【完結】婚約破棄された令嬢が冒険者になったら超レア職業:聖女でした!勧誘されまくって困っています

如月ぐるぐる

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72 扉 決着

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 祖父勇者が上空の扉に幽霊たちをまとわり付かせ、遂には完全に扉が見えなくなりました。
 するとどうでしょう、聖女スキル【先見の明せんけんのめい】が使えるようになるではありませんか!

「おお! やったな親父! 流石は元勇者だ!」

「わしゃ現役じゃわい!」

 そんなやり取りをしていますが、どうやら勇者のスキル【後の先ごのせん】も使えるようになったようです。
 今までとは打って変わり、新種の悪魔の攻撃を楽にかわせるどころか、父勇者とロビーは完全に攻勢に出ています。

「すごい! 流石は先達勇者の勘はあてになりますね!」

「はーっはっは! 褒めろ褒めろ!」

 上空と地上でやり取りをしていますが、声が聞えているのでしょうか?
 そんな疑問をいだきながら、新種を追い詰めていきます。
 しかしおかしいですね、扉が塞がれてスキルが使えるようになったという事は、あの扉から妨害する何かが出ていたという事です。
 しかし新種は未だに【後の先】【先見の明】を使ってきます。
 スキルは固有のモノなのでしょうか。

 しかしスキルは使えても、その数が違います。
 こちらは勇者2人聖女3人なので、手数からして違います。
 徐々に追い詰めて、新種のトゲが全く脅威ではなくなったころ、新種は逃げ出しました。

「ちっ! 逃がすか!」

「アナタ! 新種はお義父さんを狙っているわ!」

 新種は空を飛び、上空で扉を塞いでいる祖父勇者へと向かっていきます。
 くっ! 空を飛ばれてはわたくしではどうしようもありません!

 地上から援護射撃をしていますが、自在に動き回る新種には、あまり効果がありません。
 皮肉な物ですね、【先見の明】で先読みしているのに、相手も同じスキルを使うから結局は意味がありません。
 
 空では空中戦が繰り広げられていますが、全身トゲだらけの新種を相手に苦戦しています。
 祖父勇者も霊媒師シャーマンの力を維持できず、扉から幽霊たちが離れて行くではありませんか。
 あれが開かれると、またわたくし達はスキルを使えなくなってしまいます!

「フラン! 僕たちで押さえるんだ!」

「ええ、祖父勇者の代わりに!」

 わたくしとロビーで霊媒師シャーマンのスキルを使用し、幽霊を呼び、扉にまとわりつかせます。
 するとどうでしょう、次はわたくしを目がけて新種が襲い掛かってきます。
 やはり扉が塞がれると、人数差で不利だと言う事ですね。

 ならば扉を幽霊でふさぎ切って見せましょう!

「フランはそのまま維持をして! 僕があいつを抑えるから!」

「任せます!」

 ロビーがわたくしの前に立ち、上空から急降下してくる新種のトゲ攻撃を剣で受け止めます。
 しかし新種の攻撃は止まらず、全身のトゲを伸ばしてわたくしへ向けて攻撃を続けていますが……おかしいですね、ロビーが全て受け止めています。
 【後の先】はカウンター攻撃です。【先見の明】とは違い未来視ではありません。

 なのにどうしてそこまで新種の攻撃を防げるのですか?

 疑問に思いましたが、空からは先達たちが戻ってきて、ロビーと共に攻撃を再開します。
 わたくしは引き続き幽霊で扉を塞いでいましょう。
 攻撃は祖父勇者に任せた方がよいでしょうから。

 新種のトゲの数が増えました。
 どうやら短期決戦に出た様です。
 皆の剣と魔法が入り乱れ、新種のトゲは一層激しく暴れています。
 伸びたトゲが手になり掴みかかってきますが、そこは人数が多いこちらはフォローがききます。

 わたくしにも攻撃が来る時がありますが、わたくし単体の防御であれば【先見の明】で簡単に避ける事が可能です。

 上空では幽霊が玉のように固まり、すっかり扉を封じ込めてしまいました。
 そして地上では、新種の体に傷が増え、トゲを伸ばす前に防御され始めています。
 伸ばす前に? 【先見の明】で予測しているのでしょうか。
 いえ……止めているのはロビーです。

 何があったのでしょうか。

 新種のトゲ攻撃が通用しなくなった今、わたくし達の脅威は無くなったといって良いでしょう。
 そして遂に……勇者たち3人の剣が新種の体に突き刺さりました。
 新種は暴れ、剣を引き抜こうとしますが、その背後から聖女2人が頭に剣を刺した事で動きが止まります。

 剣を抜こうとしていた手はダラリと下がり、全身から力が抜け……地面に倒れ込みました。

 終わった……のですか?
 
「倒した……のかな」

「倒したんじゃないか?」

「倒したじゃろ」

「いえいえお爺さん、ここはしっかりとどめを刺しておかないと」

「そうですよね、エイ!」

 母聖女がおもむろに大地から角を生やして新種を串刺しにし、火炎魔法で火を放ちました。
 ……容赦ないですね。

 新種の体はパチパチを音を立ても燃え、ボロボロと落ちていきます。
 するとフッと私にのしかかっていた力が消え去ります。
 空を見ると、幽霊で押さえこんでいた扉が消えた様です。
 幽霊たちは対象を見失い、あちこちを漂っていますね。

「扉が……消えました」

 これで完全に、終わったようです。
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