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73 親として
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異世界からの侵略者を倒し、今回も無事にこの世界を護りきりました。
それにしてもスキルを封印され、相手のみがスキルを使用してくるというのは、想像以上に恐ろしい戦いでした。
今後はスキル頼みの戦いではなくもっと素の技量を――。
「フラン! やった、やったよ僕たち! 勝ったんだよ!」
ロビーが抱き付いてきました。
大きな体で私を包み込み、涙まで流しています。
そうですね、今は素直に勝利を喜びましょう。
「お疲れ様ですロビー。あなたの活躍、カッコよかったですよ」
ロビーの背中に腕を回し、顔を上げてロビーの顔を見ます。
……照れていますね。顔が真っ赤です。
ふふっ、こういう所はまだまだ可愛いですね。
少しだけお姉さんぶらせてもらいましょう。
「ええのぅ若いもんは。婆さんもワシに惚れ直したじゃろ? ほれほれ、抱き付いてこんかい」
「やですよぅお爺さん、そんなシワシワな顔して何言ってるんですか?」
そう言って祖母聖女は、祖父勇者の地肌が見える頭にキスをしました。
「いい歳なんですから、これで我慢してくださいねぇ」
そんな祖父祖母を、父勇者と母聖女は並んで座って眺めています。
「俺の親はいつまでたっても変わらんな」
「アナタも似たようなものですけどね」
「え? 俺はもっと落ち着いてるだろ?」
「この前、もう1人子供が欲しいって言ったの、誰でしたっけ?」
「レッドが帰ってこないから寂しいんだよぉ!」
父勇者は思った以上に甘えん坊さんでした。
先輩勇者・聖女達は家に戻り、私とロビーはサザンクロス聖国へと戻ってきました。
ああ……それほど時間は経っていませんが、懐かしい感じがします。
やっと帰ってきた、そんな気分ですね。
「入国手続きはこちらで~……ああ! あなた方は勇者様と聖女様ではありませんか!?」
入国手続きをしようとしたら、門番さんに叫ばれてしまいました。
大げさですね、入国なんて何度もしているのに。
不思議そうな顔をしていると、ロビーが頭をかきながら私を見ました。
「フラン、僕たちってさ、姿をくらませて国を出たじゃない? だから驚いてるんじゃないかな」
「……あ、言われてみればそうでしたね。誰にも言わずに国を出たのでした」
勇者と聖女が結婚し、国はずっとお祭りムードだった最中に消えたので、かなり混乱を招いてしまったかもしれません。
とは言え理由を素直に言う訳にもいきませんし、なんと説明しましょうか。
「2人でふらっと旅に出たくなったって言ったら、信じてもらえるかな」
「それは無理でしょうね。盗賊のスキルを使って国を出たのです。計画的以外の説明がつきません」
「あ~……」
とは言え、まぁ何とかなるでしょう!
城で心配され、神殿では説教され、冒険者ギルドではパーティーが開かれました。
何でしょうかこの温度差は。
「お2人の帰還の無事を祝って、カンパーイ!」
「「カンパーイ!!!」」
何度目の乾杯でしょうか。
それだけ喜んでくれているというのは嬉しいですが。
「はぁ……疲れた」
「おいおい何言ってんだって、主役が疲れてどーすんだよ」
あちこちに引っ張り回され、ロビーが疲れた顔でイスに座っていると、マットがロビーの背中を強く2回たたきました。
その隣にはケイとレッドもいます。
「勝手に出て行った上にぃ~、ヒョイっと帰ってきたんだよ~? みんなは心配したんだからね~?」
「まったくだ。俺達でさえ最初は戸惑ったからな」
「だからそれはゴメンってば」
皆が私達の周りに集まってきました。
昨晩理由を話たのですが、異世界からの侵略者の撃退に行ったというと、酷く怒られてしまいました。
侵略者の話はしてありましたが、まさか今とは思っていなかった様です。
……言う訳にもいきませんでしたから。
私達の帰還パーティ-は三日三晩続き、異世界からの侵略者との戦いとは別の意味で疲れてしまいました。
そして今は、先輩勇者・聖女の自宅へ来ています。
「あれから考えていたんじゃがな、ロビー君の勇者スキル、あれは世界がワシらを救うために手を差し伸べてくれたんじゃないか、そんな気がしておるのじゃ」
「世界が、でしょうか。随分と荒唐無稽な気も致しますが」
「それでしか説明がつかんのじゃ。話を総合すると、勇者の後継ぎが双子で生まれ、片方を追放したらもう片方が勇者の力で呪い殺し、その力の一部が何年も漂い、フランちゃんが国を逃げ、ロビー君たちのパーティーに参加し、レッドと出会い、孫のブラックとの戦いで勇者スキルを獲得した。偶然にしては出来過ぎとは思わんか?」
「でも勇者スキルは僕じゃなくても、他の誰かが使えるようになっていたかもしれませんよ?」
「それはないんだ。勇者の能力は特性が無いと使えない。レッドでも使えないんだからね」
それもそうですね。正当な勇者の後継者・ホワイトを呪い殺す際の良心のカケラは、レッドではなくロビーを選びました。
血統だけで決まるわけでも無いようですね。
「でもね、今後も世界が助けてくれるなんて都合のいい事、考えない方がいいわ」
「今回が最初で最後……私達は自分の能力を知らなさ過ぎたのよ」
確かのその通りです。
スキルを磨きはしましたが、どういうスキルなのか、なぜ使えるのか、どういった特性があるのか……詳しい事は何も知りません。
それを知らなかったからこそ、今回は酷い苦戦を強いられたのですから。
「では勇者・聖女会議の次の議題じゃ! このスキルは一体なんぞや?」
その結論が出るのは未来の事でした。
具体的に言うと、私とロビーのひ孫の世代に解明が終わり、それと同時に新たなスキルを習得する事に成功しました。
そしてそれを待っていたかのように現れる侵略者。
新スキルのお陰で大した苦労もなく倒すことが出来ましたが、このスキルも放っておけばコピーされてしまうでしょう。
どうやらいたちごっこは終わらないようですね。
きっと私達の子孫達は世界を護り通してくれるでしょう。
私の腕の中で眠る6人目の子供を見ていると、不思議とそんな安心感があります。
外ではマットとケイの、そしてレッドの子供達と遊ぶ我が子たちが、人知れず世界を救う事になるなんて……親としてこれ程嬉しい事はありません。
「ふぅ~、やっぱ子供と遊ぶのは楽しいな!」
「それは~、マットが子供だからかな~?」
「こら、俺の体を登るな! ああいや、怒ったわけじゃないからな? 泣くなよ」
「あ! 赤ちゃんだ! ねぇねぇフランおかあさん、おっぱいのんだの?」
「ええ、たくさん飲んで、ぐっすり寝ていますよ」
「ほぉほぉ、たくさん飲んだんだな? でも夜はロビーがいっぱい飲むんじゃガフ!?」
「マットうるさいよ」
ロビーの拳がマットの脳天に直撃しました。
この2人は相変わらず仲が良いですね。
「さあみんな、手を洗ってきてください。そろそろ昼食ができますから」
「「はーい」」
こんな幸せな日々が、ずっと続けばいい、そう願ってやみません。
Fin
それにしてもスキルを封印され、相手のみがスキルを使用してくるというのは、想像以上に恐ろしい戦いでした。
今後はスキル頼みの戦いではなくもっと素の技量を――。
「フラン! やった、やったよ僕たち! 勝ったんだよ!」
ロビーが抱き付いてきました。
大きな体で私を包み込み、涙まで流しています。
そうですね、今は素直に勝利を喜びましょう。
「お疲れ様ですロビー。あなたの活躍、カッコよかったですよ」
ロビーの背中に腕を回し、顔を上げてロビーの顔を見ます。
……照れていますね。顔が真っ赤です。
ふふっ、こういう所はまだまだ可愛いですね。
少しだけお姉さんぶらせてもらいましょう。
「ええのぅ若いもんは。婆さんもワシに惚れ直したじゃろ? ほれほれ、抱き付いてこんかい」
「やですよぅお爺さん、そんなシワシワな顔して何言ってるんですか?」
そう言って祖母聖女は、祖父勇者の地肌が見える頭にキスをしました。
「いい歳なんですから、これで我慢してくださいねぇ」
そんな祖父祖母を、父勇者と母聖女は並んで座って眺めています。
「俺の親はいつまでたっても変わらんな」
「アナタも似たようなものですけどね」
「え? 俺はもっと落ち着いてるだろ?」
「この前、もう1人子供が欲しいって言ったの、誰でしたっけ?」
「レッドが帰ってこないから寂しいんだよぉ!」
父勇者は思った以上に甘えん坊さんでした。
先輩勇者・聖女達は家に戻り、私とロビーはサザンクロス聖国へと戻ってきました。
ああ……それほど時間は経っていませんが、懐かしい感じがします。
やっと帰ってきた、そんな気分ですね。
「入国手続きはこちらで~……ああ! あなた方は勇者様と聖女様ではありませんか!?」
入国手続きをしようとしたら、門番さんに叫ばれてしまいました。
大げさですね、入国なんて何度もしているのに。
不思議そうな顔をしていると、ロビーが頭をかきながら私を見ました。
「フラン、僕たちってさ、姿をくらませて国を出たじゃない? だから驚いてるんじゃないかな」
「……あ、言われてみればそうでしたね。誰にも言わずに国を出たのでした」
勇者と聖女が結婚し、国はずっとお祭りムードだった最中に消えたので、かなり混乱を招いてしまったかもしれません。
とは言え理由を素直に言う訳にもいきませんし、なんと説明しましょうか。
「2人でふらっと旅に出たくなったって言ったら、信じてもらえるかな」
「それは無理でしょうね。盗賊のスキルを使って国を出たのです。計画的以外の説明がつきません」
「あ~……」
とは言え、まぁ何とかなるでしょう!
城で心配され、神殿では説教され、冒険者ギルドではパーティーが開かれました。
何でしょうかこの温度差は。
「お2人の帰還の無事を祝って、カンパーイ!」
「「カンパーイ!!!」」
何度目の乾杯でしょうか。
それだけ喜んでくれているというのは嬉しいですが。
「はぁ……疲れた」
「おいおい何言ってんだって、主役が疲れてどーすんだよ」
あちこちに引っ張り回され、ロビーが疲れた顔でイスに座っていると、マットがロビーの背中を強く2回たたきました。
その隣にはケイとレッドもいます。
「勝手に出て行った上にぃ~、ヒョイっと帰ってきたんだよ~? みんなは心配したんだからね~?」
「まったくだ。俺達でさえ最初は戸惑ったからな」
「だからそれはゴメンってば」
皆が私達の周りに集まってきました。
昨晩理由を話たのですが、異世界からの侵略者の撃退に行ったというと、酷く怒られてしまいました。
侵略者の話はしてありましたが、まさか今とは思っていなかった様です。
……言う訳にもいきませんでしたから。
私達の帰還パーティ-は三日三晩続き、異世界からの侵略者との戦いとは別の意味で疲れてしまいました。
そして今は、先輩勇者・聖女の自宅へ来ています。
「あれから考えていたんじゃがな、ロビー君の勇者スキル、あれは世界がワシらを救うために手を差し伸べてくれたんじゃないか、そんな気がしておるのじゃ」
「世界が、でしょうか。随分と荒唐無稽な気も致しますが」
「それでしか説明がつかんのじゃ。話を総合すると、勇者の後継ぎが双子で生まれ、片方を追放したらもう片方が勇者の力で呪い殺し、その力の一部が何年も漂い、フランちゃんが国を逃げ、ロビー君たちのパーティーに参加し、レッドと出会い、孫のブラックとの戦いで勇者スキルを獲得した。偶然にしては出来過ぎとは思わんか?」
「でも勇者スキルは僕じゃなくても、他の誰かが使えるようになっていたかもしれませんよ?」
「それはないんだ。勇者の能力は特性が無いと使えない。レッドでも使えないんだからね」
それもそうですね。正当な勇者の後継者・ホワイトを呪い殺す際の良心のカケラは、レッドではなくロビーを選びました。
血統だけで決まるわけでも無いようですね。
「でもね、今後も世界が助けてくれるなんて都合のいい事、考えない方がいいわ」
「今回が最初で最後……私達は自分の能力を知らなさ過ぎたのよ」
確かのその通りです。
スキルを磨きはしましたが、どういうスキルなのか、なぜ使えるのか、どういった特性があるのか……詳しい事は何も知りません。
それを知らなかったからこそ、今回は酷い苦戦を強いられたのですから。
「では勇者・聖女会議の次の議題じゃ! このスキルは一体なんぞや?」
その結論が出るのは未来の事でした。
具体的に言うと、私とロビーのひ孫の世代に解明が終わり、それと同時に新たなスキルを習得する事に成功しました。
そしてそれを待っていたかのように現れる侵略者。
新スキルのお陰で大した苦労もなく倒すことが出来ましたが、このスキルも放っておけばコピーされてしまうでしょう。
どうやらいたちごっこは終わらないようですね。
きっと私達の子孫達は世界を護り通してくれるでしょう。
私の腕の中で眠る6人目の子供を見ていると、不思議とそんな安心感があります。
外ではマットとケイの、そしてレッドの子供達と遊ぶ我が子たちが、人知れず世界を救う事になるなんて……親としてこれ程嬉しい事はありません。
「ふぅ~、やっぱ子供と遊ぶのは楽しいな!」
「それは~、マットが子供だからかな~?」
「こら、俺の体を登るな! ああいや、怒ったわけじゃないからな? 泣くなよ」
「あ! 赤ちゃんだ! ねぇねぇフランおかあさん、おっぱいのんだの?」
「ええ、たくさん飲んで、ぐっすり寝ていますよ」
「ほぉほぉ、たくさん飲んだんだな? でも夜はロビーがいっぱい飲むんじゃガフ!?」
「マットうるさいよ」
ロビーの拳がマットの脳天に直撃しました。
この2人は相変わらず仲が良いですね。
「さあみんな、手を洗ってきてください。そろそろ昼食ができますから」
「「はーい」」
こんな幸せな日々が、ずっと続けばいい、そう願ってやみません。
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