フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話

カトウ

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シェフのおまかせ

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 248 シェフのおまかせ

「これがお米なんですね。お父さんから手紙で最近家でも食べるようになったって聞いてました。こんなに美味しいのになんで今まで食べなかったんだろう」

 モリーさんが鯛めしを見つめながら真剣な顔して言う。

「正確にはお米を使った料理ですけどね。普通に炊くと白いんですよお米って」

 モリーさんはやっぱりゴードンさんのところの娘さんなんだろうか?

「あの……、モリーさん。変なこと聞きますけど王都にご家族とかいたりしませんか?」

「ええ、実家は王都の近くで農家をやっていますけど……」

「もしかして……ゴードンさんの娘さん?」

「あら?父を知ってるんですか?」

「王都ですごくお世話になってるんです。ヘレンさんからは梅干し……いや梅の塩漬けをいつもいただいていて」

「もしかしてスラムで炊き出しをしてるっていう冒険者さんってあなたのこと?父の手紙に書いてあった冒険者ってケイさんのことなんですか?」

「そうなんです。ゴードンさんには王都に来たばかりの時からお世話になっていて。ホーンラビットをたまにゴードンさんの集落に狩りに行ってるんです。炊き出しでホーンラビットのお肉を使いたいから」

「こちらこそ父がお世話になってます。ホーンラビットが減って畑も増やせたって言ってました。おかげで弟たちにも充分な土地を継がせてあげられるって。私はしばらく実家には帰っていないんですけどケイさんのおかげでうちはすごく助かってるみたいですよ」

 いやいやこちらこそ、とか繰り返すとなんだか話が進まなそうだったから、気になってたセシル婆さんのことを聞いてみる。

「うちのおばあちゃんもご存知なんですか?私、今おばあちゃんの家に住んでるんです。この間のオークの討伐といい、何から何までお世話になってしまって、本当にありがとうございます」

「セシルお婆さんのところの野菜を僕の屋台で使っているんです。いつもいいやつを選んで売ってくれてるからすごく助かってますよ。セシルお婆さんの野菜美味しいですからね」

「うちのお父さんはもともとこっちの生まれなんです。王都では親戚のおじさんが畑をやっていて、そのおじさんはもう亡くなってしまったんですけど……、後継のいなかったおじさんの畑をうちの父が継いで、そして近所に住んでたお母さんと結婚して。あ、そうだ。お母さんが作るその梅の塩漬けって、もともとお婆ちゃんがお母さんに教えたものなんですよ。なんでもすごい昔に東の国から来た人たちを助けたお礼に作り方を教えてもらったみたいです。うちにはけっこう立派な梅の木が生えてるんですよ。父が生まれる前からあるそうです」

 そうだったのか。梅干しはやっぱり東の国から伝わってきたものだったんだ。

「帰ったらお婆ちゃんにケイさんのこと言っておきますね。きっとお礼だとか言ってたくさん梅の塩漬けを持ってくると思うわ」

 銀の鈴に持ってた梅干しをほとんどあげちゃったから地味に助かる。

「小僧、スティーブとこの料理を仕上げたって言ってたな。てことは銀の鈴でこの料理が食えるようになるってことか?」

「もちろんそれはそうなんですけど……ちょっと違うっていうか。スティーブさんとは基本のレシピを作っただけで、そもそもレシピを作る時に銀の鈴の支配人がこの料理を領都の名物にしたいって言ったところから始まってて。支配人はこの街でいろんな人たちが作れるようにして流行らせたいみたいなんです。この街の名物にしたいんですって。だからレシピは最低料金か、領都の住民は無料になるとかそんなことになると思うんですよね。あ、ガンツに精米器の話をするの忘れてた。ごめんなさい、ウォルターさん。帰ったらガンツに言っておきます」

「ワシがなんじゃ?」

 いつの間にかガンツが来てた。気づかなかったよ。

「精米器か?いくつ欲しい?」

「持ってるの?ガンツ。ウォルターさんのとこでもお米を出したいんだって」

「オヌシが領都についてくるからにはこんなことになるじゃろうとは思っておったわ。いくつか持ってきておるぞ。宿には大きめのを渡したんじゃったか?ウォルター、スティーブのとこで使ってるやつと同じでいいのか?」

 ガンツはいつも仕事に行く時にかついでるカバンから精米器を出した。
 
 ガンツ……もうなんか猫型ロボットみたいだよ。髭もじゃだけど。

 ウォルターさんには明日の朝にお米の炊き方を教える約束をした。
 開店が少し遅れちゃうけど構わない。
 仕入れも減らしたし大丈夫だろう。
 余ったら冒険者ギルドで手売りでもしようかな。

「この料理すげえな。こんな美味いもん食ったことねーぜ」

「おかわりはないのか?腹いっぱい食いたいのだが」

 シドが驚いた顔をして、そして隣にいるジークがおかわりをねだる。
 僕はなぜか屋台の作業台の上でシドの短剣を研いでいた。

「このハナタレがなかなか取りに来んからの。何となくここにいるんじゃないかと思っての」

 ちょっと今日の屋台はなんだか何の店なのかわからなくなってる。これで3男がいたらもっとおかしくなってたかもしれない。今日はいなくて良かった。

 シドの注文した剣を研ぎ終えて辺りを見回す。
 天ぷらも好評みたいだ。

「このサクサクする食感が良い。ケイ、まだナスは残っているだろうか?」

 フェルのために残しておいたナスを天ぷらにしてもう一度揚げる。どうせならサクサク多めにしてみよう。ちょんちょんと衣を揚げている茄子に足してあげる。

「鶏肉もいいがやはりこのナスは美味い。やはりゴードンのところの野菜より美味いかもしれんな」

「それがね、フェル。セシル婆さんってゴードンさんのお母さんだったんだよ。ゴードンさんって次男だったんだって。だから早くから子供のいないおじさんの家に引き取られて王都で野菜を作っていたみたい。そこのモリーさんはゴードンさんの娘さんなんだよ。セシル婆さんの孫なんだ」

「そうなのか?ゴードンは娘は街で働いてるとかしか言ってなかったが」

「すごい偶然だよね。なんか似てるなーってずっと思ってたんだよね」

「そうか。それでケイはあの受付嬢のことをチラチラと見ていたんだな。私は何かあるのかと変に勘繰ってしまってしまっていたぞ」

 ん?これってやきもち?フェルの表情があまり変わらないからよくわからない。

 んー。どうしよう。ちょっと困る。
 変に否定してもなんかおかしなことになりそうだ。だけど笑ってごまかせるほど僕の対女子スキルは高くないぞ。

 ……結局一生懸命正直に話して納得してもらえた。

 オロオロとたどたどしく説明する僕を見てフェルが少し笑ってた。もしかしたらからかわれていたのかもしれない。なんかちょっとくやしい。

「みんなお腹いっぱいになった?あまり材料もないけどここからは適当に作って出すよ」

「いいじゃねえか。シェフのおまかせってやつだろう?王都の高い店じゃそんな感じで料理が出てくるらしいじゃねーか」

 シド。あんまりハードルを上げないで欲しい。シェフってほど洗練された料理が出てくるわけじゃないぞ。たぶん居酒屋みたいな料理だ。

「余った材料でなんとなく作るから、味が悪かったら教えてね。みんなに意見を言ってもらって勉強させて欲しいんだ」

 うまいうまいと冒険者たちは食べていくけど、本当に美味しいのか。文句を言う人がいないからわからない。
 かと言って適当に味付けをしたものは食べさせたりはしていないんだけど。
 なんか言ってよ。これ美味しくないとかさぁ。

 フェルにからかわれてるのがわかって、恥ずかしくて、いたたまれない感じ。
 とにかくひたすらツマミを量産する。
 料理に集中したかった。

 天ぷらに使おうと思っていたアスパラだけど、炒め物にしたらかなり甘さが出て美味しい。食材がとてもいいから味付けは単純なものにする。
 
 手の込んだものは作れないけどとりあえず思いつきで色んな料理を振る舞った。

 

 
 












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