【完結】婚約破棄された令嬢が冒険者になったら超レア職業:聖女でした!勧誘されまくって困っています

如月ぐるぐる

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71 扉 新種のトゲ

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「僕が先頭に立って新種の攻撃をさばくから、みんなは後方から支援してください!」

「わかった!」

「すまんのう、若いもんに負担をかけて」

 ロビーが先頭に立ち、新種の攻撃をさばいている間、わたくし達は後方からの支援攻撃を行います。
 魔法、弓、爆弾など、様々な攻撃を仕掛けますが全て避けられてしまいます。
 やはり未来視が出来る聖女のスキル【先見の明せんけんのめい】がある限り、アイツに攻撃を当てる事は出来ないのでしょうか。
 相手がロビーの反撃に驚いている今がチャンスなのですが……。

 新種の黒い悪魔は相変わらず体中のトゲを伸ばし、中々本体には攻撃が届きません。
 ロビーの【後の先ごのせん】が発動している理由を知りたいのですが、それはロビーにしか分からないでしょう。
 ならばわたくし達は、新種がどうやってスキルを無効化しているのか、そちらを探った方がよさそうです。

「おじいさん、あの上の扉、敵が出てくるわけでもないのに、ずっと空きっぱなしですねぇ」

「そうじゃな、アレが無くなったらどうなるのか興味があるわい。よっ」

 祖父勇者がジャンプし、悪魔たちが出てきた巨大な扉へ攻撃しました。
 どこかに繋がっている扉ですが、果たして破壊は可能なのでしょうか?
 扉の前に到着し、扉へ向けて攻撃を開始……したのですが、どうやら実体がないらしく、剣は空を切っているようです。

「ぬぬ? あいつらはこんな物から出てきたのか。実体が無いのなら、アイツらに頼むとしよう!」

 剣を腰にしまい、体の前で両手を合わせると、何かを唱え始めます。
 ん? あれは霊媒師シャーマンの術でしょうか?
 祖父勇者の背中から複数の手が現れ、背中を何かがよじ登ってきます。

「初めて見ましたが、あれが霊媒師シャーマンのスキルでしょうか」

「ええそうよ。実体のない物への攻撃は、オバケさんにお願いした方が早いのよ」

 オバケさん……可愛く言っていますが幽霊ですよね?
 祖父勇者の背中から無数の幽霊が現れ、扉へと移っていきます。
 扉にまとわりついた幽霊たちは、扉を破壊しようとしているように見えますが……どうやら幽体の中にも強度があるのでしょうか、中々破壊できそうにありません。

 しかも勇者が一人減った事で、こちらの手が足りなくなり、攻撃をさばくのが難しくなってきました。
 ど、どちらを優先すべきでしょうか!?

「もう少し頑張るのじゃ! コレを壊せばいい事がある! ワシの勘がそう告げておる!」

 祖父勇者が叫んでいます。
 カンですか……いいでしょう、そのカン、信じましょう!

「おい親父! とっとと壊すなり何なりしろよ! でなきゃ勇者を引退させるぞ!」

 勇者とは引退できる物なのでしょうか……親子とはいえ酷い言い方に聞こえますが……おや? ロビーが微笑んでいますね、それに祖父勇者も……よくわかりません。

 扉は任せて、わたくし達は新種の悪魔に集中しましょう。

 同じことを繰り返していては不利な状況を打開できません。
 なので少し違った事をしてみます。
 先輩聖女2人に目配せをし、3人そろって新種を囲むように移動します。
 その間もトゲが伸びてきますが、何とかロビーが大半を負担してくれているので、こちらに被害は出ませんでした。

 祖母聖女は調教師テイマースキルを、母聖女は探索者トレジャーハンタースキルを使用します。
 わたくし盗賊ファントムスキルです。

 調教師テイマースキルでの虫を操り、トゲの隙間から新種に攻撃を仕掛けます。
 大量の虫が新種の体を登ってく姿は、見ていてもおぞましいですね。
 探索者トレジャーハンタースキルでは新種の状態観察をし、新種の体に何が起きているのかを探知します。
 わたくし盗賊ファントムスキルですが、地形を利用して罠をはれないかを探っています。

 直接攻撃に使える罠でなくとも、動きを鈍らせることが出来れば上々です。

 一番効果があったのは虫の攻撃です。
 直接のダメージは無くとも、明らかに動きが鈍くなり、顔にまとわりつく虫を払うために、トゲを簡単に伸ばせなくなりました。
 そして罠ですが、溶岩が固まった石は中身がスカスカで、一か所に力を集めれば、簡単に穴をあける事が出来そうです。

 なので新種の足元に魔法を集中攻撃し、下半身を埋める事が出来ました。

 よし! こうなればいくら【先見の明】や【後の先】が使えても、体が動かなければ意味がありません!
 一斉に攻撃を仕掛け、勇者の剣が、聖女の魔法が新種に襲い掛かります。

 固く甲高い音が鳴り響き、それぞれの攻撃が新種を捉えた……いえ、これはどうした事でしょうか、新種のトゲが……トゲが腕になっています。
 体から無数に生えていたトゲは腕となり、勇者の剣を受け止め、聖女の魔法を腕を犠牲にして消し去りました。
 しかも破壊された腕は抜け落ち、新たな腕が生えてきます。

「くそっ! 結局はスキルがある限り、どうしようもないって事なのかよ!」

 その時、そらでは祖父勇者の幽霊が、扉を完全に覆いつくそうとしていました。
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