29 / 30
オリジョンは、幸せに暮らします、多分
しおりを挟む
金貸しのデンタは、様々な不正を行っていたらしく、領主様によって断罪されたらしい。
リン母娘の借金は領主様に正規の金額で支払う事になった。
もともとの元金から計算すると、ほぼ返済し終わっていた事になるらしく、残りはうちでお針子として働く賃金の前払いという形で貸し付け、返済を終えた。
住まいも俺の家の敷地にある借家に移し、次男の婚約者として祖母や母に教育されている。
まあ、時々のぞくが、ただの女子会と化しているので、そこまで厳しいものではないと思うが。
『オリジョンくん、何してるの?』
リンが、俺を探しにきたようだ。
『算盤を作ってる。』
俺は今、お爺様の工房で、そろばん作りに励んでいた。
子供の頃、母さんにやらせて貰ってた計算をもっと効率良くやりたかったのを思い出したのだ。
流石に電卓は作れないが、そろばんならば珠の数を揃えれば何とかなりそうだからな。
前世でそろばん塾に通ってた事があり、足し算・引き算はもちろんの事、掛け算・割り算も多分出来る。
こんな只の珠の羅列だが、かなり優秀な奴なのだ。
『サンバンってなあに?』
『計算が早く出来るようになる道具だよ。
仕上がったら教えてあげる。』
『ふうん?
良くわからないけど、オリジョンくんって凄いのね。
尊敬しちゃうな。』
『ああ、そうだ。
これ、リンにあげるよ。
リンの声みたいに可愛らしい音が鳴るんだ。』
『ありがとう?
あら、本当、可愛らしい音ね。
まるで、リン、リン、リン、って鳴ってるようだわ。
嬉しい。』
それは俺が作った鈴だった。
彼女の名前から想像して作ったのだ。
単純に喜ぶリンはとても可愛らしい。
近い将来、俺たちの子供を交えてこんな幸せな日々が過ごせると想像出来てしまう。
ああ、前世の父さん、母さん、央太は異世界に転生して、幸せに暮らしています。
これからも山あり谷ありの人生でしょうが、幸せに暮らします、多分。
だから、俺の心配はしないで下さいね。
そう思って、婚約者のリンを抱き寄せた。
Fin.
あとがき
これで一応、完結します。
彼の人生はまだまだ続きますので、番外編あるかも、です。
張った伏線は回収したつもりですが、気になった所があったら教えて頂けると嬉しいです。
読んでいただき、有り難う御座いました。
リン母娘の借金は領主様に正規の金額で支払う事になった。
もともとの元金から計算すると、ほぼ返済し終わっていた事になるらしく、残りはうちでお針子として働く賃金の前払いという形で貸し付け、返済を終えた。
住まいも俺の家の敷地にある借家に移し、次男の婚約者として祖母や母に教育されている。
まあ、時々のぞくが、ただの女子会と化しているので、そこまで厳しいものではないと思うが。
『オリジョンくん、何してるの?』
リンが、俺を探しにきたようだ。
『算盤を作ってる。』
俺は今、お爺様の工房で、そろばん作りに励んでいた。
子供の頃、母さんにやらせて貰ってた計算をもっと効率良くやりたかったのを思い出したのだ。
流石に電卓は作れないが、そろばんならば珠の数を揃えれば何とかなりそうだからな。
前世でそろばん塾に通ってた事があり、足し算・引き算はもちろんの事、掛け算・割り算も多分出来る。
こんな只の珠の羅列だが、かなり優秀な奴なのだ。
『サンバンってなあに?』
『計算が早く出来るようになる道具だよ。
仕上がったら教えてあげる。』
『ふうん?
良くわからないけど、オリジョンくんって凄いのね。
尊敬しちゃうな。』
『ああ、そうだ。
これ、リンにあげるよ。
リンの声みたいに可愛らしい音が鳴るんだ。』
『ありがとう?
あら、本当、可愛らしい音ね。
まるで、リン、リン、リン、って鳴ってるようだわ。
嬉しい。』
それは俺が作った鈴だった。
彼女の名前から想像して作ったのだ。
単純に喜ぶリンはとても可愛らしい。
近い将来、俺たちの子供を交えてこんな幸せな日々が過ごせると想像出来てしまう。
ああ、前世の父さん、母さん、央太は異世界に転生して、幸せに暮らしています。
これからも山あり谷ありの人生でしょうが、幸せに暮らします、多分。
だから、俺の心配はしないで下さいね。
そう思って、婚約者のリンを抱き寄せた。
Fin.
あとがき
これで一応、完結します。
彼の人生はまだまだ続きますので、番外編あるかも、です。
張った伏線は回収したつもりですが、気になった所があったら教えて頂けると嬉しいです。
読んでいただき、有り難う御座いました。
251
あなたにおすすめの小説
きっと幸せな異世界生活
スノウ
ファンタジー
神の手違いで日本人として15年間生きてきた倉本カノン。彼女は暴走トラックに轢かれて生死の境を彷徨い、魂の状態で女神のもとに喚ばれてしまう。女神の説明によれば、カノンは本来異世界レメイアで生まれるはずの魂であり、転生神の手違いで魂が入れ替わってしまっていたのだという。
そして、本来カノンとして日本で生まれるはずだった魂は異世界レメイアで生きており、カノンの事故とほぼ同時刻に真冬の川に転落して流され、仮死状態になっているという。
時を同じくして肉体から魂が離れようとしている2人の少女。2つの魂をあるべき器に戻せるたった一度のチャンスを神は見逃さず、実行に移すべく動き出すのだった。
女神の導きで新生活を送ることになったカノンの未来は…?
毎日12時頃に投稿します。
─────────────────
いいね、お気に入りをくださった方、どうもありがとうございます。
とても励みになります。
転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
余命半年のはずが?異世界生活始めます
ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明…
不運が重なり、途方に暮れていると…
確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?
【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……
ひらえす
ファンタジー
後にリッカと名乗る者は、それなりに生きて、たぶん一度死んだ。そして、その人生の苦難の8割程度が、神の不手際による物だと告げられる。
そんな前世の反動なのか、本人的には怠惰でマイペースな異世界ライフを満喫するはず……が、しかし。自分に素直になって暮らしていこうとする主人公のズレっぷり故に引き起こされたり掘り起こされたり巻き込まれていったり、時には外から眺めてみたり…の物語になりつつあります。
※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。
※残酷描写は保険です。
※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる