妖狐な許嫁が怖すぎるので、ヒロイン様にお任せしたいのですが(泣)

真弓りの

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今、幸せなの?

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妹さんが大きく一歩、飛び退いた。いきなり話し始めたクダちゃんを、怖いものでも見るような目でおどおどと見ている。


「驚かないで、少し話したいことがあるだけなの」

「えええ~~? うそぉ、めっちゃしゃべってるぅ」


涙目でもう一歩、妹さんの足が後ろに下がるものだから、私は慌てて言葉を継いだ。あんまり怖がらせると逃げられちゃいそう。


「私、真白よ。あのゲームをやっていたなら分かるでしょう?」

「ゲーム……」


その言葉に、妹さんの体が固まった。そしてクダちゃんをじっと凝視する。


「ゲームってまさか」

「そう、私もこのゲームに紛れ込んじゃったの。貴女もそうだって聞いたから、話したいことがあって」

「そんな人が、他にもいたなんて……!」


目をまん丸にしている妹さんからは、とても嬉しそうな声が響いた。そうよね、私も絢香さんに出会えたときって本当に嬉しかったもの。

ゲームの世界に紛れ込んでしまったと理解しているからこそ、前世の記憶を持つ人との出会いはなにものにも代えがたい。


「私はこの世界では、妖狐の真白になってたの。この子は使い魔の管狐で、クダちゃん」

「ふふ、可愛い」

「実はこの世界での貴女の……お兄さんから、お話を聞いたんだけど」


話し始めて、いきなり呼称に困ってしまった。『絢香さん』って本当は妹さんの名前だものね。呼び方が難しいなぁ。

なんて困っていたら、目の前の妹さんの顔が急に曇った。


「ワタル君、怒ってるよね……私、逃げちゃったから」

「ワタル君ってお兄さんの名前?」

「え、そうですけど……あれ? お知り合いなんですよね?」

「そうだけど、私ずっと『絢香さん』って呼んでたから」


絢香さんとの出会いと現状をざっくりと説明すると、妹さんの顔はみるみるうちに青くなった。


「うそ……じゃあ、私の代わりにワタル君がヒロインやってるの? 女装して?」

「そうそう、雅様に聞いてなかった? 言動は乱暴なんだけど、なぜか攻略対象者はベタ惚れなのよ」

「雅様はなにも……そんなことになっていたなんて」


口元に手を当て目をまん丸にして話を聞く妹さんは、やっぱり絢香さんよりもさらに可憐だ。それにしても雅様、学園でのことを何も話していないのね。

さっき妹さん、窓も開けちゃいけないって呟いてたし、やっぱり外界から隔離されているんだろうか。

心配になって、つい尋ねる。


「ねえ、このお屋敷にいるのは自分の意思なの? ……今、幸せ?」


妹さんはうつむいて、すぐには答えなかった。
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