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第二十九話
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アベニール様に見せた漬物が保存食として合格し、炊いたライスを乾燥させた糒の作り方も伝えておきました。
糒は作り方は簡単なので、自前で保存食試験が出来るでしょう。
そして鎧の補修ですが、鎧の木型に鎧を乗せて、内側からテコの原理で木の棒を使い凹みを押し返す、という手段を提案しました。
鍛冶屋さんによると、一度剣や弓でへこんだ場所は脆くなり、更に同じ場所に攻撃を食らうと非常に壊れやすいそうです。
なので凹みを無くすことで同じ場所に攻撃が集中しないようにしました。
なのにアベニール様の表情は暗いまま。
ひょ、ひょっとして私ったら勘違いして勝手に余計な事をしてしまったのでは⁉
そう思っていた矢先でした。
「シルビア、もう一度王城へ行くぞ」
そう言われてアベニール様と共にお城へと向かいました。
またあの王子王女様方とお会いするのかな? と思っていましたが、今回向かった場所は……
「お前がシルビアか?」
「は、はい。私がシルビアです陛下」
何と謁見の間!!
陛下はもう五十を過ぎておられるのに若々しいですが、三段ほど高い場所で玉座に座る陛下の周りには妃様、そして王子王女様が立っています。
なに⁉ なんなのよもう! 前回といいなんで私はこんな場所にいるのー!
「お前が回転砥ぎ機や鎧の押し戻し器、漬物を作ったのは本当か?」
「つ、漬物は遠い他国で作られていたのを知っていただけで、私が作ったわけではありません。砥ぎ機と押し戻し器は鍛冶屋さんに作ってもらいました!」
は、早口になってるわ! 何とか噛まずに言えてよかった。
……あら? なんの返答もないけど間違った事を言っちゃったかしら・
ちらりと顔を上げると陛下は口を押えて笑っていた。
「ぷ、く、くくく、つまり、情報を元にお前が作り、ひらめいた物を鍛冶屋に作らせたのだな?」
「えーっと、はい、その通りでございます」
「そうか。そしてサターン教の支部を見つけたのもお前だな?」
「え? い、いえそちらはアベニール様が――」
「陛下、間違いございません」
なんでアベニール様が答えちゃうの⁉
「そうか。俺としては問題ないと思うが? お前達は何が嫌なのだ?」
「俺は構わないといいましたが、本人がプリメーラ嬢の付き人を全うするといっているんです。流石に第一王子の俺でも辺境伯のお気に入りを力づくで奪う訳にはいきませんからね」
「その通りです父上。アベニール卿は国防の重要人物、その娘の友人を奪うような真似はできませんもの」
「うむ、確かにグロリアとシーマの言う事はもっともだ。しかし聞いたところによるとシルビアはエクサの使用人というではないか、アベニールは借りているだけと聞いたが?」
……は! そういえばそうだったわ。
私はエクサ子爵に雇われていて、今はアベニール様に貸し出されているんだった!
あれ? じゃあアベニール様には私をどうこうする権利が薄い? 一番権利を主張できる人は……
「エクサを」
陛下がそう言うと、私も入って来た大きな入り口の戸が開く。
そこには小太りの男性、エクサ子爵だわ。
エクサ子爵はトコトコと歩いて私の隣に来て膝を付いてあいさつし、立ち上がります。
「エクサよ、そこの娘はお前が雇っているのであろう?」
「は、その通りでございます」
「ではその娘を城に仕えさせたい、良いか?」
「……陛下の御心のままに」
それはそうよね、子爵が陛下のお願い、いえ命令ね、を断る事なんて出来るわけがないもの。
えっと、じゃあこれで私はお城仕えになっちゃうの? プリメラの付き人はもう出来なくなってしまうのね。
「待ってくださいお父様! その女は悪魔教の生贄だった女です! そんな女をお城に仕えさせるなんて反対です!」
あれは五女のリーフ様。
以前お会いした時も私を毛嫌いしていたけど、うん、今は心強いわ! もっと反対して欲しいくらいだもの。
「すでにシルビアの名は生贄リストから消えている。それにリーフ、お前の態度はサターン教の拠点を一つ潰した貢献者に対するものではない。礼を失するな」
「……申し訳ありません」
「しかしお父しゃま、サターン教の生贄リストにあったのは事実でしゅ。拠点を一つ潰しても、他のサターン教徒がリスト通りに再開する可能性も捨てきれましぇん」
「ん? だからこそ城にいた方が安全ではないのか? ローレル」
「お城にいれば大丈夫でしゅ。でも街に出た時にどれだけ厳重な警備をしたらいいのか見当がつきましぇん。そもそもメイド一人に複数の護衛を付けるのは立場上するべきではないと思うのでしゅ」
ローレル様って一番幼くて十一歳のはず。
言葉遣いこそ幼さを感じるけど、考えや内容はとても十一歳とは思えません。
本当に十一歳かしら。
「う~む、それはそうだな。城から出ないわけにもいかないし……ええい、こんな時に当の本人はどこをほっつき歩いているのだ」
本人? 私じゃないのかしら。
私以外の当の本人って誰?
そんな時でした、私やエクサ子爵が入って来た大きな戸とは違い、高い位置にある王族専用の戸が開きました。
「遅くなって……申し訳ありません」
新しい王子様かしら。
紺色の詰襟に白い肩章、左胸には勲章が四つ付いています。
えっと、今ここにいない王子様と言ったら……第五王子?
「遅かったのなセドリック」
「申し訳……ありません。学園が長引いてしまいました」
学園? ここで学園と言ったら王立学園よね。
あれ? でも王子様が学園にいたら話題になるはずだけど。
顔を見ようと顔を上げると、あら? なんだか見た事があるような……!?!?
「リック……様?」
糒は作り方は簡単なので、自前で保存食試験が出来るでしょう。
そして鎧の補修ですが、鎧の木型に鎧を乗せて、内側からテコの原理で木の棒を使い凹みを押し返す、という手段を提案しました。
鍛冶屋さんによると、一度剣や弓でへこんだ場所は脆くなり、更に同じ場所に攻撃を食らうと非常に壊れやすいそうです。
なので凹みを無くすことで同じ場所に攻撃が集中しないようにしました。
なのにアベニール様の表情は暗いまま。
ひょ、ひょっとして私ったら勘違いして勝手に余計な事をしてしまったのでは⁉
そう思っていた矢先でした。
「シルビア、もう一度王城へ行くぞ」
そう言われてアベニール様と共にお城へと向かいました。
またあの王子王女様方とお会いするのかな? と思っていましたが、今回向かった場所は……
「お前がシルビアか?」
「は、はい。私がシルビアです陛下」
何と謁見の間!!
陛下はもう五十を過ぎておられるのに若々しいですが、三段ほど高い場所で玉座に座る陛下の周りには妃様、そして王子王女様が立っています。
なに⁉ なんなのよもう! 前回といいなんで私はこんな場所にいるのー!
「お前が回転砥ぎ機や鎧の押し戻し器、漬物を作ったのは本当か?」
「つ、漬物は遠い他国で作られていたのを知っていただけで、私が作ったわけではありません。砥ぎ機と押し戻し器は鍛冶屋さんに作ってもらいました!」
は、早口になってるわ! 何とか噛まずに言えてよかった。
……あら? なんの返答もないけど間違った事を言っちゃったかしら・
ちらりと顔を上げると陛下は口を押えて笑っていた。
「ぷ、く、くくく、つまり、情報を元にお前が作り、ひらめいた物を鍛冶屋に作らせたのだな?」
「えーっと、はい、その通りでございます」
「そうか。そしてサターン教の支部を見つけたのもお前だな?」
「え? い、いえそちらはアベニール様が――」
「陛下、間違いございません」
なんでアベニール様が答えちゃうの⁉
「そうか。俺としては問題ないと思うが? お前達は何が嫌なのだ?」
「俺は構わないといいましたが、本人がプリメーラ嬢の付き人を全うするといっているんです。流石に第一王子の俺でも辺境伯のお気に入りを力づくで奪う訳にはいきませんからね」
「その通りです父上。アベニール卿は国防の重要人物、その娘の友人を奪うような真似はできませんもの」
「うむ、確かにグロリアとシーマの言う事はもっともだ。しかし聞いたところによるとシルビアはエクサの使用人というではないか、アベニールは借りているだけと聞いたが?」
……は! そういえばそうだったわ。
私はエクサ子爵に雇われていて、今はアベニール様に貸し出されているんだった!
あれ? じゃあアベニール様には私をどうこうする権利が薄い? 一番権利を主張できる人は……
「エクサを」
陛下がそう言うと、私も入って来た大きな入り口の戸が開く。
そこには小太りの男性、エクサ子爵だわ。
エクサ子爵はトコトコと歩いて私の隣に来て膝を付いてあいさつし、立ち上がります。
「エクサよ、そこの娘はお前が雇っているのであろう?」
「は、その通りでございます」
「ではその娘を城に仕えさせたい、良いか?」
「……陛下の御心のままに」
それはそうよね、子爵が陛下のお願い、いえ命令ね、を断る事なんて出来るわけがないもの。
えっと、じゃあこれで私はお城仕えになっちゃうの? プリメラの付き人はもう出来なくなってしまうのね。
「待ってくださいお父様! その女は悪魔教の生贄だった女です! そんな女をお城に仕えさせるなんて反対です!」
あれは五女のリーフ様。
以前お会いした時も私を毛嫌いしていたけど、うん、今は心強いわ! もっと反対して欲しいくらいだもの。
「すでにシルビアの名は生贄リストから消えている。それにリーフ、お前の態度はサターン教の拠点を一つ潰した貢献者に対するものではない。礼を失するな」
「……申し訳ありません」
「しかしお父しゃま、サターン教の生贄リストにあったのは事実でしゅ。拠点を一つ潰しても、他のサターン教徒がリスト通りに再開する可能性も捨てきれましぇん」
「ん? だからこそ城にいた方が安全ではないのか? ローレル」
「お城にいれば大丈夫でしゅ。でも街に出た時にどれだけ厳重な警備をしたらいいのか見当がつきましぇん。そもそもメイド一人に複数の護衛を付けるのは立場上するべきではないと思うのでしゅ」
ローレル様って一番幼くて十一歳のはず。
言葉遣いこそ幼さを感じるけど、考えや内容はとても十一歳とは思えません。
本当に十一歳かしら。
「う~む、それはそうだな。城から出ないわけにもいかないし……ええい、こんな時に当の本人はどこをほっつき歩いているのだ」
本人? 私じゃないのかしら。
私以外の当の本人って誰?
そんな時でした、私やエクサ子爵が入って来た大きな戸とは違い、高い位置にある王族専用の戸が開きました。
「遅くなって……申し訳ありません」
新しい王子様かしら。
紺色の詰襟に白い肩章、左胸には勲章が四つ付いています。
えっと、今ここにいない王子様と言ったら……第五王子?
「遅かったのなセドリック」
「申し訳……ありません。学園が長引いてしまいました」
学園? ここで学園と言ったら王立学園よね。
あれ? でも王子様が学園にいたら話題になるはずだけど。
顔を見ようと顔を上げると、あら? なんだか見た事があるような……!?!?
「リック……様?」
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