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第三十一話
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卒業式が終わり、私はエクストレイル伯爵領へと向かう事になりました。
プリメラに続いて学園を後にします。
学園生活は楽しい事ばかりではなかったけど、とても有意義な時間だったわ。
名残惜しい、そういう気持ちが湧いてきます。
「シルビア、明日には出発するのよね」
「はいプリメラ。何とか学園卒業までは時間を稼ぎましたが、それ以上は無理です」
「いいのよ。元々は一緒に学園に来て欲しいってお願いだったから、これが本来のお別れなのよ。ただワタクシもお父様も、引き続き付き人をお願いするつもりだったけど」
「ありがとうございます。その言葉だけで充分です」
「会いに行くわ。何とかして理由を作って」
「はい……待っています」
最後に学園を見て馬車に乗り込もうとした所で声をかけられました。
「あらあら、親友に挨拶もなく行くつもりですの? 二人だけの世界に入って欲しくないものですわね」
リバティ様とマーチだ。
はて、卒業式が終わってから挨拶をしたはずですが……
「親友は大事にするものでしてよ? 例えばエクストレイル伯爵家を訪れる理由を作るのに便利ですわ」
「どういう事?」
「エクストレイル伯爵は私の父と知己の仲、遊びに行く理由なんていくらでも作れますもの」
アベニール様とエクストレイル伯爵はあまり親交が深くない。
だから移動する際の経由地としてエクストレイル伯爵家のお世話になる、という手段を考えていましたが、なるほど、御友人ならば理由は何とでもなりますね。
「流石ねリバティ、それでこそワタクシの親友だわ!」
リバティ様の手を握り目を輝かせています。
リバティ様はため息を一度つきますが、すぐに微笑んでくれました。
「まったく、プリメラは友人に甘えるという事が下手すぎますわね。今まではシルビアに甘えていられましたが、これからは私に甘える事を覚えないといけませんわ」
「え、えっと、ごめんなさい?」
「かまいませんわ。こちらだってあなたに甘えることがあるでしょうから」
四人で握手をしあい、再会を約束してお別れしました。
馬車で王都にあるアベニール様のお屋敷に行きます。
寮にあった荷物はすでに運び込まれているので、私は自分の荷物の最終確認をします。
「ふぅ、私の部屋を用意して頂いたけど、結局使ったのは数日だけだったわね」
しかも身の回りの物はほとんどがアベニール様からお借りしていたから、私が持って行くのは元男爵領から持って来た物と、皆さんからいただいたプレゼントだけ。
大きなカバン一つね。
この日は最後という事もありプリメラと一緒に寝ました。
遅くまでお話をしてしまいましたけどね。
翌朝にはお見送りをして頂いて、エクストレイル伯爵家の馬車に乗り込みます。
「シルビア、絶対、絶対に遊びに行くから!」
「はい、お待ちしています」
「短い間だったが、お前には色々と世話になったな」
「アベニール様、お役に立てて光栄です」
「ふふっ、俺は直ぐに迎えに行くから待っておいで! 俺の可愛い花嫁よ!」
「セフィーロ様はもう婚約されましたよね?」
みんなと最後のお別れをして、馬車は動き出しました。
あ、セフィーロ様は公爵令嬢との婚約が決まったようです。
本人は嫌がっていましたけど、貴族の長男なので諦めた様です。
楽しかったなぁ……毎日がお祭りの様に騒がしくて、色んな事があったけどプリメラと二人で乗り越えて。
三日後にはエクストレイル伯爵領に入りました。
ふぅ、ここからは気持ちを入れ替えないといけないわね。
エクストレイル領。
エクサ子爵領の隣にあり、アベニール辺境伯領との間にはティアナ男爵領がある。
事前情報ではメイドの高年齢化により人手不足というとおり、領内でも高年齢化が進んでいるのだとか。
決して発展していないわけではないけど、若い人が他領に出ていってしまうのね。
だからエクストレイル伯爵はあまり王都に行く暇がなく、重要な要件以外では自領にいるらしい。
つまりは若者にも魅力的な領地運営をしないと……
っと、これは私が考える事ではなかったわね。
私はメイド、メイドとしての実績を積まないといけないもの。
途中で一泊し、エクストレイル伯爵邸には午前中に到着した。
「よく来てくれたねシルビア、私がエクストレイル伯爵だ」
「初めまして。本日よりお世話になるシルビアと申します。若輩者ですがよろしくお願いします」
エクストレイル様は黒髪の直毛だけど左右の耳元には白髪がたくさんあり、目が細く背が大きいけど太ってはいない。
ピッチリと身だしなみに気を使っていて、いつ国王陛下が訪れてもいいような正装に肩帯、勲章を付けている。
お屋敷は元男爵領の三倍以上はある広さで、ぱっと見ただけでも使用人は四十人は必要だと思う。
「では早速だがメイド頭に仕事内容の確認をしてくれ。質問などはメイド頭に聞けばいいが、それでもわからなければ執事、それでもダメなら私の所に来るように」
エクストレイル様の右となりにメイド頭、左には執事がいた。
メイド頭は七十は超えていそうな女性で腰が曲がっており、執事も同じく七十を超えていそうだけど、こちらは腰は曲がっていない。
「かしこまりました」
「それひゃぁこっちに来てくりぇるかい?」
メイド頭に手招きされましたが、歯が数本抜けていました。
それはそうよね、この歳になれば歯が全部そろっている方が珍しいもの。
それに見た目通りの年齢なら凄い長生き!
メイド頭について屋敷内に入ると、ああ……予想以上だわ。
半分、いえ七割のメイドの腰が曲がってる。
領内を移動中はそこまで気にならなかったけど、実際にはかなり深刻なのかもしれない。
「それひゃぁここに掃除道具があるひゃら、廊下の掃除をやってもらおうかにぇえ。あ、井戸は裏口を出たらあるきゃらね」
「はい、わかりました」
モップや雑巾、バケツと洗剤、はたきも持って行こうかしら。
範囲や注意点を確認し、私は裏口へと向かいました。
「ああここね」
裏口の少し痛んだ木の扉を見つけ、建付けが悪いのか開きにくいけど何とか開けました……これは!?
「雑草が凄い事になってるわ……」
何とか井戸に続く道は踏み固められていますが、それ以外は雑草が伸び放題です。
「ふふふ、久しぶりに気合いを入れてやる必要がありそうね!」
プリメラに続いて学園を後にします。
学園生活は楽しい事ばかりではなかったけど、とても有意義な時間だったわ。
名残惜しい、そういう気持ちが湧いてきます。
「シルビア、明日には出発するのよね」
「はいプリメラ。何とか学園卒業までは時間を稼ぎましたが、それ以上は無理です」
「いいのよ。元々は一緒に学園に来て欲しいってお願いだったから、これが本来のお別れなのよ。ただワタクシもお父様も、引き続き付き人をお願いするつもりだったけど」
「ありがとうございます。その言葉だけで充分です」
「会いに行くわ。何とかして理由を作って」
「はい……待っています」
最後に学園を見て馬車に乗り込もうとした所で声をかけられました。
「あらあら、親友に挨拶もなく行くつもりですの? 二人だけの世界に入って欲しくないものですわね」
リバティ様とマーチだ。
はて、卒業式が終わってから挨拶をしたはずですが……
「親友は大事にするものでしてよ? 例えばエクストレイル伯爵家を訪れる理由を作るのに便利ですわ」
「どういう事?」
「エクストレイル伯爵は私の父と知己の仲、遊びに行く理由なんていくらでも作れますもの」
アベニール様とエクストレイル伯爵はあまり親交が深くない。
だから移動する際の経由地としてエクストレイル伯爵家のお世話になる、という手段を考えていましたが、なるほど、御友人ならば理由は何とでもなりますね。
「流石ねリバティ、それでこそワタクシの親友だわ!」
リバティ様の手を握り目を輝かせています。
リバティ様はため息を一度つきますが、すぐに微笑んでくれました。
「まったく、プリメラは友人に甘えるという事が下手すぎますわね。今まではシルビアに甘えていられましたが、これからは私に甘える事を覚えないといけませんわ」
「え、えっと、ごめんなさい?」
「かまいませんわ。こちらだってあなたに甘えることがあるでしょうから」
四人で握手をしあい、再会を約束してお別れしました。
馬車で王都にあるアベニール様のお屋敷に行きます。
寮にあった荷物はすでに運び込まれているので、私は自分の荷物の最終確認をします。
「ふぅ、私の部屋を用意して頂いたけど、結局使ったのは数日だけだったわね」
しかも身の回りの物はほとんどがアベニール様からお借りしていたから、私が持って行くのは元男爵領から持って来た物と、皆さんからいただいたプレゼントだけ。
大きなカバン一つね。
この日は最後という事もありプリメラと一緒に寝ました。
遅くまでお話をしてしまいましたけどね。
翌朝にはお見送りをして頂いて、エクストレイル伯爵家の馬車に乗り込みます。
「シルビア、絶対、絶対に遊びに行くから!」
「はい、お待ちしています」
「短い間だったが、お前には色々と世話になったな」
「アベニール様、お役に立てて光栄です」
「ふふっ、俺は直ぐに迎えに行くから待っておいで! 俺の可愛い花嫁よ!」
「セフィーロ様はもう婚約されましたよね?」
みんなと最後のお別れをして、馬車は動き出しました。
あ、セフィーロ様は公爵令嬢との婚約が決まったようです。
本人は嫌がっていましたけど、貴族の長男なので諦めた様です。
楽しかったなぁ……毎日がお祭りの様に騒がしくて、色んな事があったけどプリメラと二人で乗り越えて。
三日後にはエクストレイル伯爵領に入りました。
ふぅ、ここからは気持ちを入れ替えないといけないわね。
エクストレイル領。
エクサ子爵領の隣にあり、アベニール辺境伯領との間にはティアナ男爵領がある。
事前情報ではメイドの高年齢化により人手不足というとおり、領内でも高年齢化が進んでいるのだとか。
決して発展していないわけではないけど、若い人が他領に出ていってしまうのね。
だからエクストレイル伯爵はあまり王都に行く暇がなく、重要な要件以外では自領にいるらしい。
つまりは若者にも魅力的な領地運営をしないと……
っと、これは私が考える事ではなかったわね。
私はメイド、メイドとしての実績を積まないといけないもの。
途中で一泊し、エクストレイル伯爵邸には午前中に到着した。
「よく来てくれたねシルビア、私がエクストレイル伯爵だ」
「初めまして。本日よりお世話になるシルビアと申します。若輩者ですがよろしくお願いします」
エクストレイル様は黒髪の直毛だけど左右の耳元には白髪がたくさんあり、目が細く背が大きいけど太ってはいない。
ピッチリと身だしなみに気を使っていて、いつ国王陛下が訪れてもいいような正装に肩帯、勲章を付けている。
お屋敷は元男爵領の三倍以上はある広さで、ぱっと見ただけでも使用人は四十人は必要だと思う。
「では早速だがメイド頭に仕事内容の確認をしてくれ。質問などはメイド頭に聞けばいいが、それでもわからなければ執事、それでもダメなら私の所に来るように」
エクストレイル様の右となりにメイド頭、左には執事がいた。
メイド頭は七十は超えていそうな女性で腰が曲がっており、執事も同じく七十を超えていそうだけど、こちらは腰は曲がっていない。
「かしこまりました」
「それひゃぁこっちに来てくりぇるかい?」
メイド頭に手招きされましたが、歯が数本抜けていました。
それはそうよね、この歳になれば歯が全部そろっている方が珍しいもの。
それに見た目通りの年齢なら凄い長生き!
メイド頭について屋敷内に入ると、ああ……予想以上だわ。
半分、いえ七割のメイドの腰が曲がってる。
領内を移動中はそこまで気にならなかったけど、実際にはかなり深刻なのかもしれない。
「それひゃぁここに掃除道具があるひゃら、廊下の掃除をやってもらおうかにぇえ。あ、井戸は裏口を出たらあるきゃらね」
「はい、わかりました」
モップや雑巾、バケツと洗剤、はたきも持って行こうかしら。
範囲や注意点を確認し、私は裏口へと向かいました。
「ああここね」
裏口の少し痛んだ木の扉を見つけ、建付けが悪いのか開きにくいけど何とか開けました……これは!?
「雑草が凄い事になってるわ……」
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