無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています

如月ぐるぐる

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第百三十八話

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「シルビア……返事を……き、聞かせてほしい」

 言葉が出てきません。
 飛び跳ねて喜んでしまいそうなほどに嬉しいです。
 しかし私は平民、王族であるリック様とは結ばれる事はありません。
 そして……関係を終わらせたくなくて今まで散々はぐらかしてきた曖昧な関係が終わってしまいます。
 なんて卑しい女でしょうか。

 しかしそれもこれで終わりです。
 せめて最後に欲望を爆発させて終わりにします。

「リック様の事が……大好きです。学園で助けていただいてから、ずっと私を守ってくださったリック様が大好きです。悪魔教の襲撃から守ってくれたリック様が大好きです! 私のお弁当を美味しそうに食べてくれるリック様が大好きです! 貴族邸宅を転々としていた時に会いに来てくれたリック様が大好きです!! 変装をしても一目で見つけてくれたリック様が大好きです!!」

 ああ、私は何をとめどなく言っているんでしょうか。
 これで終わりだと思ったら感情が止まりません。
 リック様は良くても他の王族が、貴族が許すはずがありません。
 息継ぎをするのを忘れるほどに一気に言い切ると、私は息切れをして泣いていました。
 ああ、なんてみっともない、こんな事を言ったら皆さんを困らせるだけなのに。

「じゃあシルビア……結婚しよう」

 リック様の言葉と共に大歓声が上がります。
 え? え? どういうことですか? グロリア様? シーマ様? 王子王女のトップである御二人がなぜ拍手をしているのですか??

「あら、その表情からするとコレに関しては本当に気付いていなかった様ね」
 
「フィガロさん」

「第九子であり五男であるセドリック様には王位継承権はほぼ無いわ。ご本人も商人になりたいとおっしゃっていたでしょう? 王子という立場は捨てられないけど、公務さえしっかりやっていれば後は自由にしていいの。もちろん誰と結婚しても構わないわね」

「え? しかし王族は他国や貴族との繋がりの為に嫁いだり……」

「年長の方々はそうね。でも五男よ? 第九子よ? 下っ端貴族並の価値しかないわ」

「フィガロ……相変わらず言い方が……キツイよ」

「おっと、これは失礼しましたセドリック坊っちゃん」

 坊ちゃん!? メイド長とはいえセドリック様を坊っちゃん呼びですか!?
 あ、リック様が困ったような嬉しいような顔を……ああ、殿下でんか達の頭が上がらない存在がここにも居たのですね。
 あら、そうすると私が危惧していた殿下でんか達の陰の存在とかは既に存在していたのですか?
 じゃあそんな事を心配する必要は無く、しかも下っ端貴族並の価値……!!!!

「ああ……ああっ! 私ったら感情に任せて恥ずかしい事を!」

 両手で顔を覆い隠しますが、ああ、聞こえてきます、見なくてもわかります、皆さんがニヤニヤしているのが!
 でも、え、本当ですか? 私はリック様とずっと一緒にいられるんですか?
 諦めていた恋を成就出来たのですか?

 顔を抑えている手が大きな手でゆっくりとどかされます。
 正面にリック様の顔が見えます。
 リック様の顔も真っ赤です。

「シルビア……二人で幸せな家庭を作ろう」
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