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第七十五話
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街中を走り抜け、ようやく街はずれの孤児施設にたどり着きました。
息が……息が苦しい……しかしどんな理由であれメイドが仕事を放棄する訳にはいきません。
少しだけ、少しだけ息を整えて……ふぅ~……よし。
孤児施設の門をくぐるとリーフ様の馬車がありました。
よかった、すれ違いになっていなかったわね。
施設に入るとリーフ様とスパシオさんは子供達と遊んでいました。
リーフ様は私を見ると一瞬だけ目を細めますが、特に私を咎める事もなく話かけてきます。
「あら遅かったわね。ほら、あなたも子供達と遊んだら?」
「遅れて申し訳ありま――」
「ほら、この人はシルビアお姉ちゃんよ~、みんなでコチョコチョしようか~」
スパシオさんが私の言葉を遮り、子供達を差す向けます。
確かにこの場で謝罪をすると子供達が不思議に思うかもしれませんから、正式な謝罪は終わってからにしましょう。
それと私はスパシオさんと話をしたいのですが。
視察が終わりお城へと戻る道中、私はリーフ様からお叱りを受けました。
スパシオさんに言いたい事は沢山ありますが、リーフ様にとっては私がいなかった事が問題なので仕方がありません。
しかし対策を練らないといけないでしょう。
なので翌日から私はリーフ様付きメイドの情報を集めまくりました。
具体的には朝の打ち合わせ時に先輩方を立てるようにして一日の予定をすべて聞き出し、その際に必要な事を教えてもらいます。
その上でスパシオさんに仕事を教えてもらい、齟齬がある場合には他のリーフ様付きメイドに確認します。
これで一週間が過ぎましたが、何度か自己防衛が出来ました。
少なくともリーフ様にご迷惑をおかけるする事はありません。
このまま順調にいけば、ひと月も経たないうちに教えてもらう事は無くなります。
さて今日の仕事は。
「シルビア、今日はリーフ様のおやつを作るわよ!」
スパシオさんがそんな事を言ってきました。
はて、王族が口にする物は全て専用のシェフが作ると聞いていましたが、メイドが作るなんて事があるのでしょうか。
その事をスパシオさんに聞くと「たまに作る」といわれます。
ただのおやつ作りなら構いませんが相手は王族、何かあっては取り返しがつきません。
誰かに確認しようとしたら腕を引っ張られて厨房に連れていかれました。
ここまで来てしまったら仕方がありません、仕事を教えてもらっている手前断るわけにもいきませんし。
でも何を作るのかしら。
「一緒にケーキを作るわよ!」
「ケーキですか? クッキーやブレッツェルではないんですか?」
「リーフお嬢様はケーキがお好きなのよ!」
相変らず元気で勢いがありますが、ケーキは生ものです、あまり私達が作るには適していないように思えますが。
ケーキの作り方は知っているので、まあ作る分には構わないでしょう。
表面上は仲良くお菓子を作っていますが、私の警戒心はとても上がっています。
時間がかかりましたが、午後のティータイムには間に合うように完成しました。
さて本当にコレをお出しするのでしょうか……一応手は打っておきましたが。
ティータイムになりお菓子を運びます。
リーフ様のティータイムは二階のバルコニーでバラ園を眺めながらなので、ケーキと紅茶を運んでテーブルに並べます。
「あら? 今日はケーキなの?」
「はい! シルビアがどうしてもというので作らせました!」
……え!? 私がケーキを出したいなんていつ言いましたか!
するとスパシオさんは私を見てニヤリと笑います。
ふ~ん、そういう事ですか、でも何でしょう、とても懐かしい気がしますね。
「私が言ったかどうかは置いておき、メイドが作った生ものを召し上がる事はお勧めできません」
「ちょっと? あなたがケーキを出したかったんじゃないの?」
「王族の方々が、専門家でもないメイドの料理を召し上がること自体があり得ません。申し訳ございませんが、ケーキを召し上がるのはおやめください」
「あ、あははは、この子ったら何を言ってるのかしら。ケーキを作ってお出しするんだーなんて言ってたんですよ?」
リーフ様が混乱したような顔をしています。
二人の言っていることが違うのだからそうでしょうね。
しかしリーフ様はどちらの意見を……いえ、決まっていますね。
「シルビア、あなたは自分でケーキを作っておいて、今になって怖いから食べるなといっているのね?」
「そ、そうなんですよ! シルビアったら臆病風に吹かれちゃって!」
私を毛嫌いしているし、お城で実績のあるメイドであるスパシオさんの意見を尊重するのは当たり前。
ケーキを作るといったのが誰かを追及するのはやめて、次の手に移行しましょう。
「ケーキはダメですが、私と料理長が共同で作ったクッキーがありますので、そちらをお召し上がりください」
「え? く、クッキー? いつの間に?」
息が……息が苦しい……しかしどんな理由であれメイドが仕事を放棄する訳にはいきません。
少しだけ、少しだけ息を整えて……ふぅ~……よし。
孤児施設の門をくぐるとリーフ様の馬車がありました。
よかった、すれ違いになっていなかったわね。
施設に入るとリーフ様とスパシオさんは子供達と遊んでいました。
リーフ様は私を見ると一瞬だけ目を細めますが、特に私を咎める事もなく話かけてきます。
「あら遅かったわね。ほら、あなたも子供達と遊んだら?」
「遅れて申し訳ありま――」
「ほら、この人はシルビアお姉ちゃんよ~、みんなでコチョコチョしようか~」
スパシオさんが私の言葉を遮り、子供達を差す向けます。
確かにこの場で謝罪をすると子供達が不思議に思うかもしれませんから、正式な謝罪は終わってからにしましょう。
それと私はスパシオさんと話をしたいのですが。
視察が終わりお城へと戻る道中、私はリーフ様からお叱りを受けました。
スパシオさんに言いたい事は沢山ありますが、リーフ様にとっては私がいなかった事が問題なので仕方がありません。
しかし対策を練らないといけないでしょう。
なので翌日から私はリーフ様付きメイドの情報を集めまくりました。
具体的には朝の打ち合わせ時に先輩方を立てるようにして一日の予定をすべて聞き出し、その際に必要な事を教えてもらいます。
その上でスパシオさんに仕事を教えてもらい、齟齬がある場合には他のリーフ様付きメイドに確認します。
これで一週間が過ぎましたが、何度か自己防衛が出来ました。
少なくともリーフ様にご迷惑をおかけるする事はありません。
このまま順調にいけば、ひと月も経たないうちに教えてもらう事は無くなります。
さて今日の仕事は。
「シルビア、今日はリーフ様のおやつを作るわよ!」
スパシオさんがそんな事を言ってきました。
はて、王族が口にする物は全て専用のシェフが作ると聞いていましたが、メイドが作るなんて事があるのでしょうか。
その事をスパシオさんに聞くと「たまに作る」といわれます。
ただのおやつ作りなら構いませんが相手は王族、何かあっては取り返しがつきません。
誰かに確認しようとしたら腕を引っ張られて厨房に連れていかれました。
ここまで来てしまったら仕方がありません、仕事を教えてもらっている手前断るわけにもいきませんし。
でも何を作るのかしら。
「一緒にケーキを作るわよ!」
「ケーキですか? クッキーやブレッツェルではないんですか?」
「リーフお嬢様はケーキがお好きなのよ!」
相変らず元気で勢いがありますが、ケーキは生ものです、あまり私達が作るには適していないように思えますが。
ケーキの作り方は知っているので、まあ作る分には構わないでしょう。
表面上は仲良くお菓子を作っていますが、私の警戒心はとても上がっています。
時間がかかりましたが、午後のティータイムには間に合うように完成しました。
さて本当にコレをお出しするのでしょうか……一応手は打っておきましたが。
ティータイムになりお菓子を運びます。
リーフ様のティータイムは二階のバルコニーでバラ園を眺めながらなので、ケーキと紅茶を運んでテーブルに並べます。
「あら? 今日はケーキなの?」
「はい! シルビアがどうしてもというので作らせました!」
……え!? 私がケーキを出したいなんていつ言いましたか!
するとスパシオさんは私を見てニヤリと笑います。
ふ~ん、そういう事ですか、でも何でしょう、とても懐かしい気がしますね。
「私が言ったかどうかは置いておき、メイドが作った生ものを召し上がる事はお勧めできません」
「ちょっと? あなたがケーキを出したかったんじゃないの?」
「王族の方々が、専門家でもないメイドの料理を召し上がること自体があり得ません。申し訳ございませんが、ケーキを召し上がるのはおやめください」
「あ、あははは、この子ったら何を言ってるのかしら。ケーキを作ってお出しするんだーなんて言ってたんですよ?」
リーフ様が混乱したような顔をしています。
二人の言っていることが違うのだからそうでしょうね。
しかしリーフ様はどちらの意見を……いえ、決まっていますね。
「シルビア、あなたは自分でケーキを作っておいて、今になって怖いから食べるなといっているのね?」
「そ、そうなんですよ! シルビアったら臆病風に吹かれちゃって!」
私を毛嫌いしているし、お城で実績のあるメイドであるスパシオさんの意見を尊重するのは当たり前。
ケーキを作るといったのが誰かを追及するのはやめて、次の手に移行しましょう。
「ケーキはダメですが、私と料理長が共同で作ったクッキーがありますので、そちらをお召し上がりください」
「え? く、クッキー? いつの間に?」
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