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第十三話
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「リック様、助けて頂いてありがとうございます」
「いや……僕は何もしてない。あいつが逃げただけ」
リック様は身長百八十センチほどでサラサラの銀髪、細身ですが姿勢が良く、制服姿なので学生なのは間違いないでしょう。
大人しい性格なのかあまり声が大きくなく控えめ、手を差し伸べてくれましたが私から目をそらしていました。
「それでも声をかけて下さらなければ、私は大変な目に合っていました」
「……そう、かな」
リック様の手を掴み立ち上がりますが、あら? 足に力が入らない。
倒れそうになる私をリック様が受け止めてくださいました。
「も、申し訳ありません! 今立ち上がって、あれ、あれ?」
足が震えていて力が入らない。
い、いつまでもリック様にしがみ付いている訳には……!
「救護室に連れていく……失礼する」
リック様が私を抱きかかえて歩き出しました。
え、えええええ! これは昔読んだ物語に書かれていたアレですか!? お姫様抱っこ⁉
「お、お待ちください、何とか一人で立てますから!」
「立ててなかった……大丈夫、すぐに着く」
そう言って小走りで歩いているのですが、ああ、夢物語には想像した事があるお姫様抱っこを初めてお会いした男性にしてもらうとは……意外と安定していますね。
とても落ち着くといいますか、すごくキレイに収まっているというか。
救護室に着くと医者に言われてベッドに横になる。
リック様が簡単な状況説明をすると、医者は慌ててどこかに連絡を始めて私に外傷がないか確認する。
外傷がないので医者は安心し、しばらく休むように言われた。
「あのリック様、連れて来ていただきありがとうございます。私授業に戻りたいのですが……」
「ダメ……医者の言う通り休んでて」
ううっ、医者に言われたので強く出れませんが、リック様は大人しそうに見えますが時々強くなりますね。
授業が終わったようです。
救護室の扉が乱暴に開けられるとプリメラが駈け込んできました。
「シルビア!!」
ベッドで上体を起こしている私を見ると涙目になり、ベッドの横で椅子に座っているリック様にぶつかりながら私の手を握ります。
「シルビア、シルビア! よかった、本当に良かった!」
「すみません、どうやら油断をしていたようです」
何も無い日々が当たり前になり、元男爵関係への警戒が薄くなっていました。
そういえば私を襲った男性、どうやって学園内に入ったのかしら。
「怪我はないのね? 痛い所は? 目が赤いじゃない! 毒⁉ 先生、せんせー!」
「落ち着いてくださいプリメラ。これは泣いたから赤いだけです」
「ない……た? は! まさかこの男が⁉」
そう言ってリック様を睨みつけます。
「だから落ち着いてくださいプリメラ。リック様は私が危なかった所を助けて下さったのです」
「え? ……た、大変失礼しました。ワタクシったら混乱してとんでもないことを口走ってしまいました……」
深々と頭を下げるプリメラを見てリック様は逆にかしこまってしまいました。
リック様は気が弱いわけでは無いと思いますが、何といいますか……とても控えめな方ですね。
「大丈夫。大切な友人……なんだね」
「それはもう。知り合って数ヶ月ですが、なくてはならない友人です」
ぷ、プリメラ? そこまで言わなくても……私の方が照れてしまいます。
この日は学園が一時休校となり、侵入者の捜索が始まりました。
私を呼びに来た講師の話しによると「正門から正式な手続きで入り、身分も怪しいモノではなかった」そうです。
関係者以外が学園に入るには身分を証明する必要がありますが、その身分証明に使われたのは手紙でした。
貴族の手紙で蝋封がされており、使われた印璽は間違いなく貴族の物だったとか。
後からわかった事ですが、手紙は配送途中で強盗団に奪われた物の一通だったようです。
「結局犯人はわからずじまいね。てっきりグランビアやポルテ元男爵の手の者だと思ったけど、そっちとの繋がりが全く見えないわ」
今日は教室で昼食をいただいています。
あれからは外で食べる事は無くなり校内、それもある程度安心できる場所でしか食べていません。
しかし少しだけ変化がありました。
「ねえリック、あなたって商人の息子なんでしょ? 商人繋がりで情報が入ったりしないかしら」
「行商人に話を聞いたけど……強盗の数は多いから絞れないって」
「そうよね、手紙を奪った盗賊としか分からないものね」
リック様が一緒に昼食をとるようになりました。
商人の息子らしいですが、どうやら自分の店を持ちたいらしく、まずは行商で国中を回りたいんだとか。
その為に経済学と共に剣術を専攻しています。
「この肉柔らかいね……シルビアが作ったの?」
「はい! 専属の料理人さんがいますが、学園内は私の領分ですからね、プリメラのお弁当は料理人さんにも負けるつもりはありませんよ!」
みんなのお弁当を机に並べて好きな物を食べています。
そう、ここは付き人の料理の腕を競う場でもあるのです!
残念ながら私の腕は二番目……一番の料理上手はリバティ様の付き人マーチです。
「あ、リック様、こちらの玉子焼きはどうですか? これも自信作なんです」
「ん……これも美味しい」
「あらあら、シルビアはすっかりリックの良き妻になってしまいましたわね。プリメラはフラれてしまいましたか」
「り、リバティ様⁉ リック様にそんな――」
「ふっ、リック! ワタクシとシルビアをかけて勝負よ!」
最近はこうした遊びが増えてきました。
もう! プリメラも悪乗りして、ほらリック様が困っておいでじゃ……顔が赤いわね?
「いや……僕は何もしてない。あいつが逃げただけ」
リック様は身長百八十センチほどでサラサラの銀髪、細身ですが姿勢が良く、制服姿なので学生なのは間違いないでしょう。
大人しい性格なのかあまり声が大きくなく控えめ、手を差し伸べてくれましたが私から目をそらしていました。
「それでも声をかけて下さらなければ、私は大変な目に合っていました」
「……そう、かな」
リック様の手を掴み立ち上がりますが、あら? 足に力が入らない。
倒れそうになる私をリック様が受け止めてくださいました。
「も、申し訳ありません! 今立ち上がって、あれ、あれ?」
足が震えていて力が入らない。
い、いつまでもリック様にしがみ付いている訳には……!
「救護室に連れていく……失礼する」
リック様が私を抱きかかえて歩き出しました。
え、えええええ! これは昔読んだ物語に書かれていたアレですか!? お姫様抱っこ⁉
「お、お待ちください、何とか一人で立てますから!」
「立ててなかった……大丈夫、すぐに着く」
そう言って小走りで歩いているのですが、ああ、夢物語には想像した事があるお姫様抱っこを初めてお会いした男性にしてもらうとは……意外と安定していますね。
とても落ち着くといいますか、すごくキレイに収まっているというか。
救護室に着くと医者に言われてベッドに横になる。
リック様が簡単な状況説明をすると、医者は慌ててどこかに連絡を始めて私に外傷がないか確認する。
外傷がないので医者は安心し、しばらく休むように言われた。
「あのリック様、連れて来ていただきありがとうございます。私授業に戻りたいのですが……」
「ダメ……医者の言う通り休んでて」
ううっ、医者に言われたので強く出れませんが、リック様は大人しそうに見えますが時々強くなりますね。
授業が終わったようです。
救護室の扉が乱暴に開けられるとプリメラが駈け込んできました。
「シルビア!!」
ベッドで上体を起こしている私を見ると涙目になり、ベッドの横で椅子に座っているリック様にぶつかりながら私の手を握ります。
「シルビア、シルビア! よかった、本当に良かった!」
「すみません、どうやら油断をしていたようです」
何も無い日々が当たり前になり、元男爵関係への警戒が薄くなっていました。
そういえば私を襲った男性、どうやって学園内に入ったのかしら。
「怪我はないのね? 痛い所は? 目が赤いじゃない! 毒⁉ 先生、せんせー!」
「落ち着いてくださいプリメラ。これは泣いたから赤いだけです」
「ない……た? は! まさかこの男が⁉」
そう言ってリック様を睨みつけます。
「だから落ち着いてくださいプリメラ。リック様は私が危なかった所を助けて下さったのです」
「え? ……た、大変失礼しました。ワタクシったら混乱してとんでもないことを口走ってしまいました……」
深々と頭を下げるプリメラを見てリック様は逆にかしこまってしまいました。
リック様は気が弱いわけでは無いと思いますが、何といいますか……とても控えめな方ですね。
「大丈夫。大切な友人……なんだね」
「それはもう。知り合って数ヶ月ですが、なくてはならない友人です」
ぷ、プリメラ? そこまで言わなくても……私の方が照れてしまいます。
この日は学園が一時休校となり、侵入者の捜索が始まりました。
私を呼びに来た講師の話しによると「正門から正式な手続きで入り、身分も怪しいモノではなかった」そうです。
関係者以外が学園に入るには身分を証明する必要がありますが、その身分証明に使われたのは手紙でした。
貴族の手紙で蝋封がされており、使われた印璽は間違いなく貴族の物だったとか。
後からわかった事ですが、手紙は配送途中で強盗団に奪われた物の一通だったようです。
「結局犯人はわからずじまいね。てっきりグランビアやポルテ元男爵の手の者だと思ったけど、そっちとの繋がりが全く見えないわ」
今日は教室で昼食をいただいています。
あれからは外で食べる事は無くなり校内、それもある程度安心できる場所でしか食べていません。
しかし少しだけ変化がありました。
「ねえリック、あなたって商人の息子なんでしょ? 商人繋がりで情報が入ったりしないかしら」
「行商人に話を聞いたけど……強盗の数は多いから絞れないって」
「そうよね、手紙を奪った盗賊としか分からないものね」
リック様が一緒に昼食をとるようになりました。
商人の息子らしいですが、どうやら自分の店を持ちたいらしく、まずは行商で国中を回りたいんだとか。
その為に経済学と共に剣術を専攻しています。
「この肉柔らかいね……シルビアが作ったの?」
「はい! 専属の料理人さんがいますが、学園内は私の領分ですからね、プリメラのお弁当は料理人さんにも負けるつもりはありませんよ!」
みんなのお弁当を机に並べて好きな物を食べています。
そう、ここは付き人の料理の腕を競う場でもあるのです!
残念ながら私の腕は二番目……一番の料理上手はリバティ様の付き人マーチです。
「あ、リック様、こちらの玉子焼きはどうですか? これも自信作なんです」
「ん……これも美味しい」
「あらあら、シルビアはすっかりリックの良き妻になってしまいましたわね。プリメラはフラれてしまいましたか」
「り、リバティ様⁉ リック様にそんな――」
「ふっ、リック! ワタクシとシルビアをかけて勝負よ!」
最近はこうした遊びが増えてきました。
もう! プリメラも悪乗りして、ほらリック様が困っておいでじゃ……顔が赤いわね?
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