、ふくらはぎから太ももへと手を滑らせ、下着に手をかけた。その時、
「ぐっ!」
突如凄まじい激痛が頭に走り、アルカネットは額に手を当て呻き声をもらした。
(そこまでにしておけ、アルカネット!!)
ずしりと重く、脳裏に怒号が響く。苛烈なまでのその声に、アルカネットは口の端を軽く釣り上げ苦笑いする。
(………何故こんな時間に、あなたが起きているのですか)
(フンッ! 昼間寝すぎて眠れないだけだ)
病院にいるベルトルドの、サイ〈超能力〉による遠隔攻撃だ。無防備なところへの直撃である。そこへ追い打ちをかけるように、更に強く念話が叩き込まれ、あまりの痛みで額に汗がにじんだ。
普段温和な顔は苦悶で歪みながらも、皮肉な笑みを口の端にのせた。
(覗きとは趣味が悪いですね。いいところなんですから、邪魔しないでくださいな)
(戯言を言うな! 間一髪で阻止できて、俺は安堵しているんだぞ)
本当に眠れず暇を持て余していたベルトルドは、キュッリッキの様子を伺おうと自分の屋敷を透視していて、思わぬ現場を目撃してのことだった。
何も考えず、咄嗟に出た行動である。手加減は一切していない。直撃したアルカネットはさぞ痛いだろうと思うが、今回のことは許せる範囲を超えている。
(リッキーの衣服を整えてさっさと寝ろ! この強姦魔)
(愛し合っていただけです。強姦などと、人聞きの悪い)
不愉快そうに応じられ、ベルトルドは眉をしかめて念話の声を強めた。
(薬で眠らせておいて、好き勝手しているそれのドコが愛し合っているんだ馬鹿者!)
二度目の念動力攻撃が飛んできたが、これには防御魔法で対処して喰らわなかった。不意打ちじゃなければ、全て防御することは可能だ。
攻撃を防がれたことに、ベルトルドは忌々しげに舌打ちする。
2人が思念での攻防を巡らせていることにも気づかず、キュッリッキはよく眠っていた。その寝顔を見つめ、やがてアルカネットは小さくため息をついた。
このまま続けても、邪魔が入り続けるだけだろう。屋敷ごと吹っ飛ばしかねない。
横槍が入ってすっかり気が殺がれてしまったアルカネットは、キュッリッキの寝間着のボタンをかけなおし、自らの上着のボタンもかけ直した。
(あなたの邪魔が入ったことですし、もう寝ます。あなたもさっさと寝なさい)
(お前が寝るまでずっと監視しててやる)
(お好きにどうぞ。ああ…)
アルカネットはもう一度キュッリッキに被さると、透視しているベルトルドに見せつるように唇を重ねた。
脳裏にけたたましく怒号が飛ぶが、完璧に無視をする。
充分堪能したあと唇を離し、キュッリッキにぴったりと身を寄せて、横になり目を閉じた。
(ではおやすみなさい)
(………)
ベルトルドは拳を固く握り、ギリギリと歯ぎしりをした。
(俺のリッキーにどこまでもお前はああ!!)
しかしこの絶叫は、精神防御をしたアルカネットの耳には届いていなかった。
「あなたは、私だけを見ていればいいのです。心も、身体も、何もかも全て、私のものなのですから」
それなのに、無理をしてベルトルドの見舞いに行った。許しがたい裏切りだ。
「お仕置きせねば、なりませんね…」
アルカネットは自身の上着のボタンを、もどかしげに荒々しく外す。そしてキュッリッキの寝間着の裾を、乱暴にたくしあげた。
ほっそりとした足があらわになり、ふくらはぎから太ももへと手を滑らせ、下着に手をかけた。その時、
「ぐっ!」
突如凄まじい激痛が頭に走り、アルカネットは額に手を当て呻き声をもらした。
(そこまでにしておけ、アルカネット!!)
ずしりと重く、脳裏に怒号が響く。苛烈なまでのその声に、アルカネットは口の端を軽く釣り上げ苦笑いする。
(………何故こんな時間に、あなたが起きているのですか)
(フンッ! 昼間寝すぎて眠れないだけだ)
病院にいるベルトルドの、サイ〈超能力〉による遠隔攻撃だ。無防備なところへの直撃である。そこへ追い打ちをかけるように、更に強く念話が叩き込まれ、あまりの痛みで額に汗がにじんだ。
普段温和な顔は苦悶で歪みながらも、皮肉な笑みを口の端にのせた。
(覗きとは趣味が悪いですね。いいところなんですから、邪魔しないでくださいな)
(戯言を言うな! 間一髪で阻止できて、俺は安堵しているんだぞ)
本当に眠れず暇を持て余していたベルトルドは、キュッリッキの様子を伺おうと自分の屋敷を透視していて、思わぬ現場を目撃してのことだった。
何も考えず、咄嗟に出た行動である。手加減は一切していない。直撃したアルカネットはさぞ痛いだろうと思うが、今回のことは許せる範囲を超えている。
(リッキーの衣服を整えてさっさと寝ろ! この強姦魔)
(愛し合っていただけです。強姦などと、人聞きの悪い)
不愉快そうに応じられ、ベルトルドは眉をしかめて念話の声を強めた。
(薬で眠らせておいて、好き勝手しているそれのドコが愛し合っているんだ馬鹿者!)
二度目の念動力攻撃が飛んできたが、これには防御魔法で対処して喰らわなかった。不意打ちじゃなければ、全て防御することは可能だ。
攻撃を防がれたことに、ベルトルドは忌々しげに舌打ちする。
2人が思念での攻防を巡らせていることにも気づかず、キュッリッキはよく眠っていた。その寝顔を見つめ、やがてアルカネットは小さくため息をついた。
このまま続けても、邪魔が入り続けるだけだろう。屋敷ごと吹っ飛ばしかねない。
横槍が入ってすっかり気が殺がれてしまったアルカネットは、キュッリッキの寝間着のボタンをかけなおし、自らの上着のボタンもかけ直した。
(あなたの邪魔が入ったことですし、もう寝ます。あなたもさっさと寝なさい)
(お前が寝るまでずっと監視しててやる)
(お好きにどうぞ。ああ…)
アルカネットはもう一度キュッリッキに被さると、透視しているベルトルドに見せつるように唇を重ねた。
脳裏にけたたましく怒号が飛ぶが、完璧に無視をする。
充分堪能したあと唇を離し、キュッリッキにぴったりと身を寄せて、横になり目を閉じた。
(ではおやすみなさい)
(………)
ベルトルドは拳を固く握り、ギリギリと歯ぎしりをした。
(俺のリッキーにどこまでもお前はああ!!)
しかしこの絶叫は、精神防御をしたアルカネットの耳には届いていなかった。
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