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エルアーラ遺跡編
episode448
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ベルトルドの勝ち誇った笑みに、ヒューゴは降参の表情を浮かべて苦笑を返した。
「アルカネットがこの場にいれば、問題なく事態が進んだ程度のことですね。彼はその魔法を知っていましたから」
シ・アティウスは眼鏡のレンズを、指先で軽く上に押し上げた。
魔法スキル〈才能〉を持つ者は、体内に魔力を秘めている。その魔力を効率よくあらゆる形に具現し、行使するために呪文を使う。
イメージと集中のために呪文を唱え、魔力を魔法という形に変換する。そしてそれを制御し、匙加減を誰でも均等に行えるように魔具を使うのだ。
それらは全て魔法スキル〈才能〉を持つ者だけが入れる専門機関で訓練する。スキル〈才能〉判定機関で魔法の判定を受けると、自動的に専門機関へ通うことを義務付けられた。
しかしシ・アティウスがシビルに教えた魔法は、専門機関では教わらなかったし、蔵書の中でも見たことはなかった。シビルとハーマンは魔法の研究も独自にやっているので、あらゆる関連文献は読み込んでいたが、今の魔法は全く知らないものだ。
「あなた方魔法スキル〈才能〉を持つ者たちが扱える魔法は、1万年前に失われたほんの一部が復刻され伝えられたものなんですよ。それも戦闘に特化したものばかりが目立つ。万能的に色々な魔法を試してみたかったら、考古学方面を勉強することをオススメします。今のは曖昧で実体のない相手を、固着させられる良い魔法です」
シ・アティウスはこれまであらゆるジャンルの文献を読み込み、記憶にとどめている。その中から検索し、引っ張り出したのがその魔法だった。
記憶スキル〈才能〉は一見地味だが、こういう時頼りになる。もちろん、記憶スキル〈才能〉を活かして知識を溜め込んでいる人物に限られてはいるが。
シビルとハーマン、そしてカーティスとランドンが、尊敬の眼差しを惜しむことなくシ・アティウスに注ぎまくっていた。4人とも胸中で「いい魔法を知ったぜ!」と、グッと得意げになっている。
「魔法方面はオレにゃさっぱりだが、実体化したならオレたちの出番だぜ」
魔剣シラーを肩に担ぎ、ギャリーはにんまりと口の端をつりあげた。これでようやく、本領が発揮できるというもの。
「スカスカファンタジーにならずにすんでよかったよかった」
いつもより柄を短くし、刃渡りを広げた大鎌形態のスルーズを抜き放ち、タルコットは心底安心したように頬を緩ませた。
メルヴィンもペンダントヘッドにおさまっている爪竜刀を長剣モードにして抜き放ち、鋭い視線をヒューゴに向ける。
(リッキーさんを拐かしたという幽霊…)
拐かしたのが”男”という点が、妙に癇にさわってならないのだ。何故そう思ってしまうのか自分でもよく判っていないが、とにかく目の前のこの幽霊は許せない存在だ。
他のみんなもそれぞれ武器や魔具を構え、いつでも攻撃を仕掛けられるようにしていた。
「ふぅ……」
悩ましげに息を長々と吐き出し、ヒューゴが静寂を破った。
「実体がなくったって、ボクはキミたちを殺すことが出来たのに。余計なことをしてくれるから、ボクまで本気を出さなきゃいけなくなったじゃない」
「アルカネットがこの場にいれば、問題なく事態が進んだ程度のことですね。彼はその魔法を知っていましたから」
シ・アティウスは眼鏡のレンズを、指先で軽く上に押し上げた。
魔法スキル〈才能〉を持つ者は、体内に魔力を秘めている。その魔力を効率よくあらゆる形に具現し、行使するために呪文を使う。
イメージと集中のために呪文を唱え、魔力を魔法という形に変換する。そしてそれを制御し、匙加減を誰でも均等に行えるように魔具を使うのだ。
それらは全て魔法スキル〈才能〉を持つ者だけが入れる専門機関で訓練する。スキル〈才能〉判定機関で魔法の判定を受けると、自動的に専門機関へ通うことを義務付けられた。
しかしシ・アティウスがシビルに教えた魔法は、専門機関では教わらなかったし、蔵書の中でも見たことはなかった。シビルとハーマンは魔法の研究も独自にやっているので、あらゆる関連文献は読み込んでいたが、今の魔法は全く知らないものだ。
「あなた方魔法スキル〈才能〉を持つ者たちが扱える魔法は、1万年前に失われたほんの一部が復刻され伝えられたものなんですよ。それも戦闘に特化したものばかりが目立つ。万能的に色々な魔法を試してみたかったら、考古学方面を勉強することをオススメします。今のは曖昧で実体のない相手を、固着させられる良い魔法です」
シ・アティウスはこれまであらゆるジャンルの文献を読み込み、記憶にとどめている。その中から検索し、引っ張り出したのがその魔法だった。
記憶スキル〈才能〉は一見地味だが、こういう時頼りになる。もちろん、記憶スキル〈才能〉を活かして知識を溜め込んでいる人物に限られてはいるが。
シビルとハーマン、そしてカーティスとランドンが、尊敬の眼差しを惜しむことなくシ・アティウスに注ぎまくっていた。4人とも胸中で「いい魔法を知ったぜ!」と、グッと得意げになっている。
「魔法方面はオレにゃさっぱりだが、実体化したならオレたちの出番だぜ」
魔剣シラーを肩に担ぎ、ギャリーはにんまりと口の端をつりあげた。これでようやく、本領が発揮できるというもの。
「スカスカファンタジーにならずにすんでよかったよかった」
いつもより柄を短くし、刃渡りを広げた大鎌形態のスルーズを抜き放ち、タルコットは心底安心したように頬を緩ませた。
メルヴィンもペンダントヘッドにおさまっている爪竜刀を長剣モードにして抜き放ち、鋭い視線をヒューゴに向ける。
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拐かしたのが”男”という点が、妙に癇にさわってならないのだ。何故そう思ってしまうのか自分でもよく判っていないが、とにかく目の前のこの幽霊は許せない存在だ。
他のみんなもそれぞれ武器や魔具を構え、いつでも攻撃を仕掛けられるようにしていた。
「ふぅ……」
悩ましげに息を長々と吐き出し、ヒューゴが静寂を破った。
「実体がなくったって、ボクはキミたちを殺すことが出来たのに。余計なことをしてくれるから、ボクまで本気を出さなきゃいけなくなったじゃない」
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