記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko

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誘拐犯との対面

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ドアを開けると、二人の視線が痛い程だった。
ヒロは俺の真後ろにいるので、まだ、この二人からは見えていないだろう。

『おい、俺はジーズー王国の国王だぞ。
いつまでこんな所に閉じ込めておくんだ。
さっさと解放しろ。』

やはり、尊大な言い方だな。
この男、本当に国王なのか? 

『申し訳ありませんが、確認が取れるまでお待ち下さい。

私は冒険者ギルドマスターのマティアスと申します。
お名前を伺いたいのですが。』

『ふん。
こんなに遠くて野蛮な国には、俺の名も伝わってはいないのだな。

良かろう。
俺は、ブランドンだ。
ブランドン陛下と呼びたまえ。』

『そちらの者の名前は?』

『ふん。
名も無き家来だ。』

威張りちらしていて、いけ好かない野郎だな。

『では陛下自ら、なぜこの国に来られたのですか?』

『俺の妻がこの国にいるとの情報があったからだ。
愛しい妻を迎えにきたのだ。
俺は優しいからな。』

『妻とは、一緒にいた女性の事で間違いないのですか?』

『ああ。
妻は突然拐かされたのだ。
妻の誘拐と、俺の不当な拘束で、この国はもう終わりだな。
お前たちは処刑だな。』

こんな奴が国王の国こそ、終ってるんじゃないか?
殴りたくなるのを、必死で堪えた。




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



『お前たちは処刑だな。』

マティアスさんの後ろに隠れるように立っていたら、そんな声が聞こえた。

この人、何言ってるの?
マティアスさんは、悪い事なんてしてないじゃない!

それに、妻って、私の事を言ってるんだよね?
こんな人知らないし、好きになんかなれっこない!!

もう、腹が立つ!!

『マティアスさんは悪い事なんてしてません!
処刑になんてなりませんよ!!』

怖いのも忘れて、前に出て言ってしまった。

『おお!
チヒロではないか?
探したぞ!!』

『私は、あなたの事なんか知りません!
私は、マティアスさんの嫁です!!』

『この者の嫁だと?!
一体、どういう事だ?!』

うう。
そんな、怖い顔したって、私はマティアスさんの嫁ですよ!!
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