無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています

如月ぐるぐる

文字の大きさ
116 / 139

第百十六話

しおりを挟む
 パルサー様の王族としての役割が潜在的な敵の調査・対策をする事ですが、私をディアマンテ龍王国に残した理由に疑問が残ります。
 大使館の人間では気が付けない部分を調べさせる、というのが一番しっくりしますが、素人考えで発言しても意味が無いように思えます。

「とはいえ、こうやって毎日お城にお使いをさせるという事は、どうにかして調べ上げろ、という事なのでしょうね」

 今日もお城にお使いに来ていますが、今日は手紙は手紙でも招待状です。
 大使館で晩餐会をするのでその招待状になります。
 流石にアウトランダー陛下へいかは無理でしょうが、殿下でんか達の誰かが来てくれれば助かります。
 
 今回はパルサー様の代理人なので正門からの入城となります。
 要件は伝わっているのでスムーズに入城し、そして……いつものバルコニーに案内されました。
 今日はないと思っていましたが……あるのですね。
 
 今日は誰が来るのでしょうか。
 ため息をついて庭を眺めて待っていると、随分と複数の声が聞こえてきました。

「待たせたなシルビアよ。今日は趣向を変えてバイキング形式と行こうではないか」

 アウトランダー陛下へいかがバルコニーに来られ、私はスカートをつまみ軽く膝を曲げて挨拶をします。
 そして背後に続く殿下でんか達にも順番に挨拶をします。
 そう、今日は五人兄弟が勢ぞろいしているではありませんか。

 それは賑やかよね、五人がいてさらにメイドが複数、バイキング形式のため準備をする料理人などが大量に押し寄せてきたのですから。
 せめてお手伝いを……いけないいけない、今の私はパルサー様の代理人、メイドの立場は一旦置いておきましょう。

「それでシルビアよ、今日は晩餐会の招待状を持ってきたのだったか?」

「父上、そういう事はこちらから聞く事ではありません」

「まあまあ良いではないかエクリプス。ワシ達の間で堅い事を言うな」

 エクリプス王太子に注意されるも平然としていますね。
 こちらとしてはさっさと用事を終わらせて帰れるのならその方がいいですね。
 なので招待状を陛下へいかにお渡しし、「それではより良いお返事をお待ちいたしております」と帰ろうとしました。

「え? 帰っちまうのか? おいおいお茶の用意が出来てるんだから飲んでいってくれよ~」

 と、陛下へいかの声なのは間違いありませんが、随分としゃべり方が変わっています。
 思わず振り向くとケーキを片手に手招きする陛下へいかの姿が。
 怖いはずの顔がニコニコ顔になり、五人の殿下でんか達はそんな陛下へいかの態度に反応していません。

 ひょっとしてコレが素の態度なのでしょうか。

「あ、お父様のコレは気にしないでちょうだい。気が緩むとこうなるのよ」

 第一王女のエルテナ様がお皿に並べられたケーキを手に取り、ご自身の小皿に移します。
 小皿にはケーキが沢山……食べきれるのでしょうか。

「姉上、太りますよ」

「バッ! バカなこと言わないでコルト! 私は太らない体質なの! ケーキ一つや二つ、いいえ十個食べても太らないの!」

「十個食べたら間違いなく太ります……」

「エメロードまで! どうして意地悪いうのよ!」

 それは意地悪ではなく事実なのでは? とこの場の全員が思った事でしょう。
 甘いものがお好きなのですね、なら……あった。

「エルテナ様、こちらの紅茶をお飲みください」

 茶葉が用意されていたので、私は手早く紅茶を淹れます。

「この紅茶? 少し酸っぱい葉だけど、なにかあるの?」

「こちらの紅茶は糖分の吸収を抑える働きがあると言われています。なので多少の糖分ならば体への影響は少なくて済むでしょう」

「まぁ! まぁまぁまぁ、まぁ!! そんな夢のような紅茶があったのね!」

「シルビア、私にも下さいな」

 エメロード様も紅茶をご所望です。
 やはり女性は体型に気をつけなくてはいけませんからね。
 あれ? 私は何をしにここへ来たのでしたか?

 結局招待状を渡して以降はいつも通りの雑談会になりました。
 人数が多いのでいつもより疲れましたが。
 さてパルサー様のお屋敷に……大使館に帰ろうと思いますが、昨日の事があったのでついついお城の中を見てしまいます。

 単純な攻略の穴と考えるなら昨日思った通りですが、技術力の高いディアマンテ龍王国が穴を放置するはずがありません。
 その穴を埋める技術があるはずですが……ハッ! いけません、私はそんな事をする為に来たわけでは……しかしパルサー様はあんに言っていましたし……

「やめましょう、私はメイドです、メイドはお屋敷を守り、ご主人様のお世話をするのが本分です」

 しかしやはり気にはなります。
 出来るだけ見ないように廊下を歩いていますが、見てしまいました、見たこともないモノが兵士の詰め所に置いてあるのを。
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~

空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」 氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。 「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」 ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。 成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。

キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる

藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。 将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。 入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。 セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。 家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。 得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。

公爵令息様を治療したらいつの間にか溺愛されていました

Karamimi
恋愛
マーケッヒ王国は魔法大国。そんなマーケッヒ王国の伯爵令嬢セリーナは、14歳という若さで、治癒師として働いている。それもこれも莫大な借金を返済し、幼い弟妹に十分な教育を受けさせるためだ。 そんなセリーナの元を訪ねて来たのはなんと、貴族界でも3本の指に入る程の大貴族、ファーレソン公爵だ。話を聞けば、15歳になる息子、ルークがずっと難病に苦しんでおり、どんなに優秀な治癒師に診てもらっても、一向に良くならないらしい。 それどころか、どんどん悪化していくとの事。そんな中、セリーナの評判を聞きつけ、藁をもすがる思いでセリーナの元にやって来たとの事。 必死に頼み込む公爵を見て、出来る事はやってみよう、そう思ったセリーナは、早速公爵家で治療を始めるのだが… 正義感が強く努力家のセリーナと、病気のせいで心が歪んでしまった公爵令息ルークの恋のお話です。

追放された無能才女の私、敵国最強と謳われた冷徹公爵に「お飾りの婚約者になれ」と命じられました ~彼の呪いを癒せるのは、世界で私だけみたい~

放浪人
恋愛
伯爵令嬢エリアーナは、治癒魔法が使えない『無能才女』として、家族からも婚約者の王子からも虐げられる日々を送っていた。 信じていたはずの妹の裏切りにより、謂れのない罪で婚約破棄され、雨の降る夜に家を追放されてしまう。 絶望の淵で倒れた彼女を拾ったのは、戦場で受けた呪いに蝕まれ、血も涙もないと噂される『冷徹公爵』クロード・フォン・ヴァレンシュタインだった。 「俺の“お飾り”の婚約者になれ。お前には拒否権はない」 ――それは、互いの利益のための、心のない契約のはずだった。 しかし、エリアーナには誰にも言えない秘密があった。彼女の持つ力は、ただの治癒魔法ではない。あらゆる呪いを浄化する、伝説の*『聖癒の力』*。 その力が、公爵の抱える深い闇を癒やし始めた時、偽りの関係は、甘く切ない本物の愛へと変わっていく。 これは、全てを失った令嬢が自らの真の価値に目覚め、唯一無二の愛を手に入れるまでの、奇跡の物語。

【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。 辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。 夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆  異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆ 

【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!

白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、 《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。 しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、 義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった! バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、 前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??  異世界転生:恋愛 ※魔法無し  《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

処理中です...