117 / 139
第百十七話
しおりを挟む
招待状をお城に届けた帰り、兵士の詰め所で見てしまった見た事も無い物。
きっとそれが防衛の穴と思われる部分を埋める物でしょう。
しかし私はパルサー様に報告をしないでいます。
言えば必ず調べろと言われますし、万が一にもスパイまがいの事をして見つかった場合、ディアマンテ龍王国とエルグランド王国の関係に影響します。
戦争は……嫌です。
翌日からも何かと用事を言いつかりお城に向かわされます。
これだけ毎日お城に行くものですから、すっかり門番さんやメイド、執事さんと仲良くなってしまいました。
「随分と皆と仲が良いようだな。なのになぜコルトとは仲が進展しないのだ?」
バルコニーでアウトランダー陛下とコルト第三王子とお茶をしていますが、そんな事は決まっています、コルト様は私の事を嫌っているからですよ。
最初からそうでした、初対面にもかかわらず終始不機嫌そうで、陛下が気を利かせたつもりで二人きりにされると沈黙。
何とか会話を振っても空返事。
ここまで嫌われたのはリーフ様以来じゃないかしら。
「さあなぜでしょうか。私にはわかりかねます」
コルト様が私を嫌っているから、などとは言えないので適当に誤魔化します。
というよりも陛下、今不貞腐れているコルト様の様子を見て判断してください!!
相変らずコルト様との関係を進めようとする陛下でしたが、コルト様のあからさまな反応を見て考えを変えようとは思われないのでしょうか。
何とかお茶会が終わりお城の中を歩いていると、兵士達がゾロゾロと歩いてきます。
あら? 何か筒のような物を肩に担いでいますがあれは……⁉
兵士の詰め所にあった見たこともない何かだわ!
え? え? お城の中で普通に持ち歩いて良い物なのですか?
しかも兵士の数名は門番もしている人です。
「やぁシルビアちゃんじゃないか。今日も国王陛下とお茶会かい?」
「はい、いつもの様にアウトランダー陛下とコルト様の三人でお茶をいただきました。今から訓練ですか?」
普通に話かけてきました! ソレは軍事機密ではないのですか!?
「そうなんだよ~、今から鬼上司との訓練さ。まぁ剣よりもコイツは楽だからいいけどな」
そういって肩に担いでいる筒を手で叩きます。
ま、待ってください、そんな事をされたら聞かずにはいられませんよ!?
「そ、それは何ですか?」
「これはタンネンベルク・ガンっていうん――」
「おいバカ! そんな事までしゃべるんじゃない!」
「あ、っと、悪いねシルビアちゃん、こいつは秘密だ。見なかった事にしといて」
「わかりました。おしゃべりな門番さんなんて居ませんからね」
しかしその程度の注意で終わり、手を振ってお別れしました。
タンネンベルク・ガン? 木の棒と鉄の棒がくっ付いていましたが棍棒の類でしょうか?
とはいえ困りました、こんなに簡単に名前と形が分かってしまいました。
どうやって誤魔化しましょうか……
「お帰りなさいシルビア。今日は何かいいことがあったのではありませんの?」
大使館に戻ると早速パルサー様がいらっしゃいました。
毎日の事なので慣れましたが、王族が毎回お出迎えなんてどうかしています。
「ただいま戻りましたパルサー様。今日もコルト様のご機嫌はナナメでした」
「今日も不機嫌なのね。それで兵士達とはどうなのかしら? 随分と仲が良さそうに見えましたわ」
やっぱり誰かがあの場にいたのですね。
つまりソレがどういう形かくらいはご存じなのでしょう。
とはいえ簡単に言う訳には行きません。
「訓練が大変だとぼやいておいででした」
「ふぅ~ん。何か新兵器とかは使っていませんでしたの?」
「新兵器……そういえば木の棒と鉄の棒がくっ付いた物をお持ちでした」
「あらそんなものがあるの? 何という名前なのかしら」
「確か「たんねんべるくがん」とか言っていました」
「たんねんべるくがん……そう。木の棒と鉄の棒がくっ付いていてどう使うんですの?」
「さぁ私にはなんとも」
「それもそうね。お疲れ様、仕事に戻ってよろしいですわ」
今日も何とかやり過ごせました。
あのご様子ならタンネンベルク・ガンの形はご存じだったのでしょうが、新情報として名前が判明したといった所でしょう。
それにしても私、どうして王族とこんな駆け引きをしているのでしょう。
もっとこう、国の為になる話なら喜んでするのですが。
あ、一応は国のため、になるのでしょうか。
それにしても兵器の情報をあっさりと漏らす兵士なんて……いえ、もう必要のない兵器だから……なのかしら。
きっとそれが防衛の穴と思われる部分を埋める物でしょう。
しかし私はパルサー様に報告をしないでいます。
言えば必ず調べろと言われますし、万が一にもスパイまがいの事をして見つかった場合、ディアマンテ龍王国とエルグランド王国の関係に影響します。
戦争は……嫌です。
翌日からも何かと用事を言いつかりお城に向かわされます。
これだけ毎日お城に行くものですから、すっかり門番さんやメイド、執事さんと仲良くなってしまいました。
「随分と皆と仲が良いようだな。なのになぜコルトとは仲が進展しないのだ?」
バルコニーでアウトランダー陛下とコルト第三王子とお茶をしていますが、そんな事は決まっています、コルト様は私の事を嫌っているからですよ。
最初からそうでした、初対面にもかかわらず終始不機嫌そうで、陛下が気を利かせたつもりで二人きりにされると沈黙。
何とか会話を振っても空返事。
ここまで嫌われたのはリーフ様以来じゃないかしら。
「さあなぜでしょうか。私にはわかりかねます」
コルト様が私を嫌っているから、などとは言えないので適当に誤魔化します。
というよりも陛下、今不貞腐れているコルト様の様子を見て判断してください!!
相変らずコルト様との関係を進めようとする陛下でしたが、コルト様のあからさまな反応を見て考えを変えようとは思われないのでしょうか。
何とかお茶会が終わりお城の中を歩いていると、兵士達がゾロゾロと歩いてきます。
あら? 何か筒のような物を肩に担いでいますがあれは……⁉
兵士の詰め所にあった見たこともない何かだわ!
え? え? お城の中で普通に持ち歩いて良い物なのですか?
しかも兵士の数名は門番もしている人です。
「やぁシルビアちゃんじゃないか。今日も国王陛下とお茶会かい?」
「はい、いつもの様にアウトランダー陛下とコルト様の三人でお茶をいただきました。今から訓練ですか?」
普通に話かけてきました! ソレは軍事機密ではないのですか!?
「そうなんだよ~、今から鬼上司との訓練さ。まぁ剣よりもコイツは楽だからいいけどな」
そういって肩に担いでいる筒を手で叩きます。
ま、待ってください、そんな事をされたら聞かずにはいられませんよ!?
「そ、それは何ですか?」
「これはタンネンベルク・ガンっていうん――」
「おいバカ! そんな事までしゃべるんじゃない!」
「あ、っと、悪いねシルビアちゃん、こいつは秘密だ。見なかった事にしといて」
「わかりました。おしゃべりな門番さんなんて居ませんからね」
しかしその程度の注意で終わり、手を振ってお別れしました。
タンネンベルク・ガン? 木の棒と鉄の棒がくっ付いていましたが棍棒の類でしょうか?
とはいえ困りました、こんなに簡単に名前と形が分かってしまいました。
どうやって誤魔化しましょうか……
「お帰りなさいシルビア。今日は何かいいことがあったのではありませんの?」
大使館に戻ると早速パルサー様がいらっしゃいました。
毎日の事なので慣れましたが、王族が毎回お出迎えなんてどうかしています。
「ただいま戻りましたパルサー様。今日もコルト様のご機嫌はナナメでした」
「今日も不機嫌なのね。それで兵士達とはどうなのかしら? 随分と仲が良さそうに見えましたわ」
やっぱり誰かがあの場にいたのですね。
つまりソレがどういう形かくらいはご存じなのでしょう。
とはいえ簡単に言う訳には行きません。
「訓練が大変だとぼやいておいででした」
「ふぅ~ん。何か新兵器とかは使っていませんでしたの?」
「新兵器……そういえば木の棒と鉄の棒がくっ付いた物をお持ちでした」
「あらそんなものがあるの? 何という名前なのかしら」
「確か「たんねんべるくがん」とか言っていました」
「たんねんべるくがん……そう。木の棒と鉄の棒がくっ付いていてどう使うんですの?」
「さぁ私にはなんとも」
「それもそうね。お疲れ様、仕事に戻ってよろしいですわ」
今日も何とかやり過ごせました。
あのご様子ならタンネンベルク・ガンの形はご存じだったのでしょうが、新情報として名前が判明したといった所でしょう。
それにしても私、どうして王族とこんな駆け引きをしているのでしょう。
もっとこう、国の為になる話なら喜んでするのですが。
あ、一応は国のため、になるのでしょうか。
それにしても兵器の情報をあっさりと漏らす兵士なんて……いえ、もう必要のない兵器だから……なのかしら。
468
あなたにおすすめの小説
実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~
空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」
氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。
「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」
ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。
成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
公爵令息様を治療したらいつの間にか溺愛されていました
Karamimi
恋愛
マーケッヒ王国は魔法大国。そんなマーケッヒ王国の伯爵令嬢セリーナは、14歳という若さで、治癒師として働いている。それもこれも莫大な借金を返済し、幼い弟妹に十分な教育を受けさせるためだ。
そんなセリーナの元を訪ねて来たのはなんと、貴族界でも3本の指に入る程の大貴族、ファーレソン公爵だ。話を聞けば、15歳になる息子、ルークがずっと難病に苦しんでおり、どんなに優秀な治癒師に診てもらっても、一向に良くならないらしい。
それどころか、どんどん悪化していくとの事。そんな中、セリーナの評判を聞きつけ、藁をもすがる思いでセリーナの元にやって来たとの事。
必死に頼み込む公爵を見て、出来る事はやってみよう、そう思ったセリーナは、早速公爵家で治療を始めるのだが…
正義感が強く努力家のセリーナと、病気のせいで心が歪んでしまった公爵令息ルークの恋のお話です。
追放された無能才女の私、敵国最強と謳われた冷徹公爵に「お飾りの婚約者になれ」と命じられました ~彼の呪いを癒せるのは、世界で私だけみたい~
放浪人
恋愛
伯爵令嬢エリアーナは、治癒魔法が使えない『無能才女』として、家族からも婚約者の王子からも虐げられる日々を送っていた。
信じていたはずの妹の裏切りにより、謂れのない罪で婚約破棄され、雨の降る夜に家を追放されてしまう。
絶望の淵で倒れた彼女を拾ったのは、戦場で受けた呪いに蝕まれ、血も涙もないと噂される『冷徹公爵』クロード・フォン・ヴァレンシュタインだった。
「俺の“お飾り”の婚約者になれ。お前には拒否権はない」
――それは、互いの利益のための、心のない契約のはずだった。
しかし、エリアーナには誰にも言えない秘密があった。彼女の持つ力は、ただの治癒魔法ではない。あらゆる呪いを浄化する、伝説の*『聖癒の力』*。
その力が、公爵の抱える深い闇を癒やし始めた時、偽りの関係は、甘く切ない本物の愛へと変わっていく。
これは、全てを失った令嬢が自らの真の価値に目覚め、唯一無二の愛を手に入れるまでの、奇跡の物語。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!
白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、
《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。
しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、
義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった!
バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、
前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??
異世界転生:恋愛 ※魔法無し
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる