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第三十七話
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「困りました、まさかお婆ちゃんメイドがみんな子供と遊びたがるなんて思いませんでした」
精々が午前と午後の交代時に名残惜しくなる程度かと思いましたが、まさかここまでどっぷり浸かってしまうとは……恐るべし子供の魔力。
しかしそうも言ってられないので、きちんと決まった通りに働いてもらわないと。
なので少し強引に引き離す事にしました。
「さあ皆さん、子供一人に何人で相手をするつもりですか? こんな事が続くと育児部屋を無くさないといけなくなりますよ?」
サラリと言葉に出たけど、確かにこんな事が続いたら育児部屋を無くせと言われても仕方がありません。
それはお婆ちゃんメイド達も望まないはず。
でも名残惜しそうに抱っこしたり頭を撫でたりしています。
「ほら、決めた順番で子守りをしてください」
一人ずつわきの下に手を入れて部屋から運び出しますが、う!? お婆ちゃんなのに凄い力だわ!
「ワシから孫を取り上げないでおくれ~」
「孫じゃありませんよね!?」
何とか一人一人運び出し、えーっとあと何人かしら?
お婆ちゃんメイドの数が減った事で、子供たちは部屋の中を走り回ります。
元気ね、やっぱり子供は走り回ってこそよね。
「きゃっ」
一人が私の足にぶつかりました。
おいかけっこをしていて私に気が付かなかった様です。
しゃがんで子供に怪我がないか確認しないと。
「大丈夫? 痛いとこは無い?」
「うんだいじょうぶ! ごめんねおねえちゃん!」
キラッキラな目で私を見てきます。
はうあっ! こっ、これは……思わず抱きしめたくなる衝動を抑え、頭をなでて我慢します。
「うん、気を付けて遊んでね」
「はーい」
そう言って子供はおいかけっこを再開します。
これは……いけません! 私も負けてしまいそうですよ!
「ここが育児部屋? ワタクシもお邪魔していいのかしら?」
入口にプリメラ達がいました。
「入っても構いませんよ。ただ子供が多いので怪我をさせないように注意してください」
「わかってるわ。ほーらほら、お姉さんとあそぼ?」
「あら? こちらは木に文字が書いてありますわね。なんですの?」
「それは文字を覚えるオモチャです。文字が書いてある棒をベースとなる沢山穴の開いた板に差し込みます。「り」なら「りんご」でも何でも構いません。そしてクロスワードの様に「ご」からいろんな言葉を連想して文字が書かれた棒を差していくんです」
リバティ様は面白そうに子供と一緒に文字盤で遊び始めます。
あれ? どうやら御二人は子供と遊ぶことに慣れている様子。
ああそうか、貴族同士でパーティや会合があった際、子息令嬢が小さな子供の相手をする事が多いですね。
そして意外? な事にリック様も子供と遊ぶのがお得意の様子。
マーチはわかるとして、セフィーロ様は当たり前の様に子供の輪に入っています。
コミュニケーションおばけですね。
ですが子供の注意がそれたことで、お婆ちゃんメイドの引き離しに成功しました。
ふっふっふ、さあ働け!
「最近のシルビアは、前みたいに活き活きした顔に戻ったわね」
「え? そうですか?」
お昼を庭のベンチに座り頂いていると、プリメラが変な事を言ってきました。
活き活きって、まるで私に元気がなかったみたいじゃありませんか。
「そう……だね。光り輝いてる」
リック様まで?
「はっはっはぁ~、俺に会えて嬉しいからに決まってるだろ」
寝言に答えたらいけないので無視します。
「元気になったのなら、そろそろ私達は戻るべきなのではなくて?」
「え、リバティ様、戻るってまだ日数に余裕が……」
「シルビア、あなたの元上司が心配性で仕方がなかったんですわ。この前なんてシルビアの事が心配過ぎて泣いてわたsむぐぅ」
「な~んでもないわ! シルビアが寂しくて泣いてないか心配だったのよ!」
プリメラがリバティ様の口を押えています。
どうやら私は心配をかけてしまったようです。
わざわざそんな事の為にこんな所まで……ばか。
「大丈夫です、私は毎日楽しく暮らしていますよ。ふふふ、ありがとうございます」
翌日には皆さん帰ってしまわれました。
昨晩は来られた日と同じように、一つのベッドで女子四人の女子会を開きました。
またやりたいですね。
育児部屋が出来てひと月が過ぎました。
新人のメイドさんも仕事に慣れ、ある程度は任せられるようになりました。
お婆さんメイド達は相変わらず子供達にメロメロですが。
ある日の事です。
お掃除道具を倉庫に片付けていたら、腰が曲がったお婆さんの頭が私の肩より少し上にありました。
あら? 以前は私の胸のあたりだったような……?
それから気になったので、他の腰が曲がっていたお婆さんメイドを観察すると、なんと少しですが腰が伸びていました。
ちょうど近くにいた修繕係の親方に話をすると。
「シルビアもそう思うか。いやそれよりもだ、あの婆さんども元気になり過ぎだ! 腰が伸びたのは良いがこっちへの注文も増えてきやがったぞ!」
ああそういえば皆さんとても元気ですね。
……子供のお陰かな。
子供たちの誕生会を開いたり、お婆さんメイドと買い物に行ったりもしていますから、子供達も楽しんでいると思います。
これはwin-win-winになってますね。
子供とよく遊び、仕事も順調にこなしていたある日、エクストレイル様に呼び出されました。
「シルビア、商工会から呼び出しされているぞ」
商工会……この街のあらゆる商売の元締めともいえる場所です。
そんな所がなぜ私を?
精々が午前と午後の交代時に名残惜しくなる程度かと思いましたが、まさかここまでどっぷり浸かってしまうとは……恐るべし子供の魔力。
しかしそうも言ってられないので、きちんと決まった通りに働いてもらわないと。
なので少し強引に引き離す事にしました。
「さあ皆さん、子供一人に何人で相手をするつもりですか? こんな事が続くと育児部屋を無くさないといけなくなりますよ?」
サラリと言葉に出たけど、確かにこんな事が続いたら育児部屋を無くせと言われても仕方がありません。
それはお婆ちゃんメイド達も望まないはず。
でも名残惜しそうに抱っこしたり頭を撫でたりしています。
「ほら、決めた順番で子守りをしてください」
一人ずつわきの下に手を入れて部屋から運び出しますが、う!? お婆ちゃんなのに凄い力だわ!
「ワシから孫を取り上げないでおくれ~」
「孫じゃありませんよね!?」
何とか一人一人運び出し、えーっとあと何人かしら?
お婆ちゃんメイドの数が減った事で、子供たちは部屋の中を走り回ります。
元気ね、やっぱり子供は走り回ってこそよね。
「きゃっ」
一人が私の足にぶつかりました。
おいかけっこをしていて私に気が付かなかった様です。
しゃがんで子供に怪我がないか確認しないと。
「大丈夫? 痛いとこは無い?」
「うんだいじょうぶ! ごめんねおねえちゃん!」
キラッキラな目で私を見てきます。
はうあっ! こっ、これは……思わず抱きしめたくなる衝動を抑え、頭をなでて我慢します。
「うん、気を付けて遊んでね」
「はーい」
そう言って子供はおいかけっこを再開します。
これは……いけません! 私も負けてしまいそうですよ!
「ここが育児部屋? ワタクシもお邪魔していいのかしら?」
入口にプリメラ達がいました。
「入っても構いませんよ。ただ子供が多いので怪我をさせないように注意してください」
「わかってるわ。ほーらほら、お姉さんとあそぼ?」
「あら? こちらは木に文字が書いてありますわね。なんですの?」
「それは文字を覚えるオモチャです。文字が書いてある棒をベースとなる沢山穴の開いた板に差し込みます。「り」なら「りんご」でも何でも構いません。そしてクロスワードの様に「ご」からいろんな言葉を連想して文字が書かれた棒を差していくんです」
リバティ様は面白そうに子供と一緒に文字盤で遊び始めます。
あれ? どうやら御二人は子供と遊ぶことに慣れている様子。
ああそうか、貴族同士でパーティや会合があった際、子息令嬢が小さな子供の相手をする事が多いですね。
そして意外? な事にリック様も子供と遊ぶのがお得意の様子。
マーチはわかるとして、セフィーロ様は当たり前の様に子供の輪に入っています。
コミュニケーションおばけですね。
ですが子供の注意がそれたことで、お婆ちゃんメイドの引き離しに成功しました。
ふっふっふ、さあ働け!
「最近のシルビアは、前みたいに活き活きした顔に戻ったわね」
「え? そうですか?」
お昼を庭のベンチに座り頂いていると、プリメラが変な事を言ってきました。
活き活きって、まるで私に元気がなかったみたいじゃありませんか。
「そう……だね。光り輝いてる」
リック様まで?
「はっはっはぁ~、俺に会えて嬉しいからに決まってるだろ」
寝言に答えたらいけないので無視します。
「元気になったのなら、そろそろ私達は戻るべきなのではなくて?」
「え、リバティ様、戻るってまだ日数に余裕が……」
「シルビア、あなたの元上司が心配性で仕方がなかったんですわ。この前なんてシルビアの事が心配過ぎて泣いてわたsむぐぅ」
「な~んでもないわ! シルビアが寂しくて泣いてないか心配だったのよ!」
プリメラがリバティ様の口を押えています。
どうやら私は心配をかけてしまったようです。
わざわざそんな事の為にこんな所まで……ばか。
「大丈夫です、私は毎日楽しく暮らしていますよ。ふふふ、ありがとうございます」
翌日には皆さん帰ってしまわれました。
昨晩は来られた日と同じように、一つのベッドで女子四人の女子会を開きました。
またやりたいですね。
育児部屋が出来てひと月が過ぎました。
新人のメイドさんも仕事に慣れ、ある程度は任せられるようになりました。
お婆さんメイド達は相変わらず子供達にメロメロですが。
ある日の事です。
お掃除道具を倉庫に片付けていたら、腰が曲がったお婆さんの頭が私の肩より少し上にありました。
あら? 以前は私の胸のあたりだったような……?
それから気になったので、他の腰が曲がっていたお婆さんメイドを観察すると、なんと少しですが腰が伸びていました。
ちょうど近くにいた修繕係の親方に話をすると。
「シルビアもそう思うか。いやそれよりもだ、あの婆さんども元気になり過ぎだ! 腰が伸びたのは良いがこっちへの注文も増えてきやがったぞ!」
ああそういえば皆さんとても元気ですね。
……子供のお陰かな。
子供たちの誕生会を開いたり、お婆さんメイドと買い物に行ったりもしていますから、子供達も楽しんでいると思います。
これはwin-win-winになってますね。
子供とよく遊び、仕事も順調にこなしていたある日、エクストレイル様に呼び出されました。
「シルビア、商工会から呼び出しされているぞ」
商工会……この街のあらゆる商売の元締めともいえる場所です。
そんな所がなぜ私を?
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