フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話

カトウ

文字の大きさ
55 / 318

協力

しおりを挟む
 55 協力

 次の日。
 
 今日はまずギルドで報酬を受け取る予定だ。
 朝ご飯を食べながら、休日なのに炊き出しに結局付き合わせてしまうことをフェルに謝る。

「私なら心配しなくてもいい。休みの日でも訓練はするつもりだったしな。私のことは気にするな。むしろケイの負担が大きいのではないか?私はそれが心配だ」

 見ていて気持ちよくなるくらい勢いよく朝ご飯を食べながら、フェルが言う。
 今日は目玉焼きともらった野菜のおひたし、味噌汁だ。
 そのくらいなんでもないことだと言うフェルにまたお礼を言った。

 ギルドで報酬を受け取る。
 キラーラビットは銀貨5枚の報酬になった。毛皮などの素材はそこまで高く買い取ってもらえなかった。素材の価値はホーンラビットと実はそんなにかわりないらしい。
 ホーンラビットの肉も村にだいぶ配ってしまったので報酬は依頼料と合わせて銀貨50枚だった。
 銀貨5枚ずつお互いの口座に入れて銀貨40枚を装備品のための積み立てにする。
 次はフェルの盾かな?

 ギルドを出てスラムの顔役のところに向かった。
 炊き出しをしたいと話すと顔役のおじいさんはとても喜んでくれた。
 おじいさんは炊き出しを週2回、火曜と金曜とやっていて、僕たちは毎週日曜日に炊き出しをすることになった。
 食器などは貸してくれるそうなので用意はいらないそうだ。助かる。
 
 今日が土曜日なので、炊き出しはさっそく明日から始めることにする。
 日曜日は市場の店がほとんど休みになるので今日のうちに買い出しに出かけようと思う。

 市場に向かう。
 温かい料理で、材料費が安くて、お腹に溜まるもの。

 雑炊とかになるだろうか。

 いつもは大鍋4つにスープを作って、パンを1個ずつ付けていると顔役のおじいさんが言っていたからそれでだいたいの分量の見当をつける。
 予算的には銀貨1枚いかないくらいに納めたい。
 まずは米を大量に購入することにする。
 
 いつも米を買っている店の主人が急にこんなに買ってどうしたのかと聞いて来たので、スラムでこれから定期的に炊き出しをすることになったと伝える。
 すると店の主人は少し考え込む表情になり、そしてこの量を定期的に買ってくれるならば値段は3割引でいいと言ってくれた。
 炊き出しは週1回やっていくつもりなのでこれからもまとまった量を購入することになる。
 さらに主人は手紙を書いてくれて、市場の真ん中の方にある調味料のお店に行って店の人に渡せば同じように安くしてくれるはずだと言う。そこは親戚がやっている店なんだそうだ。一度行ったことがあるお店だった。あの時は塩と砂糖を少し買っただけだったけど。
 
 スラムのために何かしたいと思う人たちは街にある程度いるらしい。店の主人は教会に寄付をしているそうだが、一向に教会がスラムのためになにかする様子がないことから、もう寄付をやめようかと思っていたそうだ。
 
 店の主人にお礼を言って今度はその親戚がやっているという調味料の店にいく。
 手紙を見せるとその店でも調味料を安く譲ってくれた。

 ゴードンさんのところでも炊き出しの話をして協力してもらえないか相談する。
 売れ残った野菜をあげるから夕方近くにまた来てほしいと言われた。
 さすがにただではもらえないので、いくらかお金を払うことにして一旦ゴードンさんのところを離れた。

 お昼を食べに小熊亭に行ったけど、満員で外にもけっこう人が並んでいた。
 中を覗くといかつい顔のマスターがカウンターでハンバーグを焼いている。奥の方にはあの長髪のオネエさんの姿も見える。
 みんな忙しく働いていた。
 けっこう待ちそうだったので、諦めてギルドの食堂で食べることにした。
 フェルは食事の後、訓練場に行くみたいだ。

 一番安い定食を2人とも頼んで、食堂で昼ごはんを食べた後、フェルは模擬戦の相手を探しに行った。
 僕も訓練場で弓の練習をすることにした。

 練習場には誰もいなかった。ここでは銅貨2枚払うと練習用の矢を貸してもらえる。初めて来たけどけっこうちゃんとした練習場だった。

 なんとなく体をほぐしてから、ライツの弓を構える。
 田舎でやっていたように、まずは的の真ん中を狙う。放った矢は吸い込まれるように的の中心を射抜く。
 そこからは少しずつ的の下の方を狙って3本、次に的の上の方に3本。体の軸がずれないように意識をしながら弓を射る。
 縦に7本矢が刺さった。さすがにきれいに真っ直ぐとはいかなかったけど。

 矢を回収して少し休憩した後、もう一度同じことを繰り返す。
 ライツの作った弓はすごい。引くのにけっこう力がいるけど、放った矢の軌道が全くブレない。
 狙ったところからたまに少しズレてしまうのはきっと僕の体がしっかり安定していないからだ。
 フォームを意識して5回それを繰り返せばもう腕の筋肉がパンパンだ。情けないなぁ。

「ずいぶん器用なことしてるじゃないか」

 いつの間にかセシル姉さんがそばにきて僕に声をかけてきた。

「見てたんですか?声かけてくれればいいのに」

「なんか集中してるみたいだったからね。一息つくのを待ってたのさ。弓の腕はいい方だと思っていたけど、すごいじゃないか。弓は誰かに習ったのかい?」

「父が狩人だったんです。もう亡くなっちゃいましたけど、弓は子供の頃父から習いました。動かない的にならけっこう当てられるんですけどね、森で狩りをしても全く獲物が獲れなくて。矢を射ろうとすると獲物が気づいてかわされちゃうんです。僕は狩りが下手なんですよ。」

「狩りが下手だって?そりゃおかしな話だね。あんたくらいの腕前があればいっぱしの狩人として充分やっていけると思うけど」

 僕は村で狩りをしていた時のことを話す。獲物なんて1週間に一度仕留められればいい方、5年間もほとんど毎日森に入っていたのに狩りの腕は全く上達しなかった。

「今度機会があれば狩りのやり方を教えてやるよ。アタシは弓はそんなに得意ではないけど、リンにでも教わるといいさ」

 フェルと合流してギルドを出た。セシル姉さんはまだ訓練場で模擬戦をしていくらしい。

 市場のゴードンさんのところに行くと、牛乳屋のおじさんともう1人知らない男性がいた。

「待ってたよ、ケイ。俺も何か力になれないかって思ってさ、とりあえず市場にいる近所の連中に声をかけてみたんだ。こっちは牛乳屋のラウル、そして何こいつは隣の家のマルセルだ。うちで売ってる野菜はこのマルセルのところとうちで採れたものなんだ。いい機会だから紹介しとこうと思ってさ」

「初めましてマルセルさん。それからラウルさんにはいつもお世話になってます」

「いつも牛乳を買いに来てくれてる青年だよね。ラウルだ。ゴードンから話は聞いたよ。うちの店も協力させて欲しい」

「マルセルだ。こないだはホーンラビットを退治してくれてありがとう。おかげでかなり被害が減ったよ。売れ残りや、商品にならない野菜をあげるから使ってくれ」

「俺が市場に来れないときはマルセルが店番してるから何かあったら遠慮なく相談してくれ」

 ゴードンさんたちと支払う金額を相談する。さすがにタダではもらえないから、いくらか支払うと言って、結局カゴいっぱいの野菜を銅貨10枚で来週から売ってもらうことになった。
 ラウルさんのところは銅貨5枚でその週に余った分などいろいろ用意してくれるらしい。
 ちょうど玉子が欲しかったのでラウルさんに相談したら今日余った分を銅貨5枚で譲ってくれた。

 ゴードンさんとは来週の土曜日の午後に野菜を受け取る約束をした。
 

 








しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...