【完結】婚約破棄された令嬢が冒険者になったら超レア職業:聖女でした!勧誘されまくって困っています

如月ぐるぐる

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19 プロポーズ 本心

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「あの皆さん? これは一体どういった状況なのでしょうか」

 ダンスパーティーからわたくしの勧誘合戦、そして横一列に並んだ男性たちが、わたくしに手を差し出してプロポーズを始めました。
 状況がさっぱり理解できません。

「それがですね聖女様」

 わたくしの疑問に、ギルドの受付嬢が答えてくれました。

「聖女様のウワサは随分前から聞いていて、美しい女性だと聞いた独身冒険者がこぞって結婚したいと言い出しまして……止めたのですが、抑えきれず……」

 なるほど、女性ならば誰でも良く、聖女ならば文句はない、と言った感じでしょうか。
 残念ながらわたくし、社交辞令でしか美しいと言われた事がありません。
 あ、ロビーはキレイだと言ってくれました。とてもうれしかったです。

「そういう事なのですね。理解しました、ならばわたくしからは一言だけ言わせていただきます」

 一呼吸おいて、男性たちに頭を下げます。

「申し訳ございませんが、お断りさせていただきます」

 するとどうでしょう、誰でもいいと言っておきながら、泣き崩れるではありませんか。
 大げさですね。ああ、ここまでが茶番なのでしょうか。
 
 茶番が終わり、パーティーがお開きになったので宿に入りました。
 聖国の方で屋敷を用意してくれるそうなので、明日からはそちらに移動です。
 この宿は小さいので、全員が個室です。今日は最後の宿生活を楽しむとしましょう。

 部屋のドアがノックされました。
 こんな夜分に誰でしょうか。警戒して扉を開けると……ロビーが居ました。

「ご、ごめんね? 夜遅くに。寝てた?」

「いいえ、まだ起きていました。どうしたのですか? こんな時間に」

「少し、話がしたいんだけど……いい?」

「どうぞ」

 部屋に招き入れ、ベッドに並んで座ります。
 ロビーはずっとうつむき、時々何かを言おうとして、またうつむきます。
 わたくしから声をかけた方が良いのでしょうか。
 冒険で何かあったのでしょうか、それともわたくしの料理がマズイ事でしょうか、それとも……。

「ふ、フラン!」

「はい、ロビー」

「あの、えっと、さ。ギルドで、沢山の人にプ、プロポーズされて、さ、困った人たちだよね、ほんと」

「そうですね。あの様な場で、見世物のように使われては、お付き合いなど出来るはずもありません」

「そ、そうだよね、ははは」

 またうつ向いてしまいました。
 どうしたのでしょうかロビーは。普段はこのように言い淀むことは無いのですが。

「どこか、体調がすぐれないのですか?」

「そ、そうじゃないんだ。そうじゃなくて」

 言葉を止めて深呼吸を始めました。
 やっと本題に入るのでしょうか。

「フラン! 大好きです! 僕とお付き合いしてください!」

 意を決して出した言葉の後、真っ直ぐにわたくしを見つめ、わたくしの返事を待っています。
 ああ、本気だったのですねロビーは。
 てっきり姉として、わたくしの事を気にかけているのだと思っていました。
 
「ロビー。ロビーの気持ち、本当にうれしく思います。わたくしもロビーの事が好きです」

「じゃ、じゃあ!」

「申し訳ありません。今はまだ、弟分としての好き、に留まっています」

 見る見るロビーの顔が崩れていきます。
 違うのです、そんな顔をしないでください。

「ロビー。以前わたくしの事をキレイだと言ってくれました。本当にうれしかったのです。社交辞令ではよく言われますが、素直な気持ちで、真っ直ぐに言われた事はありませんでした。それに今の言葉、正面から好きだと言われた事、生まれて初めての経験です」

「え? だってフランには婚約者が……」

「いいえ、婚約者と言っても政略的な物です。そこにわたくしの心などありません。公爵の娘だから、王太子が気に入ったから、それだけの理由なのです。好きなどと、一度も言われた事はありません」

「だって、フランはとっても優しくて、頼りになって、それに……キレイ……なのに」

「ふふふ、ありがとうございます。ですからわたくし、いまとってもドキドキしています。ロビーに好きと言われて、とっても幸せな気持ちなのです」

「でも、弟分だよ?」

「今はそうでしょう。ですが数年経てばどうでしょうか。ロビーは成長期。あっという間にわたくしより大きくなり、たくましくなるでしょう。弟に見えなくなった時、気持ちが変わっていなければ、もう一度、今の言葉を聞かせていただけますか? 改めてお返事させて頂きます」

「うん……分かったよフラン! 何年かたって、僕が男になった時、もう一度告白するよ!」

 そう言ってわたくしの手を握ってくれました。
 力強いですね。子供だと思っていましたが、やはり男の子です。

「ふふふ、ではわたくしも、嫌われないようにしなくてはいけませんね」

「大丈夫! 絶対に嫌いにならないから! それじゃあ、おやすみ!」

 元気に部屋を出て行きました。
 ベッドに横になり、握られた手を眺めます。
 いま受けてしまうと、わたくしは甘えてしまいます。
 まだなにも、冒険者としても、フランチェスカとしても、なにも出来ていません。
 聖女という肩書に頼るだけでは、ロビーに呆れられてしまいます。
 もう少しだけ、もう少しだけ待っていてくださいロビー。
 あなたの自慢できる仲間として、自慢できる恋人になれるまで、少しだけ……。
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