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第十四話
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リック様と仲良くなり、私が襲撃された事件から暫くが過ぎました。
中々事件に進展は見られませんでしたが、別の方向から情報が入手出来ました。
「ポルテ元男爵の寝室にあった鉄の箱だがな、やはり鍵が無くて開かなかったそうだ」
アベニール様のお屋敷に呼ばれ、以前お伝えした鉄の箱の事を聞きました。
やっぱり開かなかったのね、元男爵は大事そうにしていたけど中身を知っていたのかしら。
「だから破壊した」
「……え? 確かかなり堅牢そうな鉄の箱だったと思いましたが」
「なーに、剣で蝶番を破壊して、鍵部分もついでに壊したら開いたぞ」
蝶番ってあの分厚い金具を剣で破壊? やっぱりアベニール様は人間離れしているんだわ。
そう思いながら初めて会った時のことを思い出して震えた。
「それでお父様、箱の中には何が入っていたのかしら?」
「それなんだがなプリメーラ……箱の中は空っぽだった」
「あ……そうでしたか。申し訳ありません、手掛かりになりませんでした」
「いやシルビア、箱の中は空だったんだが、箱の内側にとんでもないモノが描かれていたんだ。あれは箱自体が大切だったんだろう。おいセフィーロ」
アベニール様が誰かを呼ぶと鎧を着た若い男性が鉄の箱を持ってきました。
ロングストレートの茶色い毛を頭の後ろで纏めているのですが、まるで女性かと思わせる美しさです。
鉄の箱は両手で持てる大きさだけど、なにぶん鉄なので重くて私では持ち上げる事は出来ない。
それを両手とはいえ軽々と持っているなんて、この人も凄いわね。
「あらお兄様、こちらにいらしていたの?」
「ああ、父上に呼ばれてね。まったく人使いが荒いったら」
「プリメラのお兄様……? は、初めまして、私はシルビアと申します! プリメーラ様の付き人をさせて頂いております!」
慌てて立ち上がり挨拶をしましたが、セフィーロ様は「はいよろしく」と軽く挨拶をしてテーブルに鉄の箱を置こうとしました。
「こらセフィーロ。そんな物を置いたらテーブルが壊れるだろうが」
「え? 別に大して重くありませんよ?」
「お前のバカ力とテーブルを一緒にするな。まったく」
そう言ってアベニール様は片手で鉄の箱を受け取りました。
バカ力?
「それで中に書かれいえいた事なんだが、ほら、この赤い内張りをはがすと文字のような物が書かれているんだ」
アベニール様が片手で鉄の箱を持ったまま蓋を開けると、赤い内張りが貼ってあった痕跡は残るものの全てはがされていました。
そして中を覗き込むとまるで宗教の教義のような事が書いてあった。
「すべての者に祝福を ん? この文字は知らないわ、あらゆる世界は一つのげん……また知らない文字」
私がわかる範囲で読み上げ、プリメラも読んでいるようですが首をひねっています。
「すべての者に祝福を、サターンの元に集い統一させよ。あらゆる世界は一つの原初たる混沌に集約される」
セフィーロ様が箱を見もせずに読み上げました。
ああそう書かれていたのですね、確かにもう調べが終わっていてあたりま……
「え? サターンってひょっとして悪魔教の事ですか?」
「その通りだ。どうやらポルテ元男爵は悪魔教信者の様だな。今だに悪魔教を信仰しているのかどうかは知らんが、先代の頃から悪魔教ではないかとマークされていた様だ」
し、知りませんでした。先代の事は知りませんが、元男爵まで悪魔教を信仰していたんでしょうか。
私が勤めていた十年近く、そんな素振りは……私が知らなかっただけかもしれませんね。
「さらに調べていくとサクシード侯爵も悪魔教の疑いがあった。なのでサクシード侯爵がポルテ元男爵を保護している理由もそのあたりかもしれんな」
なんて事でしょう、悪魔教は生贄の儀式をする為に人を誘拐する犯罪組織です。
そんな組織に関わっていただなんて、私は生贄にされなくてよかった。
「この事はまだ誰にも言ってはならん。こちらで捜査を進めるから余計な事もするな。そのかわり護衛にセフィーロを付けるからこき使え」
「しかしお父様、いきなりお兄様を護衛に付けたら悪魔教を警戒していると思われませんか?」
「悪魔教の前にシルビアを襲った犯人がまだ捕まっていない。そちらを警戒して護衛を付けるといえば誰も不思議には思わんさ」
「ああ、それもそうですね」
「という訳で我が妹よ、シルビアの事は俺に任せてお前はのんびりしていていいぞ?」
「あ~らお兄様? 犯人よりもお兄様の方が危険ではありませんか? シルビアに手を出そうとしたらワタクシがその手を叩き切って差し上げますわよ?」
「何を言っている、美しい女性がいたら口説くのは礼儀というものだ」
「そんな女たらしの礼儀なんてゴミ箱に捨ててしまいなさい!」
セフィーロ様とは初めてお会いしたけど、なるほどそういった系統の方なのですね。
まぁ私を口説くなんて酔狂な事はしないでしょうが、アベニール様のご子息なら剣の腕は間違いないでしょう。
いえ……アベニール様は強面ですが、セフィーロ様は確かに女たらしができそうな甘いルックス……教室の女生徒が放っておかないでしょうね。
私の心配通り、翌日の教室ではセフィーロ様を囲む女生徒で一杯でした。
ああっ、男子生徒が睨んでいます! 教室の雰囲気が……
中々事件に進展は見られませんでしたが、別の方向から情報が入手出来ました。
「ポルテ元男爵の寝室にあった鉄の箱だがな、やはり鍵が無くて開かなかったそうだ」
アベニール様のお屋敷に呼ばれ、以前お伝えした鉄の箱の事を聞きました。
やっぱり開かなかったのね、元男爵は大事そうにしていたけど中身を知っていたのかしら。
「だから破壊した」
「……え? 確かかなり堅牢そうな鉄の箱だったと思いましたが」
「なーに、剣で蝶番を破壊して、鍵部分もついでに壊したら開いたぞ」
蝶番ってあの分厚い金具を剣で破壊? やっぱりアベニール様は人間離れしているんだわ。
そう思いながら初めて会った時のことを思い出して震えた。
「それでお父様、箱の中には何が入っていたのかしら?」
「それなんだがなプリメーラ……箱の中は空っぽだった」
「あ……そうでしたか。申し訳ありません、手掛かりになりませんでした」
「いやシルビア、箱の中は空だったんだが、箱の内側にとんでもないモノが描かれていたんだ。あれは箱自体が大切だったんだろう。おいセフィーロ」
アベニール様が誰かを呼ぶと鎧を着た若い男性が鉄の箱を持ってきました。
ロングストレートの茶色い毛を頭の後ろで纏めているのですが、まるで女性かと思わせる美しさです。
鉄の箱は両手で持てる大きさだけど、なにぶん鉄なので重くて私では持ち上げる事は出来ない。
それを両手とはいえ軽々と持っているなんて、この人も凄いわね。
「あらお兄様、こちらにいらしていたの?」
「ああ、父上に呼ばれてね。まったく人使いが荒いったら」
「プリメラのお兄様……? は、初めまして、私はシルビアと申します! プリメーラ様の付き人をさせて頂いております!」
慌てて立ち上がり挨拶をしましたが、セフィーロ様は「はいよろしく」と軽く挨拶をしてテーブルに鉄の箱を置こうとしました。
「こらセフィーロ。そんな物を置いたらテーブルが壊れるだろうが」
「え? 別に大して重くありませんよ?」
「お前のバカ力とテーブルを一緒にするな。まったく」
そう言ってアベニール様は片手で鉄の箱を受け取りました。
バカ力?
「それで中に書かれいえいた事なんだが、ほら、この赤い内張りをはがすと文字のような物が書かれているんだ」
アベニール様が片手で鉄の箱を持ったまま蓋を開けると、赤い内張りが貼ってあった痕跡は残るものの全てはがされていました。
そして中を覗き込むとまるで宗教の教義のような事が書いてあった。
「すべての者に祝福を ん? この文字は知らないわ、あらゆる世界は一つのげん……また知らない文字」
私がわかる範囲で読み上げ、プリメラも読んでいるようですが首をひねっています。
「すべての者に祝福を、サターンの元に集い統一させよ。あらゆる世界は一つの原初たる混沌に集約される」
セフィーロ様が箱を見もせずに読み上げました。
ああそう書かれていたのですね、確かにもう調べが終わっていてあたりま……
「え? サターンってひょっとして悪魔教の事ですか?」
「その通りだ。どうやらポルテ元男爵は悪魔教信者の様だな。今だに悪魔教を信仰しているのかどうかは知らんが、先代の頃から悪魔教ではないかとマークされていた様だ」
し、知りませんでした。先代の事は知りませんが、元男爵まで悪魔教を信仰していたんでしょうか。
私が勤めていた十年近く、そんな素振りは……私が知らなかっただけかもしれませんね。
「さらに調べていくとサクシード侯爵も悪魔教の疑いがあった。なのでサクシード侯爵がポルテ元男爵を保護している理由もそのあたりかもしれんな」
なんて事でしょう、悪魔教は生贄の儀式をする為に人を誘拐する犯罪組織です。
そんな組織に関わっていただなんて、私は生贄にされなくてよかった。
「この事はまだ誰にも言ってはならん。こちらで捜査を進めるから余計な事もするな。そのかわり護衛にセフィーロを付けるからこき使え」
「しかしお父様、いきなりお兄様を護衛に付けたら悪魔教を警戒していると思われませんか?」
「悪魔教の前にシルビアを襲った犯人がまだ捕まっていない。そちらを警戒して護衛を付けるといえば誰も不思議には思わんさ」
「ああ、それもそうですね」
「という訳で我が妹よ、シルビアの事は俺に任せてお前はのんびりしていていいぞ?」
「あ~らお兄様? 犯人よりもお兄様の方が危険ではありませんか? シルビアに手を出そうとしたらワタクシがその手を叩き切って差し上げますわよ?」
「何を言っている、美しい女性がいたら口説くのは礼儀というものだ」
「そんな女たらしの礼儀なんてゴミ箱に捨ててしまいなさい!」
セフィーロ様とは初めてお会いしたけど、なるほどそういった系統の方なのですね。
まぁ私を口説くなんて酔狂な事はしないでしょうが、アベニール様のご子息なら剣の腕は間違いないでしょう。
いえ……アベニール様は強面ですが、セフィーロ様は確かに女たらしができそうな甘いルックス……教室の女生徒が放っておかないでしょうね。
私の心配通り、翌日の教室ではセフィーロ様を囲む女生徒で一杯でした。
ああっ、男子生徒が睨んでいます! 教室の雰囲気が……
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