31 / 115
五章 遊園地で急接近!?
31話
しおりを挟む
「2名様ですね~、足元気をつけてお乗りください」
「ありがとうございます! 朱里、気をつけろよ」
「うん」
さりげなく手を差し出してくれる黒炎くんだけど、やっぱりどことなく焦っていて冷や汗をかいている。
そして、私たちは観覧車に乗り込んだ。普通はドキドキするはずなんだけど、今は黒炎くんの様子がおかしいことが気がかりで声をかける。
「黒炎くん。さっきは慌ててたみたいだけど、何かあったの?」
「知ってる奴らを見かけてな。気のせいだったらいいんだが、もし見つかったら……」
そのあと、黒炎くんは黙り込んでしまった。
沈黙がしばらく続いたあと、黒炎くんは「今更、俺になんの用があるっていうんだ」と独り言のように小さく呟いていた。
「もしかして会長さん?」
「会長だったら逃げたりしない」
「だ、だよね……」
私には黒炎くんが誰から逃げているのか皆目見当もつかず、的はずれな質問をしてしまう。
「……」
「……」
観覧車がゆっくりと上にあがる時間がやたら長く感じる。これほど沈黙な時間、いつぶりだろうか。
黒炎くんに話しかけたいけど、でも不快にさせてしまったら? 重い空気のせいで暗いことばかり考えてしまう。
だけど、窓から見える景色はそれを忘れさせた。
「ねぇ、黒炎くん。見て! 夕日がすっごく綺麗!」
もうすぐ日が沈む。あたりは茜色の空。それはとても綺麗で。毎日見ている景色なのに、今は目の前に黒炎くんがいる。好きな人と見る夕日はなんて素敵なんだろう。
「本当に綺麗だな。……朱里?」
「あのね、黒炎くん。実は私……」
こんなロマンチックな雰囲気で告白しないなんて駄目だ。今なら自分の気持ち、素直に言える気がする。二人だけの密室空間が私に勇気をくれた。
「私、黒炎くんのことが……!」
ガタッと立ち上がり、私は告白しようとした。
「朱里!? 急に立ち上がると……!」
「きゃ!?」
観覧車は頂上に達し、ガタッと揺れた。私は立ち上がっていたせいでバランスを崩し、黒炎くんのほうに身体が倒れてしまった。
「ん」
「んっ……!」
ふと柔らかい何かが当たっていると気付き目を開くと、私の唇は……黒炎くんの唇と重なっていた。
その日私は初めてのキスをした。
「ごめ、黒炎くん!」
私はバッと黒炎くんから離れて元の位置に座る。
「い、いや……怪我がなさそうで良かった」
口元を抑えてそっぽを向き、恥ずかしそうにしている黒炎くん。今、キスしちゃったんだよね? 不慮の事故とはいえ、これはあまりにも恥ずかしすぎる。
しかもファーストキスだったのに。好きな人とはいえ、あまりに急すぎて心の準備が出来てなかった。
黒炎くんは初めてだったのかな? ふとそんなことが頭によぎる。
初めてだったらいいのに……彼女でもない私がこんなことを言うのはお門違いかもしれないけれど。
黒炎くんの顔を見ると、相変わらずそっぽを向いて一向に目を合わせようとしてくれない。
私も一瞬なにが起こったのかわからなくて。目を開けると黒炎くんの顔が近くにあって……キスをした。
心拍数が早い。胸に手を当てるとドキドキしていて、さっきのことを思い出すだけで顔や耳が赤く染まっていくのがわかる。
あぁ、せっかく告白しようと思ったのに今はそれどころじゃない。黒炎くんだって今は聞いてくれそうにないし。
何もかもどうでもよくなって告白しようとしたのがいけなかったのかな? 黒炎くんのことを全て知ってから気持ちを伝えるべきだったのか。そのせいでバチが当たっちゃったのかな。
アカリちゃんのこともまだ全て理解したわけじゃない。
もっともっと黒炎くんのこと知らなくちゃ。きっと黒炎くんの心の闇は私が思ってる以上に深いから。
ーーー梅雨が明け、もうすぐ夏が始まろうとしていた。
「ありがとうございます! 朱里、気をつけろよ」
「うん」
さりげなく手を差し出してくれる黒炎くんだけど、やっぱりどことなく焦っていて冷や汗をかいている。
そして、私たちは観覧車に乗り込んだ。普通はドキドキするはずなんだけど、今は黒炎くんの様子がおかしいことが気がかりで声をかける。
「黒炎くん。さっきは慌ててたみたいだけど、何かあったの?」
「知ってる奴らを見かけてな。気のせいだったらいいんだが、もし見つかったら……」
そのあと、黒炎くんは黙り込んでしまった。
沈黙がしばらく続いたあと、黒炎くんは「今更、俺になんの用があるっていうんだ」と独り言のように小さく呟いていた。
「もしかして会長さん?」
「会長だったら逃げたりしない」
「だ、だよね……」
私には黒炎くんが誰から逃げているのか皆目見当もつかず、的はずれな質問をしてしまう。
「……」
「……」
観覧車がゆっくりと上にあがる時間がやたら長く感じる。これほど沈黙な時間、いつぶりだろうか。
黒炎くんに話しかけたいけど、でも不快にさせてしまったら? 重い空気のせいで暗いことばかり考えてしまう。
だけど、窓から見える景色はそれを忘れさせた。
「ねぇ、黒炎くん。見て! 夕日がすっごく綺麗!」
もうすぐ日が沈む。あたりは茜色の空。それはとても綺麗で。毎日見ている景色なのに、今は目の前に黒炎くんがいる。好きな人と見る夕日はなんて素敵なんだろう。
「本当に綺麗だな。……朱里?」
「あのね、黒炎くん。実は私……」
こんなロマンチックな雰囲気で告白しないなんて駄目だ。今なら自分の気持ち、素直に言える気がする。二人だけの密室空間が私に勇気をくれた。
「私、黒炎くんのことが……!」
ガタッと立ち上がり、私は告白しようとした。
「朱里!? 急に立ち上がると……!」
「きゃ!?」
観覧車は頂上に達し、ガタッと揺れた。私は立ち上がっていたせいでバランスを崩し、黒炎くんのほうに身体が倒れてしまった。
「ん」
「んっ……!」
ふと柔らかい何かが当たっていると気付き目を開くと、私の唇は……黒炎くんの唇と重なっていた。
その日私は初めてのキスをした。
「ごめ、黒炎くん!」
私はバッと黒炎くんから離れて元の位置に座る。
「い、いや……怪我がなさそうで良かった」
口元を抑えてそっぽを向き、恥ずかしそうにしている黒炎くん。今、キスしちゃったんだよね? 不慮の事故とはいえ、これはあまりにも恥ずかしすぎる。
しかもファーストキスだったのに。好きな人とはいえ、あまりに急すぎて心の準備が出来てなかった。
黒炎くんは初めてだったのかな? ふとそんなことが頭によぎる。
初めてだったらいいのに……彼女でもない私がこんなことを言うのはお門違いかもしれないけれど。
黒炎くんの顔を見ると、相変わらずそっぽを向いて一向に目を合わせようとしてくれない。
私も一瞬なにが起こったのかわからなくて。目を開けると黒炎くんの顔が近くにあって……キスをした。
心拍数が早い。胸に手を当てるとドキドキしていて、さっきのことを思い出すだけで顔や耳が赤く染まっていくのがわかる。
あぁ、せっかく告白しようと思ったのに今はそれどころじゃない。黒炎くんだって今は聞いてくれそうにないし。
何もかもどうでもよくなって告白しようとしたのがいけなかったのかな? 黒炎くんのことを全て知ってから気持ちを伝えるべきだったのか。そのせいでバチが当たっちゃったのかな。
アカリちゃんのこともまだ全て理解したわけじゃない。
もっともっと黒炎くんのこと知らなくちゃ。きっと黒炎くんの心の闇は私が思ってる以上に深いから。
ーーー梅雨が明け、もうすぐ夏が始まろうとしていた。
0
あなたにおすすめの小説
10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ
桜庭かなめ
恋愛
高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。
あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。
3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。
出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2026.1.21)
※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。
東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」
──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。
購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。
それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、
いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!?
否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。
気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。
ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ!
最後は笑って、ちょっと泣ける。
#誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
わたしたち、いまさら恋ができますか?
樹沙都
恋愛
藤本波瑠《ふじもとはる》は、仕事に邁進するアラサー女子。二十九歳ともなればライフスタイルも確立しすっかり独身も板についた。
だが、条件の揃った独身主義の三十路には、現実の壁が立ちはだかる。
身内はおろか取引先からまで家庭を持って一人前と諭され見合いを持ち込まれ、辟易する日々をおくる波瑠に、名案とばかりに昔馴染みの飲み友達である浅野俊輔《あさのしゅんすけ》が「俺と本気で恋愛すればいいだろ?」と、囁いた。
幼かった遠い昔、自然消滅したとはいえ、一度はお互いに気持ちを通じ合わせた相手ではあるが、いまではすっかり男女を超越している。その上、お互いの面倒な異性関係の防波堤——といえば聞こえはいいが、つまるところ俊輔の女性関係の後始末係をさせられている間柄。
そんなふたりが、いまさら恋愛なんてできるのか?
おとなになったふたりの恋の行方はいかに?
クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。
とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。
ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。
お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!
※特別編3が完結しました!(2025.12.18)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。
10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる