77 / 139
第七十七話
しおりを挟む
「……理由?」
「はい。王宮で働くメイドの多くは貴族令嬢です。しかし少ないながらも平民もいます。しかし陛下からしたら同じメイドでしかありません」
「メイド達のしがらみや行動を諫めさせるために、シルビアを呼んだという事?」
「その可能性を考えています。わざわざ問題のある領地へ向かわせて、メイドとして働かせる傍らで領地の問題を解決させることで私を試し、その資格があると判断されたのでしょう」
「……いえ、でも待って、確か貴族を順番に回らせる提案をしたのはスーお姉様だし、エクストレイル伯爵家を指定したのはミーお兄様だわ」
「その通りです。最初は興味本位だったのではないでしょうか」
「興味?」
「平民でありながら成果を出した私です。少なくともよそに渡すくらいなら手元に置いておきたい、そうお考えになってもおかしくはありません」
「それは……確かに言えているわね。じゃあやっぱりお父様はスーお姉様の提案の時点で考えていらしたのかしら」
「それは流石にわかりませんが、途中からはそのつもりだったと思います。そうでなければ問題のある貴族ばかりに回したりはしないでしょう」
「言えてるわね……ならいいわ、あなたの思うままにやってみなさい。そのかわり! メイドとしての仕事を疎かにしてはダメよ」
「かしこまりました。リーフ様のお世話を優先とし、空いた時間で進めてまいります」
翌日から早速調査を開始しました。
朝礼時はとても情報が入りますね、一歩引いた感覚で見るとそれぞれの立場や力関係が良く見えてきます。
あそこの威張っているのは上級貴族の令嬢かしら、あっちの恐縮しきりなのは平民? あちらでおべっかを使っているのは下級貴族ね。
基本的にメイドとしてのキャリアよりも、貴族階級が高い方が強いようです。
たとえ代々王宮でメイドをしていても、親の七光りの方が強いというのはメイドとしてどうなのでしょうか。
代々メイドとしてお仕えしている人は、メイドとしての信頼が違います。
そしてメイドとして小さなころから鍛えられていると、その仕事っぷりも他とは違うでしょう。
貴族だからと威張り散らし、代々のメイドが辞めるとなると損失が大きすぎます。
これは思ったより由々しき事態ですね。
さて、まずは近い所でリーフ様付きメイドは、と……リーフ様付きのメイドはみな男爵家や子爵家な上、年齢も近いので仲がいいですね。
なら一番問題がありそうなところは?
あそこ……かしら。
見た先には見目麗しい(王宮のメイドは皆キレイだけど)メイドがいますが、メガネに黒髪、お化粧が少なめの女性がいました。
その周囲にはメイドなのにしっかりとメイクをした女性が複数名います。
確かあそこは第四子三男のサファリ様のメイド達。
サファリ様は見た目はワイルド系な御方ですが、とても物静かで優しいと聞いています。
恐らくメガネのメイドは平民で、代々王家に仕えている家系だとみました。
メガネのメイドは必死に着飾ったメイド達に説明していますが、着飾ったメイド達は全然聞いている態度ではありませんね。
イジメ、とは言えないかもしれないけど、王子に仕える者としてはしっかりして欲しい所です。
恐らくですが、サファリ様付きのメイドは、次男のシルフィー様付きのメイドと関係があまりよろしくないはず。
長男のグロリア様は王太子として別格であり、長女のシーマ様はすでに他国の王太子に嫁いでいます。
次男のシルフィー様と三男のサファリ様の仲は良好ですが、そのメイド達はどちらが優位かで争っています。
万が一、御二方の関係にまで発展しては目も当てられません。
これは急いだ方がよいでしょう。
しかしどうやって切り込みましょうか……
そんな事を考えながらリーフ様のお世話をしていると、面白い人が訪問予定だと聞きました。
スリーヒルズ連邦のヒミコ様だ。
あの金髪縦ロールでお化粧が厚いヒミコお嬢様がどうして? と思いましたが、どうやらプレアデス教国に使節団を派遣した国を順番に回っているそうです。
関係を持った国との連携を強めようという事でしょうか。
普段なら「お疲れ様です」と流す所ですが、なんと私にも会いたいとご指名をいただきました。
これは……ヒミコ様には申し訳ありませんが、いいネタが転がり込んできました。
ヒミコ様はスリーヒルズ連邦で最大の領土を持つ自治区の王女です。
さて、相手はどういう反応を示すでしょうか。
「はい。王宮で働くメイドの多くは貴族令嬢です。しかし少ないながらも平民もいます。しかし陛下からしたら同じメイドでしかありません」
「メイド達のしがらみや行動を諫めさせるために、シルビアを呼んだという事?」
「その可能性を考えています。わざわざ問題のある領地へ向かわせて、メイドとして働かせる傍らで領地の問題を解決させることで私を試し、その資格があると判断されたのでしょう」
「……いえ、でも待って、確か貴族を順番に回らせる提案をしたのはスーお姉様だし、エクストレイル伯爵家を指定したのはミーお兄様だわ」
「その通りです。最初は興味本位だったのではないでしょうか」
「興味?」
「平民でありながら成果を出した私です。少なくともよそに渡すくらいなら手元に置いておきたい、そうお考えになってもおかしくはありません」
「それは……確かに言えているわね。じゃあやっぱりお父様はスーお姉様の提案の時点で考えていらしたのかしら」
「それは流石にわかりませんが、途中からはそのつもりだったと思います。そうでなければ問題のある貴族ばかりに回したりはしないでしょう」
「言えてるわね……ならいいわ、あなたの思うままにやってみなさい。そのかわり! メイドとしての仕事を疎かにしてはダメよ」
「かしこまりました。リーフ様のお世話を優先とし、空いた時間で進めてまいります」
翌日から早速調査を開始しました。
朝礼時はとても情報が入りますね、一歩引いた感覚で見るとそれぞれの立場や力関係が良く見えてきます。
あそこの威張っているのは上級貴族の令嬢かしら、あっちの恐縮しきりなのは平民? あちらでおべっかを使っているのは下級貴族ね。
基本的にメイドとしてのキャリアよりも、貴族階級が高い方が強いようです。
たとえ代々王宮でメイドをしていても、親の七光りの方が強いというのはメイドとしてどうなのでしょうか。
代々メイドとしてお仕えしている人は、メイドとしての信頼が違います。
そしてメイドとして小さなころから鍛えられていると、その仕事っぷりも他とは違うでしょう。
貴族だからと威張り散らし、代々のメイドが辞めるとなると損失が大きすぎます。
これは思ったより由々しき事態ですね。
さて、まずは近い所でリーフ様付きメイドは、と……リーフ様付きのメイドはみな男爵家や子爵家な上、年齢も近いので仲がいいですね。
なら一番問題がありそうなところは?
あそこ……かしら。
見た先には見目麗しい(王宮のメイドは皆キレイだけど)メイドがいますが、メガネに黒髪、お化粧が少なめの女性がいました。
その周囲にはメイドなのにしっかりとメイクをした女性が複数名います。
確かあそこは第四子三男のサファリ様のメイド達。
サファリ様は見た目はワイルド系な御方ですが、とても物静かで優しいと聞いています。
恐らくメガネのメイドは平民で、代々王家に仕えている家系だとみました。
メガネのメイドは必死に着飾ったメイド達に説明していますが、着飾ったメイド達は全然聞いている態度ではありませんね。
イジメ、とは言えないかもしれないけど、王子に仕える者としてはしっかりして欲しい所です。
恐らくですが、サファリ様付きのメイドは、次男のシルフィー様付きのメイドと関係があまりよろしくないはず。
長男のグロリア様は王太子として別格であり、長女のシーマ様はすでに他国の王太子に嫁いでいます。
次男のシルフィー様と三男のサファリ様の仲は良好ですが、そのメイド達はどちらが優位かで争っています。
万が一、御二方の関係にまで発展しては目も当てられません。
これは急いだ方がよいでしょう。
しかしどうやって切り込みましょうか……
そんな事を考えながらリーフ様のお世話をしていると、面白い人が訪問予定だと聞きました。
スリーヒルズ連邦のヒミコ様だ。
あの金髪縦ロールでお化粧が厚いヒミコお嬢様がどうして? と思いましたが、どうやらプレアデス教国に使節団を派遣した国を順番に回っているそうです。
関係を持った国との連携を強めようという事でしょうか。
普段なら「お疲れ様です」と流す所ですが、なんと私にも会いたいとご指名をいただきました。
これは……ヒミコ様には申し訳ありませんが、いいネタが転がり込んできました。
ヒミコ様はスリーヒルズ連邦で最大の領土を持つ自治区の王女です。
さて、相手はどういう反応を示すでしょうか。
550
あなたにおすすめの小説
実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~
空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」
氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。
「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」
ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。
成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
公爵令息様を治療したらいつの間にか溺愛されていました
Karamimi
恋愛
マーケッヒ王国は魔法大国。そんなマーケッヒ王国の伯爵令嬢セリーナは、14歳という若さで、治癒師として働いている。それもこれも莫大な借金を返済し、幼い弟妹に十分な教育を受けさせるためだ。
そんなセリーナの元を訪ねて来たのはなんと、貴族界でも3本の指に入る程の大貴族、ファーレソン公爵だ。話を聞けば、15歳になる息子、ルークがずっと難病に苦しんでおり、どんなに優秀な治癒師に診てもらっても、一向に良くならないらしい。
それどころか、どんどん悪化していくとの事。そんな中、セリーナの評判を聞きつけ、藁をもすがる思いでセリーナの元にやって来たとの事。
必死に頼み込む公爵を見て、出来る事はやってみよう、そう思ったセリーナは、早速公爵家で治療を始めるのだが…
正義感が強く努力家のセリーナと、病気のせいで心が歪んでしまった公爵令息ルークの恋のお話です。
追放された無能才女の私、敵国最強と謳われた冷徹公爵に「お飾りの婚約者になれ」と命じられました ~彼の呪いを癒せるのは、世界で私だけみたい~
放浪人
恋愛
伯爵令嬢エリアーナは、治癒魔法が使えない『無能才女』として、家族からも婚約者の王子からも虐げられる日々を送っていた。
信じていたはずの妹の裏切りにより、謂れのない罪で婚約破棄され、雨の降る夜に家を追放されてしまう。
絶望の淵で倒れた彼女を拾ったのは、戦場で受けた呪いに蝕まれ、血も涙もないと噂される『冷徹公爵』クロード・フォン・ヴァレンシュタインだった。
「俺の“お飾り”の婚約者になれ。お前には拒否権はない」
――それは、互いの利益のための、心のない契約のはずだった。
しかし、エリアーナには誰にも言えない秘密があった。彼女の持つ力は、ただの治癒魔法ではない。あらゆる呪いを浄化する、伝説の*『聖癒の力』*。
その力が、公爵の抱える深い闇を癒やし始めた時、偽りの関係は、甘く切ない本物の愛へと変わっていく。
これは、全てを失った令嬢が自らの真の価値に目覚め、唯一無二の愛を手に入れるまでの、奇跡の物語。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!
白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、
《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。
しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、
義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった!
バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、
前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??
異世界転生:恋愛 ※魔法無し
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる