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エルアーラ遺跡編
episode422
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ソレル国王の身柄を抑えたことを、ベルトルドから念話で知らされたリュリュとシ・アティウスは、処刑放送の準備のためにエルアーラ遺跡に問答無用で転送された。
ベルトルドとアルカネットでは操作が手に余るのもあったが、リュリュからは外の諸々報告説明が、シ・アティウスは遺跡の無事が気になってしょうがなかったとのことで、呼ばれた2人から文句はない。
「俺はな」
足元の首なし死体をつま先でつつきながら、ベルトルドは腕を組んだ。
「世界なんてものは、統一する必要はないと思う」
唐突に語りだしたベルトルドに、3人は怪訝そうな顔を向けた。
「すでに種族で惑星の住み分けは出来ているだろ」
この惑星ヒイシはヴィプネン族の惑星(ほし)と、いにしえから決められているという。
誰が決めたのかは知らないが、神話では神々がそうして他のアイオン族、トゥーリ族にそれぞれ別々の惑星(ほし)を住処として与えたらしい。それを裏付けるように、各惑星は種族に合うような地形などをしている。
「千年前に種族統一国家の樹立を目指して奔走したワイズキュール家は、当時惑星全土に複数あった国々が巻き起こす戦争に終止符を打ち、平和な世を築く目的があったからこそハワドウレ皇国が誕生した。多大な犠牲を払いはしたが、国を統一したからこそ、国家間戦争というものが根絶された。しかし世界が平和になると、それに飽いて自分の国を目指す輩が続出し始め、現在の有様だ」
ハワドウレ皇国と17の小国。3年前は18の小国だったが、反旗を翻して戦争を起こしたため、現在は皇国に併呑され抹消されている。
他にも自由都市というものも存在している。どの国にも属さず、完全な独立自治権を有している。その代償に、何があっても近隣諸国などの援助も救助も受けられない。そしてエグザイル・システムもない。
ベルトルドは自由都市で生まれ育った。都市の代表というものは存在したが、それは便宜上必要なだけで、都市の運営は専門機関が行い、住人たちはヴィプネン族、アイオン族、トゥーリ族と3種族が共存していた。
何事かあれば皆が助け合い、協力して解決していく。格差などなく平等だった。種族で他人を差別することはない。そんな環境にいたベルトルドにとって、何故種族を分け隔ててまで統一しなければならないのか理解できなかった。
一万年前に存在したという神王国ソレル。一体どのように統治していたのだろう。
ベルトルドは現代の種族統一国家ハワドウレ皇国の副宰相職を務めている。役職は宰相職そのものであり、政に軍に一部司法にと、細かくするとかなり広い範囲を抱えている。更にはアルケラ研究機関ケレヴィルの所長も務めているのだ。
その立場から訴えると「たいへん」の一言につきた。
国の頂点には皇王が鎮座しているが、実際国を動かしているのはベルトルドら臣下であり、国民である。新しいことを決めるにしても、今在るものを見直すにしても、様々な見解や意見が飛び交い、それらをひとつにまとめるだけでも大変な時間を労する。
そこには役職に就いている人々の考えがあり、それは常に皆と同じというわけではない。押さえつけたり無視すれば、無用な感情をそこに生んでしまう。かといって自由にさせれば、新たな問題が起きる。そういうのをなるべく穏便にすませるための方法を新たに考え、納得させ、受け入れてもらう。
日常的にそういう環境に身を置いていると、一体どうやれば惑星全土を統一できるのか不思議でならないのだ。独裁政治は長くは続かない。神王国ソレルは、どんな方法を使ったのだろうか。そして、足元に転がる老人は、仮に種族の頂点に立てたとして、どのようにこの惑星全土を治める気でいたのだろうか。
ベルトルドとアルカネットでは操作が手に余るのもあったが、リュリュからは外の諸々報告説明が、シ・アティウスは遺跡の無事が気になってしょうがなかったとのことで、呼ばれた2人から文句はない。
「俺はな」
足元の首なし死体をつま先でつつきながら、ベルトルドは腕を組んだ。
「世界なんてものは、統一する必要はないと思う」
唐突に語りだしたベルトルドに、3人は怪訝そうな顔を向けた。
「すでに種族で惑星の住み分けは出来ているだろ」
この惑星ヒイシはヴィプネン族の惑星(ほし)と、いにしえから決められているという。
誰が決めたのかは知らないが、神話では神々がそうして他のアイオン族、トゥーリ族にそれぞれ別々の惑星(ほし)を住処として与えたらしい。それを裏付けるように、各惑星は種族に合うような地形などをしている。
「千年前に種族統一国家の樹立を目指して奔走したワイズキュール家は、当時惑星全土に複数あった国々が巻き起こす戦争に終止符を打ち、平和な世を築く目的があったからこそハワドウレ皇国が誕生した。多大な犠牲を払いはしたが、国を統一したからこそ、国家間戦争というものが根絶された。しかし世界が平和になると、それに飽いて自分の国を目指す輩が続出し始め、現在の有様だ」
ハワドウレ皇国と17の小国。3年前は18の小国だったが、反旗を翻して戦争を起こしたため、現在は皇国に併呑され抹消されている。
他にも自由都市というものも存在している。どの国にも属さず、完全な独立自治権を有している。その代償に、何があっても近隣諸国などの援助も救助も受けられない。そしてエグザイル・システムもない。
ベルトルドは自由都市で生まれ育った。都市の代表というものは存在したが、それは便宜上必要なだけで、都市の運営は専門機関が行い、住人たちはヴィプネン族、アイオン族、トゥーリ族と3種族が共存していた。
何事かあれば皆が助け合い、協力して解決していく。格差などなく平等だった。種族で他人を差別することはない。そんな環境にいたベルトルドにとって、何故種族を分け隔ててまで統一しなければならないのか理解できなかった。
一万年前に存在したという神王国ソレル。一体どのように統治していたのだろう。
ベルトルドは現代の種族統一国家ハワドウレ皇国の副宰相職を務めている。役職は宰相職そのものであり、政に軍に一部司法にと、細かくするとかなり広い範囲を抱えている。更にはアルケラ研究機関ケレヴィルの所長も務めているのだ。
その立場から訴えると「たいへん」の一言につきた。
国の頂点には皇王が鎮座しているが、実際国を動かしているのはベルトルドら臣下であり、国民である。新しいことを決めるにしても、今在るものを見直すにしても、様々な見解や意見が飛び交い、それらをひとつにまとめるだけでも大変な時間を労する。
そこには役職に就いている人々の考えがあり、それは常に皆と同じというわけではない。押さえつけたり無視すれば、無用な感情をそこに生んでしまう。かといって自由にさせれば、新たな問題が起きる。そういうのをなるべく穏便にすませるための方法を新たに考え、納得させ、受け入れてもらう。
日常的にそういう環境に身を置いていると、一体どうやれば惑星全土を統一できるのか不思議でならないのだ。独裁政治は長くは続かない。神王国ソレルは、どんな方法を使ったのだろうか。そして、足元に転がる老人は、仮に種族の頂点に立てたとして、どのようにこの惑星全土を治める気でいたのだろうか。
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