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第六十八話
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プレオ・ネスタ大聖堂に呼ばれ少しビクビクしながら進んでいくと、エクシーガ大司教が大聖堂前にいました。
どうやら私を案内してくれるようなのですが、何故か鼻息が荒いです。
なんでしょう、なぜそんなに得意そうな顔なのでしょうか。
「シルビアさん! 今日はとても良い日ですね!」
「え? ええそうですね、天気は良く穏やかですね」
ううっ! まさか嵐の前の静けさですか!? これから私にはどんな艱難辛苦が待ち受けているというのでしょう!
エクシーガ大司教と一緒に大聖堂に入ると、左右の側廊には沢山の司教や大司教が並び、主祭壇には教皇アルシオーネ八世と左右に一人ずつが立っています。
これって、この国のトップが勢ぞろいしてるって事よね、何で私なんかが⁉
エクシーガ大司教の後について進み主祭壇の前まで来ました。
教皇様の前で跪き、顔の前で指を組みます。
「エルグランド王国、シルビアで間違いないな」
教皇様の左にいる人が問いかけてきます。
「は、はい、間違いありません」
「神の使いである鳥に触れたことに間違いはないな」
「……間違いありません」
ああ、やっぱりその事なのね。
あの時は雛を助けようと必死だったけど、アレはこじつけて助けたようなもの。
やっぱり触れてはいけなかったんだわ。
「教皇アルシオーネ八世、この者で間違いございません」
「うむ。ではシルビアよ――」
ど、どんな沙汰が下されるのかしら!!
「シルビアよ、鳥は……柔らかかったか?」
「………………え?」
とっても素っ頓狂な声を出したと思います。
ええ、今まで生きてきた中でも最上級の素っ頓狂です。
鳥は柔らかかったか? どういう質問?
「え、えーっと、そうですね、とても軽く、優しく触れないと壊れてしまいそうなくらいに――」
大聖堂内に皆さんの「おお!」という声が響きます。
な、なに? 一体何が起きているの?
「そ、そうか! それで、母鳥はどのような感じだった?」
「は、母鳥は、黒と茶色の毛並みが美しく、雛を巣に戻すと安心したようにエサを与えていました」
「おおおおおおーーーー!!」
きゃ、なに? なんで歓声が上がっているの?
皆さんの顔はとても嬉しそう、というより……まるで子供が知りたい事を知ってはしゃいでいるようにも見える。
……あ、そういう事か。
次は教皇様の右の人が興奮した状態で聞いてきます。
「雛は、雛は何人おられたのだ?」
「確か雛は五ひ……五人いらっしゃいました」
ああそうか、神様の使いだから天使と同じ数え方なのね。
「五人とも元気でいらしたか?」
「はい、とても元気に食事をしておられました」
さっきはエサって言っちゃったけど、天使様にエサは失礼よね。
教皇様が主祭壇から降りてきて私に両手を伸ばします。
「神の使いを助けてくれたこと、心より感謝する。シルビアにはこの騎士団大翼星章を授ける」
教皇様の手には細い線が放射状に広がり六角形を成し、中央には翼を広げた鳥が掘られた勲章がありました。
勲章? 私にですか? えっと、どうしたら……
戸惑う私をエクシーガ大司教が助け舟を出してくれます。
「さあシルビア、立ち上がって頭をたれよ」
言われた通りにすると、教皇様が私の首に勲章をかけてくださいました。
大聖堂の鐘が鳴り響き、歓声と共に大聖堂を後にします。
「お疲れさまでした、シルビアさん」
「は、はい……一体何が起きたのか、今でも理解できていません」
大聖堂を出た後も沢山の神官に見送られましたが、ようやくソルテラ宮殿に戻ってきました。
私に勲章を渡すというのも理解できませんが、せめて事前に呼び出した理由を教えて欲しいものです。
「おかえりなしゃい、シルビアしゃん、エクシーガ大司教しゃま」
「ただいま戻りました。あの、どうしてそんなに笑顔なんですか?」
「そんな事は決まっていましゅ。エクストレイル王国に勲章が贈られたのでしゅから、友好の証しとしては最上級のお手柄なのでしゅよ?」
「そ、そういうものでしょうか」
私とエクシーガ大司教がイスに座ると、テーブルに置いてあった紅茶セットからお茶をいれます。
ようやくひと息ついたのか、私は大きく息を吐きました。
「改めてご説明しますと、シルビアさんは今までやろうとしても怖くて誰も出来なかった事をやってくれたんです。ずっと弱っていく鳥たちを眺める事しか出来ていませんでしたが、今回の事で皆が進んで助けられるようになるでしょう」
「シルビアしゃんというのも丁度よかったのでしゅ。平民でありながらも他国の使節。ある程度の立場で神に仕えていない人材。多少の制限はありましゅが、これからは見殺しになる事はなくなると思いましゅよ」
「そう……だったんですね。お役に立てたのならよかったです」
ふぅ、最近は料理の方がひと段落ついて、次の事に取り掛かっていた所だから緊張しっぱなしだわ。
そういえば料理のイベント『多国籍屋台村』は来月に決まったそうです。
今は食材の手配や人員を集めている所ですが、時間はあるのでエルグランド王国の文化体験を企画しています。
文化と言っても子供が良くやる遊びがメインで、大人はダンスを楽しむという物です。
数日が経ちました。
順調に進み……いえ、勲章をもらった事であちこちで声をかけられるようになりましたが、おおむね順調に進んでいます。
多国籍屋台村の準備も順調で、屋台もそろそろ完成しようという所です。
「良い感じに進んでいますね」
「そうでしゅね。このままいけば予定より早く終わりましゅ」
ソルテラ宮殿で書類を整理していると、また廊下が騒がしくなってきました。
以前はヒミコ様が大声を出していましたが、今回は何でしょう。
すると扉が乱暴に開けられます。
「ローレル様! シルビア様! 宿が燃えています!」
どうやら私を案内してくれるようなのですが、何故か鼻息が荒いです。
なんでしょう、なぜそんなに得意そうな顔なのでしょうか。
「シルビアさん! 今日はとても良い日ですね!」
「え? ええそうですね、天気は良く穏やかですね」
ううっ! まさか嵐の前の静けさですか!? これから私にはどんな艱難辛苦が待ち受けているというのでしょう!
エクシーガ大司教と一緒に大聖堂に入ると、左右の側廊には沢山の司教や大司教が並び、主祭壇には教皇アルシオーネ八世と左右に一人ずつが立っています。
これって、この国のトップが勢ぞろいしてるって事よね、何で私なんかが⁉
エクシーガ大司教の後について進み主祭壇の前まで来ました。
教皇様の前で跪き、顔の前で指を組みます。
「エルグランド王国、シルビアで間違いないな」
教皇様の左にいる人が問いかけてきます。
「は、はい、間違いありません」
「神の使いである鳥に触れたことに間違いはないな」
「……間違いありません」
ああ、やっぱりその事なのね。
あの時は雛を助けようと必死だったけど、アレはこじつけて助けたようなもの。
やっぱり触れてはいけなかったんだわ。
「教皇アルシオーネ八世、この者で間違いございません」
「うむ。ではシルビアよ――」
ど、どんな沙汰が下されるのかしら!!
「シルビアよ、鳥は……柔らかかったか?」
「………………え?」
とっても素っ頓狂な声を出したと思います。
ええ、今まで生きてきた中でも最上級の素っ頓狂です。
鳥は柔らかかったか? どういう質問?
「え、えーっと、そうですね、とても軽く、優しく触れないと壊れてしまいそうなくらいに――」
大聖堂内に皆さんの「おお!」という声が響きます。
な、なに? 一体何が起きているの?
「そ、そうか! それで、母鳥はどのような感じだった?」
「は、母鳥は、黒と茶色の毛並みが美しく、雛を巣に戻すと安心したようにエサを与えていました」
「おおおおおおーーーー!!」
きゃ、なに? なんで歓声が上がっているの?
皆さんの顔はとても嬉しそう、というより……まるで子供が知りたい事を知ってはしゃいでいるようにも見える。
……あ、そういう事か。
次は教皇様の右の人が興奮した状態で聞いてきます。
「雛は、雛は何人おられたのだ?」
「確か雛は五ひ……五人いらっしゃいました」
ああそうか、神様の使いだから天使と同じ数え方なのね。
「五人とも元気でいらしたか?」
「はい、とても元気に食事をしておられました」
さっきはエサって言っちゃったけど、天使様にエサは失礼よね。
教皇様が主祭壇から降りてきて私に両手を伸ばします。
「神の使いを助けてくれたこと、心より感謝する。シルビアにはこの騎士団大翼星章を授ける」
教皇様の手には細い線が放射状に広がり六角形を成し、中央には翼を広げた鳥が掘られた勲章がありました。
勲章? 私にですか? えっと、どうしたら……
戸惑う私をエクシーガ大司教が助け舟を出してくれます。
「さあシルビア、立ち上がって頭をたれよ」
言われた通りにすると、教皇様が私の首に勲章をかけてくださいました。
大聖堂の鐘が鳴り響き、歓声と共に大聖堂を後にします。
「お疲れさまでした、シルビアさん」
「は、はい……一体何が起きたのか、今でも理解できていません」
大聖堂を出た後も沢山の神官に見送られましたが、ようやくソルテラ宮殿に戻ってきました。
私に勲章を渡すというのも理解できませんが、せめて事前に呼び出した理由を教えて欲しいものです。
「おかえりなしゃい、シルビアしゃん、エクシーガ大司教しゃま」
「ただいま戻りました。あの、どうしてそんなに笑顔なんですか?」
「そんな事は決まっていましゅ。エクストレイル王国に勲章が贈られたのでしゅから、友好の証しとしては最上級のお手柄なのでしゅよ?」
「そ、そういうものでしょうか」
私とエクシーガ大司教がイスに座ると、テーブルに置いてあった紅茶セットからお茶をいれます。
ようやくひと息ついたのか、私は大きく息を吐きました。
「改めてご説明しますと、シルビアさんは今までやろうとしても怖くて誰も出来なかった事をやってくれたんです。ずっと弱っていく鳥たちを眺める事しか出来ていませんでしたが、今回の事で皆が進んで助けられるようになるでしょう」
「シルビアしゃんというのも丁度よかったのでしゅ。平民でありながらも他国の使節。ある程度の立場で神に仕えていない人材。多少の制限はありましゅが、これからは見殺しになる事はなくなると思いましゅよ」
「そう……だったんですね。お役に立てたのならよかったです」
ふぅ、最近は料理の方がひと段落ついて、次の事に取り掛かっていた所だから緊張しっぱなしだわ。
そういえば料理のイベント『多国籍屋台村』は来月に決まったそうです。
今は食材の手配や人員を集めている所ですが、時間はあるのでエルグランド王国の文化体験を企画しています。
文化と言っても子供が良くやる遊びがメインで、大人はダンスを楽しむという物です。
数日が経ちました。
順調に進み……いえ、勲章をもらった事であちこちで声をかけられるようになりましたが、おおむね順調に進んでいます。
多国籍屋台村の準備も順調で、屋台もそろそろ完成しようという所です。
「良い感じに進んでいますね」
「そうでしゅね。このままいけば予定より早く終わりましゅ」
ソルテラ宮殿で書類を整理していると、また廊下が騒がしくなってきました。
以前はヒミコ様が大声を出していましたが、今回は何でしょう。
すると扉が乱暴に開けられます。
「ローレル様! シルビア様! 宿が燃えています!」
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