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駆け引き
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72 駆け引き
「参った」
あのフェルが3本やって3本とも取られた。信じられないけど、セシル姉さんの動きがフェルの何枚も上手、先をいっている感じがした。
フェイントとかそんなレベルじゃない。戦いの中で人を騙す技術とでも言うんだろうか。
最初は調子が良くてもだんだんとフェルが追い込まれて行く。そして簡単なフェイントひとつであっという間に決着がつくのだ。
「フェル。アンタ素直すぎるよ。もっと手を抜くって言うか、さっきのアタシの上段の打ち込みなんか、かわしていいんだよ。そこを律儀に剣を合わせなくてもいい。要は対応できてればいいんだからね。そう言う時は一度体を引いて、アタシに切り掛かる体勢を作り直すんだよ」
「確かに、あれは悪手だった。セシルはその悪手につけ込むように崩れたところを見逃さないのだな。一手まちがえただけでこちらは簡単に崩されてしまう」
「アンタ気がついていないと思うけど、けっこう教科書通りの動きをしてるよ。そのあたりだね。アンタの動き方に意外性がない」
「なるほど。だがこう避けたとしても次はこうなるだろう?そうしたらこの後私は苦しくなる」
「だからそこで一度離れていいんだってば、後ろに人が居たんならアンタの方が正解だけど。最初に状況は言ったよね?後ろに守る人はいないアンタとアタシの1対1の戦闘だって。そういう時はまず目の前の相手に集中するもんさ」
なんだかんだでフェルもこの遠征で学ぶことは多いみたいだ。
そんな中新人パーティーの3人はぐったりとしている。キラーラビットに散々振り回されて、ひたすら目の前のホーンラビットの処理をさせられた感じだったそうだ。
柵は?あれがあるから普段より余裕ができるでしょ。
どうやらその柵を無視してボスを囲い込んだみたい。これはちょっと違うかも。セシル姉さんに言っておこう。
危険がないように柵を作っているんだから。
でも僕らがキラーラビットを倒した時も柵はなかったな。
うーん。柵を作ることである程度行動が制限される。制限された中で今度はイレギュラーの対応か難しくなってしまった。
これはギルマス案件かな?僕ではちょっと難しい話になっちゃう。
水筒に冷たいお茶を入れ、肩で息をしてるフェルのところに行く。
「完敗だった。セシルの攻撃は本当に多彩だ。初手の足技?あれにまともに引っかかってしまい、そのあとはそれを警戒するので精一杯になってしまった」
フェルは渡したお茶を一気に飲み干した。
「それも含めて姉さんの作戦だったと思うよ。姉さんって結構素早く動くけど、実際フェルより早くないんだよ。ずっとフェルの方が早いし、フェルの動きについて行くのがたぶんセシル姉さんは嫌だったんじゃないかな?足が追いつかなくなる前にフェルの動きを制限したかったんじゃないかと思うよ」
「なるほど。あの足技を警戒して確かに私は横に動くことをためらうようになってしまった。むぅ。セシルはそこまで考えて……」
ぶつぶつ言いながらフェルはさっきの模擬戦のどこが悪かったか考えているようだ。その姿が可愛くて、抱きしめたくなる気持ちを堪えて、頭をやさしく撫でた。そのくらいいいでしょう?
「フェル。僕が言えたことじゃ無いと思うんだけどね。フェルは素直すぎるってセシル姉さんは言ってる。僕もそうだと思う。そんなフェルに効果的に攻めるとしたら?相手はたぶんとても積極的にフェルの嫌がることをやってくるよ。足技と見せかけて、他の方法で攻撃してくるとか」
「そうなのだ。それでさっきはやられてしまった。集中ができていなかったのは私の未熟がいけないのだが」
「ちょっとフェルも考え方を変えてみてもいいんじゃない?相手は普段から模擬戦をしているセシル姉さんだ。模擬戦をしていてセシル姉さんの苦手なところとかわかるんじゃない?」
「確かにな。それならいくつか心当たりがある。相手の嫌がることをやるのだな。そして生まれた隙をつく。ケイ!いいかもしれない。次で試してみる」
「ただ素直に嫌がることをやればいいって言うわけじゃないよ。それも含めて駆け引きするんだ。姉さんだって足技のイメージをフェイントに使ってた。あの嫌な足技がくるぞって思わせてフェルの動きに制限をかけてたじゃない」
「ふぇいんととは何だ?」
「攻撃するふりをして相手の意表をつくことかな。右と見せかけて左、みたいな」
「なるほど、駆け引きか。考えてみよう。ケイ、ありがとう」
「こんなの大したことないよ。フェルの役に立てて良かった」
狩り場の周辺の確認に行った黒狼の牙の人たちと初心者パーティーが戻ってきて、僕たちは馬車に乗り、明日の狩り場に移動することになった。
今回の遠征は南の森をぐるっと囲むように時計回りに移動する。次は小さいけどちゃんとした町で宿泊できるけど、そのあとは小さな村を転々と移動するので、夜は野営することになる。
僕たちは馬車に乗り込んで次の町に移動した。
「参った」
あのフェルが3本やって3本とも取られた。信じられないけど、セシル姉さんの動きがフェルの何枚も上手、先をいっている感じがした。
フェイントとかそんなレベルじゃない。戦いの中で人を騙す技術とでも言うんだろうか。
最初は調子が良くてもだんだんとフェルが追い込まれて行く。そして簡単なフェイントひとつであっという間に決着がつくのだ。
「フェル。アンタ素直すぎるよ。もっと手を抜くって言うか、さっきのアタシの上段の打ち込みなんか、かわしていいんだよ。そこを律儀に剣を合わせなくてもいい。要は対応できてればいいんだからね。そう言う時は一度体を引いて、アタシに切り掛かる体勢を作り直すんだよ」
「確かに、あれは悪手だった。セシルはその悪手につけ込むように崩れたところを見逃さないのだな。一手まちがえただけでこちらは簡単に崩されてしまう」
「アンタ気がついていないと思うけど、けっこう教科書通りの動きをしてるよ。そのあたりだね。アンタの動き方に意外性がない」
「なるほど。だがこう避けたとしても次はこうなるだろう?そうしたらこの後私は苦しくなる」
「だからそこで一度離れていいんだってば、後ろに人が居たんならアンタの方が正解だけど。最初に状況は言ったよね?後ろに守る人はいないアンタとアタシの1対1の戦闘だって。そういう時はまず目の前の相手に集中するもんさ」
なんだかんだでフェルもこの遠征で学ぶことは多いみたいだ。
そんな中新人パーティーの3人はぐったりとしている。キラーラビットに散々振り回されて、ひたすら目の前のホーンラビットの処理をさせられた感じだったそうだ。
柵は?あれがあるから普段より余裕ができるでしょ。
どうやらその柵を無視してボスを囲い込んだみたい。これはちょっと違うかも。セシル姉さんに言っておこう。
危険がないように柵を作っているんだから。
でも僕らがキラーラビットを倒した時も柵はなかったな。
うーん。柵を作ることである程度行動が制限される。制限された中で今度はイレギュラーの対応か難しくなってしまった。
これはギルマス案件かな?僕ではちょっと難しい話になっちゃう。
水筒に冷たいお茶を入れ、肩で息をしてるフェルのところに行く。
「完敗だった。セシルの攻撃は本当に多彩だ。初手の足技?あれにまともに引っかかってしまい、そのあとはそれを警戒するので精一杯になってしまった」
フェルは渡したお茶を一気に飲み干した。
「それも含めて姉さんの作戦だったと思うよ。姉さんって結構素早く動くけど、実際フェルより早くないんだよ。ずっとフェルの方が早いし、フェルの動きについて行くのがたぶんセシル姉さんは嫌だったんじゃないかな?足が追いつかなくなる前にフェルの動きを制限したかったんじゃないかと思うよ」
「なるほど。あの足技を警戒して確かに私は横に動くことをためらうようになってしまった。むぅ。セシルはそこまで考えて……」
ぶつぶつ言いながらフェルはさっきの模擬戦のどこが悪かったか考えているようだ。その姿が可愛くて、抱きしめたくなる気持ちを堪えて、頭をやさしく撫でた。そのくらいいいでしょう?
「フェル。僕が言えたことじゃ無いと思うんだけどね。フェルは素直すぎるってセシル姉さんは言ってる。僕もそうだと思う。そんなフェルに効果的に攻めるとしたら?相手はたぶんとても積極的にフェルの嫌がることをやってくるよ。足技と見せかけて、他の方法で攻撃してくるとか」
「そうなのだ。それでさっきはやられてしまった。集中ができていなかったのは私の未熟がいけないのだが」
「ちょっとフェルも考え方を変えてみてもいいんじゃない?相手は普段から模擬戦をしているセシル姉さんだ。模擬戦をしていてセシル姉さんの苦手なところとかわかるんじゃない?」
「確かにな。それならいくつか心当たりがある。相手の嫌がることをやるのだな。そして生まれた隙をつく。ケイ!いいかもしれない。次で試してみる」
「ただ素直に嫌がることをやればいいって言うわけじゃないよ。それも含めて駆け引きするんだ。姉さんだって足技のイメージをフェイントに使ってた。あの嫌な足技がくるぞって思わせてフェルの動きに制限をかけてたじゃない」
「ふぇいんととは何だ?」
「攻撃するふりをして相手の意表をつくことかな。右と見せかけて左、みたいな」
「なるほど、駆け引きか。考えてみよう。ケイ、ありがとう」
「こんなの大したことないよ。フェルの役に立てて良かった」
狩り場の周辺の確認に行った黒狼の牙の人たちと初心者パーティーが戻ってきて、僕たちは馬車に乗り、明日の狩り場に移動することになった。
今回の遠征は南の森をぐるっと囲むように時計回りに移動する。次は小さいけどちゃんとした町で宿泊できるけど、そのあとは小さな村を転々と移動するので、夜は野営することになる。
僕たちは馬車に乗り込んで次の町に移動した。
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