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第三十九話
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「戦争、かぁ」
街にお買い物に行ったら戦争のウワサせもちきりです。
学園にいた時はアベニール様から数年は大丈夫と言われたけど、あれから数年が過ぎたものね。
どうやらお相手はエルグランド王国の東に位置する国『クラウン帝国』らしい。
エクストレイル伯爵領はクラウン帝国と隣接していないし、国境近くには大きな川が流れているから、直接的な影響は無いと思う。
平民にとって一番の問題は間接的な事、税金や物流、治安関係だ。
戦争になれば国は貴族から私兵や金銭、物資を要求して来るし、そのシワ寄せは平民にのしかかる。
買い物が終わりお屋敷に帰ってきましたが、お屋敷でも戦争の話しばかり。
流石に気がめいって来る。
「シルビア、御館様がおよびでしゅよ」
「はい、すぐに伺います」
エクストレイル様の執務室に入ると、執事さんと見たことのない人物が二名居た。
執務机の前でエクストレイル様と話をしているけど、私が入った事で二人がこちらを振り向いた。
鎧は着ていないけど腰に剣を下げてる、中年くらいの兵士?
「シルビア、こちらの方々が話を聞きたいとおっしゃっているんだ。失礼のないように知っている事は全て話しておくれ」
はて、つい最近似たような事を言われた気がするわ。
商工会の関係者かしら。
「わかりました、知っていることを包み隠さずお話しする事を誓います」
私は御二人の側まで歩いて行き自己紹介をします。
「理由がありこちらの名は言えぬ、許せ」
「それで聞きたい事なのだが」
そして思った通り育児部屋の事を聞いてきました。
どうして兵士が育児部屋の事を聞きたがるんだろう。
戦場に子供を連れていくつもり?
しかし話を聞いていくと何となく理由がわかりました。
結婚している兵士が子供や奥さんを心配して戦場に行きたがらない、行っても家族が心配で本来の力を発揮できない、という事があるようです。
なので働き先で子供を預かる設備があれば、兵士が少しでも安心できるのではないか、という事の様です。
なるほど、兵士の士気にかかわる事なんですね。
説明は数時間に及びましたが、兵士さんはしっかりと理解してくれました。
そして思わず私は愚痴をこぼしてしまいます。
「はぁ、商工会の人も同じように理解してくれれば良かったんですが」
「商工会? 一体何があったんだ?」
「あ、すみません私ったら……実は」
ええ、やっぱり自分の中では納得いっていなかったのか、商工会での出来事、私を悪と決めつける物言いを洗いざらい話してしまいました。
あら? 兵士さんの表情が険しくなっていくわ?
「有益な話をありがとう。実は他の街ではすでに育児部屋が複数存在しているんだ。なぜこの街では採用されないのか、そして国境に近くもないこの街が、なぜ年寄りばかりなのか理解できたよ」
他の街ではすでに採用済み? こういう事は始めた街に浸透してからと思っていましたが、順番が違いますね。
それにお年寄りが多い理由? それは私もぜひ知りたい所です。
しかし残念ながら教えてもらえませんでした。
そんな話をしてから十日ほどが過ぎました。
遂に戦争が始まってしまいました。
エルグランド王国とクラウン帝国の戦いは過去にも何度かありました。
私が知っているのは約五十年ほど前の事ですが、その時は痛み分けで終わったとか。
当時の資料ではクラウン帝国がいきなり宣戦布告をし、互いに拮抗していて勝負がつかす、数年で終戦を迎えたと書かれていました。
それなのにまた戦争を始めるという事は、五十年かけてしっかりと軍備を整えた、という事なんでしょう。
でもどうして攻め込んで来るのかしら、どうしても欲しい物がエルグランンド王国にあるの?
「シルビア、メシ、昼めし食うぞ」
「はいオッティ、今行きます」
相変らずオッティはお昼を離れではなくお屋敷で食べています。
庭の話を色々と聞けて楽しいから丁度いいですね。
戦争開始から数日が過ぎ、遂に恐れていたことが起きてしまいます。
「人頭税の値上げ……ですか」
「まったく戦争は困ったものでしゅね。ただでさえ生活が苦しいっていうのににぇ」
メイド頭がぼやきますが、これは誰でも同じ感想を持っているでしょう。
しかし人頭税ならばまだ何とかなります。
年に一度、家族分の決まった額を払えばいいのですから。
しかし人頭税も不公平ですよね、貴族でも平民でも額が同じなんて。
それからはどこでも戦争の話しばかりです。
最初の頃はクラウン帝国が優勢らしく、大きな川を渡り国内に随分と入り込まれた様です。
しかし今は川近くまで追い返したとか。
多分最初はワザと攻め込ませたんでしょう。
宣戦布告をした側は勢いがあるので無理をせずに後退し、ある程度落ち着いたら押し返す。
特に両国間には大きな川があるので、いっぺんに入ってこれる数は多くない。
後は補給を絶てば相手は瓦解するかな?
あ、でも相手が万全だったら数か所から攻めて来るかしら。
その場合は……って、何を考えているのよ私は。
なんでもかんでも自分で何とかしようとする癖、直さなきゃ。
戦場は専門家に任せて私は私にできる事をしましょう。
しかし私ではどうしようもない事が発生します。
「徴兵年齢を下げる!? 十二歳から⁉ まだ子供じゃないですか!!」
街にお買い物に行ったら戦争のウワサせもちきりです。
学園にいた時はアベニール様から数年は大丈夫と言われたけど、あれから数年が過ぎたものね。
どうやらお相手はエルグランド王国の東に位置する国『クラウン帝国』らしい。
エクストレイル伯爵領はクラウン帝国と隣接していないし、国境近くには大きな川が流れているから、直接的な影響は無いと思う。
平民にとって一番の問題は間接的な事、税金や物流、治安関係だ。
戦争になれば国は貴族から私兵や金銭、物資を要求して来るし、そのシワ寄せは平民にのしかかる。
買い物が終わりお屋敷に帰ってきましたが、お屋敷でも戦争の話しばかり。
流石に気がめいって来る。
「シルビア、御館様がおよびでしゅよ」
「はい、すぐに伺います」
エクストレイル様の執務室に入ると、執事さんと見たことのない人物が二名居た。
執務机の前でエクストレイル様と話をしているけど、私が入った事で二人がこちらを振り向いた。
鎧は着ていないけど腰に剣を下げてる、中年くらいの兵士?
「シルビア、こちらの方々が話を聞きたいとおっしゃっているんだ。失礼のないように知っている事は全て話しておくれ」
はて、つい最近似たような事を言われた気がするわ。
商工会の関係者かしら。
「わかりました、知っていることを包み隠さずお話しする事を誓います」
私は御二人の側まで歩いて行き自己紹介をします。
「理由がありこちらの名は言えぬ、許せ」
「それで聞きたい事なのだが」
そして思った通り育児部屋の事を聞いてきました。
どうして兵士が育児部屋の事を聞きたがるんだろう。
戦場に子供を連れていくつもり?
しかし話を聞いていくと何となく理由がわかりました。
結婚している兵士が子供や奥さんを心配して戦場に行きたがらない、行っても家族が心配で本来の力を発揮できない、という事があるようです。
なので働き先で子供を預かる設備があれば、兵士が少しでも安心できるのではないか、という事の様です。
なるほど、兵士の士気にかかわる事なんですね。
説明は数時間に及びましたが、兵士さんはしっかりと理解してくれました。
そして思わず私は愚痴をこぼしてしまいます。
「はぁ、商工会の人も同じように理解してくれれば良かったんですが」
「商工会? 一体何があったんだ?」
「あ、すみません私ったら……実は」
ええ、やっぱり自分の中では納得いっていなかったのか、商工会での出来事、私を悪と決めつける物言いを洗いざらい話してしまいました。
あら? 兵士さんの表情が険しくなっていくわ?
「有益な話をありがとう。実は他の街ではすでに育児部屋が複数存在しているんだ。なぜこの街では採用されないのか、そして国境に近くもないこの街が、なぜ年寄りばかりなのか理解できたよ」
他の街ではすでに採用済み? こういう事は始めた街に浸透してからと思っていましたが、順番が違いますね。
それにお年寄りが多い理由? それは私もぜひ知りたい所です。
しかし残念ながら教えてもらえませんでした。
そんな話をしてから十日ほどが過ぎました。
遂に戦争が始まってしまいました。
エルグランド王国とクラウン帝国の戦いは過去にも何度かありました。
私が知っているのは約五十年ほど前の事ですが、その時は痛み分けで終わったとか。
当時の資料ではクラウン帝国がいきなり宣戦布告をし、互いに拮抗していて勝負がつかす、数年で終戦を迎えたと書かれていました。
それなのにまた戦争を始めるという事は、五十年かけてしっかりと軍備を整えた、という事なんでしょう。
でもどうして攻め込んで来るのかしら、どうしても欲しい物がエルグランンド王国にあるの?
「シルビア、メシ、昼めし食うぞ」
「はいオッティ、今行きます」
相変らずオッティはお昼を離れではなくお屋敷で食べています。
庭の話を色々と聞けて楽しいから丁度いいですね。
戦争開始から数日が過ぎ、遂に恐れていたことが起きてしまいます。
「人頭税の値上げ……ですか」
「まったく戦争は困ったものでしゅね。ただでさえ生活が苦しいっていうのににぇ」
メイド頭がぼやきますが、これは誰でも同じ感想を持っているでしょう。
しかし人頭税ならばまだ何とかなります。
年に一度、家族分の決まった額を払えばいいのですから。
しかし人頭税も不公平ですよね、貴族でも平民でも額が同じなんて。
それからはどこでも戦争の話しばかりです。
最初の頃はクラウン帝国が優勢らしく、大きな川を渡り国内に随分と入り込まれた様です。
しかし今は川近くまで追い返したとか。
多分最初はワザと攻め込ませたんでしょう。
宣戦布告をした側は勢いがあるので無理をせずに後退し、ある程度落ち着いたら押し返す。
特に両国間には大きな川があるので、いっぺんに入ってこれる数は多くない。
後は補給を絶てば相手は瓦解するかな?
あ、でも相手が万全だったら数か所から攻めて来るかしら。
その場合は……って、何を考えているのよ私は。
なんでもかんでも自分で何とかしようとする癖、直さなきゃ。
戦場は専門家に任せて私は私にできる事をしましょう。
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