フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話

カトウ

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僕のせい

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263 僕のせい

 朝、3男の部屋をノックして朝ごはんを食べに行く。

「昨日は精米したお米がみんな出てしまいましたから」

 支配人がそう言って僕らに謝る。
 なので今日の朝食は洋風のパンとスープのセットだ。

 今日から1週間僕たちは旅に出る。
 旅と言ってもこの領都の周りを少し見てみる程度のものなんだけど。

 朝食を食べたら支配人と昨日の営業の精算をする。
 宿に戻ってから頑張って帳簿をつけたのにも関わらず、支配人は僕からお金を受け取ろうとしなかった。
 計算するの結構大変だったんだけどな。

 ほとんど利益の出ない価格の設定をしていたのにも関わらず、売り上げはいつもの屋台の売り上げよりもちょっと良かった。
 その分をみなさんの給料として支払って、追加で持ってきてもらった食材の精算をするつもりだった。

「あんなにみんなが楽しく騒いだのはこれまでありませんでした。むしろこの街のために頑張ってくださったおふたりにお礼を差し上げたいくらいです。昨日は本当にありがとうございました」

 そう言われてしまうとこっちも強くは言えない。
 支配人にお礼を言って僕たちはみんなに見送られて宿を出た。

「市場で食材を買っていくんでしょー?その分は僕が払うよ。その代わりかなり多めに買ってくれない?たぶんあの女の子の村に行ったら必要になると思うんだー。あとシドたちが手伝ってくれるって言ってたよー。何人来るかわからないけどその人たちのご飯も作ってあげないといけないし」

 シドたちが?昨日はそんなこと言ってなかったけどな。まずいな。どのくらい来るんだろう。

 まずはお米。けっこうびっくりするくらい大量に買う。
 そして調味料。足りなくならないようにこれも多めに買う。

「おう!そろそろ来る頃だと思ってたぜ。これからチコの村に行くんだろ?いきなり行くと向こうも驚くだろうから手紙を書いといたぜ。向こうで村の奴に見せれば大丈夫なはずだ」

 おっちゃんの書いてくれた紹介状をバッグにしまって店先に残っている品物を吟味する。
 だけど向こうに着いたら魚介類は手に入りそうなんだよな。
 おっちゃんの店では海苔とか細かいものを買うだけにしておいた。
 そのあとセシル婆さんの野菜を爆買いしてマリーさんの肉屋でも同じようにいろいろ仕入れる。向こうではみんなお肉は食べてないだろうし、合間で下処理して日持ちするようにしておこう。

 最後にガンツのところに行って頼んでいた農具をもらってくる。

「たぶん必要になるからな。多めに持っていけ」

 土を慣らす道具とシャベルや鍬。荷車まで渡される。

 こんなにいらないと言ったけど、余ったら戻しにくればいいとガンツが言う。たぶんそんなことにはならんはずだとガンツはさらによくわからないことを言う。

 だけどその理由はすぐに分かった。

 チコの漁村に向かう途中に馬車が2台停まっている。
 馬車の周りには大勢の冒険者たち。

 あの時オークの砦の戦いで一緒だったメンバーの他に、ビトさんやラッセルさん。その他いつも店の裏で騒いでいた冒険者たちが武器の代わりにシャベルを持って僕らを迎える。

「みんな仕事はどうしたの?」

「気にすんな。1日くれぇ休んだって構わんだろ。ローガンはちょっとビビってだけどな。訳を話したら後で俺も行くだとよ。あいつ後で飯だけ食いにくる気だぜ」

「まあそれでも構わないよ。でもシド、東の村に行くって誰から聞いたの?」 
 
「そこにいる3男がな、手伝いに来ないかってみんなに話を持ちかけて来て。それで今日ギルド前に集合したら、こんなに大勢集まっちまってな。それを見たローガンが何事だって部屋から飛び出して来て、あん時の焦った顔は笑えたぜ」

 ローガンさんは一瞬冒険者たちがみんなでよそのギルドに移るかと思ったらしい。なんでそう思ったのかはよくわからないけどとにかく朝から驚かせてしまった。僕のせいじゃないと思うけど、なんか申し訳ない。

「ケイくんが屋台をやめちゃうからローガンが誤解しちゃったんじゃない?みんなケイくんについて行って王都に行っちゃうって思ったんだと思うよー」

 僕のせいだった。ローガンさんにもちゃんとご飯を残しておこう。

 3男とシドさんが少し先まで様子を見に行って、僕たちはとりあえずこの前行った高台の辺りまで道を慣らすことにする。

 まずは5メートルほど。フェルと僕で整地してみる。
 あの時砦で一緒だった人たちの中には土を柔らかくする魔法を使える人たちがいるので僕たちの作業の様子をずっと見ていたジンさんが、みんなを集めて役割を振っていく。

「とりあえずいくつかの班に分けるぞ。魔法を使える奴と道をざっくりならす奴。それを馬につけたこの道具できれいに平らにするんだ。ケイはその後に着いて行って道を固めてくれ、ロザリー悪いんだが最後の仕上げをしてくれるか?ああ、ラッセルとザックは先攻偵察組だ。でかいゴミとか脇にどかしておいてくれ。他に自分の役目がわかんねー奴はいるか?ビト、お前実家は農家をやってるって言ってたな。真ん中で馬の機嫌を取ってくれるか?よし、いいな。とりあえず昼飯までに行けるところまで行くぞー!」

 ジンさんはこういう時みんなに役割を振って人を動かすのが上手い。きっとみんなのことをよく分かっているんだと思う。本人はもうリーダーなんてやりたくないって言ってるけど実は人望がある。
 なぜだかロザリーさんにはゴミみたいな扱いをされているけれど。

 みんなが道具の使い方をマスターして、魔法の使い方にも慣れてきた頃、3男とシドが戻ってくる。
 シドに、ある程度道ができたら馬車がすれ違えるような広めの場所を作っておきたいと伝えると、手書きで書いた地図にいくつか印をつけた。3男もそれを見て確認して、大体の方針ができた。

「とりあえずはそこまで大掛かりなものにしなくて良いんだよー。馬車が使えて村に何かいい商品があればちゃんと整備を後からしてくれると思うからさー」

 3男は仕上げの係を請け負って、ローザさんが少し柔らかくした道を丁寧にならしている。
 僕は馬の少し後ろを着いて行って道を固めていく。
 魔法を足で使っているからのんびり歩いているようにしか見えないらしい。
 失礼だな。ちゃんとやってるぞ。

 フェルは先攻組に着いて行った。少し体を動かしたいらしい。ザックは普通に嫌がってた。もっと楽な場所がいいそうだ。

 ときどき休憩を挟みながら、思ったより大掛かりになってしまった僕たちの道路工事は順調に進む。
 
 お昼前にロザリーさんに仕事を変わってもらう。ロザリーさんは固める範囲が僕より狭いけど固めるスピードが速い。

「ジグザグに歩いてついていけばいいんでしょ?簡単よ」

 そう言って仕事を変わってくれた。
 そして僕はこの前来た時に海を見た高台でみんなの昼ごはんを作っている。
 作業するみんなはもう見えなくなってしまってる。だいぶ午前中で作業は進んだ。夕方前には漁村までたどり着くのじゃないだろうか。

 さてみんなのお昼ご飯だ。大人数で簡単な料理となると思いつくのはカレーだったりする。だけどカレーの作り方はよくわからない。カレー粉があれば良いんだけどカレー粉の作り方がよくわからないんだ。
 なので結局丼もの一択になる。シチューとか煮込んでる時間はない。
 先にスープを作ってしまおう。

 特別にとマリーさんたちからもらったチェスターさんの鶏肉。その骨がついているところを鍋で煮る。ネギの青いところと一緒に強火で煮てアクを取る。アクがある程度とれたらそのまま中火で煮込んでおく。
 オークの肉を小さく切ってごま油で炒める。セシル婆さんの白菜、ニンジンを入れて柔らかくなるまで炒めたらどんどん大鍋に入れていく。フライパンでは全部の量を一気に作れないから3回に分けて炒めて大鍋に移した。
 良さそうなものを市場で適当に選んだキノコは食べやすい大きさに切って香りが立つまでフライパンで炒める。これも大鍋に入れてそこに鶏肉のスープの上澄だけを入れる。
 お砂糖を少し、お酒も入れて塩胡椒で味を整えたらそのままこれは放置して、今度はゆで卵を大量に作る。ゆで卵の殻が剥けた頃にみんなが戻って来た。
 お米はもう炊き上がっている。

 大鍋を温めなおして出てきたアクを少し取ったら醤油で味を決めて水溶き片栗粉でとろみを出す。薄く切ったネギを入れて胡椒をもう少し足した。

 何か足りない気がするなと思ったらそれがカマボコだと気づいた。そういえばカマボコって見てないな。港町に行けばあるだろうか。
 何か少し物足りない気がするけれどこれで中華丼の具は出来上がり。味見してみておろした生姜を加えて鍋をかき混ぜる。
 うん。さっきよりいい感じ。

 各自ご飯をよそってもらってそこに半分に切ったゆで卵を乗せ、中華丼の餡をかける。即興で考えた割にはなかなか良くできたと思う。

 今まで食べたことがない味だとみんなは喜んで食べてくれた。残ったスープはまた夜にでも何かに使おう。

「たまにはこういう味付けも良いな。それに体が温まる」

「炒飯の上にかけても美味しいんだよ。ちょっと味が濃くなっちゃうけど、このご飯の上にかかってるトロッとしたのを餡って言うんだ。餡かけっていう名前でいろんな種類の料理があるんだよ」

「ならばオムライスにもかけると美味しいのか?」

「それは少し違う料理になっちゃうかな。無くはないんだけどその場合フェルの好きなケチャップは使わないで卵に包んだご飯にその餡をかけるんだ」

「けちゃっぷではないのか。だがその料理もいつか食べてみたいな」

「オムライスも少し工夫してもいいかもね。だけどあまり手をかけすぎると何を食べてるのかわからなくなっちゃうからやりすぎるのもあまり良くないんだ。難しいよ」

「ケイー。そろそろ漁村に着くから準備ができたらフェルと一緒に先に村に行って状況を説明してきて欲しい」

「もうそこまで進んだの?ジンさん進むの早くない?」

「なんか小慣れて来たし、少し退屈だったしな。道を左右に分けて競争しながらやってたらけっこう進んじまった」

 道を半分に分けて15分でどこまで進められるか競争しながら進めたらしい。
 15分ごとに5分間の休憩と作戦会議をする時間を作りそこに様々な戦術が生まれたのだそうだ。
 面白そうだと思ったけど、割とくだらないな。いい大人が何をやってるんだろう。

 後片付けをして作業していた先端まで馬車で移動する。馬車の乗り心地は悪くなかった。いい感じで道ができている。

 到着したら村人たちが不思議そうに道の先端を木の棒で突いたり、手で触れたりしながら何やら話し込んでいた。
 すぐに馬車を降りておっちゃんからの手紙を渡す。
 ジロジロ見られて困惑してたらチコが僕たちを見つけてくれた。

「あー、あの時のお兄さんたちー。どうしたの?馬車?ここまでどうやって来たのさ。砂だらけで馬車なんて通れないはずなんだけど」

 簡単に説明して、チコの案内で村長の家に向かった。
 
 














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