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六話
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「千夏も一段と綺麗になったし、そろそろ出かけようか」
「はいっ!」
化粧って不思議。普通の女の子が魔法少女になってウキウキするみたいに私も藤堂さんに化粧をしてもらってテンションが上がってる。これを機に私も化粧を勉強してみようかな。藤堂さんの隣に並んでも恥ずかしくない女性になりたいし。オシャレをして、「千夏可愛いね」って言われたいから。
恋をすると綺麗になるってこういうことをいうのかな? 恋する乙女……なんて、そんな年齢でもないけど。可愛くなろうとするのに年齢は関係ないよね。
◇ ◇ ◇
「わ~! このウサギのTシャツ可愛い」
ご飯を食べた後だったからデート先は私が行きたい場所に行くことになり、私はウサギのイラストが描かれているTシャツが目に入り、このお店に入った。
「欲しいの?」
「普段着にしては少し可愛い気もしますけど、家の中で着るにはちょうどいいかなって。……うっ」
「どうしたの?」
「い、いえ。なんでもないです」
イラストは可愛いけれど値段は全然かわいくない。よく見るとブランドTシャツって書いてあるし。社会人の私なら買える範囲内ではあるんだけど出費がなかなかつらい。
「買ってあげるよ」
「え!? それは藤堂さんに申し訳ないです。私も働いてるんですから自分の欲しいものくらい自分で買えます」
つい見栄を張ってしまった。まわりからはさぞ私が悪女に見えるに違いない。社長である藤堂さんに貢がせようなんてしてないですよ~と心の中で弁解していた。
「それなら恋人からのプレゼントってことなら問題ないよね?」
「オネダリしたみたいですみません」
「千夏は俺の恋人なんだから可愛くオネダリしたっていいんだよ。なんなら毎日だって甘えてくれたっていい」
「っ……あ、ありがとうございます」
爽やかな笑顔を向けながら、ウサギのTシャツをレジに持っていく藤堂さん。会計は当然ながらクレジットカード。スマートに支払いを済ませる姿さえも見とれてしまう。
よく見るとクレカもブラックだし。たしかブラックカードって年収一千万以上ないと持てないんじゃなかったっけ。藤堂さんの会社なら年収がそれくらいあっても不思議じゃない。
「このあとはドレスでも見に行こうか」
「夕食のときに着るんですよね」
ドレスコードして入店するのが普通ってことはそれなりに高級なレストランってことだよね。
「緊張しなくても大丈夫だよ。俺も隣にいるし、千夏に似合うドレスを選んであげるから」
「それは頼もしいです」
藤堂さんと一緒だからこそ緊張するっていうのもあるんだけど。社長と一緒に食事をする女性がテーブルマナーが悪かったら、藤堂さんのイメージダウンにもなりかねないし気をつけないと。
ちなみにウサギのTシャツは藤堂さんの執事に預けた。そのまま私たちは看板からして高級なドレス&タキシード専門店に足を運んだ。
「……」
目の前には白いウェディングドレス。私には縁のないものだと思っていたけど、藤堂さんと結婚前提で交際してる今なら将来着れる機会もあるかもしれない。女性にとってウェディングドレスを着ることは一つの夢だ。将来を誓い合った旦那様と結婚式をあげる。想像するだけでもワクワクした。
「千夏のウェディングドレス、来年には見れるといいな」
「へ!?」
「それとも今年中のほうがいい?」
「私たちは再会したばかりですし、来年のほうがいいかなって」
「そうかな? 俺は早く千夏と夫婦になりたいよ」
「ま、前向きに検討します」
「楽しみにしてるよ」
まさか藤堂さんのほうが乗り気だったなんて。恥ずかしさのあまり結婚を先延ばしにしてしまったけど、藤堂さんの機嫌、悪くなってないかな?
藤堂さん的には今すぐにでも結婚するつもりだったのがなんだか意外すぎて。私は心の準備が出来てないし、藤堂さんも私の意見を尊重してくれるみたいだしもう少し待ってもらおう。
「千夏に似合うドレス選んでみたから試着してみて」
「は、はい」
何着か渡されたが、値段はお察しの通りで…私は床に落とさないように慎重に触れた。汚れでもついたら弁償は避けられないもんね。
「どうでしょうか?」
薄いピンク色のロングドレス。足が出ないからまだマシだけど、こんなことならダイエットしておくべきだった。と、今更後悔しても遅いけど。ほぼ肩出しっていうのも恥ずかしい。私って年齢のわりに色気ないし。こういうドレスはもっと大人っぽい女性が着るものなんじゃ……。
「凄く綺麗だよ」
「っ!」
藤堂さんの言葉を聞いたら、むしろこれでいい! ってなっちゃった。私ってばなんて単純。自分に似合うか似合わないかは二の次。好きな人が褒めてくれる服が自分にとっては一番嬉しいから。
「本当は何着か着てほしかったんだけど今のが一番似合ってるから今日はこれにしようか。いいかな? 千夏」
「お金なら後で払いますので!」
咄嗟にあるだけを財布の中から出そうとするも、藤堂さんに手を握られ止められてしまった。
「食事に誘ったのは俺だよ。だから、こっちが出すよ。貴重な千夏の時間を使わせてもらうんだからドレスくらい安いものだよ。だから甘えていいんだよ」
「ありがとうございます」
貴重な時間を使うっていうなら藤堂さんだってそうなのに。むしろ社長の時間を私が使うほうがマズいんじゃ……。私が財布を出すよりも先に藤堂さんが支払いを済ませてくれる。こういう人こそスパダリって言葉が相応しい。
これだけのものを買ってもらったんだから私もなにかお礼がしたい。藤堂さんが喜ぶものってなんだろう? 藤堂さんはお金持ちだからなんでも手に入るよね。う~ん。難しい、な。
「はいっ!」
化粧って不思議。普通の女の子が魔法少女になってウキウキするみたいに私も藤堂さんに化粧をしてもらってテンションが上がってる。これを機に私も化粧を勉強してみようかな。藤堂さんの隣に並んでも恥ずかしくない女性になりたいし。オシャレをして、「千夏可愛いね」って言われたいから。
恋をすると綺麗になるってこういうことをいうのかな? 恋する乙女……なんて、そんな年齢でもないけど。可愛くなろうとするのに年齢は関係ないよね。
◇ ◇ ◇
「わ~! このウサギのTシャツ可愛い」
ご飯を食べた後だったからデート先は私が行きたい場所に行くことになり、私はウサギのイラストが描かれているTシャツが目に入り、このお店に入った。
「欲しいの?」
「普段着にしては少し可愛い気もしますけど、家の中で着るにはちょうどいいかなって。……うっ」
「どうしたの?」
「い、いえ。なんでもないです」
イラストは可愛いけれど値段は全然かわいくない。よく見るとブランドTシャツって書いてあるし。社会人の私なら買える範囲内ではあるんだけど出費がなかなかつらい。
「買ってあげるよ」
「え!? それは藤堂さんに申し訳ないです。私も働いてるんですから自分の欲しいものくらい自分で買えます」
つい見栄を張ってしまった。まわりからはさぞ私が悪女に見えるに違いない。社長である藤堂さんに貢がせようなんてしてないですよ~と心の中で弁解していた。
「それなら恋人からのプレゼントってことなら問題ないよね?」
「オネダリしたみたいですみません」
「千夏は俺の恋人なんだから可愛くオネダリしたっていいんだよ。なんなら毎日だって甘えてくれたっていい」
「っ……あ、ありがとうございます」
爽やかな笑顔を向けながら、ウサギのTシャツをレジに持っていく藤堂さん。会計は当然ながらクレジットカード。スマートに支払いを済ませる姿さえも見とれてしまう。
よく見るとクレカもブラックだし。たしかブラックカードって年収一千万以上ないと持てないんじゃなかったっけ。藤堂さんの会社なら年収がそれくらいあっても不思議じゃない。
「このあとはドレスでも見に行こうか」
「夕食のときに着るんですよね」
ドレスコードして入店するのが普通ってことはそれなりに高級なレストランってことだよね。
「緊張しなくても大丈夫だよ。俺も隣にいるし、千夏に似合うドレスを選んであげるから」
「それは頼もしいです」
藤堂さんと一緒だからこそ緊張するっていうのもあるんだけど。社長と一緒に食事をする女性がテーブルマナーが悪かったら、藤堂さんのイメージダウンにもなりかねないし気をつけないと。
ちなみにウサギのTシャツは藤堂さんの執事に預けた。そのまま私たちは看板からして高級なドレス&タキシード専門店に足を運んだ。
「……」
目の前には白いウェディングドレス。私には縁のないものだと思っていたけど、藤堂さんと結婚前提で交際してる今なら将来着れる機会もあるかもしれない。女性にとってウェディングドレスを着ることは一つの夢だ。将来を誓い合った旦那様と結婚式をあげる。想像するだけでもワクワクした。
「千夏のウェディングドレス、来年には見れるといいな」
「へ!?」
「それとも今年中のほうがいい?」
「私たちは再会したばかりですし、来年のほうがいいかなって」
「そうかな? 俺は早く千夏と夫婦になりたいよ」
「ま、前向きに検討します」
「楽しみにしてるよ」
まさか藤堂さんのほうが乗り気だったなんて。恥ずかしさのあまり結婚を先延ばしにしてしまったけど、藤堂さんの機嫌、悪くなってないかな?
藤堂さん的には今すぐにでも結婚するつもりだったのがなんだか意外すぎて。私は心の準備が出来てないし、藤堂さんも私の意見を尊重してくれるみたいだしもう少し待ってもらおう。
「千夏に似合うドレス選んでみたから試着してみて」
「は、はい」
何着か渡されたが、値段はお察しの通りで…私は床に落とさないように慎重に触れた。汚れでもついたら弁償は避けられないもんね。
「どうでしょうか?」
薄いピンク色のロングドレス。足が出ないからまだマシだけど、こんなことならダイエットしておくべきだった。と、今更後悔しても遅いけど。ほぼ肩出しっていうのも恥ずかしい。私って年齢のわりに色気ないし。こういうドレスはもっと大人っぽい女性が着るものなんじゃ……。
「凄く綺麗だよ」
「っ!」
藤堂さんの言葉を聞いたら、むしろこれでいい! ってなっちゃった。私ってばなんて単純。自分に似合うか似合わないかは二の次。好きな人が褒めてくれる服が自分にとっては一番嬉しいから。
「本当は何着か着てほしかったんだけど今のが一番似合ってるから今日はこれにしようか。いいかな? 千夏」
「お金なら後で払いますので!」
咄嗟にあるだけを財布の中から出そうとするも、藤堂さんに手を握られ止められてしまった。
「食事に誘ったのは俺だよ。だから、こっちが出すよ。貴重な千夏の時間を使わせてもらうんだからドレスくらい安いものだよ。だから甘えていいんだよ」
「ありがとうございます」
貴重な時間を使うっていうなら藤堂さんだってそうなのに。むしろ社長の時間を私が使うほうがマズいんじゃ……。私が財布を出すよりも先に藤堂さんが支払いを済ませてくれる。こういう人こそスパダリって言葉が相応しい。
これだけのものを買ってもらったんだから私もなにかお礼がしたい。藤堂さんが喜ぶものってなんだろう? 藤堂さんはお金持ちだからなんでも手に入るよね。う~ん。難しい、な。
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