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第五話
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代理人の馬車に乗り、私がうつむいたまま馬車が走り出した。
この代理人さん、私が何の罪で捕まるのか知ってるのよね?
それにしては全然拘束しないのはなんでだろう。
「シルビア」
「は、はひ!?」
「そんなにビクビクする事はありません。エクサ子爵は寛大な御方だから、正直に今までの事を話せば悪いようにはならないはずですよ」
「わ、わかりました」
そうね、これ以上罪を重ねる事は無いし、全てを話してしまった方がいいわよね。
ええそうよ、男爵家が無くなったのは、何も私だけの責任じゃないはず。
素直に話せば減刑されるかもしれないわ。
元の男爵領に戻り、久しぶりにお屋敷に戻ってきた。
ああ、私がいた頃よりもきれいになってるわ、代理人さんやメイドさん達がキレイに手入れをしたのね。
お屋敷の中もとてもキレイになっていて、私がいた頃とは別の家みたいだ。
そして執務室前までくると、代理人さんがドアをノックした。
「旦那様、シルビアを連れてまいりました」
「どうぞ」
扉を開けると執務室はキレイに整頓され、机には少し小太りの中年男性が座っていた。
どちらかというと穏やかな、優しそうな人だ。
この人がエクサ子爵?
「はじめてお目にかかります。シルビアと申します」
「よく来てくれたね。まぁ座りたまえ」
エクサ子爵はイスから立ち上がり、執務机の前にあるソファーセットに腰を下ろした。
あら? 同じソファーに座っていいのかしら。
代理人さんを見ると座る様に促されたから、大丈夫みたい。
「さて、君には色々と聞きたい事があるのだが……」
「申し訳ありませんでした!!」
「「はぁ?」」
先制攻撃でまずは謝ったけど、なぜかお二人の様子がおかしい。
私の罪を裁きに来たのよね?
「逃げ回っていた事かね? それは仕方がない、こちらも犯罪者の指名手配の様な探し方をしていたからね」
「のような? 指名手配ではないのでしょうか?」
「罪人でもない君を指名手配してどうするのかね?」
……あれ? てっきり男爵の仕事を肩代わりした事へのお叱りかと思ったけど、この様子だと違うのかしら。
「君を探していたのは仕事の内容を確認したいからなのだよ」
「仕事、ですか?」
「うむ。君がどうやってあの状態を維持できていたのか、書類を精査しただけでは分からないからね、直接話を聞きたかったのだよ」
????
維持? だんだん悪くなっていったはずだけど、何の事かしら。
「エクサ子爵、どうやらシルビアは理解していない様子です」
「んん? 最終的にはメイドは君一人となり、男爵家や領地をまとめていたのだよね?」
「は、はい。なので立て直せなかった責任があるのかと……」
「ほっほっほっほ、そんな責任は君には無いよ。男爵にならあったが、その責任を取って爵位が剥奪されてしまったからね」
あ、あれぇ?
じゃあなんで私は逃げ回っていたの?
その後は色々な質問をされたから、一つ一つ丁寧に返事をしていった。
そして私はとんでもない間違いをしていた事が分かった。
「まさか王都からの支援も受けていなかったとわね。普通は国からの支援をもらい、領地を運営するものだよ?」
「も、申し訳ありません。そんなものがあったとは知らずに……」
「なのに数年間ももつなんて、君は本当にすごい子だね」
「あ、ありがとう、ございます?」
国からの支援があるんなら、もっと上手く回せたと思う。
何をするにしてもお金がなかったし、方々に頭を下げて協力してもらっていたのは何だったのかしら。
「しかし君になら任せても大丈夫そうだね。おい」
「はっ。シルビア君、私はエクサ子爵に替わり旧男爵領を管理するのだが、君を私の秘書官に任命する。今まで無かった国からの支援金も数年分まとめてもらってきたから、色々な提案もして欲しい」
「秘書官……? で、でも私は一介のメイドでただの町娘で……」
「一介のメイドやただの町娘に、こんな事は出来やしないよ。協力して欲しい」
無理だと思って断るけど、代理人さんは全く引く気配がない。
というかこれ以上はエクサ子爵の手前、断り切れない……仕方がないか。
「わかりました、どこまでお役に立てるかわかりませんが、全力でやらせていただきます」
ひと月が過ぎ、ふた月が過ぎた頃には街には随分と活気が戻ってきた。
元々人の往来はあったし、王都から辺境伯の領地に移動のためにこの街で宿泊する人はいたけど、それ以外の人も随分と増えた。
そして半年が過ぎた。
「ふむ。コレは困ったな」
「ラシーン代理人、どうされましたか?」
執務室で書類をまとめていると、代理人さんが数枚の紙を見て悩んでいた。
「どうもこうもない、これを見てくれ」
紙を差し出され、私はそれを見たけど……何が問題なのかしら?
結構順調にいっていると思うけど。
「君には分からないか……そうだろうねぇ、君の言った通りの結果が出ているのだからねぇ」
「なにか不都合がありましたか? それならば内容を修正しますが」
「そうじゃない、私一人では、とてもこんなに早く再生は出来なかったよ。シルビアがここまでやれるとは思ってもいなくてね」
「それは……嬉しい誤算という奴でしょうか?」
「その通りだよ。この数字を見る限りでは、この領地は今までにない程の好景気となっているからね」
言われてみればその通りだ。
各街で管理していたお祭りはこちらの管轄に戻り、前回の税収は以前の十倍どころではなかった。
「君がほとんどしてくれたから、私はただのお飾りだったよ」
「そ、そんな事ありません。私では国との交渉なんてできませんし、私一人では絶対に無理でした」
ラシーン代理人さんのお陰で間違いないと思う。
やっぱり国とのパイプが無いと何もできない事を痛感した。
でもまぁ、メイドや秘書じゃパイプなんて作りようがないわよね。
そんなある日、アベニール辺境伯領から使いの人が現れた。
「明後日、アベニール辺境伯がこの地を訪問されることが決定した。ついては失礼のないようにお迎えの準備を整えておけ」
寝耳に水だった。
アベニール辺境伯、ここの南に位置する場所を治める貴族で、国境沿いを任されているだけあって武闘派、誰もが恐れると評判の貴族様だ。
「い、一体何の御用かしら」
この代理人さん、私が何の罪で捕まるのか知ってるのよね?
それにしては全然拘束しないのはなんでだろう。
「シルビア」
「は、はひ!?」
「そんなにビクビクする事はありません。エクサ子爵は寛大な御方だから、正直に今までの事を話せば悪いようにはならないはずですよ」
「わ、わかりました」
そうね、これ以上罪を重ねる事は無いし、全てを話してしまった方がいいわよね。
ええそうよ、男爵家が無くなったのは、何も私だけの責任じゃないはず。
素直に話せば減刑されるかもしれないわ。
元の男爵領に戻り、久しぶりにお屋敷に戻ってきた。
ああ、私がいた頃よりもきれいになってるわ、代理人さんやメイドさん達がキレイに手入れをしたのね。
お屋敷の中もとてもキレイになっていて、私がいた頃とは別の家みたいだ。
そして執務室前までくると、代理人さんがドアをノックした。
「旦那様、シルビアを連れてまいりました」
「どうぞ」
扉を開けると執務室はキレイに整頓され、机には少し小太りの中年男性が座っていた。
どちらかというと穏やかな、優しそうな人だ。
この人がエクサ子爵?
「はじめてお目にかかります。シルビアと申します」
「よく来てくれたね。まぁ座りたまえ」
エクサ子爵はイスから立ち上がり、執務机の前にあるソファーセットに腰を下ろした。
あら? 同じソファーに座っていいのかしら。
代理人さんを見ると座る様に促されたから、大丈夫みたい。
「さて、君には色々と聞きたい事があるのだが……」
「申し訳ありませんでした!!」
「「はぁ?」」
先制攻撃でまずは謝ったけど、なぜかお二人の様子がおかしい。
私の罪を裁きに来たのよね?
「逃げ回っていた事かね? それは仕方がない、こちらも犯罪者の指名手配の様な探し方をしていたからね」
「のような? 指名手配ではないのでしょうか?」
「罪人でもない君を指名手配してどうするのかね?」
……あれ? てっきり男爵の仕事を肩代わりした事へのお叱りかと思ったけど、この様子だと違うのかしら。
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「エクサ子爵、どうやらシルビアは理解していない様子です」
「んん? 最終的にはメイドは君一人となり、男爵家や領地をまとめていたのだよね?」
「は、はい。なので立て直せなかった責任があるのかと……」
「ほっほっほっほ、そんな責任は君には無いよ。男爵にならあったが、その責任を取って爵位が剥奪されてしまったからね」
あ、あれぇ?
じゃあなんで私は逃げ回っていたの?
その後は色々な質問をされたから、一つ一つ丁寧に返事をしていった。
そして私はとんでもない間違いをしていた事が分かった。
「まさか王都からの支援も受けていなかったとわね。普通は国からの支援をもらい、領地を運営するものだよ?」
「も、申し訳ありません。そんなものがあったとは知らずに……」
「なのに数年間ももつなんて、君は本当にすごい子だね」
「あ、ありがとう、ございます?」
国からの支援があるんなら、もっと上手く回せたと思う。
何をするにしてもお金がなかったし、方々に頭を下げて協力してもらっていたのは何だったのかしら。
「しかし君になら任せても大丈夫そうだね。おい」
「はっ。シルビア君、私はエクサ子爵に替わり旧男爵領を管理するのだが、君を私の秘書官に任命する。今まで無かった国からの支援金も数年分まとめてもらってきたから、色々な提案もして欲しい」
「秘書官……? で、でも私は一介のメイドでただの町娘で……」
「一介のメイドやただの町娘に、こんな事は出来やしないよ。協力して欲しい」
無理だと思って断るけど、代理人さんは全く引く気配がない。
というかこれ以上はエクサ子爵の手前、断り切れない……仕方がないか。
「わかりました、どこまでお役に立てるかわかりませんが、全力でやらせていただきます」
ひと月が過ぎ、ふた月が過ぎた頃には街には随分と活気が戻ってきた。
元々人の往来はあったし、王都から辺境伯の領地に移動のためにこの街で宿泊する人はいたけど、それ以外の人も随分と増えた。
そして半年が過ぎた。
「ふむ。コレは困ったな」
「ラシーン代理人、どうされましたか?」
執務室で書類をまとめていると、代理人さんが数枚の紙を見て悩んでいた。
「どうもこうもない、これを見てくれ」
紙を差し出され、私はそれを見たけど……何が問題なのかしら?
結構順調にいっていると思うけど。
「君には分からないか……そうだろうねぇ、君の言った通りの結果が出ているのだからねぇ」
「なにか不都合がありましたか? それならば内容を修正しますが」
「そうじゃない、私一人では、とてもこんなに早く再生は出来なかったよ。シルビアがここまでやれるとは思ってもいなくてね」
「それは……嬉しい誤算という奴でしょうか?」
「その通りだよ。この数字を見る限りでは、この領地は今までにない程の好景気となっているからね」
言われてみればその通りだ。
各街で管理していたお祭りはこちらの管轄に戻り、前回の税収は以前の十倍どころではなかった。
「君がほとんどしてくれたから、私はただのお飾りだったよ」
「そ、そんな事ありません。私では国との交渉なんてできませんし、私一人では絶対に無理でした」
ラシーン代理人さんのお陰で間違いないと思う。
やっぱり国とのパイプが無いと何もできない事を痛感した。
でもまぁ、メイドや秘書じゃパイプなんて作りようがないわよね。
そんなある日、アベニール辺境伯領から使いの人が現れた。
「明後日、アベニール辺境伯がこの地を訪問されることが決定した。ついては失礼のないようにお迎えの準備を整えておけ」
寝耳に水だった。
アベニール辺境伯、ここの南に位置する場所を治める貴族で、国境沿いを任されているだけあって武闘派、誰もが恐れると評判の貴族様だ。
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