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29 対策 先手
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次の日になり、みんなで朝食を取りながら今後の対策を話し合いました。
と言っても単独行動を取らない、喋れないときの合図を決める、行き先は必ず誰かに伝える、など、簡単な物でした。
今はこの5人の安全を守る事を最優先と考えましょう。
「相手が何をして来るか分からない以上、その都度追加していくしかない。警戒を怠らず、連絡を密にしよう」
「そうですね。私達はどうしても後手に回ってしまいます。油断せずにまいりましょう」
相手が国、しかも王太子やそれを擁立する貴族達も関わっているとなると、ヘタに動く訳にも行きません。
向こうの出方を見て、その都度対処していきましょう。
「そうだよな~、しばらくは情報収集に明け暮れなきゃならねーし、冒険はお預けか~」
「何言ってんのよマット~。冒険者は情報に敏感じゃなきゃダメなのよ~?」
「わ、分かってるって」
話がひと段落したところで、静かだったロビーが口を開きました。
「ねぇ、国とか貴族相手だからって手加減する必要、ある?」
全員の食事をする手が止まりました。
普段大人しいロビーが過激な事を言ったのもありますが、本当は全員、何とかしたいと思っていたのです。
ですが相手が相手です、二の足を踏んでいました。
「手加減をしないと、俺達はグラストリム帝国から追われる身になってしまう。3年前のフランは取るに足らない存在だったが、聖女としての名が広まった今、他国からも狙われる可能性があるんだぞ?」
「それはもちろん分かってるよ。手加減しないっていうのは、こちらが常に先手を取れないかって事」
「話を聞きましょう」
まず行った事は、冒険者ギルドでロビーが誘拐された事を広める事でした。
本来ならば隠しておきたい不手際ですが、あえて公表します。
それによって街の冒険者、ひいてはサザンクロス聖国に居る冒険者全てに話が行くでしょう。
聖王や王太子の耳にも入れば、グラストリム帝国に牽制するかもしれません。
それが終わると私達はグラストリム帝国にやってきました。
あえてグラストリム帝国領内で依頼を受けるのです。
とはいえ、直ぐにでも逃げれる準備はしなくてはなりません。
国境をまたぎ、最初の街に到着しました。
懐かしいですね、私が冒険者となり、一般常識というものを教わった街です。
今ではすっかり一般常識を……たまに知らない事もありますが、それなりにマスターしております。
冒険者ギルドに入ると、懐かしい人が居ました。
「ん? あれ? お前……フランチェスカか! おいおい、随分と久しぶりじゃないか?」
「お久しぶりです、リズ様。その節はお世話になりました」
「わひゃひゃひゃ、ウワサは聞いてるぜ聖女様。まさかあの世間知らずが聖女だもんな、思わず酒樽をひっくり返しちまったぜ」
乱雑な赤髪 日焼けした肌 露出の高い服装のギルドお抱え職人、リズ様です。
この女性には色々な事を教わりましたので、今でも頭が上がりません。
「ふふふ。ちなみに私のウワサとは、どのような物でしょうか」
「そうだな。ネオパーティーの誘いを断ったとか、いきなり婚活パーティーになったとか、実はお前は女が好きなんじゃないかとか、サザンクロス聖国の王太子に求婚されたとか?」
何でしょうか、一つ不穏な物が混ざっていますね。
女性は嫌いではありませんが、流石に対象になるのは男性です。
「流石にアレクサンダー王太子には求婚されておりません。あと、恋愛対象は男性です」
「お? そうだったか。残念だったな、実は俺、お前の事を狙ってたんだぜ?」
「ええ存じております。いい金づるですものね」
「うひゃひゃひゃ! なんでぇバレてたのかよ」
相変わらず男性みたいな女性ですね。
ではそろそろカマをかけてみましょう。
「それでリズ様、私が来たのです、もう連絡は済みましたか?」
「あん? 連絡だぁ? ……おお、そうだそうだ、連絡するから2階の会議室で待っててくれ」
「分かりました」
そう言ってリズ様は背中を向けてどこかへ行ってしまいました。
あの反応ならば問題は無いようですが。
まずは会議室に向かいましょう。
「あの姉さん元気だな。にしてもスゲー格好してたけど、恥ずかしくねーのか?」
「リズ様は恥ずかしがっては居ないでしょう。むしろ健康的に見えますから」
2階の会議室に入り、イスに座って待っているとリズ様が入ってきました。
その手にはお茶とお菓子が乗ったトレーを持っています。
「お待たせ。まあこれでも食ってくれ」
リズ様に給仕をさせる訳にもいかず、みんな自分で運びました。
「んで? 何があったんだ」
相変わらず話の早いお方です。
と言っても単独行動を取らない、喋れないときの合図を決める、行き先は必ず誰かに伝える、など、簡単な物でした。
今はこの5人の安全を守る事を最優先と考えましょう。
「相手が何をして来るか分からない以上、その都度追加していくしかない。警戒を怠らず、連絡を密にしよう」
「そうですね。私達はどうしても後手に回ってしまいます。油断せずにまいりましょう」
相手が国、しかも王太子やそれを擁立する貴族達も関わっているとなると、ヘタに動く訳にも行きません。
向こうの出方を見て、その都度対処していきましょう。
「そうだよな~、しばらくは情報収集に明け暮れなきゃならねーし、冒険はお預けか~」
「何言ってんのよマット~。冒険者は情報に敏感じゃなきゃダメなのよ~?」
「わ、分かってるって」
話がひと段落したところで、静かだったロビーが口を開きました。
「ねぇ、国とか貴族相手だからって手加減する必要、ある?」
全員の食事をする手が止まりました。
普段大人しいロビーが過激な事を言ったのもありますが、本当は全員、何とかしたいと思っていたのです。
ですが相手が相手です、二の足を踏んでいました。
「手加減をしないと、俺達はグラストリム帝国から追われる身になってしまう。3年前のフランは取るに足らない存在だったが、聖女としての名が広まった今、他国からも狙われる可能性があるんだぞ?」
「それはもちろん分かってるよ。手加減しないっていうのは、こちらが常に先手を取れないかって事」
「話を聞きましょう」
まず行った事は、冒険者ギルドでロビーが誘拐された事を広める事でした。
本来ならば隠しておきたい不手際ですが、あえて公表します。
それによって街の冒険者、ひいてはサザンクロス聖国に居る冒険者全てに話が行くでしょう。
聖王や王太子の耳にも入れば、グラストリム帝国に牽制するかもしれません。
それが終わると私達はグラストリム帝国にやってきました。
あえてグラストリム帝国領内で依頼を受けるのです。
とはいえ、直ぐにでも逃げれる準備はしなくてはなりません。
国境をまたぎ、最初の街に到着しました。
懐かしいですね、私が冒険者となり、一般常識というものを教わった街です。
今ではすっかり一般常識を……たまに知らない事もありますが、それなりにマスターしております。
冒険者ギルドに入ると、懐かしい人が居ました。
「ん? あれ? お前……フランチェスカか! おいおい、随分と久しぶりじゃないか?」
「お久しぶりです、リズ様。その節はお世話になりました」
「わひゃひゃひゃ、ウワサは聞いてるぜ聖女様。まさかあの世間知らずが聖女だもんな、思わず酒樽をひっくり返しちまったぜ」
乱雑な赤髪 日焼けした肌 露出の高い服装のギルドお抱え職人、リズ様です。
この女性には色々な事を教わりましたので、今でも頭が上がりません。
「ふふふ。ちなみに私のウワサとは、どのような物でしょうか」
「そうだな。ネオパーティーの誘いを断ったとか、いきなり婚活パーティーになったとか、実はお前は女が好きなんじゃないかとか、サザンクロス聖国の王太子に求婚されたとか?」
何でしょうか、一つ不穏な物が混ざっていますね。
女性は嫌いではありませんが、流石に対象になるのは男性です。
「流石にアレクサンダー王太子には求婚されておりません。あと、恋愛対象は男性です」
「お? そうだったか。残念だったな、実は俺、お前の事を狙ってたんだぜ?」
「ええ存じております。いい金づるですものね」
「うひゃひゃひゃ! なんでぇバレてたのかよ」
相変わらず男性みたいな女性ですね。
ではそろそろカマをかけてみましょう。
「それでリズ様、私が来たのです、もう連絡は済みましたか?」
「あん? 連絡だぁ? ……おお、そうだそうだ、連絡するから2階の会議室で待っててくれ」
「分かりました」
そう言ってリズ様は背中を向けてどこかへ行ってしまいました。
あの反応ならば問題は無いようですが。
まずは会議室に向かいましょう。
「あの姉さん元気だな。にしてもスゲー格好してたけど、恥ずかしくねーのか?」
「リズ様は恥ずかしがっては居ないでしょう。むしろ健康的に見えますから」
2階の会議室に入り、イスに座って待っているとリズ様が入ってきました。
その手にはお茶とお菓子が乗ったトレーを持っています。
「お待たせ。まあこれでも食ってくれ」
リズ様に給仕をさせる訳にもいかず、みんな自分で運びました。
「んで? 何があったんだ」
相変わらず話の早いお方です。
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